労働時間とは?労働基準法が定める上限や休憩時間、計算方法を解説! |HR NOTE

労働時間とは?労働基準法が定める上限や休憩時間、計算方法を解説! |HR NOTE

労働時間とは?労働基準法が定める上限や休憩時間、計算方法を解説!

積み上げられたファイル 時計

「労働時間」について理解するためには、法定労働時間や36協定、残業代計算など様々なことを把握する必要があります。万が一、労働時間や残業代の計算を間違えてしまうと、従業員とのトラブルや法律違反につながることもあります。

本記事では、労働時間の上限、計算方法、休憩時間などについて労働基準法に基づいて解説します。

--------------------

\【2024年最新版】HR関連法改正トレンドBOOK/

▼無料ダウンロードはこちら▼
https://hrnote.jp/document/?did=148030

--------------------

1. 労働時間とは?

背景が黄色 ワーク 時計

ここでは、労働時間の定義と労働時間の種類について紹介します。

1-1.労働時間とは?勤務時間との違い

「労働時間」とは、勤務時間から休憩時間を引いた時間のことを指します。

一方、労働時間と同じような意味で使われる「勤務時間」とは、従業員の始業時間~終業時間までを意味します。

労働時間は「労働者が使用者の指揮命令下にある時間」を指すため、休憩時間は労働時間に含まれません。

労働時間に関する具体的な例は下記のとおりです。

例)始業が9時30分、終業が17時30分で、間に1時間の休憩がある企業の場合

勤務時間:8時間(9時30分~17時30分)
労働時間:勤務時間(8時間)- 休憩時間(1時間)= 7時間

1-2. 所定労働時間と法定労働時間の違い

労働時間は「所定労働時間」「法定労働時間」に分けられます。

所定労働時間とは、各企業の就業規則や雇用契約によって定められた労働時間のことです。
一方で、法定労働時間とは労働基準法によって定められた労働時間の上限のことを指します。

ここまで労働時間の定義や「労働時間には所定労働時間と法定労働時間の2種類あること」について解説しました。36協定を締結していない状態で、法定労働時間を超えて従業員に労働させることは認められていないので、注意しましょう。

関連記事:「所定労働時間」と「法定労働時間」の違いとは?定義や残業代計算について詳しく解説!

関連記事:月の労働時間上限とは?月平均所定労働時間や残代計算について解説!!

関連記事:1日の労働時間の基準や上限とは? 36協定や休憩時間のルールとあわせてご紹介!

2. 労働基準法における労働時間と休憩時間の関係性とは

デスクで休むスーツの男

ここでは、労働基準法に定められた休憩時間のルールについて解説します。

2-1. 休憩時間の原則

企業が従業員に休憩時間を付与する際は、下記の3つの原則を守る必要があります。

・途中付与の原則(労働時間の途中に与える)
・分割付与の原則(休憩時間は分割してもよい)
・一斉付与の原則(休憩は一斉に取らせなければならない)

仮に「休憩はいらないので、早く帰らせてほしい」という要望が従業員からあったとしても、途中付与の原則に違反するため、応じてはいけません。また、付与する休憩時間は各従業員の労働時間によって変動します。ここからは「労働時間別に付与すべき休憩時間は何時間なのか」を解説します。

関連記事:休憩時間が取れなかった場合に生じる問題とは?必要な対応をわかりやすく紹介

関連記事:労働時間内の休憩に関する注意点|休憩時間に関するQ&A付き

2-2. 労働時間が6時間を超えて8時間未満の場合の休憩時間

労働時間が6時間を超えて8時間未満の場合は、従業員に少なくとも45分の休憩時間を付与する必要があります。「少なくとも45分」なので、従業員に1時間の休憩時間を付与していても問題ありません。

関連記事:6時間労働の休憩時間は何分?付与時のルールや労働時間管理の効率化について解説!

2-3. 労働時間が8時間を超える場合の休憩時間

従業員の1日の労働時間が8時間を超える場合、企業は少なくとも1時間の休憩時間を与えなければなりません。労働基準法で定められているのは「8時間超えの場合」までなので、それ以降の労働時間に対して休憩時間を追加で付与する義務はありません。

つまり、1日10時間労働をおこなったとしても、1時間の休憩時間さえ与えれば、休憩時間の付与に関しては労働基準法違反にならないということです。また、「少なくとも1時間」であるため、昼休みに1時間、残業前に1時間のように、1日あたり1時間以上の休憩を与えても問題ありません。なお、休憩時間は分割して付与することも可能です。1日の休憩時間が規定の時間に達していれば、45分・60分の休憩を分割しても問題ありません。

しかし、適切に休憩時間を付与しないと、労働基準法に違反するだけなく、従業員の生産性が下がる恐れもあります。休憩時間の重要性を再確認し、全従業員に適切に休憩時間が付与されていることを確認しましょう。

3. 法定労働時間は年間・月間・1週間・1日あたりの上限が決まっている

暗い部屋 デスクライト スーツ

労働基準法により、労働基準には上限が定められています。従業員に、上限を超える労働を強制することは認められていません。

ここでは、労働時間の年間・月間・1週間・1日あたりの上限と、法定労働時間を超える労働が必要な場合の対処法を解説します。

3-1. 1日あたり・1週間あたりの法定労働時間の上限とは?

労働基準法では、労働時間の上限を1日8時間、週40時間に定めています。この規定を超える勤務、すなわち「残業」は原則として認められていません。

しかし、36協定の締結により、残業が法的に認められるようになります。

3-2. 36協定の締結で、月間・年間の労働時間の上限はどう変わる?

36協定とは「時間外・休日労働に関する協定」のことです。

労使間で36協定を締結すると、「1日8時間、週40時間」を超えて従業員に労働させることができます。

しかし、36協定を締結したからといって、無制限に労働させられるわけではなく、法定労働時間を超えた時間外労働は「月45時間、年360時間まで」と定められています。また、時間外労働には割増賃金が発生するため、給与の計算には十分な注意が必要です。
もし、この「月45時間、年360時間」を超えて時間外労働をおこなう場合は、特別条項付きの36協定を締結する必要があります。

3-3. 特別条項付き36協定の上限

特別条項付き36協定を労使間で締結すると、「月100時間未満、年720時間」まで時間外労働をおこなうことができます。

2019年までは、「月100時間未満、年720時間」という上限が設けられていなかったため、特別条項付き36協定を締結すれば、実質、従業員を無制限に働かせることができました。しかし、長時間労働や過労死が社会的な問題となり、特別条項付き36協定を締結した場合でも、「月100時間未満、年720時間まで」という罰則付き上限規制が設けられました。

労働基準法では、特別条項付き36協定を定める場合には以下の項目を含めるように規定しています。

・時間外労働は年720時間以内
・時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
・2~6カ月の時間外労働と休⽇労働の合計が、平均月80時間以内
・時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは、年6回まで

参照:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省

ここまで、労働時間の上限について解説しました。これらはあくまで「上限」であるため、少しでも時間外労働を減らせる労働環境づくりを心掛けましょう。

関連記事:労働時間の上限とは?2024年建設業、運送業への法改正についても解説!

関連記事:労働時間を短縮するための取り組みとは?メリットデメリットや制度をご紹介!

3-4. 残業の上限規制適用に猶予がある業種とは?

2019年4月から大企業に、2020年4月から中小企業に対して適用されている上限規制ですが、建設業や運送業など、一部の業種に関しては適用に猶予が設けられています。

これは業界全体の人手不足と勤務形態の複雑さに起因するものです。

建設業では2024年4月から年720時間の上限が適用され、運送業など、自動車運転業務では月80時間、年960時間までが残業時間の上限となります。

いずれの業種も「2~6ヵ月の月平均時間外労働が80時間以内」「時間外労働と休日出勤時間の合計時間が100時間未満」というルールは適用除外、更に自動車運転業務については、「月45時間を超える時間外労働をおこなわせることができるのは年間6回まで」というルールも適用が除外される予定です。

この上限規制の発生は「2024年問題」とよばれ、各事業者は対応を迫られています。

関連記事:運送業労働時間の上限とは?超過するリスクや2024年問題についても詳しく紹介

関連記事:2024年から建設業の労働時間に上限規制が適用!今から準備できる対応とは?

4. 労働時間の月平均はどれくらい?

めくれている赤いカレンダー通常、他社の労働時間を知る機会はほとんどなく、自社の労働時間が多いのか少ないのかを判断するのは難しいでしょう。そこで参考にしたいのが、労働時間の平均です。

ここでは、厚生労働省の調査結果を参考に、労働時間の平均を解説します。

4-1. 最新の月間平均労働時間は170.9時間

厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和5年6月の確報」によると、一般労働者の総実労働時間は170.9時間でした。総実労働時間とは、「所定内労働時間+所定外労働時間」のことです。

170.9時間の内訳は、所定内労働時間が157.2時間、所定外労働時間が13.7時間となっています。なお、出勤日数の平均は20.5日でした。これらの数値から、一般労働者の1日あたりの平均総実労働時間は約8.3時間となります。

4-2. 労働時間が月200時間は働かせすぎ?

では、月の労働時間が200時間に迫る場合、働かせすぎになるのでしょうか。

法定労働時間は「1日8時間、週40時間」と定められているため、1カ月を4週とすると月160時間の労働は法定内ということになります。36協定を締結していれば「月45時間、年間360時間」の時間外労働が可能となるため、月の労働時間が205時間程度であれば上限規制を超えないため、働かせすぎとは言えないでしょう。ただし、月45時間の時間外労働は年6回までしか認められていないため、月200時間程度の労働が連続して発生したり、1年間に複数回発生したりする場合は注意が必要です。

また、この場合、従業員は毎日約2時間の残業をすることになります。そのため、従業員自身が働きすぎという認識を持っても不思議ではありません。

残業時間は働きやすさに直結します。月200時間労働は法的に問題ありませんが、従業員にとって心身の負担となることは間違いありません。そのため、企業は残業を極力減らすよう努める必要があります。

4-3. 年間労働時間も把握しよう

法定労働時間は「1日8時間、週40時間」と定められていますが、年間の法定労働時間は明確に示されていません。「1日8時間、週40時間」を守れば、労働基準法や36協定に違反することはありませんが、自社の労働環境について把握する上で、年間の労働時間計算は非常に大切です。

年間労働時間は以下のとおりです。

年間労働時間=「1年間の法定労働時間」+「1年間で発生した時間外労働の時間数」

年間労働時間は、年間の法定労働時間と時間外労働時間を足したものになります。

【年間の法定労働時間の算出方法】
1年間を52週(365日÷7日≒52週)と仮定すると、法定労働時間は「週40時間」なので、

52週×40時間=2,080時間

1年間の法定労働時間は約2,080時間である事がわかります。
つまり、年間労働時間は以下の式で求めることができます。

年間労働時間=2,080時間+「年間の時間外労働の時間数」

ここまで、月間労働時間の平均や年間労働時間の算出方法について解説しました。ここからは労働時間の計算方法を解説します。給与額に関する重要な内容なので、きちんと確認して業務に活用しましょう。

関連記事:年間の労働時間の計算方法や上限とは?36協定や年間休日とあわせて解説!

5. 労働時間の計算方法

手帳 電卓 カレンダー給与計算には正しい労働時間の把握が必須ですが、計算方法を誤ってしまっては本末転倒です。これまでの内容を踏まえ、労働時間の正しい計算方法を習得しましょう。

5-1. 労働時間を計算する際の手順

計算手順

概要

1

日ごとの労働時間を求める

「労働時間=勤務時間-休憩時間」で算出

2

日ごとの遅刻・早退時間を差し引く

遅刻・早退時間をしている日がある場合は、その分の時間を差し引くか否かを決定し、必要に応じて労働時間から差し引く

3

日ごとの法定内の残業時間を算出する

法定内の残業時間とは、所定労働時間を超えて8時間以内におさまるもの

4

日ごとの残業時間を算出する

1日の法定労働時間である8時間を超えた時間のこと

5

週ごとの法定内の残業時間を算出する

週ごとの法定内残業時間とは、所定労働時間を超えて週40時間以内におさまるもの

6

週ごとの残業時間を算出する

1日間の法定労働時間である40時間を超えた時間のこと

 

5-2. 法定労働時間を超過した場合の残業代の計算方法

法定労働時間を超過した場合、その時間に対して割増賃金が発生します。ここでは、割増賃金の種類や月平均所定労働時間の計算方法について整理しながら、残業代計算について解説します。

5-2-1.割増賃金の種類

法定労働時間を超えた時間外労働のほかにも、深夜労働や休日労働も割増賃金が発生します。ここでは、それぞれの種類や割増率について解説します。

▼時間外労働 
 時間外労働とは「法定労働時間を超えた労働」を指します。
 割増率は25%です。

▼深夜労働 
 「午後10時から午前5時までの間の労働」を指します。 
 割増率は25%です。

▼休日労働
 「法定休日における労働」を指します。
 割増率は35%です。

また、事前に振替休日を取得してから法定休日(週1日もしくは月4日の休日のこと)に労働した場合、「休日労働」には該当しないため、賃金は発生しません。しかし、法定休日に労働させたあとに代休を取得した場合は、「休日労働」に該当するため、休日労働手当が発生します。間違いの起きやすいポイントなので、しっかりと覚えておきましょう。

5-2.-3 月平均所定労働時間の計算方法

上記で解説した割増賃金の計算は以下の計算式でおこないます。

1時間あたりの賃金×割増率×割増賃金の対象時間数

上記の「1時間あたりの賃金」は以下の計算式でおこないます。

月給÷月平均所定労働時間

月平均所定労働時間とは、その名の通り、1カ月あたりの平均所定労働時間のことです。

月平均所定労働時間を算出する理由は、営業日数は月によって異なり、単月で計算してしまうと、毎月1時間あたりの賃金が変動してしまうためです。
(※営業日が少ない月は1時間あたりの賃金が高くなり、営業日が多い月は1時間あたりの賃金が安くなる)

こういった事態を防ぐために、月平均所定労働時間を算出する必要があります。
月平均所定労働時間の算出方法は以下の通りです。

月平均所定労働時間=(365日-年間休日)×1日の所定労働時間÷12か月

1時間あたりの賃金計算を例を交えて、下記で解説します。

例)年間休日が125日、一日の所定労働時間が8時間の従業員の場合

月平均所定労働時間=(365日-125日)×8時間÷12か月=160時間

従業員の月給が20万円だとすると、
20万円(月給)÷160(月平均所定労働時間)=1,250円
となり、その従業員の1時間当たりの基礎賃金は1,250円であることが分かります。

関連記事:労働時間の適切な計算方法について|残業代計算についても詳しく解説!

6. 労働時間を調節する方法

企業の業種や従業員の状況に応じて勤務形態を変更することで、従業員の労働時間を調節し、人件費を削減することもできます。

6-1. フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、3ヵ月以内の清算期間(多くは1ヵ月単位)で総労働時間を定めて、始業時刻・終業時刻を従業員自らに委ねる方法です。

ただし、フレックスタイム制であっても法定休日や法定労働時間の規則は適用されるため、法定の労働時間の総枠を超える分に対して割増賃金を支払ったり、週に1度の休日を設けさせる必要があります。

6-2. みなし労働時間制・裁量労働制

事業場外みなし労働時間制とは、事業場の外での業務など勤務状況の把握が難しい業務において、一定の時間分、勤務しているとみなして就業時間を規定し、賃金を支払う方法です。

裁量労働制は始業時間や終業時間を従業員の裁量に委ね、実際の労働時間数とはかかわりなく、労使協定で定めた労働時間数を働いたものとみなし、賃金を支払う制度です。裁量労働制は労働時間を規定することが難しいエンジニアや企画職などの一部業務に携わる従業員に対し適用されます。

また、裁量労働制には「専門型裁量労働制」と「企画型裁量労働制」の2種類があります。みなし労働時間制と似ている制度ですが、裁量労働制は一部の決められた業務にしか適用できない労働形態です。適用可能な職種は厚生労働省が定めているため、裁量労働制を検討する前に、適用可能な業務か確認しましょう。

参考:裁量労働制の概要|厚生労働省

6-3. 変形労働時間制

変形労働時間制とは、月や年の労働時間の平均が週40時間以内におさまる範囲内で、労働時間を月、週、日などで調整することができる制度です。繁忙期等により勤務時間が増加しても時間外労働として扱う必要がなくなるため、閑散期と繁忙期が顕著な業種に適した労働形態といえます。

ただし、変形労働時間制でも、時間外労働の割増賃金を支払う必要があるため注意が必要です。

7. 労働時間に関する「よくある疑問」

白地に赤いはてな 立体的

ここでは、労働時間に関する「よくある疑問」について解説します。

7-1. 連続勤務は何日まで可能?

連続勤務は、最大で12日まで可能です。

企業が従業員に連続で勤務をおこなわせる場合は、下記の2つの原則を守る必要があります。

・ 原則、休日は1週間に1日は設けること
・変形労働時間制であれば月に計4日休日を設ける

そのため、週に1回の休日規定を設けている企業の場合であれば1週目の最初と2週目の最後に休日を設けることで、最大12連勤が可能になります。

関連記事:連勤は何日までなら大丈夫?パートやアルバイトの場合や連勤の対策について解説!

7-2. 残業で労働時間8時間を超えた場合、別途休憩時間を付与すべき?

残業時間は労働時間に含まれるため、残業時間が加わることによって休憩時間が変動することもあります。

残業によって労働時間が8時間を超えたとしても、すでに従業員に1時間の休憩時間を与えていた場合は別途休憩時間を付与する必要はありません。

しかし、労働時間が6時間以上8時間未満の従業員の場合は、45分しか休憩時間を与えていないケースが多いため、別途15分の休憩時間を与える必要があります。

具体例は以下の通りです。

例)勤務時間が9時半~17時半で、1時間の残業をおこなった場合

元々、勤務時間が9時半〜17時半なので、所定労働時間は7時間15分となり、休憩は45分必要になります。

1時間の残業がおこなわれた場合、合計の所定労働時間が8時間15分となり、休憩時間は少なくとも1時間付与しなければなりません。すでに45分付与しているので、別途で15分の休憩を付与する必要があります。

関連記事:労基法違反?休憩時間について人事が知っておくべきこと

7-3. 遅刻や早退、中抜けなどはどのように対処する?

遅刻や早退などで所定労働時間から実労働時間が欠けた場合、賃金を控除しても問題ありません。控除をおこなうには、就業規則で控除のルールや計算方法を規定し、従業員に事前に周知することが必要です。

遅刻、早退、中抜けなどの場合は1時間あたりの基礎賃金に所定労働時間から不足した分の時間数を掛け合わせて控除、欠勤した場合は月給を月平均所定労働日数で割って算出した1日あたりの賃金を欠勤日数分掛け合わせて控除する方法が一般的です。

関連記事:中抜けの意味とは?勤怠管理上の扱い方や注意点について解説!

関連記事:直行直帰の意味とは?労働時間の管理方法やメリット・デメリットについて解説!

関連記事:遅刻早退控除の計算方法とは?残業代との相殺や時短勤務中の遅刻についても解説!

7-4. 管理職には割増賃金を支払う必要はない?

社内で管理職とされる従業員が、労働基準法で定義される管理監督者に該当する場合は、時間外労働や休日労働の割増賃金を支払う必要はありません。

管理監督者とは下記の条件に該当する従業員のことを指します。

  • 重要な職務内容を有している
  • 重要な責任・権限を有している
  • 勤務態様が労働時間等の規制になじまないようなものである
  • 賃金等が地位にふさわしい待遇である

上記の条件が該当する管理監督者は、企業の経営に関わる業務を時間を問わずおこなう必要があるとして労働時間や休日の規定の適用が除外となります。

ただし、深夜労働に対する規定は適用されるため、深夜労働の割増賃金は支払う必要があります。

関連記事:管理監督者の労働時間について適用や除外を合わせて詳しく解説

7-5. 移動時間や着替えは労働時間に含まれる?

一般的に、通勤時間や出張先への移動時間は労働時間に含まれません。ただし、例外もあり、移動時間を使用者の指揮命令下にあるとする企業の場合は、労働時間に含めることもあります。

着替えの時間を労働時間に含むか否かは、状況によってことなります。以下のようなケースに該当する場合は、着替えの時間を労働時間に含めなくてはなりません。

  • 就業規則やマニュアルに記載がある
  • 安全面・衛生面から着替えを必要としている
  • 使用者が着替えを命じている(黙示の場合も)
  • 使用者が更衣室を設けている

一方、労働時間に含まれないのは、着替えが従業員の理由によるものや、通勤時に制服の着用を認めているケースなどです。

なお、始業前の準備や終業後の片付け、会社命令による研修会へのさんかなども労働時間とみなされます。みなし労働時間は、使用者側と従業員側で認識が異なる可能性が高いため、しっかりと周知することが大切です。

7-6. 労働時間の1分単位計算はいつから?正しい端数処理の方法とは?

労働基準法の改定により、すでに、1分単位での労働時間の計算は運用が開始されています。就業規則で30分単位と規定していても、労働基準法が優先されるため、1分単位での計算が必要です。

なお、1分を超える単位で労働時間を計算した場合は違法となります。

また、労働時間の端数処理にも注意しなくてはなりません。労働時間における端数とは、「分」で示される部分のことで、四捨五入・切り上げ・切り捨てなどの方法で処理するのが一般的です。しかし、労働時間の計算は、原則1分単位となります。

ただし、時間外労働時間は端数処理が可能です。端数処理を切り捨てでおこなう場合、常に切り捨てのみで対応することはできません。

たとえば、1カ月の残業時間が30分に満たない場合に切り捨てをおこなうのであれば、30分以上の場合は1時間に切り上げることになります。

なお、企業が勝手に残業時間の切り捨てをおこなことは労働基準法に違反します。労働時間の端数処理の扱いは、労働局や労働基準法のガイドラインを参考にして決めましょう。

8. 労働時間に関する計算を効率化するツール

二人の人間 パソコンの前

ここまで解説したとおり、労働時間に関する計算はどれも非常に複雑です。
そこで、ここでは、労働時間に関する計算を効率化するツールを3つご紹介します。

8-1. エクセル

表計算ツール「エクセル」を用いて労働時間管理をおこなう方法です。

実際に、労働時間計算に特化したテンプレートなども簡単に手に入れることができるので、多くの企業で利用されています。エクセルは労働時間計算だけでなく、給与計算にも使用することが出来るので非常に便利です。
ただ、エクセルに情報を入力するのは基本的に手作業で入力をおこなうため、入力ミスなどのリスクもあります。

8-2. WEB上の計算ツール

WEB上で公開されている無料計算ツールを用いて、労働時間計算をおこなうという方法です。

基本的に無料で利用できるため手軽に労働時間計算や給与計算を効率化したいときに向いています。
ただ、エクセルのように記録を残す事が出来ないた め、労働時間や給与に関する情報を別の媒体に記録する必要があります。また、エクセル同様に手作業で入力をおこなうため、入力ミスが起こるリスクがあります。

8-3. 勤怠管理システム

勤怠管理システムを導入して、労働時間計算をおこなう方法です。
勤怠管理システムは打刻・労働時間計算・記録を連動しておこなうことが出来るため、手作業による入力ミスの恐れが少ない事が魅力です。また、時間外労働ごとの割増率を設定しておけば、自動で残業代の計算をおこなえるため、人事担当者の負荷を大幅に減らすことができます。

さらに、スマートフォンやICカードというように、さまざまな方法で打刻できるため、リモートワークなどの柔軟な働き方にも対応することもできるという点も大きな魅力と言えるでしょう。

関連記事:労働時間の管理は必須!上限時間や厚生労働省のガイドライン、効率化の方法を解説!

9. 労働時間を適切に管理し、従業員が働きやすい職場づくりを!

テーブルに集まる4人

本記事では、労働時間の上限、計算方法、労働時間に関する疑問について解説しました。
労働時間を適切に把握するためには、さまざまな規定を守らなければならず、担当者にとって非常に大きな負担となります。

今回の記事の内容を踏まえて、労働時間を適切に管理し、従業員が働きやすい職場づくりを目指しましょう。

また、勤怠管理システムを導入するなど、労働時間を管理しやすい方法を検討することも大切です。

--------------------

\【2024年最新版】HR関連法改正トレンドBOOK/

▼無料ダウンロードはこちら▼
https://hrnote.jp/document/?did=148030

積み上げられたファイル 時計

公式アカウントをフォローして毎日記事をチェック!

関連記事

ビジネスにおける「レジリエンス」とは?~自然災害にも対応できる組織にするために~

ビジネスにおける「レジリエンス」とは?~自然災害にも対応できる組織にするために~

2024.02.20
宮崎萌奈
人事課題を解決する鍵は健康データにあり〜離職予防に成功したiCAREのデータ活用事例〜

人事課題を解決する鍵は健康データにあり〜離職予防に成功したiCAREのデータ活用事例〜

2024.01.29
松野天音
「年収の壁」に対する政府の支援制度|ポイントをまとめて解説

「年収の壁」に対する政府の支援制度|ポイントをまとめて解説

2023.12.27
金井一真
企業の成長を支える企業型確定拠出年金制度の理解と活用

企業の成長を支える企業型確定拠出年金制度の理解と活用

2023.12.27
金井一真
PDFの改ざんを防ぐ方法|バックオフィス担当者が知っておきたいセキュリティ対策

PDFの改ざんを防ぐ方法|バックオフィス担当者が知っておきたいセキュリティ対策

2023.12.20
金井一真
ストレスケア専門家が語る、職場のメンタルケアで身につけたい「なんとかなる」と思える感覚の持ち方

ストレスケア専門家が語る、職場のメンタルケアで身につけたい「なんとかなる」と思える感覚の持ち方

2023.12.04
HR NOTE 編集部
「残業に応じてくれない社員がいる」社員の働き方に関する悩みを解説!『職場問題グレーゾーンのトリセツ』

「残業に応じてくれない社員がいる」社員の働き方に関する悩みを解説!『職場問題グレーゾーンのトリセツ』

2023.11.07
HR NOTE 編集部
ー昇進に応じてもらえなかったー キャリアに関する社員の悩みを解説!『職場問題グレーゾーンのトリセツ』

ー昇進に応じてもらえなかったー キャリアに関する社員の悩みを解説!『職場問題グレーゾーンのトリセツ』

2023.11.01
HR NOTE 編集部
就業管理システムとは?種類や導入するメリット・デメリットを解説

就業管理システムとは?種類や導入するメリット・デメリットを解説

2023.09.10
HR NOTE編集部