従業員に休憩を適切に付与することは、労働基準法に違反するリスクを無くすだけでなく、従業員の心身の健康を守ることに繋がります。本記事では、休憩時間が発生する基準や付与する際のルール、休憩時間に関してよくある疑問について解説します。
関連記事:労働時間とは?労働基準法に基づいた上限時間や、休憩時間のルールを解説!
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目次
1. 休憩時間を付与する基準は「労働時間6時間超えてから」
休憩時間は労働時間が6時間を超えて初めて付与されます。しかし、休憩時間が付与される基準は「労働時間が6時間を超えて8時間未満の場合」、「労働時間が8時間を超える場合」の2種類があります。ここからはそれぞれの基準について解説します。
1-1. 労働時間が6時間を超えて8時間未満の場合
労働時間が6時間を超えて8時間未満の場合は、従業員に少なくとも45分の休憩時間を付与する必要があります。「少なくとも45分」なので、従業員に1時間の休憩時間を付与していても問題ありません。
1-2. 労働時間が8時間を超える場合
従業員の1日の労働時間が8時間を超える場合、企業は少なくとも1時間の休憩時間を与えなければなりません。労働基準法で定められているのは「8時間超えの場合」までなので、それ以降の労働時間に対する休憩時間付与は義務付けられていません。
すなわち、例え1日11時間労働を行ったとしても、1時間の休憩時間さえ与えていれば、休憩時間の付与に関しては労働基準法違反にならないということです。また、「少なくとも1時間」であるため、昼休みに1時間、残業前に1時間の休憩を与えていても違法ではありません。
関連記事:1日の労働時間の基準や上限とは? 36協定や休憩時間のルールとあわせてご紹介!
2. 休憩時間に関する原則
前項では、休憩時間が発生する基準について解説しました。ここでは、休憩時間を従業員に付与する際の原則について解説します。
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2-1. 【休憩の原則①】労働時間の途中に与える
1つ目の原則は「休憩は労働時間の途中に与える」です。そのため、始業して最初の1時間や終業前の1時間に休憩を与えてはいけません。中には「早く帰りたいので休憩は不要」と考える従業員がいるかもしれませんが、労働時間の途中に与えなければ労働基準法違反となるため注意しましょう。
2-2. 【休憩の原則②】労働からの完全な解放
2つ目の原則は「休憩時間中は労働から完全に自由でなければいけない」です。休憩時間とは、従業員が労働を中断し、自由に休息してもよい時間のことです。そのため、休憩時間中にもかかわらず、電話対応をさせるなど、休憩時間中に生じる半強制的な業務は労働基準法違反となるため、注意が必要です。
2-3.【休憩の原則③】休憩時間は分割してもよい
3つ目の原則は「休憩時間を分割してもよい」です。業種や業界によっては、休憩時間をまとめて取れないこともあります。そのような場合、休憩時間を分割して付与することができます。例えば、1時間の休憩が必要な場合に「30分×2」という形で付与しても違反ではありません。ただ、あまりにも細かく休憩を分割して付与すると、「自由に休息を取る時間」とはいえないため、労働基準法違反になる可能性があります。
2-4.【休憩の原則④】休憩は一斉に取らせなければならない
4つ目の原則は「休憩は従業員に一斉に取らせなければならない」です。ただし、以下の業界・業種においては適用されません。
・運輸交通業
・商業
・金融広告業
・映画・演劇業
・通信業
・保健衛生業
・接客娯楽業
・官公署
また、上記以外の業界であっても、労使協定であらかじめ休憩の取り方について決めている場合、「休憩一斉付与の原則」は適用されません。
このように、休憩に関するルールは細かく存在し、アルバイトの従業員が多い企業など個別で休憩時間の管理が必要な企業では、休憩時間の管理も複雑になる場合があります。当サイトでは、法対応した正しい休憩時間の取らせ方について解説した資料を無料でお配りしています。よくある休憩時間の疑問についても解説しているので、自社の休憩の取らせ方に問題がないか確認したい方は、こちらからダウンロードしてご活用ください。
3. 休憩時間に関するよくある疑問
ここまで、休憩時間が発生する基準、休憩を付与する際の原則について解説しました。ここでは、休憩時間に関するよくある疑問について解説します。
3-1. パートやアルバイトでも休憩時間の付与義務はある?
労働基準法により、「労働時間が6時間を超えた場合は少なくとも45分、労働時間が8時間を超えた場合は少なくとも1時間の休憩時間を付与しなければならない」と定められています。
労働時間に関する規則は正社員やパートにかかわらず適用されるため、パートやアルバイトであっても休憩時間を付与する必要があります。また、前項で述べた「休憩時間を付与する際の原則」はパートやアルバイトであっても適用されます。
3-2. 残業時間は労働時間に含まれる?
結論、残業時間は労働時間に含まれます。そのため、残業時間の有無によって休憩時間の長さが変動する可能性があるため、注意が必要です。具体例は以下の通りです。
例)定時が9時半~17時半の企業で1時間の残業がおこなわれた場合
【元々の休憩時間】
定時が9:30~17:30の場合、勤務時間(※休憩時間を含まない)は8時間です。
6時間を超えた段階で45分の休憩を与える必要があるので、労働時間は7時間15分(8時間-45分)となります。8時間は超えていないため、追加の休憩時間は不要です。
【1時間の残業をおこなわれた場合の休憩時間】
追加で18:30まで1時間の残業がおこなわれた場合、勤務時間は9時間です。
45分の休憩だと労働時間は8時間15分(9時間-45分)となり、8時間を超えてしまうため、休憩時間は1時間付与しなければなりません。すでに45分付与しているので、別途で15分の休憩を付与しましょう。
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3-3. 6時間ちょうどの場合、休憩時間は必要?
労働時間が6時間ちょうどの場合は、原則として休憩時間は付与しなくても問題ありません。ただ、労働時間が6時間1分になってしまった段階で、少なくとも45分の休憩を付与する必要が発生するため、注意が必要です。
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4. 休憩時間、労働時間管理を効率化するツール
ここまで、休憩時間が発生する基準や付与する際の原則、休憩時間に関する様々な疑問について解説しました。ここまでご紹介した通り、休憩時間に関する規則は非常に複雑です。
また、細心の注意を払わなければ、知らず知らずのうちに労働基準法違反になる可能性もあります。そのため、ここでは、休憩時間や労働時間の管理を効率化するツールをご紹介します。
関連記事:労働時間の管理は必須!上限時間や厚生労働省のガイドライン、効率化の方法を解説!
4-1. エクセル
表計算ツール「Excel」を用いて休憩時間や労働時間管理を行う方法です。
Excelは休憩時間や労働時間計算だけでなく、給与計算にも使用することができるのに加えて、手軽に扱えることから多くの企業で利用されています。
ただ、Excelに情報を入力するのは基本的に手作業で入力を行うため、入力ミスなどのリスクもあります。仮に、労働時間に関する数字を一桁間違えるだけで、休憩時間の計算にもズレが生じるため注意が必要です。
4-2. 勤怠管理システム
勤怠管理システムを導入して、休憩時間や労働時間計算を行う方法です。勤怠管理システムは打刻・労働時間計算・記録を連動して行うことができるため、手作業による入力ミスが発生しにくい点が魅力です。
また、スマートフォンやICカードというように、打刻方法が多様なので、リモートワークなどの柔軟な働き方にも対応することができます。また、労働時間を算出し、自動で休憩時間が必要な場合に通知する機能もあるので、知らず知らずのうちに法令違反になることを防げます。
5. 休憩時間の規則を把握し、健康的に働ける職場づくりを!
本記事では、休憩時間に関する基準や原則、休憩時間や労働時間管理を効率化するツールについて解説しました。休憩時間を正しく従業員に付与するためには、客観的に正確に労働時間を管理する必要があります。本記事でご紹介した効率化ツールを利用するなどして、従業員が健康的に働ける職場づくりを心掛けましょう!
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