本記事では、休憩時間とは何か、休憩時間について使用者が注意すべき点、労働者から問い合わせを受けたときにどのように対処すればよいか、などを中心にまとめています。
また、非常勤の労働者にも休憩を与える必要があるのか、残業が発生した場合の休憩時間はどのように計算すればよいのかについても、ご紹介します。
関連記事:労働時間とは?労働基準法に基づいた上限時間や、休憩時間のルールを解説!
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1. 労働基準上の休憩時間について
休憩時間とは
休憩時間とは、労働基準法により「労働時間の途中に置かれた、労働者が権利として労働から離れることを保障された時間」と定義されています。
つまり、休憩をしている時間は労働から離れているとされるので、賃金を支払う必要はありません。
しかし例えば昼休み時間中に交代で電話番をおこなうようなケースでは、電話番をしている労働者は労働から解放されておらず、休憩しているとは言えません。
このような場合、休憩時間ではなく労働時間となるため、賃金支払いが必要になります。
会社によっては、昼休み時間中に交代で電話番をさせるケースもありますので、注意が必要です。
関連記事:労基法違反?休憩時間について人事が知っておくべきこと
休憩時間を与える必要があるケース
休憩時間をどれぐらい与える必要があるのかは、労働時間によって変わってきます。労働基準法では、以下のように定められています。
労働時間 | 6時間以下 | 6時間超 8時間以下 | 8時間超 |
休憩時間 | ー | 45分 | 1時間 |
このように、労働時間が6時間以内であれば、休憩時間は与えなくても法律には違反しません。しかし、これはあくまで最低限の休憩時間です。8時間勤務で、途中1時間の休憩を与えている会社もありますが、これは、最低限の45分を上回っているので問題ありません。
また、業務効率を考えて、労働時間が6時間以内の労働者に休憩時間を与えることも、法律上何の問題もありません。
関連記事:6時間労働の休憩時間は何分?付与時のルールや労働時間管理の効率化について解説!
2. 労働時間中の休憩について注意するポイント
ここでは、人事担当者が休憩時間について押さえておく必要があるポイントをご紹介します。
01 | 休憩時間は分割して与えてもよい
労働時間が6時間を超える労働者については、休憩時間を与える必要がありますが、この休憩時間は分割して与えても構いません。
例として、7時間労働の場合、最低45分の休憩時間を与える必要があります。最初の3時間労働してから25分休憩、その後の2時間労働後に20分休憩、そして最後に2時間労働というような休憩の与え方でも問題ありません。
ただ、あまりに短時間の休憩を細切れに与えるのは、休憩時間の目的である「労働から離れる」ことが保障されているとはいえないので、休憩時間を分割して与える場合は、休憩時間の目的を損なわないよう留意する必要があります。
02 | 休憩時間中に仕事を依頼しない
休憩時間とは、「労働から離れることを保障された時間」です。そのため、休憩時間中に仕事を依頼するのは、労働から離れることが保障されないため、法律に違反していることになります。
やむを得ず、所定の休憩時間中に仕事を依頼する場合は、必ず、別の時間帯で休憩を与える必要があります。
昼休みに交代で電話番をさせるといった場合、電話番の人は、労働から離れることを保証されないため、休憩が与えられていないということになります。このような場合、後で休憩時間を与える必要があります。
03 | 休憩時間の使い方は労働者の自由
休憩時間は、労働者が権利として労働から離れることを保障された時間であるため、原則として、労働者が自由に利用できる必要があります。ただし、休憩の目的を害さなければ、規律保持上必要な制限をかけることはできます。
例えば、政治活動の制限をかけたりすることは可能です。これは、ある労働者の政治活動によって、事業上の規律が乱れる危険があり、他の労働者の休憩を邪魔する可能性もあるためです。
なお、以下の労働者については、特例として休憩を自由に利用させなくてもよいことになっています。
- 坑内労働をしている者
- 警察官
- 消防吏員
- 常勤の消防団員
- 児童自立支援施設に勤務する職員で、児童と起居を共にする者
- 乳児院、児童養護施設及び障碍児入所施設に勤務する職員で児童と起居を共にする者であって、使用者があらかじめ所轄労働基準監督署長の許可を受けた者
- 児童福祉法に規定する居宅訪問型保育事業に使用される労働者のうち、家庭的保育者として保育を行う者(同一の居宅において、一の児童に対して複数の家庭的保育者が同時に保育をおこなう場合を除く)
04 | 残業時間中に休憩を与えなくてもよい
休憩時間を与える必要があるかどうかは、その日の労働時間の長さで決まります。そのため、所定労働時間が4時間の労働者が、ある日に1時間残業したとしても、その日の総労働時間は5時間となり、休憩を与えなくても構いません。
ただし、この労働者が3時間残業する場合は、総労働時間が7時間となるため、この場合は最低45分の休憩を与える必要があります。
所定労働時間が8時間超で、1時間の休憩時間が途中に与えられている場合は、すでに1時間の休憩時間を満たしているため、残業時間中に休憩を与える必要はありません。
残業をさせた結果、休憩を与える必要が出てくる場合は、「~時間残業させたら総労働時間が~時間になるから、~分休憩を与える必要がある」ということを、あらかじめ計算しておいた方がよいでしょう。
関連記事:残業時間にも休憩は発生する?労働基準法における残業と休憩のルールについて解説!
05 | 休憩時間は労働時間の途中で与える必要がある
労働基準法上では、休憩時間は、労働時間の途中に与えることと規定されています。そのため、労働時間の最初に与えたり、最後に与えたりすることは法律違反となります。
なお、生後満1歳に達しない生児を育てる女性は、今まで述べた休憩時間のほか、1日2回、各30分以上の育児時間を請求することが労働基準法で認められています。この育児時間については、労働時間の最初や最後に請求することも認められています。
このように、休憩時間と育児時間の違いも押さえておいた方がよいでしょう。
06 | アルバイトやパート労働者にも所定の休憩時間を与える必要がある
休憩時間を与える必要があるかどうかは、その労働者が何時間働いているかで決まります。これは、雇用形態によって変わるというものではありません。
そのため、アルバイトやパートであっても、労働時間が6時間を超えて8時間以内であれば、最低45分の休憩を与える必要があり、労働時間が8時間を超える場合は、最低1時間の休憩を与える必要があります。
3. 休憩時間に関するQ&A
ここでは、従業員から休憩時間について質問を受けた際、どう対処すればよいかを説明します。
Q1. 休憩時間は必要ないから、その分早く帰りたい
休憩時間は、労働時間に応じて、労働時間の途中に休憩を与えることが労働基準法で定められています。そのため、労働者が「休憩時間の分、早く帰りたい」と言ったとしても、法律で規定されている休憩時間は最低限与える必要があります。
そして、職場の秩序を守るためにも、所定の休憩時間を取らせた方がよいでしょう。
Q2. 所定の時間に休憩時間を取れなかったので、その時間を残業時間扱いにしてほしい
営業など、外勤の結果、所定の休憩時間に休憩が取れないようなケースも発生するかと思います。そのような場合でも、労働時間中に休憩を取らせないと、労働基準法違反になります。この場合も、その分の休憩時間を取らせるようにしましょう。
労働時間中の休憩を取らせないといけないので、休憩時間を残業時間扱いにすることはできません。
関連記事:休憩時間取れなかった場合に生じる問題とは?必要な対応をわかりやすく紹介
Q3. 規定されている休憩時間以外の時間に休憩を取りたい
原則として、休憩時間は、「一斉に」与えることになっています。そのため、1人だけ別の時間に与えるということはできません。ただし、みなし労働制やフレックスタイム制を採用している場合は、休憩を一斉に与えることは困難だと考えられます。そのため、休憩を一斉に与えない旨の労使協定を結べば、休憩時間は一斉に与えなくても構いません。
また、以下の場合は、労使協定を結ばなくても、休憩を一斉に与えなくてもよいことになっています。
- 坑内労働
- 運輸交通業
- 商業
- 金融広告業
- 映画演劇業
- 通信業
- 保健衛生業
- 接客娯楽業
- 官公署の事業
本章で解説したように、労働時間に関するルールは、休憩や残業、有給など様々な要素と絡んでくるため、従業員から質問が寄せられることが多く、正しい知識を有することが求められます。
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4. まとめ
本記事でご紹介したように、休憩時間については、労働基準法で一定の決まりがあります。使用者は、この決まりを守る必要があります。特に、何時間労働させたら休憩時間をどのぐらい与えなければならないか、休憩時間をどのように与えなければならないかが主要なポイントとなります。
また、休憩時間は、労働者にとって、心身をリフレッシュさせ、業務効率を上げるためにも大切な時間です。そのため、あらかじめ休憩時間について正しい知識に基づいて休憩時間を管理していくことが、労使トラブルを防ぐ点からも重要になります。
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