管理監督者の労働時間は上限なし?法律の適用・除外の範囲を解説 |HR NOTE

管理監督者の労働時間は上限なし?法律の適用・除外の範囲を解説 |HR NOTE

管理監督者の労働時間は上限なし?法律の適用・除外の範囲を解説

管理監督者という言葉を聞いたことはあるでしょうか。企業において重要な地位であり、経営者と密接な関係となっている労働者のことを管理監督者と呼び、部下へ指示を出したり経営方針を決定したりするうえで非常に重要な役割となっています。

そんな管理監督者ですが、実は明確な定義がありません。そのため、労働状況を踏まえたうえで管理監督者かどうかは個別的に判断をする必要があるのです。この判断を間違えてしまうと、法律違反となってしまい、さまざまな労働トラブルを引き起こす可能性があるので注意をしてください。

本記事では管理監督者の労働時間について解説致します。一般的な社員とは異なる点がたくさんあるので、しっかりと理解をしましょう。

関連記事:労働時間とは?労働基準法に基づいた上限時間や、休憩時間のルールを解説!

管理監督者の勤怠管理、法的に問題なくできていますか?

管理監督者に残業の上限規制は適用されませんが、労働時間の把握は管理監督者であってもしなくてはならないと、法改正で変更になりました。

この他にも、法律の定義にあった管理監督者でなければ、残業の上限超過や残業代未払いとして違法になってしまうなど、管理監督者の勤怠管理は注意すべきポイントがいくつかあります。

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1. 管理監督者の労働時間・有給休暇

管理監督者の労働時間と有給休暇

労働基準法では管理監督者のことを監督や管理の地位にあるものとしています。管理監督者の労働時間についての規定は一般の従業員と異なっています。

どのように異なるのか、また、どの規定は要件から除外されずに適用されるのかについて詳しく確認していきましょう。

関連記事:月の労働時間上限とは?月平均所定労働時間や残代計算について解説!

1-1. 時間外労働・休日の規定は適用除外

管理監督者は重要な業務を担っており、時を選ばず経営上の判断や対応が必要になる場合があります。そのため、時間外労働の上限や休日に関する労働基準法の規定の対象からは除外されます。

一般の従業員に時間外労働・休日労働をさせた場合には、それぞれ基礎賃金を25%、35%割増した割増賃金を支払う必要がありますが、管理監督者に対してはこれらを支払う必要はありません。

また、通常週に1日、1ヵ月に4日の法定休日を取得させる義務がありますが、管理監督者には休日を付与しなかったり、振替休日を設けなかったりしても、労働基準法の違反にはなりません。

ただし、時間外労働が月に80時間を超過した際の産業医による面接指導の規定や、労働契約法第5条の従業員に対する安全配慮義務は管理監督者であっても適用されるため、健康への配慮はおこなう必要があります。

関連記事:労働時間の上限とは?2024年建設業、運送業への法改正についても解説!

1-2. 深夜労働の規定は適用

時間外労働・休日労働に関する規定からは除外されますが、深夜労働の規定は管理監督者にも適用されます。

22時~翌5時の深夜時間での勤務は健康を害するリスクが高まります。そのため、管理監督者であっても、深夜労働をおこなわせることは可能な限り避ける必要があります。深夜労働をおこなわせた際は基礎賃金を25%割り増した割増賃金を支払いましょう。

また、月に4回以上深夜労働をさせた従業員に対し発生する、特定業務健康診断の受診規定も適用対象です。月4回以上の深夜労働が発生した場合には半年に1回、年2回の健康診断受診を促しましょう。

1-3. 有給休暇の規定は適用

管理監督者であっても、有給休暇の規定は適用されます。年5日の有給休暇取得が義務付けられているので、有給が消化できていないという従業員には、有給取得をするように働きかけましょう。

2. 変形労働時間制・フレックスタイム制などの適用除外

1つだけ除外されている管理監督者は労働時間の制約を受けないので、変形労働時間制・フレックスタイム制に関しても適用対象外となります。変形労働時間制とは、労働時間を1日ではなく月・年・週単位で計算し、忙しい時期や業務に余裕がある時期に合わせて労働時間をうまく調整するという制度のことです。

フレックスタイム制は変形労働時間制の一種であり、法定労働時間を超えない範囲で労働者が始業時刻や終業時刻を自由に決定できるという制度のことです。

一般的な社員にとってこれらは働きやすさの向上につながる嬉しい制度です。管理監督者にはこれらが適用されません。しかし、管理監督者はそもそも自由に勤務時間を決めたり業務量を調整したりすることができるので、これらの制度が適用されなかったとしてもさほど大きな問題ではないといえるでしょう。

3. 管理監督者の労働時間も把握が義務化

勤務状況の把握

2019年の4月から施行されている働き方改革関連法案にて、一般労働者の残業時間に上限規制が設けられました。これに伴い、労働時間に制限のない管理監督者へしわ寄せがいき業務が増加する可能性が危惧されていました。

そこで、労働安全衛生法が改正され、管理監督者の労働時間も把握することが企業に義務付けられたため、管理監督者の勤怠管理も必要となります。

関連記事:労働時間の管理は必須!上限時間や厚生労働省のガイドライン、効率化の方法を解説!

4. そもそも管理監督者とは?管理職との違い

違いに対する疑問

管理監督者とよく似た言葉に管理職があります。これらはしばしば混同されていますが、異なるものとして認識しなければいけません。

労働基準法で定められる管理監督者とは、経営者に近い強い権限や責任を担っており、就業時間を自分の裁量で決定し、給与などの面でその地位にふさわしい待遇を受ける人を指しています。

会社が独自で定める管理職やマネージャー職であっても、上記にあ当てはまらない要件がある場合は管理監督者として認められないため、管理監督者が免除される時間外労働や休日労働については一般社員と同様の規定で管理する必要があります。

各種規定を回避するため、業務内容は一般社員に近いにも関わらず肩書だけは管理職とし、あたかも管理監督者として従業員を扱う「名ばかり管理職」が問題となっています。

従業員が不当な扱いであることを主張し、未払い賃金を請求する訴訟が複数発生しているため、管理監督者と管理職をしっかりと区別し適切に対応することが重要です。

5. 管理監督者の4つの要件について

管理監督者の定義

管理監督者は明確な定義はありませんが、法的には監督や管理の地位にあるものとされています。

管理監督者は、自分の裁量で労働時間や業務量を調整したり、残業時間や割増賃金についても一般の労働者とは違う取り扱いがされます。もちろん、管理的な立場にある人間がすべて管理監督者になるという訳ではありません。具体的な判断基準としては、下記の4つが挙げられます。

  • 重要な職務内容を有していること
  • 重要な責任と権限を有していること
  • 労働時間等の規制に影響されない勤務実態であること
  • 地位にふさわしい待遇となっていること

これらの詳細について解説していきます。

5-1. 重要な職務内容を有していること

重要な職務内容とは、具体的に説明をすると企業の経営に関わるということです。経営者会議に参加して企業の方針について発言をしたり、部署の予算や部下の労働時間を管理していたり、解雇や採用、人事考課などの人事権を有している場合が企業の経営に関わっていると判断されます。

つまり、経営者から指示を受けて一部の管理業務をおこななっているというだけでは、管理監督者とはみなされません。店舗のマネージャーなどの役職者の管理監督者のように思えますが、企業経営に関与していない場合は管理監督者に該当しないので注意してください。

5-2. 重要な責任と権限を有していること

重要な責任と権限を具体的に説明をすると、採用面接の判断を下す権限や部下の賃金や人員配置を決定する権限、予算や費用の管理を一任されているなどの権限のことです。部下に業務内容を指示しているという方は多いかもしれませんが、決定権限が他部署にあったり上司の決済が必要だったりする場合は、管理監督者に該当しないので注意してください。

また、自分で全てを決定している場合でも、そもそも部下がいないという場合は労務管理や人事について十分な権限があるとはいえないので管理監督者ではありません。

5-3. 労働時間等の規制に影響されない勤務実態であること

勤務形態については会社から拘束されていない必要があります。1日の労働時間や業務量を自らの裁量で決定する必要があります。管理監督者とは、経営上の判断を求められる立場にある存在であるため、労務管理も一般労働者とは区別するべきと考えられているのです。

具体的には出退勤時刻を自由に決定できたり、労働時間を自らの裁量で決めることができたり、業務量をコントロールできたりといった内容となります。そのため、管理監督者は遅刻や早退、欠勤控除も受けません。残業や業務量に上司の許可が必要という場合は、管理監督者とはいえないので注意をしてください。

5-4. 地位にふさわしい待遇となっていること

管理監督者は経営者と同等の立場の存在です。そのため、それ相応の待遇を受けている必要があり、一般労働者よりも高額な賃金や手当を支給しなくてはいけません。

また、管理監督者には残業代が支給されないため、それによって給与の総額が下がったという場合は管理監督者とは認められない可能性が高いです。長時間労働を強いられた際に、時間単価が一般労働者を下回ってしまう場合でも管理監督者性が否定される可能性があります。

6. 就業規則の適用範囲

管理監督者は除外管理監督者は就業規則における労働時間や休憩、休日などの規定も適用されません。しかし、就業規則の全てが適用されないというわけではありません。適用除外となるのはこの3つの項目のみであり、その他の規定については一般労働者と同じように適用されます。

就業規則のどの範囲が管理監督者の適用対象かは非常に複雑です。そのため、管理監督者にはどこまでの範囲が適用されるのか明確になるように、就業規則の文面を整理することが大切です。

このように管理監督者は、通常の労働者と適用される労働条件が異なるため、労働基準法に違反する勤怠管理をしないよう注意が必要です。 しかし、一部労働時間の規制が適用されないのは把握しているが、細かい内容が把握しきれず、自社の勤怠管理が問題ないか不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。 当サイトでは、管理労働者がいる職場にて就業規則に記載すべき内容や、管理監督者の勤怠管理をどのように行えばよいかが具体的にわかる資料を無料で配布しております。 管理監督者における勤怠管理のルールを確認したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

7. 管理管理者だからこそ遵守すべきルールを把握しよう

ルールをチェックしましょう管理監督者になれる人はそれほど多くありません。他の労働者とは違い適用が免除される上限規制もありますが、他の労働者と同様に遵守しなくてはいけない労働基準法上のルールもあります。管理監督者が遵守すべきルール、適用が除外されるルールをしっかり把握しておきましょう。

管理監督者の勤怠管理、法的に問題なくできていますか?

管理監督者に残業の上限規制は適用されませんが、労働時間の把握は管理監督者であってもしなくてはならないと、法改正で変更になりました。

この他にも、法律の定義にあった管理監督者でなければ、残業の上限超過や残業代未払いとして違法になってしまうなど、管理監督者の勤怠管理は注意すべきポイントがいくつかあります。

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