入社手続きには、住民票や年金手帳、雇用保険被保険者証、マイナンバーほか、多くの書類が必要や準備が必要です。また、書類を集めた後も法定三帳簿の作成や保険・税金関係の手続きなど、さまざまな対応が求められます。
新入社員が入社後すぐに活躍できるよう、また、安心して業務に取り組むためにも、入社手続きは迅速かつ適切におこなう必要があります。
今回は、入社手続きに必要な書類や準備のほか、入社手続きの案内方法や業務フローについて解説します。
入社手続きは確実に対応する必要がありますが、社会保険の資格取得手続きや雇用契約の締結など対応しなくてはならない項目が多く、漏れや遅れが発生してしまうこともあるのではないでしょうか。
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1. 入社手続きの重要性
入社手続きは、会社が新しい従業員を受け入れる際の重要な業務です。入社手続きは給与の振り込みや税金徴収、年金など従業員の生活に直結する手続きです。
漏れや遅れなどが発生した場合、給与振り込みができず給与を受け取れない、税金・社会保険の納入漏れ、病院を受診した際、全額自費負担になるなど従業員の生活に支障をきたすため、誤りのないように進める必要があります。
次章で入社手続きの方法や必要な書類のチェックリストなどを紹介します。
2. 入社手続きの方法
入社手続きの案内は、書類を郵送するか、メールで通知するかの2つの方法があります。
送付状や通知メールに記載すべき内容や作成時の注意点は次のとおりです。
関連記事:人材採用後の入社手続きマニュアル!基本的な流れとおさえておくべき2つのポイント
2-1.郵送で入社手続きをおこなう
入社手続きに関連する書類を内定者に郵送して、記入後返送してもらうなどして入社手続きを進める方法があります。
具体的には、①入社手続きで記入してもらう必要がある書類を準備する②返送用封筒と一緒に書留などの追跡可能な方法で郵送する③記入して返送してもらうという流れです。
郵送する場合は封筒に「社名」「問い合わせ先」を必ず明記し、送付先の住所や氏名に間違いがないか確認してから送付しましょう。
ただし、注意すべきなのは、雇用保険被保険者証や年金手帳などの、社会保険に関する書類の返送は避けるということです。
どちらも万が一なくしてしまった場合困る重要な書類であるため、出社したときに提出してもらうか、コピーを送ってもらうようにしましょう。
2-2. メールなどの電子ツールでおこなう
入社手続きに関連する書類はメールやその他電子ツールを用いることが可能です。2019年4月に一定の条件を満たせば、労働条件通知書の電子メールなどを用いた交付が可能になったことで、入社手続きに関連する書類はほぼすべて電子化することが可能になりました。
メールやチャットで書類のやり取りをしたり、人事管理システムに登録してもらい、その登録情報を用いて入社書類を自動作成して電子申請することが可能です。
電子ツールをおこなうことで、書類のやり取りや紙での管理がなくなるため、従業員数が多い企業や従業員の出入りが多い企業などでは、用いると人事業務にかかる時間を大幅に削減できるでしょう。
メールなどで通知する場合は、送付先のメールアドレスとメール本文に記載している内定者の氏名が間違っていないか必ず確認し、誤送信を防ぎましょう。
2-3. 入社手続き案内に記載する基本的な内容
送付状を添えて書面を郵送する場合は、冒頭「拝啓」、本文の最後に「敬具」と記載します。
本文は面接に足を運んでくれことへのお礼を添えた挨拶から始め、下記のような内容を記載します。
- 結果の通知
- 内定式の日程・場所・時間
- 必要書類提出のお願い
- 提出期限
- 問い合わせ先
通知メールを作成する際は、「入社手続きのご案内」など、簡潔でありながら本文内容がわかるような件名をつけましょう。
【重要】などと明記すると、よりわかりやすいでしょう。
宛名には内定者の氏名をフルネームで、差出人には「会社名」「部署名」「担当者の氏名」を記載します。
メールの本文は挨拶からはじめ、「結果の通知」「内定式の日程・場所・時間」「必要書類提出のお願い」「提出期限」を明記します。なお、冒頭や文末に「拝啓」や「敬具」を記載する必要はありません。
送付状、通知メールともに、適切な敬語を使うことを意識して作成しましょう。また、文章は長すぎず短すぎず、読みやすい長さを心がけることがポイントです。
関連記事:【文例つき】入社手続きメールの基本と気をつけたいポイントを解説
2-4. 入社手続きに必要な書類のチェックリスト
入社手続き案内で記載すべき必要な提出書類は次のとおりです。
記載漏れがあると、書類が揃わず手続きを完了できなくなるため、送付状や通知メールを作成する際はくれぐれも注意しましょう。
【新卒・中途にかかわらず全員提出が必要な書類】
- 住民票
- 年金手帳
- マイナンバー
- 扶養控除等(異動)申告書
- 源泉徴収票(アルバイトを含む前職がある場合)
- 健康診断書(入社前に健康診断を受けてもらう場合)
【中途のみに必要な書類】
- 雇用保険被保険者証
【新卒のみ必要に応じて用意してもらう書類】
- 卒業証明書(新卒の場合)
【必要に応じて用意してもらう書類】
- 個人情報保護法に基づく誓約書
- 雇用契約書、入社承諾書(署名、捺印済みのもの)
- 通勤手当支給申請書、住宅手当支給申請書
- 資格を証明する書類(資格が必要な採用の場合)
- 健康保険被扶養者(異動)届、国民年金第3号被保険者資格取得届(家族に該当者がいる場合)
入社手続きに必要な書類には、新卒・中途に関わらず提出が必要な書類、新卒のみに必要な書類、中途のみに必要な書類のほか、必要に応じて用意してもらう書類の4つがあります。
雇用契約書、入社承諾書については、まず会社側が書類を用意します。入社手続きの案内の際、採用通知書や雇用契約書、労働条件通知書とともに添付し、内定者が署名・捺印したものを提出してもらいます。
関連記事:入社手続きに必要な書類一覧|手続きの流れや覚えておきたいポイント
3. 入社時に会社がおこなう手続き・業務フロー
採用内定者の入社時、会社がおこなう手続きや業務フローは次のとおりです。
3-1. 法定三帳簿の作成
法定三帳簿とは、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の3つを指します。労働基準法によって、会社が作成・保管することが義務付けられている書類です。
労働者名簿は、従業員の氏名や住所、生年月日など、個人情報を記載した書類のことです。雇用保険や助成金の申請をする際に必要です。
資金台帳は、賃金計算期間や労働日数、労働時間数、基本給や手当などを記載した帳簿です。労働基準法第108条法定によって記載事項と保存期間(原則5年)が定められています。
出勤簿は、従業員の出勤日や出勤日数、労働時間数、出退勤の時刻などを記載した帳簿です。[注1]
[注1]労働者を雇用したら帳簿などを整えましょう ~労働関係法令上の帳簿等の種類と保存期間について(簡易版)~|厚生労働省
3-2. 健康保険・厚生年金保険の加入手続き
採用内定者が加入条件を満たしている場合、健康保険や厚生年金保険といった社会保険の加入手続きをします。
まずは「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」を管轄の年金事務所に提出し、社会保険の資格取得手続きを行います。期限は雇用開始から5日以内です。
資格取得手続きが済んだら、協会けんぽから送られてくる「健康保険被保険者証(健康保険証)」を、従業員本人に渡しましょう。
3-3. 雇用保険の加入手続き
採用内定者が雇用保険の加入条件を満たしている場合は、雇用開始月の翌月10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出し、資格取得手続きを済ませましょう。手続きの際は提出の際は、法定三帳簿や雇用契約書なども一緒に提出する場合があります。
資格取得手続完了後、ハローワークから送られてくる「雇用保険被保険者証」および「雇用保険資格取得等確認通知書(被保険者通知用)」を、従業員本人に渡します。
3-4. 税金関係の手続き
住民税の納付方法には、「普通徴収」と「特別徴収」の2種類あります。普通徴収は従業員本人が納税しますが、特別徴収は会社が従業員の毎月の給与から本人に代わって住民税を納付します。
中途入社した従業員が特別徴収での納税を希望する場合は、納税先の自治体に給与所得者異動届書を提出する必要があります。
このように入社手続きは対応すべき事項が多く、一連の流れをよく理解していなければ、手続きに時間がかかって書類提出の期日に遅れたり、漏れが発生したりしてしまいます。当サイトでは、入社手続きの流れとおこなうべきことが確認できるマニュアルを無料で配布しています。漏れや遅れが発生することなく入社手続きをおこないたい方は、こちらから資料をダウンロードして、スムーズな入社手続きにお役立てください。
3-5. 業務に必要な備品の支給
入社後、従業員が円滑に業務を行えるよう、必要な備品を支給します。備品の準備は入社前に済ませておき、入社日当日に渡せるよう準備しておくことが大切です。また、会社で使用するメールアドレスの取得・設定や、社内ネットワークにアクセスするためのIDやパスワードの設定についても、あわせておこなっておきましょう。
4. 電子化やシステムの導入で入社手続きをより迅速に
入社手続きには、法で定められた書類の作成・管理ほか、各種保険や税金の手続き、備品支給など、細かい業務が必要です。とくに社会保険や雇用保険の加入手続きには期限があるため、迅速な対応が求められます。
電子申請対応のシステムやクラウドサービスを導入することで、大切な従業員情報を高いセキュリティで管理したり、窓口に足を運ぶことなく申請を済ませたりすることが可能です。また、ヒューマンエラーによる手続き漏れなどを防ぐこともできます。
業務を効率化して入社手続きをより迅速に行い、新たに入社する従業員が安心して仕事ができる環境を整えましょう。
入社手続きは確実に対応する必要がありますが、社会保険の資格取得手続きや雇用契約の締結など対応しなくてはならない項目が多く、漏れや遅れが発生してしまうこともあるのではないでしょうか。
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