年末調整にマイナンバーは必要か?記入を拒否された場合についても解説! |HR NOTE

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年末調整にマイナンバーは必要か?記入を拒否された場合についても解説!

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マイナンバー制度が導入されてから数年が経ち、少しずつ私たちの生活に浸透してきました。マイナンバー(個人番号)の記載を求められる公的書類はいくつかありますが、その一つとして年末調整の書類が挙げられます。この記事では、年末調整に必要なマイナンバーについて解説します。また、記入を拒否されたときの対処法についても紹介します。

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1. 年末調整にマイナンバーは必要か?

男性と女性のイラスト

さまざまな場面で活用されるようになったマイナンバーですが、年末調整の際にも必要なのでしょうか。結論からいうと、年末調整をおこなう際は、書類にマイナンバーを記載する必要があります。ここでは、マイナンバーの定義を説明したうえで、年末調整におけるマイナンバーの取り扱いについて詳しく解説します。

1-1. マイナンバーとは?

マイナンバー(個人番号)とは、住民票を有するすべての人に一つの番号を割り振り、それを利用して行政を効率化したり国民の利便性を高めたりする制度です。政府はマイナンバーを活用することで、次のような目的の達成を目指しています。

  • 公平かつ公正な社会の実現:所得や行政サービスの受給状態の把握
  • 行政の効率化:情報の照合や転記、入力などの簡略化
  • 国民の利便性の向上:添付書類の削減など、行政手続きの簡略化

マイナンバーは、平成27年10月以降に通知されました。番号が漏洩し、不正に使われる恐れがある場合を除き、一生変更されることはありません。したがって、企業が従業員のマイナンバーを取り扱うときは、個人情報の漏洩がないように十分配慮する必要があります。

関連記事:マイナンバー管理システムを徹底比較!特徴・価格【2024年最新版】

1-2. マイナンバーの記載が必要な年末調整の書類

年末調整の際にマイナンバーの記載が必要な書類は、次の通りです。勤務先と従業員それぞれで年末調整において記載が必要な書類は異なるので注意が必要です。

作成者

書類

適要

勤務先

源泉徴収票給与支払報告書

本人および配偶者や控除対象扶養親族のマイナンバーを記載

従業員

扶養控除等(異動)申告書

本人および配偶者や控除対象扶養親族のマイナンバーを記載

従業員

基礎控除申告書兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

配偶者や扶養親族のマイナンバー記載

なお、従業員に交付する源泉徴収票には、マイナンバーの記載は不要です。また、「保険料控除申告書」や「住宅借入金等特別控除申告書(対象者のみ)」についても、マイナンバーの記入は必要ありません。

関連記事:年末調整の必要書類は?書き方・提出先も一からわかりやすく解説!

1-2. 年末調整にマイナンバーはなぜ必要?

年末調整でマイナンバーが必要になる理由は、税務署や市区町村といった公的機関の間でのやりとりをスムーズにするためです。マイナンバーを年末調整の書類に記載しておけば、一人ひとりに割り振った共通の番号で情報を管理することができるようになります。

各行政機関の間の情報連携や確認をおこないやすくなり、業務の簡略化やコスト削減が可能です。また、マイナンバーを紐づけてさまざまな手続きをすることで、個人の所得やほかの行政サービスの受給状況を把握しやすくする意図もあります。

1-3. 年末調整のマイナンバーは毎年必要?

年末調整の際は、従業員が記載する書類にマイナンバーを記入する必要があります。それでは、前年度から引き続き勤務している従業員に対して、毎年、年末調整のたびにマイナンバーを確認しなければならないのでしょうか。会社が以下の内容を記載した帳簿を備えているときは、毎年の年末調整のマイナンバー記載を省略することができます。

  1. 従業員や控除対象となる配偶者、扶養親族のマイナンバー
  2. 提出を受けた申告書の名称
  3. 申告書を提出した日付

ただし、ここでいう帳簿とは、以下の申告書の提出を受けて作成されたものに限られる点に注意しましょう。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の配偶者控除等申告書
  • 退職所得の受給に関する申告書
  • 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
  • 所得金額調整控除申告書

また、会社と従業員の間でマイナンバーに変更がないことの確認が取れており、かつ双方が合意している場合にも、マイナンバーの記載を省略できます。この場合は、従業員が扶養控除等申告書の余白に「給与支払者に提供済みのマイナンバー(個人番号)と相違ない」という旨を記載する必要があります。

給与支払者と従業員との間での合意に基づき、従業員が扶養控除等申告書の余白に「マイナンバー(個人番号)については給与支払者に提供済みのマイナンバー(個人番号)と相違ない」旨を記載した上で、給与支払者において、既に提供を受けている従業員等のマイナンバー(個人番号)を確認し、確認した旨を扶養控除等申告書に表示するのであれば、扶養控除等申告書の提出時に従業員等のマイナンバー(個人番号)を記載しなくても差し支えありません。

引用:源泉所得税関係に関するFAQ|国税庁

2. 年末調整にマイナンバーカードは必要?

メリット

年末調整の際はマイナンバーが必要となりますが、マイナンバーカードの提示は必要ありません。個人番号がわかれば問題ないので、マイナンバーカードを持っていない従業員がいる場合は、通知カードや住民票などで個人番号を確認してもらいましょう。

年末調整を電子化している企業の従業員は、マイナンバーカードを使ってマイナポータル連携をしておくと、手続きが簡略化できて便利です。マイナポータル連携をおこなっておくと、従業員が年末調整申告データを作成するときに必要な各種控除証明書を、マイナポータルから自動で取得することができるようになります。

ただし、マイナポータル連携をおこなうためには、ICカードリーダーや読み取り対応のスマートフォンなどが必要です。マイナンバーカードを使った年末調整を導入したい場合は、事前準備が欠かせないことを押さえておきましょう。

3. 年末調整のマイナンバー記入は拒否できる?書かないとどうなる?

従業員のなかには、なんらかの理由でマイナンバーの記入を拒否する人がいるかもしれません。年末調整にはマイナンバーの記入が必要な書類がいくつかあることを説明しましたが、記入を拒否された場合はどうなってしまうのでしょうか。ここでは、マイナンバーの記入を拒否されたときの対処法について紹介します。

3-1. マイナンバーの記載は義務ではない

従業員を雇い入れる事業主にとって、マイナンバー対応は義務的な業務です。しかしながら、現時点では従業員が事業主に対してマイナンバーを提示することを義務付ける法律はありません。そのため、年末調整書類へのマイナンバーの記入を拒否された場合に強制することはできず、罰則が科されることもないのが現状です。ただし「従業員が嫌がっているから」と、安易にマイナンバーを記載していない書類を提出することは避けるべきです。この場合、社会保険や税金に関する書類へのマイナンバー記載は法律で定められた義務であることを説明し、従業員から理解や信頼を得たうえで協力してもらうよう努めることが大切です。

3-2. マイナンバーがなくても手続きは可能

従業員にマイナンバーの必要性を説明しても、なかなか理解が得られない場合は、ないままでも手続きを進められます。税務署では制度の浸透には一定の時間を要すると判断しており、マイナンバーの記載がない書類であっても受理しているためです。ただし、マイナンバーなしで年末調整をおこなうときは、提供を求めた経過などを記録して保存し、単なる義務違反でないことを明確にしておくことが大切です。

なお、提供を求めた経過の記録や保存は法令上の義務ではありません。提供を求めた事実があり、その結果拒否されたことを証明できればよいため、個別の事情まで記録することは不要です。また、税務署では、マイナンバーの提供を拒否した従業員に対して、引き続き提供を求めるように企業へ呼びかけています。一度断られたからといってそのままにせず、理解を得られるように対応し続けることを心がけましょう。

4. マイナンバーの保管期限は?

はてな

従業員のマイナンバーが記載された書類は、社会保障や税に関する手続書類の作成事務をおこなう必要がある限り、保管し続けられます。しかし、従業員が退職になった場合は、一定の保存期間を経過したあとすぐに廃棄または削除しなければいけません。

たとえば、マイナンバーの記載が必要な年末調整の書類「扶養控除等(異動)申告書」は、7年間保管することが義務付けられています。つまり、「扶養控除等(異動)申告書」に記載されたマイナンバーは、申告書の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年を経過する日まで保管しなければなりません。その後は、情報が外部に漏れないようにし、速やかに廃棄しましょう。

5. 年末調整のマイナンバーに関するよくある質問

Q&A

ここでは、年末調整のマイナンバーに関するよくある質問に対する回答を紹介します。

5-1. 従業員がマイナンバーを忘れたら?

従業員が通知カードを紛失してしまったなどにより、マイナンバーを忘れてしまい、年末調整の書類に個人番号を記入できない場合、どのように対応すればよいのでしょうか。通知カードは廃止されたため、再発行することができません。そのため、マイナンバーを確認するには、「マイナンバーカードを取得する」「マイナンバーが記載された住民票の写しや住民票記載事項証明書を取得する」のいずかで対応することになります。また、通知カードを紛失してしまった場合、管轄の自治体に報告をして指示を仰ぐことが大切です。

5-2. マイナンバーのコピーの提出は可能?

年末調整の書類など、さまざまな場面でマイナンバーは使用されることが想定されます。そのため、マイナンバーカードのコピーを控えておきたいと考えている事業者も少なくないでしょう。個人番号法(マイナンバー法)に定められた目的以外で、従業員に対してマイナンバーの提供を求めることはできません。

年末調整の書類を作成するためにマイナンバーを要求することは可能です。しかし、社員番号で代用できるにも関わらず、人事評価のためにマイナンバーの提供を求めることはできません。このように、番号法で定められた目的で利用するのであれば、マイナンバーカードのコピーを提出してもらい、管理することができます。ただし、コピーする際に不要な部分は付箋して隠してもらうなど、個人情報保護に努めることが大切です。

(提供の求めの制限)
第十五条 何人も、第十九条各号のいずれかに該当して特定個人情報の提供を受けることができる場合を除き、他人に対し、個人番号の提供を求めてはならない。

引用:行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第15条|e-Gov

6. 年末調整ではマイナンバーの記入に協力してもらおう

国民一人ひとりの所得を把握し、行政機関の間での業務をスムーズにするマイナンバーは、年末調整の手続きをするときも必要です。年末調整の担当者は、マイナンバーが必要な書類や必要な理由をしっかりと従業員に説明し、協力を得られるように努力することが大切です。従業員にマイナンバーの記入を拒否された場合は、記載していない書類を提出することもできます。しかし、社会保障や税に関する書類にマイナンバーを記載することは事業主の義務であるため、根気強く理解や信頼を得るために対処し続けることを心がけましょう。

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