春の定期採用だけでなく、秋採用や中途採用も増え、人事担当者は年間を通して各種事務手続きに追われますね。
このうち「社会保険」は、「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」などに分けられ、加入手続きは会社に義務付けられています。ただ、手続きにかかる時間は担当者によってまちまち。
なかには健康保険証の交付までに1カ月も待たされる場合もあるようです。人事担当者は「いつ入社してきてもOK」という姿勢で、素早く確実に手続きができるよう、手順をマニュアル化しておきましょう。
「社会保険」を手続きする流れについて、分かりやすくご紹介します。
1.書類を揃える

まず、社会保険の手続きに必要な書類を揃えましょう。新たに採用となった従業員にとって、人事担当者が頼りです。できれば内定日か採用日に直接会い、手続きについて説明しておきましょう。
提出してもらう書類
入社にあたり、必要となる主な提出書類をまとめました。
- 「年金手帳」
- 「雇用保険被保険者証」
- 「源泉徴収票」
※配偶者を扶養に入れる場合、配偶者の「年金手帳」が必要になります。
年金手帳は「基礎年金番号」、雇用保険被保険者証は「被保険者番号」を知るために必要な書類です。もしも紛失している場合は、それぞれ年金事務所、ハローワークで再交付手続きができます。「再交付申請書」を記入してもらい、提出しましょう。
2.書類に記入する

手続きを早期に済ませるために、できるだけ早く記入しましょう。押印忘れが多いので、注意して下さい。
健康保険・年金保険の届け → 従業員が記入
健康保険・年金保険の手続きは、採用日から5日以内です。両方の保険を1つにまとめた「資格取得届」(下記)を提出します。従業員自身が記入するため、「明日、あさってには提出して下さいね」と念を押しておきましょう。
- 「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」
次のような場合は、「資格取得届」と合わせて書類の提出が必要です。
配偶者や子どもなど、被扶養者がいる場合
- 「健康保険被扶養者(異動)届」
配偶者が20歳以上60歳未満で、年収が130万円未満の場合
- 「国民年金第3号被保険者届」
雇用保険の届け → 人事担当者が記入
雇用保険の手続きは、採用月の翌月10日までです。従業員に提出してもらった「雇用保険被保険者証」をもとに、人事担当者が記入します。
- 「雇用保険被保険者資格取得届」
3.年金事務所・ハローワークへ提出

書類が揃ったら、「健康保険・年金保険」は管轄の年金事務所へ、「雇用保険」は管轄のハローワークへ提出しましょう。持参でも郵送でもOKです。
健康保険証が届くまでの対処法
書類の提出後、健康保険証が会社に届くまでにかかる日数は、2週間程度を見ておきましょう。それまでに、従業員や家族が受診する場合は、医療費が全額負担となります。
もしも、従業員本人や家族が通院中であったり、幼い子どもがいて急に受診する可能性があるなら、大変困るでしょう。「2週間程度かかりますが、受診する可能性はありますか?」と確認しておくと親切ですね。
この場合は、あらかじめ、健康保険証の代わりとなる「健康保険被保険者資格証明書」を年金事務所で交付してもらいましょう。発行後20日以内なら保険証と同様の負担で医療機関にて受診ができます。
申請するには、「健康保険被保険者資格証明書交付申請書」が必要なので、従業員が記入しておきます。これを提出すれば、「証明書」を即日に交付してもらえます。「証明書」は保険証と引き換えに返還が必要なので、しっかり保管するよう伝えて下さい。
雇用保険の証書等は必ず本人へ
「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出すると、次の書類が窓口で交付されます。
- 「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書」
- 「雇用保険被保険者証」
はじめの「確認通知書」は2通セットになっているので、「被保険者通知用」は従業員へ手渡し、「事業主通知用」は人事で大切に保管して下さい。「被保険者証」も忘れずに従業員へ渡しましょう。
最後に
いかがでしたか。社会保険の手続きは、従業員の生活や健康に関わるため、非常に大切です。手続きについての理解を深め、それぞれの従業員の家族状況などに合わせて対応しましょう。
「困ったときは人事の○○さんに相談しよう」という風に、信頼感もUPするはずです。
その分、業務が増えることになるかもしれませんが、ぜひ「親切な人事」を目指してみて下さい。