従業員が入社、退職した際は、それぞれ必要な書類が発生します。なかでも労働者名簿は従業員が入社した際に作成し、退職後も保管する必要があります。
今回は労働者名簿の概要と作成方法、注意点を解説します。
労働基準法総まとめBOOK
労働基準法の内容を詳細に把握していますか?
人事担当者など従業員を管理する役割に就いている場合、雇用に関する法律への理解は大変重要です。
例外や特例なども含めて法律の内容を理解しておくと、従業員に何かあったときに、人事担当者として適切な対応を取ることができます。
今回は、労働基準法の改正から基本的な内容までを解説した「労働基準法総まとめBOOK」をご用意しました。
労働基準法の改正から基本的な内容まで、分かりやすく解説しています。より良い職場環境を目指すためにも、ぜひご一読ください。
目次
企業が実施すべきことについて詳しく解説!
労働人口が減少が続く日本において、「人手不足」は多くの企業に共通する社会課題です。企業成長のためには、この社会課題に対して、各社ならではの対策を進める必要があります。そこで、本講演では、経済産業省で「デジタル人材育成プラットフォーム」の制度設計をおこなう金杉氏にご登壇いただき、企業が現状の社会課題を正しく把握し、正しく対策を立てるために必要となるスタンスについてお話いただきます。また、企業が実際に利用できる国の支援制度や施策についても併せてご紹介します。
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1. 労働基準法の第109条による「労働者名簿」とは?
労働基準法で作成が定められているのが労働者名簿です。この名簿は次のような労働者に関する事項が記載された書類です。
- 氏名
- 採用日
- 退職日 など
労働基準法で以下のように定められているとおり、従業員の結婚による苗字の変更など、記載事項に変更があった場合は速やかに訂正しなければなりません。
前項の規定により記入すべき事項に変更があつた場合においては、遅滞なく訂正しなければならない。
労働者名簿は労働者を雇っているのであれば、どのような規模の企業でも作成する必要があります。個人事業主であっても労働者を雇っているのであれば、作成しなければなりません。罰則も設けられており、未作成についての是正勧告を受けても作成を怠っていると、罰金30万円が科せられてしまいます。
1-1. 労働者名簿は法定三帳簿のひとつ
労働基準法では労働者名簿以外にも、賃金の計算期間や労働時間数などを記載する賃金台帳と出勤簿やタイムレコーダーなどを記載する出勤簿の作成を定めています。これら3つを合わせて「法定三帳簿」と呼びます。
労働者名簿は労働基準監督署による検査や雇用関係助成金申請時に提出を求められるケースもあります。また、社内においても人事管理として活用可能です。
1-2. 労働者名簿の対象となる従業員
労働者名簿は原則雇っている労働者の人数分作成する必要があります。ですが、次のとおり正社員、アルバイト、パート以外の雇用形態の場合、作成が不要となります。
- 日雇い労働者
- 派遣労働者
- 代表者・役員
日雇い労働者の場合、作成が不要であることが労働基準法107条で明言されています。一方、派遣労働者を管理するのは派遣元です。そのため、受け入れ先企業に名簿の作成を求められることはありません。代表者や役員は労働者と扱われないため作成は不要です。
2. 労働基準法の第109条に基づく労働者名簿の作成方法
労働者名簿には、次の項目を記載していきます。
- 氏名
- 生年月日
- 履歴
- 性別
- 住所
- 従事する業務の種類
- 雇入年月日
- 退職や死亡年月日(理由と原因も含む)
記載すべき項目に漏れがなければ、様式は問われません。インターネット上にはさまざまなテンプレートがアップされているほか、厚生労働省のHPからもダウンロード可能です。
2-1. 履歴は社内での遍歴を記載
労働者名簿の項目のひとつである履歴は、昇進や異動といった社内での経歴を記載します。ただし、人事情報として必要であれば、入社までの履歴や最終学歴などを記載しても問題はありません。
2-2. 業務の種類は企業規模によって記載不要
労働者名簿は企業の規模に関係なく、労働者を雇っている場合は作成する必要があります。ですが、記載項目のひとつである「従事する業務の種類」は、労働者数が30人未満であれば、記載不要です。
2-3. 退職した理由も忘れずに記載
労働者名簿では労働者が退職した際の理由を記載します。そのため、労働者の退職が解雇であれば、その理由を記載しなければなりません。また、従業員が死亡してしまった場合は死亡した年月日とその理由を記載します。
3. 労働基準法の第109条に基づく労働者名簿に関する注意点
労働者名簿は保管期間が定められています。また、名簿に記載されている従業員情報は個人情報にあたるため、適切な保管が求められます。
3-1. 保管期間は3年
労働者名簿の保管期間は3年間と定められています。[注1]
名簿を保管する際に注意すべきなのが、該当の労働者が退職もしくは死亡してからの3年間という点です。在籍中の従業員の名簿と混ぜないためにも、保存が必要な名簿は別にしておくとよいでしょう。
また、労働者名簿以外の法定帳簿も3年間の保管が義務付けられています。
[注1]労働者を雇用したら帳簿などを整えましょう|厚生労働省
3-2. データで保管する
労働者名簿を保管する際は電子データで保管するのがおすすめです。紙で保管している場合、紛失してしまう恐れがあります。一方、電子データであれば、すぐに見つからなかったとしてもファイル名で検索可能なため、見つけやすいでしょう。
また、労働者名簿は従業員の情報に変更があった場合、速やかに反映しなければなりません。そのため、紙で作成するよりも電子データの方が、スムーズに変更内容を反映できるでしょう。なお、電子データとして保存する際は次の条件を満たしておきましょう。
- 事業場ごとに労働者名簿が画面に表示できる状態で、印字に必要な装置が備わっている
- 労働基準監督署などから名簿の閲覧・提出などを求められたら、すぐに必要事項がわかる写しを提出できる
3-3. 労働者の情報は個人情報保護法の対象
労働者名簿に記載されている労働者の情報は、個人情報保護法の対象となります。そのため、従業員に対して情報の使用目的を伝えて同意を得ておく必要があります。
また、取扱いには十分な注意が必要です。保管方法が紙であっても電子データであっても、紛失や漏えいを起こさないために、関係者だけが閲覧できる状態にしておきましょう。
実際に従業員情報の漏えいは発生していて、文部科学省では2017年に人事に関する情報が同省の全職員に一斉メールで送信されてしまっています。
3-4. 保管義務を怠った場合も罰則の対象になる
労働者名簿は作成をしていない場合、30万円の罰金が科せられる可能性があります。罰則は名簿の未作成に対してだけではありません。労働者名簿を3年間保管していなかった場合であっても、是正勧告を無視してしまうと同額の罰金が科せられます。
4. 労働者名簿は必ず作成して厳重に保管する
労働者を雇っている企業であれば、労働者名簿を作成する必要があります。名簿を作成していないと30万円の罰金が科せられます。記載する項目のなかには、30人未満の従業員数であれば記載不要な項目もあります。また、従業員の情報に変更があった際は、速やかに反映する必要があります。
労働者名簿は従業員の退職や死亡から3年間は保管しなければなりません。そのため、他の書類と混ざったり、紛失したりしないためにも、電子データで保管しましょう。
労働基準法総まとめBOOK
労働基準法の内容を詳細に把握していますか?
人事担当者など従業員を管理する役割に就いている場合、雇用に関する法律への理解は大変重要です。
例外や特例なども含めて法律の内容を理解しておくと、従業員に何かあったときに、人事担当者として適切な対応を取ることができます。
今回は、労働基準法の改正から基本的な内容までを解説した「労働基準法総まとめBOOK」をご用意しました。
労働基準法の改正から基本的な内容まで、分かりやすく解説しています。より良い職場環境を目指すためにも、ぜひご一読ください。
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