給与計算でミスした場合の対応方法とは?謝罪文例や防止策も紹介 |HR NOTE

給与計算でミスした場合の対応方法とは?謝罪文例や防止策も紹介 |HR NOTE

給与計算でミスした場合の対応方法とは?謝罪文例や防止策も紹介

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給与計算のミスは、些細なヒューマンエラーなどで起こることも多いです。そのため、ヒューマンエラーを防ぐための対策が必要となります。給与計算のミスの原因や事例、起こってしまったときの対応や事前の対策をあわせて解説します。

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給与計算のミスは、残業の割増率などの単純な計算間違いだけでなく、そもそも労働時間の集計が誤っていた、昇給や介護保険の新規加入などを反映し忘れ社会保険料の徴収金額を間違えていたなど、様々な要因で発生します。

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1. 給与計算ミスが起こったときの対応

給与計算にミスが発生してしまった場合には、誠意が伝わるようすみやかに謝罪をし、過不足分の給与の精算をおこないましょう。具体的な対応フローについて解説します。

1-1. 発覚時点で本人に報告・謝罪する

給与計算のミスが発生したらまずおこなうべきなのが、対象者本人に通知し、謝罪することです。丁寧な通知や謝罪がなければ、信頼関係にも大きく影響を及ぼします。

通知や謝罪をおこなったら、正しい給与明細を作成します。給与明細のどの部分にミスがあったのかを詳細に本人に伝えることで、本人にも安心感が生まれます。

ミスが発生したときに最もやってはいけないのが、ミスを隠したり、ごまかすことです。ミスを素直に認め、気づいた時点で早急な対応をとることが重要となります。

1-1-1. 給与計算ミスのお詫びメール文の例

給与計算にミスが発覚した際に、まずメールなどにて事実をお伝えし、お詫びを入れることが重要です。お詫びメールの例文は、以下の通りです。

件名:【重要】給与計算の誤りについてのお詫び
〇〇さん

お疲れさまです。〇〇部の〇〇です。

先月の月分の給与支払いにつきまして、
(ミスの内容例)
・〇月〇日の休日労働手当の計算に誤りがありました。
・〇月〇日の年次有給休暇を欠勤として扱ってしまい、給与が反映されていませんでした。

(対応策例)
・謹んでお詫び申し上げますとともに、差額に関しましては〇月分の給与支給にて調整いたします。

ご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解頂きますようお願い申し上げます。

二度とこのようなことのないよう、給与計算の誤りを防止するべく体制を強化してまいりますので、何卒ご容赦のほどお願い申し上げます。

1-2. 過不足を精算する

本人への謝罪と正しい給与明細の作成が終了したら、過不足の精算をおこないます。翌月か当月に調整することになりますが、ここで注意しなければいけないのが「全額払いの原則」です。労働基準法に、所定日に給与の全額を支払わなければいけないと明記されています。

そのためできる限り翌月分の給与で調整するのではなく、当月に精算することが望ましいですが、本人から翌月分の調整の承諾を得た場合はこの限りではありません。

1-3. 給与計算ミスにより追加支給が必要な場合

支給すべき給与に対して、支払った給与が不足していた場合、追加で本来支給すべき差額を支払う必要があります。不足額の精算には2つの対応方法があります。それぞれの対応方法の手順を解説します。

①当月に現金精算する

当月中に現金で不足分を支給することは可能です。

ただし、不足額を支給することで「源泉所得税」や「雇用保険料」などの徴収額が増える可能性があるため、これらの控除額も加味したうえで、追加支給する金額を計算しましょう。

手順は、下記のとおりです。

  1. 誤って支給した月分の給与計算をやり直す
  2. 誤って支給してしまった給与支出額を、計算し直した正しい給与額から差し引き、差額(不足額)を算出する
  3. 正しい給与明細と、現金で不足額を用意し、従業員に支給する

②翌月の給与にて精算する

翌月の給与支払いの際に、不足分の清算をすることも可能です。

基本的には、支払方法としては通常通りの支給額に加えて、前月分の不足額を追加して支給すれば問題ありません。給与明細の項目には、調整金などの手当として計上するとよいでしょう。

なお、翌月の給与で精算する場合は、労使協定で定められている、本人が合意しているといった状況でなければなりません。

1-4. 給与計算ミスにより返金が必要な場合

給与の計算ミスによって過剰に給与を支給してしまい、従業員から回収が必要となる場合もあるでしょう。返金してもらうためにも、2つの対応方法があります。それぞれの手順を解説します。

①過払い分を現金で回収する

不足額を支給する場合と同様で、「源泉所得税」や「雇用保険料」に影響が出ることが考えられるため、控除額を考慮して過払い額を計算することが重要です。

手順は以下の通りです。

  1. 誤って支給した月分の給与計算をやり直す
  2. 誤って支給してしまった給与支出額から、計算し直した正しい給与額を差し引き、差額(過払い分)を算出する
  3. 正しい給与明細を用意し、過払い額を従業員に支給する

②翌月の給与から控除する

翌月の給与から、過払い分の給与を控除する対応も可能です。

翌月は通常の給与計算処理をおこない、給与明細の項目には過剰に支払っていた分の金額を調整金として、マイナス計上します。

1-5. 不足分の保険料の申請や追加納付

給与計算ミスにより、社会保険料(健康保険・厚生年金保険・介護保険)の徴収額にも誤りが生じた場合、「翌月の同項目で精算する」「当月に現金精算する」「会社が負担する」の3つの対応方法があります。

翌月の同項目で精算する場合は、徴収額が不足していた場合は翌月の控除額に上乗せし、過剰に徴収した分は翌月の控除額から差し引きます。

当月に現金精算する場合は、控除額の不足分は追加で徴収し、過剰分は現金で返金します。

ただし修正分は、忘れずに給与データに反映する必要があります。

会社が負担する場合は、個人負担が不足している分の額は代わりに会社が負担し、「現物給与」として課税対象として処理します。

2. よくある給与計算ミスの原因

ここまでは、給与計算でミスした場合の対応方法を解説しました。

ここからは、なぜ給与計算のミスが発生してしまうのか、よくある原因を3つご紹介します。

2-1. 雇用形態の多様化

近年は特に雇用形態が多様化してきているのが特徴です。正社員だけではなく、契約社員やパート、アルバイト雇用かによっても給与は変わります。

またテレワークやフレックス制度の導入など、勤務管理が複雑化しているのも給与計算のミスが起こりやすい原因の一つといえます。一つの会社で複数の働き方を導入している場合は、一人ひとりに合わせた給与計算が求められます。

2-2. 複数人での作業

給与計算ミスの原因の2つ目が、複数人で作業をしている場合です。一人で作業をしている場合は、作業を自分の思うように工夫したり、体系化したりできます。一方で複数人での作業だと自分の担当分野のみの仕事となるため、全体の流れの把握が難しくなります。

また複数人で作業する場合は、社内の給与計算ルールの共有を徹底も大切です。人数が多くなればなるほどルールの共有の徹底が難しくなるため、給与計算ミスも起こりやすくなります。

2-3. アナログでの作業

さまざまなITのサービスが普及した昨今でも、給与計算を手作業でおこなっているという会社も存在します。アナログでの作業になると、給与計算の様々な行程でミスが起こりやすくなります。

給与計算ミスの大きな原因であるヒューマンエラーをアナログ作業は起こしやすいため、注意が必要です。アナログで給与計算をおこなう場合も、できるだけミスが発生しない対策が求められます。

3. 給与計算ミスが発生しやすい事例

具体的に給与計算のミスは、どんな事例が発生しやすいのかを解説します。ミスが起こりやすいポイントを知っておくと、より対策をたてやすくなります。

3-1. 残業代の入力ミス

給与計算ミスの事例の1つ目が、残業代の入力ミスです。人や日によって変わる残業代は、計算ミスや入力ミスが発生しやすいのが特徴となっています。

会社は法定時間外や休日等に働いた場合、賃金を割増で支払わなければいけませんが、この割増賃金にも注意が必要です。割増賃金の反映漏れや割増率のミスも給与計算のミスの中では多く発生する事例となっています。

3-2. 保険料の反映ミス

給与計算のミスの事例の2つ目が、社会保険料の反映ミスです。雇用保険料や介護保険料は給与から控除されるため、社会保険料のミスも給与計算のミスに繋がります。

また年齢によっても反映すべき保険料は異なってきます。介護保険の場合は40歳から支払い義務が生じるのが特徴です。 これまで支払っていなかった介護保険を支払うタイミングでの反映ミスも起こりやすいため注意しましょう。

3-3. 中途入社と中途退社による日割り計算ミス

給与計算ミスの事例の3つ目が、中途で入社したり退社した場合の日割り計算です。多くの場合は、入社や退社は月初めまたは月末になりますが、場合によっては月の途中で入社したり退社することも考えられます。

その場合は、給与を日割りで計算する必要が出てきますが、この日割り計算もミスが発生しやすい事例です。日割り計算の場合は除外となる手当がでてくるので、計算も複雑になります。

3-4. 扶養除外の反映漏れ

例えば「子どもが社会人になり扶養から外れた」「配偶者の収入が増えて扶養から外れた」などの場合、給与から徴収される所得税が変更されます。

反映漏れが発生した場合、所得税については年末調整で差し引きが可能ですが、都度従業員データを更新し、計算に反映するようにしましょう。

3-5. 役職手当や昇給の反映漏れ

役職や職務に応じて、手当の有無や給与の変動が発生する従業員も多いでしょう。担当者への情報共有が漏れていたり、従業員データに反映されていない場合、給与計算のミスへと繋がりやすいため注意が必要です。

4. 給与計算のミスを防止するための対策

給与計算のミスが発生しうる要因をおさらいしたところで、今後事前にミスを防止するために効果的な対策を3つ紹介します。

4-1. 給与計算スケジュールの見直し

給与計算をおこなうときのスケジュールが短ければ短いほど、余裕がなくなりミスが発生しやすくなります。そのため、改めて給与計算のスケジュールを確認して、余裕を持ったスケジュールをたてるのが大切です。

給与締めの日から支給日までの日数を20日程度に設定するのが目安です。20日未満の場合には、給与締めの日を前倒しにするなどの対応を取ることで、切迫したスケジュールを見直すことができます。

4-2. 給与計算ルールの整備

給与計算をおこなう際のルールの整備も、ミスを減らすためには有効です。会社によってはさまざまな手当が存在したり、手当の基準や対象者も細かく定められている場合もあります。手当によって複雑な給与計算のルールがあると、ミスが発生しやすくなるため注意が必要です。

複雑なルールは理解しづらいですし、共有や引き継ぎをおこなうときにも時間がかかります。

できるだけシンプルにして理解しやすいルールを作成することが、ミスを減らすためには大切です。

また、ルール作りとともに給与計算ミスが発生しやすい項目についてチェックリストを作成したり、ダブルチェックの体制を設けたりしましょう。当サイトでは給与計算でミスが発生しやすい項目のチェックリストを無料配布しております。チェックリストとともによくある給与計算ミスとその対応方法、ミスを減らす方法についても解説しているため、給与計算ミスを減らしたい方はこちらから「給与計算のミス別対応BOOK」をダウンロードしてご覧ください。

4-3. 給与計算システムやアウトソーシングの導入

給与計算のミスが起こりやすい原因の一つとして、アナログでの作業があると先述しました。アナログでの作業の見直しをしたいという人におすすめなのが、給与計算システムやアウトソーシングの導入です。

給与計算システムとは、給与計算を自動でおこなうシステムのことで、アナログでの給与計算の業務の手間を減らしたいという場合におすすめです。細かな機能はシステムによって異なりますが、給与計算の他に給与や社会保険料に関する書類の管理など、給与計算に必要なシステムが揃っています。

給与計算のアウトソーシングとは、給与計算に関する業務を外部の業者に委託することです。細かな作業と専門性が必要な業務のため、専門業者に委託するのもミスを減らす方法の一つといえます。また、外部に委託した分自社の社員の業務量の削減にも繋がります。

5. 給与計算ミスに関するよくある質問

ここからは、給与計算のミスに関するよくある質問について解説します。

従業員と給与に関するトラブルへと発展しないためにも、事前にいくつかのポイントを理解しておきましょう。

5-1. 給与計算ミスの時効は?

賃金請求権の時効は、2020年4月の民法改正により2年から5年へと延長されました。(ただし経過措置により当分の間は3年)

「遅延損害金」や、裁判にて悪質と判断された際に支払いが命じられる「付加金」も同様に、5年に延長されました(ただし経過措置により当分の間は3年)。

5-2. 給与計算ミスした場合の遅延損害金とは?

「遅延損害金」とは、金銭の支払いが遅れた際に損害賠償として支払う賃金を差します。

遅延損害金は裁判所のみが強制力をもつものであり、基本的には裁判に発展する前に従業員と会社の交渉によって差額のみの支払いでおさまることが多いです。

6. 給与計算ミスの原因はさまざま!対策を考えよう

ここまで、給与計算のミスの原因や対策についてご紹介しました。複雑化する雇用形態に応じた計算が求められる一方で、アナログでの計算がおこなわれているなど、ミスが起こりやすい状況が多くの会社で起こっているのが現状です。ぜひ今回ご紹介した対策を検討し、取り入れてみてください。

【監修者】小島 章彦(社会保険労務士)

【給与計算で生じるミスを削減したい方へ】

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