給与の計算方法はさまざまあり、従業員の規模数や会社の状況によって計算方法はかわってきます。
比較的小規模の会社であれば、給与計算はエクセルで給与計算ができるかもしれません。
しかし、社員数が増えると業務量は多くなり、複雑な計算も増え、エクセルでは対応できなくなってきます。
また、計算ミスの発生、専門分野の知識が必要なこともエクセルでおこなうリスクとしてあげられます。
そこで本記事では、給与計算を効率化する代行サービス・アウトソーシングの特徴やメリット・デメリットを提示し、最後に代行サービスを対応従業員の規模別に分けてご紹介します。
関連記事:給与計算とは|概要から手取りの計算方法まで基礎知識を総まとめ
給与計算のアウトソーシングでは従業員数が増えるとその分費用も高くなるため、従業員が増えてきた企業様では「どうにか内製化して給与計算にかかるコストを削減できないか?」とお悩みになることがあるのではないでしょうか。
そのような方に向け、当サイトでは給与計算システム・Excel・アウトソーシングのメリット・デメリットや、システムで給与計算がどのように効率化できるかをまとめた資料を無料で配布しております。
給与計算システム・Excel・アウトソーシングのどれが自社に合っているかを比較検討したい方は、ぜひ資料をダウンロードしてご覧ください。
目次
1. 給与計算代行・アウトソーシングサービスとは?
給与計算を効率化する方法は大きく分けて2つあります。
①給与計算ソフト
給与計算ソフトとは、企業の情報や従業員の情報などをあらかじめ入力しておけば、自動で給与計算・給与明細書の作成・年末調整までをおこなうことができるソフトのことです
製品によっては勤怠管理システムや人事システムなどと連携することができ、残業や有休取得などの勤怠データや昇給などの情報も自動で反映し、給与計算をおこなってくれます。
また、給与計算ソフトはインストール型とクラウド型が分けらます。
クラウド型の方が、インストール型よりも更新料や再購入費なしでバージョンアップが可能など、より多くのメリットがあります。
②給与計算代行・アウトソーシングサービス
給与計算代行・アウトソーシングサービスとは、従業員の給与計算業務や年末調整などに関する作業を外部に委託できるサービスです。
給与計算代行は、専門性が高く細かい作業の多い給与計算業務をそのまま代行してもらえるため、担当者の負担や人的コストを削減でき、大幅な業務効率化を図ることができます。
2. 給与計算代行会社ができること
給料計算代行会社に頼めることは主に3つです。
①給与計算代行
給与計算代行は、給与の計算を代行会社に委託することです。毎月の給与計算に必要なタイムカードの集計などの勤怠データから、給与計算を代行するものです。
残業代や社会保険料、雇用保険料、所得税、住民税の計算も代行することが可能です。
また、明細の作成や印刷、封入、郵送など、明細発行関連業務、振込・納税代行を含む依頼をすることもできます。
②年末調整代行
給与計算の中でも、特に業務に手間がかかり、業務の時期が毎年の年末から年初に限られる年末調整を外部に委託するサービスです。
通常期に給与計算業務を依頼していない場合でも、期間限定で年末調整のみ依頼するケースもあります。
控除申告書類の封入・送付や申告書の内容チェック、従業員からの問い合わせの対応、源泉徴収票や支払報告書、法定調書合計表などの各種必要書類の作成と提出代行などが年末調整とともに依頼されることが多いようです。
③住民税更新代行
住民税の更新は毎月5月~6月に発生するため、年末調整と同様に繁忙期が限られています。
さらに地方税である住民税は、市区町村とのやり取りのなかで特別徴収額通知書などの紙媒体を大量に扱う必要があります。インターネットの対応が遅れている市区町村も多く、さらに時間的なコストが掛かってしまうのです。
上記のように、給与計算代行会社に依頼できる内容は3つに大別できます。
給与計算代行・アウトソーシングで、どのレベルまで外部に委託するかは企業の考え方や、費用によってさまざまです。
また、給与計算代行会社は給与計算だけでなく、人事業務全てを代行することが可能な代行会社もあります。
ですので、給与計算代行だけでなく、タイムカードのデータ化や残業時間・有給休暇の計算などの勤怠管理、社会保険・労働保険の加入・脱退の手続きまでトータルで外注するケースもあります。
3. 給与計算代行サービスのメリット・デメリット
給与計算代行サービスには、メリットとデメリットが存在します。
ここでは、メリットとデメリットをあげるだけではなく、給与計算ソフトを導入した際と比較しながら、給与計算代行サービスのメリットとデメリットをご紹介します。
3-1. 給与計算ソフトのメリット
①給与計算の自動化
エクセルの給与計算で手入力を求められていた部分の多くを給与計算ソフトで自動化できるのが、給与計算ソフトを利用するメリットです。
手入力が減ることにより、業務を効率化、計算の正確性を向上することができます。
業務効率化の結果、人件費の削減や人員配置を工夫するなどの効果も期待できます。
②法改正対応の自動化
税率や法制改正などに対し、ソフトを販売する企業がバージョンアップなどの対応をおこなう点も、給与計算ソフトを利用するメリットの一つです。
給与計算担当者が情報収集をおこない、計算式を変更するといった手間は必要なく、いつでも正確に給与計算をおこなうことができます。
給与計算ソフトでも、インストール型では1年に1回や数ヶ月に1回のバージョンアップが提供されユーザーの手でアップデートする必要がある一方、クラウド型の法改正対応はシステムが開発され次第サービスに自動的に反映・提供されます。
最新バージョンの利用に対して特別な動作は必要ないため、インストールの手間も発生しません。
③データのバックアップが可能
クラウド型の給与計算ソフトの場合、データ自体がクラウドにあるため、バックアップはすべて自動でクラウドに保存され、個別にバックアップをする手間が省くことができます。
また、別のPCで利用するのにも、同一アカウントであれば再購入費や追加の利用料を必要としません。
3-2. 給与計算ソフトのデメリット
①操作スピードが落ちるときがある
大きなデータを処理する際に操作が遅くなるときがある点は、クラウド型給与計算ソフトのデメリットとなります。
従業員規模の大きい企業がクラウド型の給与計算ソフトを検討する場合には、事前にソフトを販売している企業に対応人数は何人を想定しているか、操作感はどのようになるかを共有するのが重要になります。
②管理・運用の人員が必要
給与計算ソフトを導入することで、業務を大幅に効率化することはできますが、ソフトを管理・運用する人員が必要になります。
担当者が変わる場合は、新たな人員を教育する時間や工数も必要です。
3-3. 給与計算代行サービスのメリット
①人・時間にかかるコストを削減
給与計算ソフトを導入した場合、ソフトを管理・運用する人員が必要です。
また、インストール型のソフトウエアの場合は、法改正のたびにアップデートが必要で、更新料や追加費用がかかる可能性があります。
一方でアウトソーシングサービスでは、勤怠集計を委託先に送るだけで、自動で計算されるため、人材やコストが給与計算ソフトよりもかかりません。
②年末調整等の忙しい時期のみの対応も可能
年末調整の時期や賞与を出す時期は、業務をスムーズに行なうために通常期よりも人員が必要となります。この時期のために通常期も人員を確保するようになると、人件費がかさんでしまいます。
そこで年末調整等の忙しい時期のみアウトソーシングすることによって、通常期もコストをかけずに、給与計算をすることが可能です。
③給与計算業務の属人化を防ぐ
企業でおこなう給与計算業務には、多くの人員を割くことは難しく、給与計算業務担当が業務に専念するようになり、業務量や業務に関する知識が属人化しやすいでしょう。
給与計算業務をアウトソーシングすることで、業務の属人化を解消し、給与計算業務担当者への負担を軽減させることができます。
3-4. 給与計算代行サービスのデメリット
①社内に残る業務も一部ある
勤怠管理や従業員情報の更新などは、アウトソーシングにくく、社内対応が多い業務です。
ですが、給与計算代行会社によっては勤怠管理や従業員情報の更新も委託可能な会社もあります。
②自社にノウハウが蓄積されない
給与計算業務をアウトソーシングすることは、その業務に関わる機会が当然少なくなり、ノウハウがたまりにくい状況になります。
もし、給与計算代行会社に何かあったような場合でも社内では対応が不可能になり、他会社を探す必要があります。
③社内データの漏洩
勤怠集計などの社内データをアウトソーシングするため、委託先の機密情報の管理は徹底されてなければなりません。
アウトソーシングする企業が社内データを渡すのに信頼に足る企業かどうかを取得資格や認定マーク等から見極めることが可能です。
給与計算ソフト | 給与計算代行 | |
メリット | ・給与計算の自動化 ・法改正対応の自動化 ・データのバックアップが可能 | ・人や時間にかかるコストを削減 ・一定期間のみの対応が可能 ・給与業務の属人化を防ぐ |
デメリット | ・操作スピードが遅延化 する可能性 ・社内のリソースを利用 することになる | ・社内にノウハウが蓄積できない ・社内のデータ漏洩の危険性 |
4. 給与計算ソフトか代行サービスか、導入の際に判断するポイント
ここまで、給与計算業務を効率化させる方法として、給与計算ソフトの導入と給与計算代行会社への外部委託についてのメリット・デメリットをご紹介してきました。
本章では、給与計算を効率化する際に、給与計算ソフトを導入するべきか外部委託するべきかを判断するポイントについてご紹介します。
①社内の人材と費用
人員が豊富な企業でない限り、給与計算業務だけをおこなう専任担当者がいることはまずないでしょう。
多くの企業では1人の社員が複数業務を掛け持ちしており、月末・年末など業務が集中する時期には残業が常態化しているのではないかと考えられます。
人材確保が難しい場合や、残業代などの費用に課題を抱えている企業は外部委託を検討してみるとよいかもしれません。
②業務を棚卸しする
給与計算に関わる業務は、多岐に渡ります。外部委託すべきか迷っている場合は、まず自社で対応できる範囲と給与計算代行会社で委託したい業務を整理してみましょう。
給与計算代行会社へ委託する場合は、年末調整や住民税の代行だけ依頼することも可能です。
給与計算の業務の中で、社内で対応できる範囲と外部委託する範囲を整理してから、ソフトを導入する費用と外部委託でかかる費用を比較した方が良いかもしれません。
③体験版を試してみる
給与計算ソフトをする場合、製品によっては無料のトライアルを実施しているものもあります。
実際にどれくらいの業務が効率化されるかなど、体験版を試してみることで、導入効果を実感できるかもしれません。
また当サイトでは、Excelと代行(アウトソース)、システムの3種類を比較し解説した資料を無料で配布しております。
まずは手軽に3種類の違いを知りたいというご担当者様は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
5. 対応従業員規模別の給与計算代行サービス一覧
ここまで、給与計算代行サービスメリット・デメリットや代行を判断するポイントなどを紹介しました。
本章では、給与計算代行サービスを対応従業員規模別にご紹介します。(HR NOTE編集部による独自調査になります。)
また、給与計算ソフトの比較については下記リンクの記事を参照下さい。
5-1. |1~100人規模対応の給与計算代行サービス【全7サービス】
01 東京中央給与計算センター
- 従業員数50名以下に特化した給与代行サービス
- 給与計算は社労士顧問とセットで500円/1人~
- 給与計算の豊富なノウハウ15年の実績
02 給与PRO
- 給与計算は自作業よりも低コストの月/380円~
- 導入5年目で顧客の事務コストが約45%コストカット
- プライバシーマーク取得により個人情報保護強化
03 ハイフィールド社会保険労務士法人
- 給与計算は月/10,000円
- 資料作成等の手間がかかる雇用助成金の申請代行が可能
- 従業員数の募集、面接、採用、定着化まで徹底サポート
04 社会保険労務士法人トラストブレイン
- 1~80名の給与計算は人/約1200円、81~200名の給与計算は人/1000円
- 就業規則・賃金規定等の企画、作成も可能
- 厚生労働省の助成金を無料診断、受給サポートが可能
05 税理士法人YFPクレア
- 給与計算は月/900円~、年末調整は人/1000円~
- 社内に社会保険労務士が在籍、ワンストップサービスが可能
- タイムカード集計等のオプションを付随可能
06 社労士法人エスネットワークス
- 顧客にもっとも有利な手法を提案する「提案型サービス」
- 1社1社に適したフォーマットにカスタマイズ
- 年末調整の事務作業を全て請け負うサービスも存在
07 日本アウトソーシングセンター
- 給与アウトソーシングサービスと人事コンサルティングの平行が可能
- 顧客の要望によってサービスの組み合わせが自由
- 煩雑な業務の平準化及び最適化
5-2. |1~500人規模対応の給与計算代行サービス【全3サービス】
08 株式会社BOD
- 顧客の要望に応じてオーダーメイドに近い形で実務運営の提案が可能
- 勤怠管理から退職金まで幅広く対応可能
- 賃金台帳の作成など社会保険関連サービスも代行可能
09 メイソンコンサルタントグループ
- 女性の専門家のみでアウトソーシングサービスを提供
- 給与計算全般に関わる業務(従業員情報の登録・修正、給与計算、賞与計算、年末調整など)を委託可能
- 顧客に応じてWeb勤怠、明細のサービス、社会保険労務士による労務相談サービスも提供
10 NOC給与計算アウトソーシング
- サービス提供10年以上、300社/25万社の処理実績
- 導入企業・5年連続満足度95%の運用力
- 業務の可視化、定性化を行うことで、業務フローとシステム化のバランスを最適化
5-3. |従業員規模1~1000人対応の給与計算代行サービス【全8サービス】
11 ピタット給与
- 現在使用している給与奉行ソフトをそのまま使うことが可能
- システム設定が最短2ヶ月で本稼働が可能
- クラウド型勤怠管理・Web明細などオプションも豊富
12 ミナジン
- 人事データ入力変更から給与明細の配布までのプロセスを一部または全て委託が可能
- 提携社労士事務所と業務連携をとり、給与計算連携と保険手続業務を一貫して委託可能
- 就業規則の作成や人事制度の構築など業務の適正化のコンサルティングが可能
13 エムザス
- ミスが起こらないシステムづくりをデザイン
- 入社手続き進捗管理システムなどのシステムデザインが可能
- 人事情報管理ツールにより、社員情報登録から、社会保健手続き管理も可能
14 Bulas Agent
- 月次・賞与・年末調整業務全般、福利厚生窓口業務等を代行可能
- 給与計算システム、勤怠管理システム、人事申請システムも完備
- 会計仕訳等の柔軟なシステムと人事情報管理オプションも完備
15 フルキャストホールディングス
- 顧客のご要望に合わせたフルオーダーメイドサービス
- 勤怠計算、即給サービス、年末調整まで代行可能
- プライバシーマークを取得、業界トップレベルの安全性
16 エコミック
- 給与計算の前後過程まで網羅的に受託する「フルスコープサービス」
- 固有ニーズに合わせたオーダーメイドサービス
- 全国550社以上の実績
17 PAYPOLL
- 給与管理部門アウトソーシング企業としてNo.1の処理実績
- 豊富な実績をもとに効率的な運用モデルと比較、業務フロー精査可能
- 各種認証の取得など、徹底された安全対策
18 S-PAYCIAL
- 2400社を超える導入実績
- 給与計算だけでなく、人事給与の見直し、業務の再構築まで代行可能
- 「S-PAYCAIL with 電子給与明細」はITトレンドランキング4年連続1位
5-4. |1人~上限なし対応の給与計算代行サービス【全6サービス】
19 エイチアールワン株式会社
- 基本人事サービスだけでなく、13個以上のオプションが提供可能
- 従業員数が中・小規模の企業に特化した人事・給与フルアウトソーシングも完備
- 顧客の43%は従業員規模301名~1000名
20 JOE
- 40年の給与計算業務の豊富なノウハウのクラウドシステムを提供
- システム化できないオペレーション業務もアウトソーシング可能
- 従業員のコンタクト業務等アウトソーシング範囲を拡大可能
21 レジェンダ・コーポレーション
- 法改正の給与計算は経験豊富なスタッフと提携の社会保険労務士が対応
- 社員の方からのお問い合わせにはヘルプデスクが対応
- 勤怠管理はクラウド型人事システムが運用サポート
22 三菱総研DCS
- 1970年DCS設立以来のキャリア、2000社の導入実績
- 人事情報システム、Webワークフローシステム、勤怠管理システムを組み合わせて運営
- プライバシーマーク認定、ISO/IEC27001認証基準の取得で、機密情報の管理を徹底
23 大塚経営労務管理事務所
- 給与計算と年末調整の目安の委託料金はそれぞれ10人まで21,600円、11人以上21,600円+10人を超える人数×540円
- 給与計算を代行していれば、賞与給字も追加料金は不要
24 トライアンフ
- 給与計算業務の運用プロセスは1社1社カスタマイズして設計・運用
- 顧客の従業員規模は100人以上が68%
- 給与計算業務だけでなく、組織診断や人事制度設計、社員研修、採用コンサルティングなどのサービスをワンストップで提供
25 日立トリプルウィン
- 継続率97%の実績の確かな品質と専門性
- 契約から最短4ヶ月で環境設計が可能
- 日立グループの信頼性の高いデータセンターにて、24時間365日、サーバーを監視
6. まとめ
いかがでしたでしょうか。
給与計算代行会社に委託することで、給与計算を効率化するだけではなく、人事のさまざまな課題を解決できるかもしれません。
社内の給与計算をどう効率化するか、どの会社に委託すべきかを検討する際に本記事を活用していただければ幸いです。