給与明細とは?必須項目と注意点、給与計算の流れを詳しく解説 |HR NOTE

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給与明細とは?必須項目と注意点、給与計算の流れを詳しく解説

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給与明細
給与明細の発行は、法令上の企業の義務として定められたものであり、すべての雇用者に対して必ず発行しなければなりません。
今回は、給与明細の概要や記載内容について項目ごとに詳しく解説します。また、従業員に給与明細を発行する際の注意点についてもあわせて紹介します。

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毎月給料日近くになるとやってくる給与計算業務。
その中でも給与明細の発行と封入作業は、従業員の数が増えれば増えるだけ工数がかかり、根気が必要な業務になります。

また、給与明細の発行・交付が法律で決まっているにもかかわらず、従業員が持ち帰り忘れたり、出社しないため会社に残ったまま、というようなこともあるでしょう。

そこで本資料では、給与明細の複雑な作成ステップやその一連のフローをシステムの導入により、どのように効率化できるかなどを、実際の管理画面をお見せしながら解説しております。

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1. 給与明細とは?

給与明細 悩む男性

給与明細とは、給与の支払額や控除額が記載された通知書を指します。
給与明細の発行は法令上の義務(所得税法)とされており、給与の計算根拠を示す書類でもあります。また、給与明細には、支払われる給与支払額の他、控除額や差引支給額、勤怠情報も記されています。
給与支払額以外の情報もあわせて記載することで、従業員と企業側との認識違いを防ぐという意味合いを持つのも、給与明細の役割です。

1-1. 雇用形態にかかわらず発行の必要がある

給与明細は、雇用形態にかかわらず発行しなければなりません。
正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員に対しても給与明細の発行が必要となります。

1-2. 給与明細は保管義務がある?

賃金請求権は5年(当面の間は3年)あることや、賃金台帳などの帳簿類は保管義務があることから、『給与明細も長期間保存しなければならないのでは』と考える方もいるでしょう。しかし、法律上では給与明細の保管義務は定められていません。そのため、従業員に私さえすれば、企業で控えの保管などは不要です。

2. 給与明細に記載すべき内容

4つのチェックボックス

給与明細に記載すべき内容には、大きく次の4つの項目が挙げられます。ここでは、それぞれの項目について解説します。

関連記事:給与明細の作成方法は?必要書類・効率化ツールもあわせて徹底解説!

2-1. 支給

支給の項目には、額面の金額が記載されています。
基本給と割増賃金・手当などが、記されているのが一般的です。
具体的には、以下の情報が記載されています。

記載項目 内容
基本給 職種や学歴、年齢や勤続年数に応じた給与の基本となる賃金
残業代 時間外労働や休日出勤などで支給される賃金
手当 おのおのの会社によって定められた手当
(使用者が労働者に対して必ず支給しなければならないものではない)
家族手当:従業員の生活を支援する目的で扶養する家族に支給する手当
通勤手当:従業員が会社への通勤にかかる費用を支給する手当
役職手当:従業員の役職によって支給する手当
資格手当:従業員が業務に活かせる資格を取得した際に支給する手当

2-2. 控除

  • 控除とは、給与から控除する税金や保険料を指します。
    具体的には以下のものが控除の対象となります。
    社会保険料(健康保険料・介護保険料(40歳以上)・厚生年金保険料)
  • 雇用保険料
  • 所得税
  • 住民税
  • 会社ごとの控除(積立金・財形貯蓄・労働組合費など)
    なお、控除に記載する項目については、以下の「給与明細で天引きされる項目」で詳しく説明します。

2-3. 差引支給額

差引支給額とは、手取り金額のことを指すものです。
実際に従業員に振り込まれる給与で、支給額から控除額を差し引いた金額が記載されます。

2-4. 勤怠

勤怠の項目には、次の7つが記載されます。

勤怠項目 内容
勤務日数 給与を集計する期間内の所定労働日数
出勤日数 給与を集計する期間内の出勤日数
欠勤日数 給与を集計する期間内の欠勤日数
有給休暇日数 給与を集計する期間内の有給休暇取得日数
遅刻回数 給与を集計する期間内の遅刻回数
早退回数 給与を集計する期間内の早退回数
時間外労働 給与を集計する期間内の残業時間

時間外手当を確認する際には、時間外労働についても正しく記載されているか確認をしておきましょう。

3. 給与明細で天引きされる項目

計算する男性

ここでは、給与から天引きされ、給与明細に記載される主な項目について取り上げ、紹介します。

3-1. 健康保険料

健康保険料は、年齢ごとに負担割合が異なります。
6歳までは医療費は2割負担、6歳から69歳までは3割負担、70歳から74歳まで2割負担、75歳以上は1割負担となります。
健康保険料は、会社と従業員とで折半して負担することとなっています。
なお、会社負担分の健康保険料は以下の計算式で算出します。
健康保険料=標準報酬月額×保険料率÷2

3-2. 厚生年金保険料

厚生年金保険料には、国民年金と厚生年金があり、会社に勤務している人は両者をどちらも支払うことになります。
ただし、国民年金と厚生年金のどちらも支払っている場合には、老後の支給額も増加することになります。
厚生年金保険料についても、健康保険料と同様に、会社と従業員とで半分ずつ負担します。

3-3. 介護保険料

介護保険は、40歳以上で保険料の徴収が開始となります。加入していることで、介護が必要になった際、介護サービスを受けることができます。
介護保険料も健康保険料や厚生年金保険料と同じく、会社と従業員とで半分ずつ折半します。

3-4. 雇用保険料

雇用保険は、基本的に会社側の負担割合が多くなります。
具体的な料率については、事業の種類ごとに定められており、令和5年度(2023年度)の雇用保険料率については、以下のページに記載されています。
参照:令和4年度雇用保険料率のご案内|厚生労働省

3-5. 所得税

従業員が国に納める税金を所得税といいます。
会社は月々の従業員の給料から所得税を差引、徴収を行います(=源泉徴収)。
また、源泉徴収の際には、本来徴収すべき金額より多めに徴収を行っているため、正しい徴収額とするため、12月に年末調整を実施します。

関連記事:給与明細における所得税の計算方法・手順や注意点を一から解説!

3-6. 住民税

従業員の住民票がある市町村や都道府県に納める税金を住民税といいます。
住民税は、前年の1月から12月の給与に対する課税となり、6月から翌年の5月まで12回に分割し徴収されます。
会社では、給与から従業員の住民税を天引きして、代わりに支払いを行う「住民税の特別徴収」が行われるのが一般的です。

4. 給与明細を発行するときの注意点

注意マークが現れている

従業員に給与明細を発行する際には、次の2点に注意する必要があります。

4-1. 給与計算をルール化する

給与計算をする際には、計算そのものをルール化しておく必要があります。
日割り計算の方法や休暇時の計算方法などを規定しておかないと、給与計算をする際に間違いが発生する場合がありますので注意しましょう。
そのためには、就業規則での規定を行い、あらかじめ規定された内容を確認してから計算を行う必要があります。
ルール化しておくことで、スムーズな給与明細作成にもつなげることもできるのではないでしょうか。

4-2. ダブルチェックを実施する

従業員が少ない企業にありがちなのが、一人の担当者のみで給与明細を作成することによる計算ミスです。しかし、従業員に支払う給与にミスがあっては、のちのちトラブルにもつながりかねません。できれば避けたいところなのではないでしょうか。
トラブルを避けるためにも、可能な範囲で2人以上のダブルチェックを実施するのがおすすめです。
ダブルチェックの方法には、2人で同時のチェックを行う『同時チェック』のほか、時間をあけてチェックを行う『時間差チェック』があります。
いずれかの方法でチェックを行い、給与明細を発行する際のミスを防ぎましょう。
ミスのような不手際によって給与明細を渡せないといった事態は避けたいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのようなミスを防ぐために、あらかじめ給与明細の作成手順やスムーズに給与明細を渡す方法を確認しておきましょう。
当サイトでは、給与明細の作成方法が基礎からわかりやすく解説された資料を無料でお配りしています。給与計算を完了すると同時に、WEB上でいつでもどこでも給与明細を従業員が確認できる給与計算システムの活用方法についても解説しているので、給与明細に関してもう少しスムーズにやり取りしたいとお考えの方はこちらから「給与明細作成まるわかりBOOK」をダウンロードしてご活用ください。

4-3. もし給与計算や明細の内容に間違いがあったら

どれだけ注意していても、ミスは起こり得ます。しかし、給与は従業員の生活に直結するものであり、お金に関わる問題は従業員からの信頼を失うことにつながりかねません。

万が一、給与計算や給与明細のないように誤りがあった場合は、速やかに謝罪と再計算、精算をおこないましょう。

下記の記事で詳しく解説しているので、合わせてご確認ください。

関連記事:給与計算でミスした場合の対応方法とは?謝罪文例や防止策も紹介

5. 給与明細のスムーズな発行のために記載内容項目を正しく理解しよう

ポイントを指示している

給与明細は、すべての雇用者に対し企業側から必ず発行する義務のある書類です。給与の計算根拠を示すものでもありますので、あらかじめ記載内容項目を正しく理解し、間違いのないスムーズな発行につとめましょう。
また、給与明細を発行する際には、給与計算の内容をルール化し、2人以上のダブルチェック体制をとると、ミスを防止することも可能となります。

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