雇用契約書の書き方とは?記載すべき事項やパート・アルバイトのケースも紹介 |HR NOTE

雇用契約書の書き方とは?記載すべき事項やパート・アルバイトのケースも紹介 |HR NOTE

雇用契約書の書き方とは?記載すべき事項やパート・アルバイトのケースも紹介

  • 労務
  • 労務・その他

ペンで契約書を書いている

企業が労働者と雇用契約を結ぶ場合、雇用契約書を書面で発行するケースがほとんどです。雇用契約書があれば労働者とのトラブルを防ぎやすくなります。

起業したばかりしたばかりで一から雇用契約書を作成しなければならない場合、必須事項などを確認して、漏れのないように作成しましょう。

本記事では、雇用契約書に何を記載する義務があるのか、作成の際にどんな点に注意しなければならないのかなどを紹介します。

雇用契約の基本と対応方法を徹底解説!
「雇用契約手続きマニュアル」無料配布中!

従業員を雇い入れる際は、雇用(労働)契約を締結し、労働条件通知書を交付する必要がありますが、法規定に沿って正しく進めなくてはなりません。

当サイトでは、雇用契約の手順や労働条件通知書に必要な項目などをまとめた資料「雇用契約手続きマニュアル」を無料で配布しておりますので、「雇用契約のルールをいつでも確認できるようにしたい」「適切に雇用契約の対応を進めたい」という方は、是非こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

雇用契約のebookダウンロード

【社労士監修】HR関連法改正トレンドBOOK 2024年版

2023年は一部企業を対象に人的資本開示が義務化されたほか、HR関連での法改正に動きが見られました。
2024年では新たな制度の適用や既存のルールの変更・拡大がおこなわれます。
人事担当者として知っておきたいHR関連の法改正に関する情報ですが、その範囲は幅広く、忙しい業務の中でなかなか網羅的に把握することは難しいのではないでしょうか。

  • 忙しい中でも要点をまとめて情報収集をしたい
  • 社労士が監修した正確な情報を知りたい
  • HR関連の法改正を把握しておきたい

という方はぜひご確認ください!

1. 雇用契約書とは

雇用契約書の正しい書き方を知るためには、まず雇用契約書がどのようなものなのかを知っておくことが大切です。

1-1. 雇用契約書とは雇用条件を明示した書類

雇用契約書とは、使用者が労働者を採用する際に雇用条件を明示した書類のことです。「契約書」の名の通り、使用者と労働者の双方が雇用条件に同意した上で作成することが前提のため、使用者・労働者双方の署名・押印が必要となります。

なお、雇用契約書と似た書類に「労働条件通知書」がありますが、こちらはあくまでも「通知書」であるため、使用者が労働者に一方的に通知する書類です。労働条件通知書の内容は、雇用契約を締結するにあたって使用者から労働者へ明示した労働条件について記載されています。

1-2. 雇用契約書の法的効力

雇用契約書を作成した場合、使用者・労働者ともにその内容に拘束されることになります。ただし、以下の3つに該当する場合は、例外的に雇用契約書の内容が変更されます。

  • 労働基準法に違反している場合
  • 労働協約に違反している場合
  • 就業規則に違反している場合

後ほど詳しく解説しますが、作成した雇用契約書が上記のいずれかに該当する場合は、契約書の内容は無効となるので注意が必要です。

雇用契約書を作成する際は、労働基準法などに違反していないことを確認の上、労働者には法令を遵守した労働をさせるようにしましょう。

1-3. 「雇用契約書がない」は違法?

雇用契約書は必ずしも作成・交付しなくてはならない書類ではなく、作成しなくても違法性はありません。

しかし、労働者が安心して働ける環境を作ることや労使トラブルを防止することを目的として、多くの企業が雇用契約書を作成してしています。作成・交付などの手間はかかりますが、雇用契約書を取り交わすことで労使双方にとってメリットがあるので作成するほうが望ましいでしょう。

なお、労働条件通知書は作成しないと違法となるため混同しないように注意してください。

2. 雇用契約書に記載すべき事項

雇用契約書を書いている

雇用契約書は交付が義務付けられた書類ではないため、記載すべき事項に決まりはありませんが、労働契約の成立を示すものであるため、労働条件と署名欄を設けているケースがほとんどです。

ここでは、雇用契約書に記載すべき内容を解説します。

2-1. 契約期間

正社員、契約社員、派遣社員、アルバイト、パートタイムなどすべての雇用形態において、雇用契約書には契約期間を記載しましょう。

試用期間がある場合はその旨と、いつから正式採用となるのかを明記します。

契約社員、派遣社員、期間限定のパートタイムなどは契約を更新する可能性もあります。更新の条件もきちんと記載しましょう。

2-2. 就業場所

就業場所の記載も必要です。店舗や事務所などがひとつしかない場合でもきちんと記載しなければなりませんが、支社、支店、本部、支部などがあり、転勤の可能性がある場合は転勤についての記載もしておきましょう。

業務によって違う場所に出勤しなければならないケースもあります。その場合も、どの条件でどの場所で働くことになるのかを記載しておきましょう。

2-3. 業務内容

業務内容について明記します。就業規則や労働条件通知書に記載した以外の業務を労働者にさせることは契約違反になるため、注意が必要です。

業務内容が変動する可能性がある、業務内容に幅がある場合は、あいまいな表現をするのではなく、誰が見てもきちんと判断できるような表現を心がけましょう。

2-4. 就業時間

始業時間、終業時間が決まっている場合はその時間を記載し、シフト制などで変動する場合はシフトのパターンについて記載しましょう。また、一日にどれくらいの時間労働が発生するかも記載しておきます。フレックスタイム制や変形労働時間性など、シフト上のルールがある場合も明記しておきましょう。

2-5. 交代制の有無

交代制の勤務があるかないかを明確にしておきましょう。業務形態に交代制を導入している場合は交代制についても記載します。

どの条件で交代制とするのか、交代の規則などについても記載しておくとよいでしょう。

2-6. 休憩時間

何時間以上の勤務で何分間の休憩が発生するかを記載します。

労働基準法で休憩の下限は設定されていますが、法律に反していなければ休憩時間やルールは企業が独自で設定しても問題ありません。

休憩時間を記載していないと、後々労働者との間でトラブルになる可能性があります。

2-7. 時間外労働の有無

時間外労働があるかないかを記載します。時間外労働がある場合は何時間までが上限なのか、時間外労働に対する割増賃金の計算方法も確認できるようにしましょう。

なお、時間外労働は労働基準法で上限が定められているため、上限を超えた時間外労働を設定していないか確認が必要です。

2-8. 休日

労働基準法が定めた法定休日はいつなのか、企業が定めた所定休日はいつなのかを記載します。シフト制などで休日が固定されない場合は週に何日休日があるのか、週のいつを法定休日、いつを所定休日にするのかを明確にしておきましょう。

2-9. 休暇

労働基準法が設定する法定休暇や有給休暇、企業が設定する特別休暇などを記載します。正社員だけでなく、アルバイトやパートタイムなどの契約であっても、一定の条件を満たせば年次有給休暇は発生するため、法律に反した記載がないか確認しておきましょう。

2-10. 賃金や手当

月給、週給、日給、時給などの賃金の定義について、交通費などの手当についても記載します。締め日や支払日、支払い方法などについても記載し、労働者がいつでも賃金について確認できるようにしましょう。

2-11. 退職について

定年の年齢や定年後の再雇用制度について明記しておきましょう。さらに労働者の都合で退職する場合は申告する期限、必要な手続きなどを記載します。

2-12. その他の記載事項

その他にも、以下のような項目について記載するケースがあります。雇用契約書には決まったテンプレートがないため、就業状況などによって必要な項目を追加しましょう。

  • 試用期間についての詳細(試用期間延長の有無、試用期間中の賃金など)
  • 社会保険の加入状況や雇用保険適用の有無
  • 会社が補助する食事代、作業用品や備品の購入に関する取り決め事項
  • 安全・衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償や業務外の傷病扶助に関する事項
  • 表彰に関する事項
  • 休職制度など

雇用契約書を作成する目的の1つは、労働者とのトラブルを回避することです。そのため、あらゆる事項についてできるだけ詳細に記載するようにしましょう。

3. 雇用契約書が法令に違反している場合は労働基準法が適用される

正義の女神のオブジェが置かれている

労働者の権利を守るため、労働基準法では労働時間や休日についてさまざまなルールが設けられています。雇用契約書や労働条件通知書に記載している条件であっても労働基準法に反する内容であれば、違反している部分については労働基準法の規定が適用されます。

また、就業規則で定めた労働日数や労働時間、賃金を下回る条件を雇用契約書に記載しても無効扱いになります。

雇用契約書は上記で紹介した事項を記載するだけでなく、労働基準法に則り、就業規則の内容に反しないよう注意しながら作成しなければなりません。

このように、雇用契約を締結する際には守るべきルールに則って雇用契約書を作成しなければなりません。

また、雇用契約に関する法律の改正などもあるため、自社の雇用契約が適切な内容か確認しておくことも重要です。

当サイトでは、現行法に則った雇用契約の締結方法をわかりやすく解説した資料を無料でお配りしています。雇用契約を法律に則って進めたい方は、こちらからダウンロードしてご活用ください。

関連記事:雇用契約書が持つ法的効力とは?労働条件通知書との違いを詳しく紹介

4. 雇用契約書の書き方で注意するべきポイント

指をさしてポイントをあらわしている雇用契約書を作成する前に確認しておきたいポイントを紹介します。

4-1. 労働条件通知書と兼用できる

先ほどの解説しましたが、雇用契約書の発行は必須ではありません。

しかし、労働者と契約する際に労働条件通知書を発行することは法律で義務付けられています。

2つを作成・保管する手間が煩わしい場合は、雇用契約書と労働条件通知書を兼用した「雇用契約書兼労働条件通知書」とすることも可能です。

関連記事:労働条件通知書とは?雇用契約書との違いやそれぞれの役目と必要な理由を解説
関連記事:雇用契約書と労働条件通知書の違いについて電子化の可否もあわせて徹底解説

4-2. パート・アルバイトでも雇用契約書の書き方は変わらない

雇用契約書は正社員だけでなく、パート・アルバイト、派遣社員、契約社員であっても作成するのが望ましいです。

正社員よりも週所定労働日数が少ないパート・アルバイトや有期雇用の従業員の雇用契約書には、勤務日数に関して、1週間に働く日数や時間の合計シフトの時間帯などを記載しておきましょう。

パート・アルバイト従業員も雇用契約書の書き方はほぼ変わりません。しかし、相違点もあるので注意が必要です。

パートタイム有期雇用労働法によって、パート・アルバイト従業員の労働条件通知書には以下の4点を記載し、書面で通知することが義務付けられています。同時に、雇用契約書にも記載しておくと良いでしょう。

  • 退職金の有無
  • 昇給の有無
  • 賞与の有無
  • 期限付きの雇用の労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口

また、有期雇用の従業員の労働条件通知書には以下の2点を書面で明示することが労働基準法で義務付けられています。雇用契約書にもあわせて記載しておきましょう。

  • 雇用契約期間満了後の「契約更新の有無」
  • 契約を更新する場合又は更新しない場合の「判断基準」

加えて、同一労働同一賃金ルールや最低賃金についても違法行為にあたらないような決まりを作り、矛盾がないように雇用契約書に記載しましょう。

関連記事:パートタイム労働者の雇用契約書を作成する際に押さえておきたいポイント

4-3. 雇用契約書の内容を途中で変更する場合は慎重に対応する

労働時間の変更や賃金など、雇用契約書の内容を途中で変更したいケースも出てくるでしょう。そのような場合は、以下のいずれかの方法で対応します。

  • 新たに雇用契約書を作成する
  • 変更になった箇所を抽出して「覚書」などを作成する

    ただし、使用者の都合で勝手に雇用契約書の内容を変更することはできません。契約内容を変更する場合は、原則として使用者・労働者双方の合意が必要です。

    賃金の引き下げなど、労働者にとって不利益となる変更の場合は、なぜ変更の目的や理由などを丁寧に説明し、形式的な合意を得る必要があります。なお、双方が同意した場合でも、労働基準法に反する変更であった場合は変更事項が適用されることはないので注意しましょう。

    4-4. 雇用契約書に違反した場合のペナルティについて

    使用者が雇用契約書に違反した場合、以下のようなペナルティを課される可能性があります。

    • 労働者から損害賠償金の請求を受ける
    • 罰金や懲役等の罰則が課せられる
    • 労働基準法15条2項に従い、労働者は即時に雇用契約を解除することができる

    ペナルティの有無に関わらず、企業は法令を遵守した雇用契約書の作成を心がけましょう。

    5. 雇用契約書の書き方を確認して正しく作成・交付しよう

    グッドサインをしている

    雇用契約書の書き方や記載事項について紹介しました。労働者とのトラブルを防ぐために雇用契約書は大切です。

    記載事項に決まりはありませんが、労働条件通知書と兼用する場合は、法律で定められた項目をすべて記載しておく必要があるため注意しましょう。

    一から雇用契約書を作成する時間や知識がない場合は公開されているテンプレートを利用するのもおすすめです。また、現行の雇用契約書が法令に違反していないかを見直し、法的効力のあるものを作成しましょう。

    雇用契約の基本と対応方法を徹底解説!
    「雇用契約手続きマニュアル」無料配布中!

    従業員を雇い入れる際は、雇用(労働)契約を締結し、労働条件通知書を交付する必要がありますが、法規定に沿って正しく進めなくてはなりません。

    当サイトでは、雇用契約の手順や労働条件通知書に必要な項目などをまとめた資料「雇用契約手続きマニュアル」を無料で配布しておりますので、「雇用契約のルールをいつでも確認できるようにしたい」「適切に雇用契約の対応を進めたい」という方は、是非こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

    雇用契約のebookダウンロード

    --------------------

    \【2024年最新版】HR関連法改正トレンドBOOK/

    ▼無料ダウンロードはこちら▼
    https://hrnote.jp/document/?did=148030

    人事業務に役立つ最新情報をお届け!メールマガジン登録(無料)

    HR NOTEメールマガジンでは、人事/HRの担当者として知っておきたい各社の取組事例やリリース情報、最新Newsから今すぐ使える実践ノウハウまで毎日配信しています。

    メルマガのイメージ

    関連記事

    ワークフローシステムの機能一覧!基本から便利機能まで解説

    ワークフローシステムの機能一覧!基本から便利機能まで解説

    近年では、ワークフローシステムが注目されています。システムを導入することで、紙の申請書を使うデメリットが解消できるため、業務負担の軽減が期待できます。ワークフローシステムには、さまざまな機能があります。当記事では、ワークフローシステムの機能について詳しく紹介します。ワークフローシステムの機能について興味がある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

    • 労務
    • 労務・その他
    2024.04.08
    HR NOTE 編集部
    法定労働時間の意味や上限を超えないためのポイントを解説

    法定労働時間の意味や上限を超えないためのポイントを解説

    法定労働時間とは1日8時間、週40時間であり、これを超える労働時間数に対しては割増賃金の支給が必要です。ただし、近年導入が進むフレックス制度をはじめとする複数の労働制度では、上記の条件とは少し異なる場合もあります。本記事 […]

    • 労務
    • 勤怠管理
    2024.03.29
    HR NOTE 編集部
    通らない稟議書に共通する特徴やうまく通すコツを徹底解説

    通らない稟議書に共通する特徴やうまく通すコツを徹底解説

    稟議書が通りやすい人と、通りにくい人では書き方に大きな違いがあります。 どうしても通したい稟議がある場合は、読み手のことを考えた構成や文章にすることが大切です。本記事では通らない稟議書に共通する原因や、稟議書が通すコツな […]

    • 労務
    • 労務・その他
    2024.03.28
    HR NOTE 編集部
    雇用契約とは?雇用契約書作成時の注意点・業務委託との違いも解説!

    雇用契約とは?雇用契約書作成時の注意点・業務委託との違いも解説!

    雇用契約とは、労働の対価として賃金を与えることを約束した契約のことです。本記事では、雇用契約の定義から、雇用契約書と労働条件通知書との違い、違反やトラブルを防いで雇用契約を締結するための注意点について解説します。労使トラ […]

    • 労務
    • 労務・その他
    2024.03.27
    HR NOTE 編集部
    ワークフローを効率化するには?システム導入やフロー改善のポイントも!

    ワークフローを効率化するには?システム導入やフロー改善のポイントも!

    ワークフローに無駄がなければ、業務を効率的かつスムーズにおこなうことが可能です。本記事では、ワークフロー改善のポイントから、ワークフローシステムを見直すことによって効率化が図れる理由、ワークフローシステム導入のメリットま […]

    • 労務
    • 労務・その他
    2024.03.26
    HR NOTE 編集部

    人事注目のタグ