パートタイム労働者の雇用契約書を作成する際に押さえておきたいポイント |HR NOTE

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パートタイム労働者の雇用契約書を作成する際に押さえておきたいポイント

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パート勤務をしている接客業の人

企業がパートタイム労働者を雇用する際には雇用契約書を作成するケースが多いです。雇用契約書を作成する際はどんな点に注意すればいいのか、何を記載すればいいのかなどについて解説します。

法律に抵触しないように注意して、雇用契約書を正しく作成しましょう。

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従業員を雇い入れる際は、雇用(労働)契約を締結し、労働条件通知書を交付する必要がありますが、法規定に沿って正しく進めなくてはなりません。

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1. パートタイム労働者と雇用契約する前に確認しておきたいこと

チェックリストの上にペンが置いてある

パートタイム労働者と雇用契約をする前に確認すべきことを解説します。

雇用契約書の内容や労働時間、休暇についてなどは事前に確認しておきましょう。

1-1. パートタイム労働者と契約社員の違い

厚生労働省によると、パートタイム労働者とは、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」とされています。

一方、契約社員とは、「労働契約にあらかじめ雇用期間が定められている労働者」であり、労働者と使用者の合意により契約期間を定め、1回あたりの契約期間の上限は3年とされています。

契約期間の満了によって労働契約は自動的に終了します。

参考:さまざまな雇用形態|厚生労働省

1-2. パートタイム労働者に雇用契約書がないのは違法?

パートタイム労働者の中には雇用契約書がもらえない場合に違法ではないか不安になる人もいます。

雇用契約自体は書面での交付がなくとも、使用者と労働者の双方で合意をしていれば締結することが可能で、書面での契約締結は特に義務付けられていません。そのため、雇用契約書がないことは違法ではなく、なかったとしても罰則はありません。

ただし、雇用契約書はないことは問題ありませんが、労働条件通知書がないのは違法となるため、混同しないように注意しましょう。

雇用契約書は雇用契約を交わした事実を記載する書類なので、交付しておくことで合意の有無を後から確認することができます。トラブルを防止するためにも、作成して交付しておくことが望ましいでしょう。

1-3. 変動の可能性がある条件は記載しておく

勤務時間など、企業の都合によって条件が変動する可能性がある項目は、その旨を労働条件通知書に記載しておきましょう。

勤務時間や賃金、勤務地など、変動する可能性がある項目がないかを雇用契約書作成前によく確認しておく必要があります。

1-4. 雇用契約書の内容が事実に反する場合は契約の解除が可能 

労働基準法では労働者を守るためのさまざまな決まりがあります。

その中には、企業が提示した労働条件が事実に反する場合は即座に契約を解除できるという法律があります。

業務内容や賃金、労働時間などを企業の都合でパートタイム労働者に提示した条件を勝手に変えると契約違反になるので注意してください。

本来勤務するはずだった時間を勝手に短縮することも契約違反です。企業の都合でパートタイム労働者の勤務時間を短縮する際は、割増した休業手当を支払わなければならないので注意が必要です。

関連記事:雇用契約書が持つ法的効力とは?労働条件通知書との違いを詳しく紹介

1-5. パートタイム労働者にも有給取得の権利がある

休暇は労働者に与えられた権利の一つです。

正社員のみならず、パートタイム労働者にも一定の条件を満たした場合に有給休暇を取得する権利はあります。

労働基準法では、雇用開始から6か月以上経過していること、その中の出勤日の8割以上出勤していることという2つの条件を満たしていればすべての労働者に有給休暇が付与されます。

パートタイム労働者の場合付与される日数は変動します。週所定労働日・労働時間と継続勤務年数から適切な日数を算出しましょう。

2. 雇用契約書に記載すべき内容とは

契約書の紙にペンで書いている

企業がパートタイム労働者と契約する際は雇用契約書を発行することが望ましいです。

しかし、雇用契約書は作成義務があるわけではないため、記載すべき項目も特に定められていません。

一般的に記載されている項目は以下の通りです。

  • 雇用期間・契約の更新有無
  • 試用期間の有無
  • 勤務場所
  • 仕事内容
  • 始業・就業時刻
  • 休憩時間
  • 休日・休暇
  • 賃金規定
  • 退職

上述の通り、雇用契約書に記載すべき必須事項はありませんが、雇用契約書と労働条件通知書を兼用した場合には、以下の絶対的明示事項を記載しなければ労働基準法違反となるため、注意しましょう。

  • 労働契約期間
  • 就業場所
  • 業務内容
  • 始業時刻
  • 終業時刻
  • 時間外労働の有無休憩時間や休日・休暇に関連する事項
  • 交代制の業務がある場合はその順序や期日
  • 賃金の計算方法
  • 支払い方法、支払い日
  • 退職や昇給の規定

これらは必ず雇用契約書兼労働条件通知書に記載しなければならず、この内容に反して業務に従事させることはできません。

また、パートタイム労働者の場合、これに加えて、以下の4点を必ず労働条件通知書に記載しなければなりません。

  • 退職金の有無
  • 昇給の有無
  • 賞与支給の有無
  • 短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項の相談窓口

正社員と記載項目に違いが生じるので、注意しましょう。

記載が必須の事項に漏れがあってはなりません。あらかじめ、どんな内容を記載しなければならないのかを確認しましょう。当サイトでは、記載事項とあわせて、雇用契約の締結方法をわかりやすく解説したマニュアルを無料で配布しています。法律に則った方法で雇用契約を結びたい方は、こちらから資料をダウンロードして、ご活用ください。

関連記事:雇用契約書の書き方とは?明示しておくべき事項を詳しく紹介

2-1. パートタイム労働者用の雇用契約書のテンプレート

パートタイム労働者の雇用契約書と労働条件通知書を兼用し、テンプレートを用いることでスムーズに書類が作成できます。パートタイム労働者の労働条件通知書のテンプレートは厚生労働省のホームページで公開されています。

Wordファイルとpdfがあるので、以下のリンクからダウンロードしてお使いください。

短時間労働者用(常用・有期雇用型)労働条件通知書(Wordファイル)|厚生労働省
短時間労働者用(常用・有期雇用型)労働条件通知書(pdf)|厚生労働省
参照:労働基準法関係 様式集|厚生労働省 東京労働局

3. パートタイム労働者の労働条件通知書兼雇用契約書を発行する際のポイント

メガホンをもち指をさす人

パートタイム労働者の雇用契約書と労働条件通知書を兼用して発行する際のポイントを3つ紹介します。

3-1. 労働条件を明確に記載する 

企業が雇用契約を結ぶ際は、労働者に対して労働条件をきちんと明示しなければなりません。これは労働基準法で定められています。

上記で紹介した絶対的明示事項に漏れやミスがないかをよく確認しましょう。

3-2. 契約期間の期限を選択する 

パートタイム労働者の雇用契約書を作成する場合、期限を決めて雇用するか、期限を決めずに雇用するかを選択しなければなりません。

期限を決めてパートタイム労働者を雇用する場合はその期限を記載し、契約期間満了になったらどう対応するかについての記載も必要です。

期限の最長は3年です。契約を3回以上更新した、または雇用期間が1年以上あるパートタイム労働者には、契約を更新しない場合30日前までに通知しなければなりません。

期限を設けずに雇用する場合は、労働者からの申告や企業側からの正当な理由がない限りは契約を解除できません。

関連記事:雇用契約期間とは?契約する期間や書類の保存方法についても解説

3-3. 正社員との格差に注意する

パートタイム労働者と正社員の間に不当な格差が生じていないかを確認しましょう。「同一労働同一賃金」の観点から、正社員とパートタイム労働者で不適切に待遇が違うことや、優先順位を決めることなどは禁止されています。

正社員の雇用契約書には手当や昇給についての記載があるのにパートタイム労働者にはこれらの項目がないことが判明した場合、同一労働同一賃金の観点からトラブルに発展する可能性もあります。

正社員とパートタイム労働者との待遇の格差に対して、国はさまざまな是正案を導入しています。新しい制度が導入された場合は労働条件を見直し、必要であれば修正、追加をおこなっていきましょう。

4. パートタイム労働者の雇用契約書を作成する前に

男女が笑顔で腕組みをしている

パートタイム労働者の雇用契約書に記載しなければならない事項や労働条件通知書兼雇用契約書を発行する際のポイントなどについて解説しました。

雇用契約書は正社員以外の、パートタイム労働者や契約社員などと契約する場合でも作成するのが望ましいです。雇用契約書の作成は義務ではありませんが、雇用契約書と労働条件通知書を兼用した場合は必要事項を記載して作成しなければならないため、注意しましょう。

また、雇用契約書は労使間で雇用契約に関するトラブルが発生した場合に、解決の手助けとなる書類でもあります。

労働者との雇用契約に関してトラブルが起きた際に「そんな話聞いていない」といわれることのないように、雇用契約を締結して書面等で残しておくことが重要です。

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