人材流出を防ぐためにも、部下のモチベーション管理は重要です。モチベーションは目に見えにくいので、可視化するためにも、ツールの導入が推奨されます。この記事では、部下のモチベーションが下がる要因や、モチベーション管理のメリット、実施方法、おすすめのモチベーション管理システムを紹介します。モチベーション管理とは何か知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1. モチベーション管理とは?
モチベーション管理とは、従業員のモチベーションに関する情報を収集・分析して、モチベーションを維持するために役立てることです。ここでは、モチベーションとやる気の違いや、モチベーション管理が注目される背景・理由について詳しく紹介します。
1-1. モチベーションとは?
モチベーション(motivation)とは、「意欲」「動機づけ」などと言い換えられることもあり、ビジネスにおいては「仕事に対する意欲」として用いられるケースが多いです。ビジネスで「エンゲージメント」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。エンゲージメント(engagement)とは、「会社への愛着・思い入れ」を意味し、モチベーションと意味が異なるので、正しく理解しておきましょう。
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1-2. モチベーションとやる気の違い
モチベーションと似た用語に、やる気があります。モチベーションをやる気と言い換えて使っている人もいるかもしれません。しかし、モチベーションとやる気には意味の違いがあります。やる気は、いわゆる「テンション」のことです。
モチベーションは行動につなげる動機付けで、やる気は行動を継続するためのエネルギーといえます。つまり、やる気を出すためのきっかけが、モチベーションになります。また、モチベーションは「持つ」ものであり、その人の意思によりコントロールすることができます。このように、モチベーションとやる気の意味の違いを正しく理解しておきましょう。
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1-3. モチベーション管理が注目される背景・理由
近年では、少子高齢化により、労働人口が年々減少しています。人材確保に課題を抱えている企業も少なくないでしょう。このような時代においては、人材流出を防止し、少ない人材で高い成果を出すことが求められます。
テクノロジーの発展により、ITツールを導入して、業務を自動化し、人手不足を補うのも一つの手です。しかし、人材を資本として捉え、一人ひとりの生産性を高めることも大切です。従業員の生産性を向上させるための施策の一つとして、モチベーション管理に注目が集まっています。
2. モチベーションには2種類ある
モチベーションには「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」の2種類があります。従業員のモチベーションを管理する際は、2つの動機づけを意識することが重要です。ここでは、それぞれの動機づけについて詳しく紹介します。
2-1. 外発的動機づけ
外発的動機づけとは、報酬や評価、罰則など、外部からの刺激によってモチベーションを高めることです。たとえば「給与を上げる」「評価制度を変更」「ノルマを設定する」といった方法が外発的動機づけに該当します。外発的動機づけは、モチベーションを高めるうえで、取り入れやすくわかりやすい技法です。しかし、常に干渉する必要があり、刺激が不足するとモチベーションが下がるケースもあるので注意が必要です。
2-2. 内発的動機づけ
内発的動機づけとは、興味や関心など、従業員の内部から湧き出るものにより、モチベーションを高めることです。たとえば「仕事へのやりがい」「成長の実感」「新しい知識への探求心」などが内発的動機づけに該当します。内発的動機づけは、自らの欲求が原動力となるので、持続しやすいという特徴があります。しかし、個人差が大きく、外部からの要因により、失われることもあります。そのため、外発的動機づけと内部的動機づけをバランスよく高めることが、モチベーション管理のコツといえます。
3. モチベーションが低い組織はどうなる?
モチベーションが低い状態を放置していると、どのようになってしまうのでしょうか。ここでは、モチベーションが低い組織に生じるデメリットについて詳しく紹介します。
3-1. 生産性が低下する
仕事に対するモチベーションが低いと、能率が低下します。そのため、モチベーション高い組織と比べて、モチベーションの低い組織の生産性は低下します。モチベーションが低い状態が継続すれば、会社の業績にも大きく悪影響を及ぼす恐れがあります。
3-2. 離職率が高まる
モチベーションが低い状態が続くというのには原因があります。たとえば、「人間関係が悪い」「待遇が低い」などがモチベーションが低くなる理由として挙げられます。このような悩みや課題が解消されない状態が続けば、離職を検討する従業員も増加します。離職者が発生すれば、その人の仕事は他の従業員が引き継がなければならず、負担が増し、さらに離職者が増える恐れもあります。このように、モチベーションが低い組織は、離職率が上昇する可能性があります。
3-3. 組織の関係性が悪化する
モチベーションが低い従業員がいると、その人の言動により、周囲の従業員のモチベーションを下げるリスクがあります。結果として、組織全体のモチベーションがますます下がっていく恐れがあります。このように、モチベーションが低い組織は、デメリットが生じる可能性が高く、早期に対処する必要があります。
4. 部下のモチベーションが下がる要因
人材流出を防ぎ、生産性を高めるためにも、上司や管理職の人は、部下のモチベーション管理を正しくおこなうことが大切です。ここでは、まず部下のモチベーションが下がる要因について詳しく紹介します。
4-1. 業務内容に魅力を感じられない
「雑用ばかりを押し付けている」「個人の適性や希望を考慮せず人員配置をおこなっている」といった場合、業務に対して主体的に取り組めないため、やりがいや向上心を感じられず、部下のモチベーションは低下してしまいます。このような事態を防ぐため、部下の意見に耳を傾け、適切なレベルの仕事を与え、目標設定とフィードバックをおこなうことが大切です。従業員に小さな成功体験を経験させることで、仕事に対する自信が持てるようになり、モチベーション低下を防止することができます。
4-2. 身体的・精神的な疲労が蓄積する
過剰な残業が発生したり、休日出勤が多すぎたりすると、日頃はモチベーションが高い状態で業務に臨んでいる部下であっても、疲労が蓄積してモチベーションは低下してしまいます。部下のモチベーションを維持するためにも、上司や管理職の人は、部下の勤務状況を正しく把握し、適切な業務量を設定することが大切です。
4-3. 仕事内容と報酬が合っていない
仕事を頑張っても報酬が上がらない環境で働いていると、部下に限らず従業員は、努力しても無駄だと考えるようになり、モチベーションが下がってしまいます。人事担当者は仕事に見合った報酬が与えられるよう、時代にあわせて評価制度を見直すことが大切です。また、上司や管理職の人は、部下の成果や努力をきちんと管理し、評価に反映させることが重要です。
4-4. キャリアパスが見えない
キャリアパスが見えない環境で働いていると、努力の方向性がわからず、モチベーションが下がってしまいます。人事担当者は、どのようなキャリアパスがあるのか、研修やセミナーを実施するなどして、従業員に周知してあげることが大切です。また、上司や管理職の人は、定期的に面談などを実施して、部下のキャリアのサポートをしてあげることが重要といえます。
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4-5. 人間関係に問題がある
仕事環境だけでなく、上司や同僚などとの人間関係が悪いと、業務に集中できず、モチベーションが下がってしまう可能性があります。一方、良好な人間関係が築かれている組織の場合、難しい課題に直面しても、部下は周囲を信頼し、モチベーションを維持しながら仕事することが可能です。このように、部下のモチベーションを維持するには、周囲との人間関係も重要になります。
5. モチベーション管理を実施するメリット
モチベーション管理を実施することで、さまざまなメリットが得られます。人事担当者や上司・管理職の人は、モチベーション管理のメリットを理解して、部下のモチベーションを適切に管理しましょう。ここでは、モチベーション管理を実施するメリットについて詳しく紹介します。
5-1. 従業員の生産性が上がる
モチベーション管理を正しく実施することで、従業員のモチベーションを高く維持することができます。仕事に対する能率が上がり、生産性が向上します。結果として、組織全体の生産性向上にもつながります。また、エンゲージメントに影響する要素の一つにモチベーションがあります。モチベーションを高めることで、エンゲージメントも高めることができます。
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5-2. 離職防止につながる
モチベーション管理は、「従業員が会社や業務、対人関係をどう感じているか」のデータ収集から始まります。さまざまな視点から従業員に質問することで、従業員がどこに不満を感じているか可視化することが可能です。
従業員の不満が可視化されれば、企業として取り組むべき課題が明確になり、行動に移しやすくなります。このように、モチベーション管理により、従業員の悩みや不満を可視化して解決に努めることで、モチベーションの低下による離職を防止することができます。
5-3. 効果的な人材配置を実現できる
人事領域の仕事は、感覚的におこなっている部分もあるかもしれません。たとえば、上司が部下をみて、「何も問題がない」とみえても、実は悩んでいるケースもあります。これは事象に対しての捉え方、感じ方が個々人によって違うことに起因しますが、この問題を体系的に解決するのは困難です。
しかし、テクノロジーの発展により、従来は感覚的に処理してきてしまった事象も、データを活用して科学的に捉えることができるようになりました。モチベーション管理により、モチベーションが低い従業員の適性や希望を考慮して、データに基づき配置換えを実施すれば、効果的な人材配置を実現することができます。
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6. モチベーション管理の方法
モチベーション管理には、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、モチベーション管理の方法について詳しく紹介します。
6-1. アンケート調査やヒアリング調査を実施する
従業員のモチベーションを向上させるためには、現状の不満や課題を把握しなければなりません。アンケート調査やヒアリング調査を実施して、仕事への満足度や悩んでいることなどを把握しましょう。数字でランク付けするような回答形式にすれば、アンケート結果を分析しやすくなります。
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6-2. 調査結果を分析して対応策を検討する
アンケートやヒアリングを実施し、調査結果を集計したら分析をおこない、対応策を検討しましょう。たとえば、待遇への満足度が低い場合や、仕事内容に不満を感じる従業員が多い場合は、給与の見直しや業務の再配分を検討する必要があります。施策を実施したら、効果を検証して、再度改善策を実施することで、精度が高まっていきます。
6-3. モチベーション管理システムを活用する
モチベーションは目に見えにくく、人の手でアンケートやヒアリングをおこなっても、改善策が見つけられないケースも少なくありません。モチベーション管理システムを導入すれば、アンケート作成・配信・集計・分析をワンストップでおこなうことができます。モチベーション管理の方法に悩んでいる場合、モチベーション管理システムの導入を検討してみましょう。
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7. モチベーション管理を成功させるポイント
モチベーション管理を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。ここでは、モチベーション管理を成功させるポイントについて詳しく紹介します。
7-1. 内発的動機づけで取り入れるべき3つの要素
モチベーションを長く維持・向上させるには内発的動機づけが鍵となりますが、これには次のように3つの要素があります。
内発的動機づけの種類 |
概要 |
1. 主体性による動機づけ |
|
2. 有能感による動機づけ |
|
3. 関係性による動機づけ |
|
このように、従業員の悩みや思考に合わせて、内発的動機づけの3つの要素をそれぞれバランスよく取り入れて、モチベーションアップにつなげましょう。
7-2. 目標は従業員自身が設定する
周囲から目標を押し付けられる場合、それが従業員が設定したい目標と乖離していると、モチベーションが下がってしまいます。そのため、目標設定は、あくまでも従業員自身がおこない、周囲はサポートするようにましょう。
ただし、目標設定の仕方をよく理解していない従業員もいるかもしれません。目標設定が高ければ「どうせ達成できない」とやる気を失い、低ければ目標を達成したいという意欲が生まれません。モチベーションを維持・向上できるよう、目標設定の際は、次のポイントに気をつけましょう。
- 具体的な目標にする
- 目標達成の進捗がわかる内容にする
- 高すぎない・低すぎない目標にする
- 会社の目標と関係のある目標にする
- 達成期限を決める
このように、適切な目標を設定することで、従業員のモチベーションを維持・向上させることができます。
7-3. 従業員とのコミュニケーションを密にしておく
モチベーション管理には、従業員とのコミュニケーションが欠かせません。コミュニケーションを活性化させるため、次のような方法を日常的に取り入れてみるのも一つの手です。
- メンター制度を取り入れる
- 頻繁に面談を実施する
- 定期的にランチ会を開催する など
このような制度も一方的に押し付けられたと感じてしまうと、モチベーションは低下してしまいます。そのため、従業員の同意を得たうえで、コミュニケーションを活性化させる施策を取り入れましょう。
7-4. 業務量や裁量を調整する
どんなにモチベーションが高く保っていても、仕事量が多く、疲弊してしまうと、モチベーションは低下していまいます。そのため、モチベーションを維持できるよう、上司や管理職の人は部下の業務量を調整してあげることが大切です。
また、仕事に対するやりがいも、モチベーションに影響を及ぼします。自分で考え、自分で実行したという経験は、モチベーションを高めます。そのため、上司や管理職の人は、部下の適性を見て、裁量を広げてあげることも重要です。
7-5. モチベーション管理システムを導入する
人の手でのモチベーション管理には、限界もあります。また、人事担当者は、採用・育成・配置・評価など、幅広い業務をこなさなければならず、一人ひとりの従業員のモチベーション管理に時間を割けないケースもあるかもしれません。
このような場合、モチベーション管理システムの導入がおすすめです。モチベーション管理システムを活用すれば、モチベーション管理に関する業務の一部を自動化し、データ化して管理することができます。これにより、モチベーション管理の効率と質の両方を高めることが可能です。
8. モチベーション管理システムの機能
モチベーション管理システムには、あらゆる便利な機能が搭載されています。大きく分けると、「アンケート機能」「コミュニケーション機能」「ストレスチェック機能」「見える化機能」の4つの機能が搭載されていることが多いです。ここでは、この4つの機能について詳しく紹介します。
ただし、すべての機能が搭載されているとは限りません。また、これ以外にも便利な機能が搭載されているツールもあります。モチベーション管理システムを選定する際は、自社の目的にあった機能が搭載されているか注意して選ぶようにしましょう。
8-1. アンケート機能
アンケート機能とは、アンケートの作成・配信から集計・分析までを一貫しておこなえる機能のことです。アンケート機能を活用すれば、効率よくモチベーション調査を実施することができます。また、アンケートに答え忘れている従業員に、自動でリマインドメールを送れる機能が搭載されているものあります。
8-2. コミュニケーション機能
コミュニケーション機能とは、チャットツールのように従業員と個別で連絡を取れる機能のことです。スタンプ機能や絵文字機能が搭載されたものであれば、気軽にやり取りすることができます。また、本音で答えやすいように、匿名で人事部にメッセージを送れるツールもあります。
8-3. ストレスチェック機能
ストレスチェック機能とは、従業員のストレスの度合いを把握し、健康管理に役立てるための機能です。ストレスチェック機能により、定期的に従業員の健康チェックをおこなうことで、ストレスの高い従業員を早期発見して対策を実施することができます。また、健康上の問題を発見するだけではなく、ケアまで支援してくれるモチベーション管理システムもあります。
8-4. 見える化機能
見える化機能とは、アンケート集計結果やデータ分析結果をグラフやダッシュボードなどで可視化する機能です。結果を可視化することで、「どのような傾向があるのか」「どこに課題があるのか」を一目で把握することができます。そのため、スピーディーに情報共有や意思決定をおこなうことができるようになります。
7. 15のモチベーション管理システムを徹底比較
ここでは、15のモチベーション管理システムをご紹介します。
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モチベーション管理は「データ収集→分析→施策実施→効果検証」の流れで実施すると、効果が出やすいです。効果を出すためには、従業員の協力が不可欠です。また、モチベーション管理システムを導入することで、データを利活用して、モチベーションを可視化し、効率よくモチベーション管理することができます。