法定休日とは労働基準法にて規定されている、労働者に対して最低限与えなければいけない休日のことを指します。
しかし、休日にはこの他にも法定外休日(所定休日)があったりと、それぞれどう違うのか、どう設定すればよいのか迷っている方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、法定休日とはどういった休日なのかということを中心に、法定外休日との違いやその他関係のある制度などについて解説していきます。
【労働基準法】休日・休暇ルールBOOK
人事担当者の皆さまは、労働基準法における休日・休暇のルールを詳細に理解していますか?
従業員に休日労働をさせた場合、休日はどのように取得させれば良いのか、割増賃金の計算はどのようにおこなうのかなど、休日労働に関して発生する対応は案外複雑です。
そこで当サイトでは、労働基準法にて定められている内容をもとに、休日・休暇の決まりを徹底解説した資料を無料で配布しております。
「休日休暇の違いや種類、ルールを確認したい」という人事担当者の方は「【労働基準法】休日・休暇ルールBOOK」をぜひご一読ください。
1.法定休日とは
法定休日とは、労働基準法で下記のように定められている休日のことを言います。
- 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない
- 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない
つまり、①週に1回、もしくは②1か月に4回、従業員に対して与える必要がある休日のことを法定休日といいます。
また、法定休日はまとめて4日取得することも可能ですが、労働基準法第32条で定められている週の法定労働時間40時間を超えないように注意しましょう。
1-1. 法定休日と法定外休日の違いについて
企業の設ける休日には、法定休日の他に法定外休日(所定休日)があります。
法定休日は先ほども述べた通り、労働基準法によって定められた休日である一方で、法定外休日については特に法律での規定がなく、企業が独自に設定することが可能な休日を指します。
たとえば、週休2日制の企業ならば、2日のうちのどちらかが法定外休日となり、4週8休制の企業ならば、8日のうちの4日が法定外休日になります。
2. 法定休日に労働させる場合の対応
もし労働者が法定休日にどうしても働かなければいけなくなった場合、企業としては
- 法定休日労働に対する割増賃金を支払うこと
- 36(サブロク)協定を労働基準監督署に届け出ること
が必要になります。
2-1. 36協定を締結する
法定休日に労働者に働いてもらうためには、労働組合などとの間で36協定を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。
36協定とは?
労働基準法では、労働時間は原則として「1週間に40時間・1日8時間」以内とされています。しかし、それ以上の時間の勤務が必要になる場合は多く発生します。そこで、あらかじめ労働組合などと企業が書面による協定を締結し、法定労働時間を超える時間外労働や、休日労働を可能にするのが「労働基準法第36条(36協定)」になります。
2-2. 休日労働手当として割増賃金を支払う
法定休日に労働させた場合は、原則として休日労働手当の支払いが必要となります。
例えば、法定休日である日曜日に労働させた場合、35%の割増賃金を適用させます。
また、法定外休日の労働であれば、週40時間以内であれば割増率は発生せず、通常の賃金の支払いで問題ありません。ただし、法定外休日に労働させた結果、週の労働時間が40時間を超えてしまった場合は25%の割増率の賃金を払う必要があるので、注意しておきましょう。
関連記事:休日出勤は割増賃金になる?ケース別にそれぞれ詳しく紹介
2-3. 振替休日もしくは代休を取得させる
法定休日に労働させる場合には、振替休日もしくは代休を取得させる必要があります。
取得させなかった場合、4週を通じて4日以上の休日を与える義務に反する可能性もあるので注意しましょう。
関連記事:休日出勤した従業員に代休を取得させるには|振替休日との違いについても解説
3. 振替休日と代休の違い
前章でも説明したとおり、法定休日に労働させた場合には「振替休日」もしくは「代休」を取得させる必要があります。
どちらを取得するかによって、給与計算の方法が異なるので注意しましょう。
関連記事:振替休日と代休の違いとは?計算方法の違いや注意点を解説
3-1.振替休日
振替休日とは、あらかじめ定められていた休日を、事前の手続きにより労働日とし、その代わりに他の労働日を休日にする制度を指します。つまり、休日と労働日を事前に変更する制度のことです。
休日を他の労働日に振り替えた場合、休日の予定であった日に勤務をしても、通常の勤務として扱われるため、休日労働に対する割増賃金の支払い義務が生じることはありません。
しかし、その勤務により週の労働時間が40時間を超えた場合には、時間外労働に対する割増賃金として25%を上乗せして支払う必要があります。
なお、振替休日をおこなうには、以下の事項が必要となることに注意しましょう。
- 就業規則に振替休日の規定を記載しておくこと
- 振替休日を特定すること
- 振り替えをおこなうことについて、前日までに労働者に対して通知をすること
関連記事:振替休日の基本的な部分を休日の定義や条件とあわせて詳しく紹介
3-2.代休
代休は、休日に労働がおこなわれた際、その日の代わりとして、後日に休日を与えることをいいます。
こちらは振替休日制度とは異なり、法定休日に労働をさせた場合、休日労働に対する35%を上乗せした賃金を支払う必要があります。
労働日と休日を「事前に」変更するのが振替休日、「事後に」変更するのが代休と考えておくと良いでしょう。
ここまで、法定休日の考え方や振替休日・代休の違いについて解説してきましたが、勤怠管理を行う上で休日休暇は必須の知識になります。また代休や振替休日を取らせないと、余計な人件費がかかってしまったり、労使間トラブルにつながるリスクがあるので注意が必要です。
当サイトでは、あまり知られていない休日・休暇の違いや、本記事でも解説した休日労働させた場合の正しい対応についてまとめた資料を無料で配布しております。
自社の休日労働時の対応が問題ないか不安なご担当者様は、こちらから「休日・休暇ルールBOOK」をダウンロードしてご確認ください。
関連記事:代休の定義とは?振休・有給の違いなど基本的なところを詳しく解説
4.法定休日の特定について
先ほど解説したように、法定休日におこなわれた労働に対しては、通常の35%の割増賃金を支払う必要がありますが、法定外休日におこなわれた労働に対しては割増賃金は必要ありません。
そのため、週休2日制など、法定休日の規定日数(週に1日、または月に4日)よりも多く休日を設けている企業は、その休日のうちのどの日が法定休日にあたるのかを明確にしておく必要があります。
4-1. 法定休日を就業規則で特定しないのは違法か?
では、就業規則で法定休日を特定しないのは違法になるのでしょうか?
結論から言うと、法定休日を就業規則で特定しなくても違法ではありません。
しかし、法定休日を明確にしておかないと、後になって「休日労働をおこなった際、賃金計算が正確にできない」という問題が発生したり、労働者との間で賃金のトラブルになるなど、大きな問題に繋がる可能性があります。
この事態が発生するのを防ぐためにも、法定休日の特定はしっかりとおこなっておくことをおすすめします。
なお、一般的には1週間のうちで最も後にある休日を法定休日として定めているケースが多いです。
4-2. 法定休日を特定する方法
厚生労働省による「モデル就業規則(令和3年4月)」によると、就業規則への法定休日の特定例は以下の通りになります。
また、労働基準法では、「何曜日を休日とするか」あるいは「国民の祝日を休日とするか」について規定していません。
1週間の中で何曜日を休日としても、また、週によって異なる曜日を休日としても差し支えありません。
さらに、勤務の実態に合わせて、労働者ごとに異なる日に交代で休日を与えることもできます。
法定休日を規定する際には、上記画像を参考に、画像にある文章の下に「いつを法定休暇とするのか」を記載しておくと良いでしょう。
参考:モデル就業規則 令和3年4月版|厚生労働省 労働基準局監督課
5. 法定休日を与えないことによる罰則
当然ですが、法定休日を与えなかった場合には罰則が発生します。
ここでは、2つの事例を用いて、法定休日を与えないことによる罰則について紹介します。
5-1. 就業規則に法定休日を書いていない場合
10人以上従業員を雇用している会社は、就業規則に休日に関する内容を記載していなければ、30万円以下の罰金を課せられる可能性があります。
しかし、労働基準法では法定休日を特定する規定が設けられていないため、法定休日を具体的に提示していなくても罰則にはなりません。
5-2. 36協定を結ばずに休日労働させた場合
会社は36協定を締結した場合にのみ、法定休日に働いてもらうことが可能になります。
もし、36協定を結ばずに休日出勤させてしまうと、6ヶ月以下もしくは30万円以下の罰金が課せられます。
6. 法定休日のルールを守り、健全な企業経営をしていこう
いかがでしたでしょうか。
法定休日とそれに関連した制度についてきちんと理解し、事前に問題に対処することで、企業へのリスクを減らしましょう。
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