企業が継続して成長し続けるために、優秀な人材を採用するだけでなく、自社にいる人材を育成して、成長の底上げを図る方法に近年注目が集まっています。
企業が人材育成に力を入れることで国から助成金が出る場合もあるなど、企業経営においても考えていく必要があるのではないでしょうか。
しかし、人材育成は目的が明確になっていないと、手段を間違えてしまう可能性もあります。
本記事では、その人材育成の目的を正しく設定し、必要な手段を取ることができるように、人材育成方法について紹介・解説します。
目次
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近年、転職が主流となり、社員の定着率に課題を抱える企業が増えています。特に、GWなどの長期連休を境に、若手社員が退職を検討するケースが増加しています。
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1. そもそも「人材育成」は何のためにするのか?
人材育成とは、言葉の通り「人材を育成すること」です。しかし、そもそも「人材育成」の目的とは何なのでしょうか。
1-1. 人材育成の目的は「企業の戦略を達成すること」
人材育成の目的は、企業の戦略を達成するために、人材の価値を最大化させることです。
企業を成長させるには「優秀な人材を採用する」「自社にいる人材を育成する」という2点以外に方法がありません。
そのため、企業の戦略策定段階において、どのような戦術が必要で、その戦術を実行するためにはどのような人材(スキル)が必要なのかを明確に計画する必要があります。
その戦略次第で人材育成の手法も異なってくることがポイントとなります。
1-2. 人材育成の目的に合わせて、適切な手法を取る必要がある!
このように、人材育成の目的や目標によって取るべき手法が異なります。
「中長期的に活躍してくれる次世代リーダーを育成する」「現場社員が業務に必要なスキルを身に付けられるようにする」など、人材育成を実施する前に、まず人材育成をする目的を明確に決めるようにしてください。
2. 人材育成における階層別の課題と解決方法
企業の成長のためには上司や先輩が率先して人材育成を行う必要があります。
新入社員と中堅社員では人材育成の考え方が異なります。それぞれのケースにおける問題点や具体的な手法を見ていきましょう。
2-1. 新入社員の場合
新入社員の人材育成において大切なことは、相手の意識を把握し理解することです。新入社員を十分に理解しないまま指導をしようとすると、アドバイスがなかなか伝わらず苦慮することになってしまいます。
個々の新入社員は異なる意識を持っています。まずは新入社員が会社で何を実現したいのか、どのような働き方を求めているのかといった考えを聞き出しましょう。
新入社員育成では、学習や体験の機会を多く設けることも重要です。説明のみに終止する指導では、新入社員を十分に育成することはできません。仕事への取り組み方を具体的に明示し、体感してもらうことが人材の成長につながります。このとき、旧来の方法や考え方を押し付けるのではなく、新入社員に合わせて柔軟に方針を変えることが大切です。
新入社員は上司や先輩の働き方や発言をよく観察しています。常日頃、お手本になるような行動をすることも人材育成につながります。
2-2. 中堅社員(管理職)の場合
中堅社員や管理職が十分に育っておらず、会社の成長が滞ってしまうケースもあるものです。
中堅社員や管理職は目の前の仕事に埋没しがちで、将来的なビジョンや先々のキャリアが見えていないことがあります。また、社員が主体的に動けないことが会社の停滞につながることも少なくありません。
中堅社員や管理職に求められる役割は多岐にわたります。そのため、すべての従業員に一律の指導を行うことは難しいといえます。結果として人材育成が行き届かず、成長が阻害されることがあるのです。
中堅社員教育では、個々の役割意識を高めることが大きな効果を発揮します。研修や面談を通じて、社員がどのような役割を果たすべきかを伝えていきましょう。状況に応じて仕事のやり方を変えるよう促すことも肝心です。仕事がマンネリ化している中堅社員にとって、変化は大きな成長の機会になります。
中堅社員や管理職が能力を最大限に発揮できるよう促すことが、企業全体の活性化や業績アップにつながっていきます。
3. 3種類の人材育成手法(特徴・メリット)
人材育成の目的が明確になったら、次は人材育成をするための手段を決定しなければいけません。
人材育成にはどのような手法があるのでしょうか。ここでは3つの人材育成手法についてご紹介します。
3-1. 『研修』
研修とは、一定期間職場・仕事から離れた場でおこなわれる教育訓練のことです。
研修を実施するメリットは、以下の3点が挙げられます。
研修のメリット | |
①社員の均一的なスキルアップができる |
個別指導ではなく集団指導をおこなうので、全員に同じ内容で育成することができ、指導漏れの防止ができます。 |
②仲間同士での交流や刺激がある |
社員同士で仕事に対する熱意やビジョンを語り合ったり、仕事に対する悩みを共有して不安を解消したりと、相乗効果が多く見込めます。 |
③まとまった時間が取れる |
長期休暇以外で業務から離れてまとまった時間が取れるため、普段とは違った時間の使い方ができます。 |
研修は、大勢に対して共通する基礎を学ばせたい場合に効果的です。
「礼儀・マナー・モラル」などの社会人の基礎にあたる部分の指導や、「名刺の渡し方」や「受電対応の練習」など、研修に参加している社員全員を一定水準のレベルにまで引き上げることができます。
さらに研修では、社員同士が刺激を与え合い、学びに対してのモチベーションを上げることも可能です。
研修は階層や職種別で実施されることも多くなりますが、普段は関わりがないメンバーと触れ合う良い機会にもなるので、グループに分けて研修をおこなう場合は、面識の無いメンバーでグループを構成すると良いかもしれません。
また、より効果的な研修を実施するためには、研修が始まる前までに、研修に参加する社員の現状把握と研修をおこなう目的の共有をおこなうと良いでしょう。
社員のレベルに合わせた研修をしなければ効果が期待できませんし、研修の目的の共有がないと、研修の必要性を感じることができず、研修に臨む姿勢に影響が出るかもしれません。
自身のキャリアや、普段の働き方を見つめ直すようなプログラムを準備することで、研修を受けた社員の今後のパフォーマンスの向上が見込める可能性もあります。
昨今のリモートワーク浸透への対応や、地方で働く従業員にも研修を実施するために、社内でオンライン研修の実施を考えている担当者様も多いのではないでしょうか。しかし、オンライン研修は「学習状況の進捗確認がしづらい」「どのようなコンテンツを作成すれば良いかわからない」といった声もよく聞かれます。
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近年のリモートワークの普及、DXの推進の影響による環境変化に伴い、新入社員研修や現場業務の在り方に見直しの必要性が高まっています。「研修内容が現場業務にアウトプットできていない」という新入社員や「研修カリキュラムを見直したい」と考えている管理職の方々も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
チェンジは、個々の可能性や能力を可視化し、データに基づいた学習サポートと実践中心のアウトプットによりビジネススキルの習得を確実なものにする、DX時代の新入社員育成を担う研修サービスです。
- DX時代の育成効果を可視化するデータに基づいた新入社員研修を実現
- アウトプット・実践型を重視した研修設計により現場で活きる力が身につく
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3-2. 『OJT(On-the-Job Training)』
OJTとは、職場において一定の実務を任せ、その実務を経験していく中で上司のフィードバックなどから体系的に業務について学んでいく育成方法のことです。
OJTを実施するメリットは、以下の3点が挙げられます。
OJTのメリット | |
①実践力を養うことができる |
座学などで知識を付けるだけで終わらずに、実際に学んだことを現場で使える実践力を養うことができます。 |
②1人ひとりに合わせた育成ができる |
個人に焦点を当てた育成をおこなうことができ、その場に応じた臨機応援な対応が可能です。 |
③外部コストが掛からない |
上司が部下を業務時間内に指導する育成方法であるため、外部に委託するコストが掛かりません。 |
大勢の従業員に対して実施する研修と比較して、OJTでは1人ひとりに合わせた教育をおこなうことになります。
実際に仕事をやってみることで徐々に業務に慣れていくとともに、その行動の中から課題を発見し、解決をしながら育成することができます。
そのため、OJT指導者(上司)と受講者(部下)が、ともにPDCAサイクルを回しながら育成を進めていくことが大事になるでしょう。
また、社員が「できること」と「できないこと」を把握したり、「何に対してモチベーションを感じるのか」といったことまで考慮することができれば、育成によって成長する幅は大きくなります。
より効果的なOJTをおこなうために、あらかじめ指導者にOJTの方法を共有しておいたり、指導者向けに研修をしたりするといいかもしれません。
3-3. 『自己啓発』
自己啓発とは、社員が自発的に読書、資格取得、e-learningなどを通じて自己学習することです。
自己啓発を実施するメリットは、以下の3点が挙げられます。
自己啓発のメリット | |
①時間や場所に制限されずに育成できる |
業務時間内におこなわないため、社員の時間や場所を奪われることなく育成をすることができます。 |
②社員自身が興味のあることを学べる |
興味のある分野の知見を持つことで、社会人としての知見を深めるだけでなく、その人にしかできない業務や役職が生まれる可能性があります。 |
③学ぶ手段を自分で選ぶことができる |
本やセミナー、e-learningなど、いくつかある選択肢の中から手段を選ぶことができるため、学ぶことに対するモチベーションが上がります。 |
自己啓発においては、社員に強制感を感じさせず、社員自らが主体的な目的をもって自発的に成長できる環境を作ることが大切です。
研修やOJTは社員が受け身になってしまうことも多いですが、社員自身が学びたくなるような業務やキャリアを提供し、自発的に学習を進めていくことができれば、モチベーション高く長期的に行動できるため高い効果が出ることもあり得ます。
会社としても、社員の時間や場所を奪われることなく育成をすることができ、社員次第にはなりますが、業務後や週末など好きな時間に自宅やカフェなど好きな場所で取り組むことができることは大きなメリットでしょう。
また、一見仕事には関係ないことも、仕事に活かせる可能性があります。
より効果的に自発的に学ぶ状態をつくるために、学ぶ環境(教材や場所)や、キャリアを考える機会を提供することで、今何をやらないといけないかを明確にする必要もあるでしょう。
4. 各人材育成手法を実施する際の注意点(デメリット)
4-1. 『研修』の注意点(デメリット)
①研修内容の考案や講師の選択が難しい
研修内容や講師の選択を失敗してしまうと、参加者の時間を無駄にしてしまう可能性があるので注意が必要です。
社内に研修をおこなうリソースがない場合は、アウトソーシングや代行サービスを活用して研修をおこなうことになります。
しかし、研修を代行しているサービスの数はとても多く、自社にふさわしい研修を探すのも一苦労かもしれません。
研修会社は過去の実績をもとに、自社に寄り添ったコンテンツを提供してくれる会社を選ぶと良いでしょう。
②受講者のためになっていない可能性がある
研修の運営側と受講者側とで、必要なスキルの認識にズレが生じている可能性があります。
このズレがあると、研修の効果が下がってしまったり、受講者側の会社への不信感につながったりする可能性があります。
認識のズレを防ぐためにも、運営側が何のために研修をするのかを明確にし、受講者と意思疎通を図っていかなければいけません。
受講者が今何を必要としているかをしっかりとヒアリングして、その上で受講者にどういう状態になって欲しいかを明確にしましょう。
③集団なので、当事者意識が低くなる
1対1ではなく1対多数なので、どうしても当事者意識が低くなってしまいます。
当事者意識が低くなると何も学ばずに研修を終わらせてしまう可能性もあります。
当事者意識をもったまま研修に参加してもらうためにも、なぜこの研修を受ける必要があるのか、この研修がどう自分に影響するのかを受講前にしっかりと伝えましょう。
そうすることで、研修に取り組む意義が生まれ、研修を自分ごととして捉えることができるかもしれません。
4-2. 『OJT(On-The-Job Training)』の注意点
①指導者によって育成の効果に差が出る
OJTは良くも悪くも指導者に育成を一任するので、どうしても指導者の色が育成に出てしまいます。
細かいところまでこだわる指導者は、部下の細かいところにまでこだわった指導になってしまい、部下によってはお互いに悪影響になってしまう可能性もあります。
さらに、同じ内容を教えるとしても、指導者の経験や知識に応じては教え方に差ができてしまうので、効果の度合いも人それぞれになってしまいます。
そのため、指導者側にもOJTをおこなうにあたって気をつける点や教え方の研修をおこない、最低ラインの指導内容を確保することも必要です。
②指導者ができること以上のことは教えられない
人は、自分ができること以外を教えることはできません。さらに、自分ができることでも教えられない時もあります。
感覚的にやっていることを言葉に落とし込んで相手に伝えることは難しく、それが自分にできないことであれば、なおさらでしょう。
そのため、指導側のメンバーは慎重に選ぶ必要があります。
表面的な結果だけではなく、礼儀がしっかりした人なのか、企業文化に沿った人なのかという面から選んでみてもいいかもしれません。
③学べる範囲が狭い
自分が仕事で使うスキル以外にも必要なスキルがある場合、OJTで教えることは難しいでしょう。
たとえば、営業マンでもこれからの時代を生きていく上でIT知識は必須ですが、営業マンのOJT指導者は営業マンなので、IT知識を教えることができないかもしれません。
そのため、OJTは研修と一緒に活用することで、「研修では礼儀や一般教養などを学び、OJTでは専門分野を学ぶ」といった役割の棲み分けができ、より高い効果が期待できるかもしれません。
4-3. 『自己啓発』の注意点(デメリット)
①他人の監視の目がないので、自分に甘えやすい
自分で学ぶ時間や場所を選べるということは、逆に自分に甘えることができるということです。誰しもが、周りの誘惑に負けてしまう経験はあるのではないでしょうか。
この解決策として、社員の自主学習に対して期間や目標を設定すると良いかもしれません。
重要なのは自由と強制のバランスであり、自由すぎてもいけませんし、強制すぎてもいけません。
「会社で目標を立て、その手段やペースは本人に任せる」といったようにすると良いでしょう。
また、社員が自主的に学んだり成長したりした場合に会社としてインセンティブを与えるなど、自己啓発をおこなう支援についても考えてみると良いでしょう。
②努力の方向性が間違っていても気付けない
せっかくやる気があったとしても、努力の方向性が間違っていたら、本人にとって残念な結果で終わってしまうかもしれません。
残念な結果にならないためにも、社員が取り組んでいることについてアウトプットできる機会を作ると良いでしょう。
ただし、「日報で提出する」といった形では、強制感が出てしまいます。
朝礼の時間に口頭でアウトプットする時間を作ったり、別で学んだことを発表するプレゼンの機会を提供するなど、方法はさまざまです。
全員が日替わりで今週学んだことを発表すれば、他の人のアウトプットの勉強にもなります。
③自己満足に陥ってしまうかもしれない
危険なのが、自己啓発が自己満足で終わってしまうことです。
勉強をやったことに満足し、それをどう活かすのかまでこだわれていない場合もあります。
これに関しては、学んだ内容が仕事の結果にどう影響したかを伝えることが大切です。
学ぶことが大切なのではなく、学んだことが仕事に活かされることが大切であると認識させることで、自己満足を防げるかもしれません。
5. 最後に
自社の人材育成を振り返ってみて、「毎年同じ研修をやっているから、今年もそれでいこう」という風に決めている方はいませんか?
企業の戦略は変わらなくても、戦術は日々時代に合わせて変わっている可能性があります。
戦術が変われば、それを達成するために必要な人材も変わってくるかもしれません。そうすると人材育成のやり方を変えたり、内容を変えたりしないといけないかもしれません。
普段業務に追われて、あまり考える時間がないという方は一度、企業の戦略、戦術や目標を見直し、それを達成するにはどういう人材育成をするべきなのかを一度考えてみても良いかもしれません。