KPIを設定する際、業種や目標によっては数値化が難しいことがあるかもしれません。しかし、数値化できないために具体的なKPI設定が行えなくなってしまうのはKPI運用をしていく上で避けるべきです。
数値化が難しい場合、どういった方法でKPIを設定すれば良いのでしょうか。
本記事では、KPIを数値化できないことで生じる問題や対処法、数値化するメリットについて解説します。
関連記事:KPIとは?設定するメリットや設定のポイントを徹底解説
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
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1. KPI数値を数値化できないことによる問題
KPIは「Key Performance Indicator」の略で、日本語にすると「重要業績評価指標」です。KPIは、目標の達成に向かってプロセスが適切に実行されているかを評価するための指標となります。
たとえば、目標設定が「来年度の売上目標5千万円」である場合、KPIは「新規顧客数を一カ月で◯%増やす」「既存顧客の単価を◯%アップさせる」など、最終目標を達成するための具体的な中間目標として設定します。KPIはどの業種でも必要な指標です。
このKPIを数値化できないとどんな問題が発生するのか、具体例を合わせてみていきましょう。
1-1. 従業員のモチベーションが低下する
最終目標が大きなものであった場合、中間目標としてのKPIが数値化されていないと、諦めに繋がりやすくなります。
また、達成率の確認や達成感などが得にくい状態となり、従業員のモチベーションが低下しやすい状態となります。
これは人事評価にも同じことがいえ、個々の能力や目標への達成率を具体的に評価することができなくなるでしょう。
1-2. 何をすればよいかわからない状態が発生する
大きな企業や、多くの従業員を抱える企業の場合、目標達成における全員のプロセスや達成率を共有しきれないことがあります。その場合、従業員のスキルによっては「何をすればよいかわからない」という状態が発生しやすくなります。
これは企業にとっても大きな機会損失となり、人事評価もしにくくなるポイントです。
具体的に「新規契約10件」「テレアポ20件」といった数値として定量化しなければ、従業員が「どこに向かって何をすればよいかわからない」という無駄が発生してしまいます。
1-3. 目標達成への軌道修正が難しくなる
KPIを具体的に数値化していない場合、途中で目標に対してどれくらいの進捗の遅れが生じているのか判断がつきません。そのため、目標達成に向けた軌道修正ができなくなります。
具体的に数値化しておけば、「目標まであと一人何件」といった具体的な指示も出しやすくなるでしょう。
2. KPIを数値化できないときの対処法
KPIを数値化して設定することが重要だということは述べましたが、KPIを数値化して設定できない場合もあるでしょう。
たとえば「接客力を向上する」といった最終目標だった場合、中間目標としてのKPIを数値化して設定することは非常に困難です。他にも「満足してもらえる接客を行う」「多くの人にお店を知ってもらう」など、数値化が難しい目標は多くあります。
こういった場合は、どのように対処したらよいのでしょうか。
2-1. 結果に着目した設定をする
「接客力を向上する」という目標であれば、接客力が向上した結果どうなるのかという結果に着目して考えましょう。接客力が向上した結果、「売上が100万円上がる」と考えた場合は、その目標に向けて「新規顧客獲得数20件」などの具体的な数値の目標に繋がりやすくなります。
「新規顧客獲得数20件」は接客力の向上によって達成される中間目標だと捉えれば、数値化してKPIを設定することが可能です。
2-2. 目標達成に向けて必要なプロセスに着目する
仮に「英語力を向上させる」という目標を設定した場合、英語力を向上させるためにどのようなプロセスが必要かを考えることが重要です。
英語力を向上させるためには日々の勉学が必要になるため、毎日社内で小テストを実施して合格点を定めるなどすればKPIを数値化することが可能です。
2-3. アンケートなどを利用して第三者の評価を得る
どうしてもKPIを数値化しにくい目標であれば、顧客アンケートや従業員アンケートなどで第三者からの評価を得るのもひとつの手です。定期的にアンケートを実施し、それを集計することで目標に対する評価を数値化することができます。
次回のアンケートで「◯◯点を取る」ということを目標にするだけで、KPIを数値化することが可能です。
アンケートの結果次第ではその次のKPIを設定しやすく、業務の効率化や従業員の評価に直接繋げやすくなるでしょう。
3. KPIを数値化するメリット
KPIを数値化することで、以下のようなメリットを得ることができます。
3-1. 目標を統一できる
KPIを数値化することで、社内の目標を統一することができるというメリットがあります。最終目標達成まではさまざまなプロセスが必要ですが、KPIは中間目標なので全員に同じKPIを設定するだけで、一斉に同じ目標に向かって進むことができます。
企業にとって従業員全員が同じ目標に向かって具体的に行動できることは、業務の最大の効率化といえるでしょう。
3-2. 従業員の評価の基準が一定になる
具体的にKPIを数値化することで、「目標達成に向けての達成率」がわかりやすくなり、平等な基準で人事評価を行うことができます。「あなたは目標に対しての達成率が◯%だから、評価は△△です」といわれれば従業員も具体的に提示されることで納得しやすくなります。
また、人事の評価の基準が一定でわかりやすくなることは、評価する側の人間にとってもメリットだといえるでしょう。
一方で、納得感のあるKPIが提示できても、体系だった人事評価制度がなければ公平な人事評価は難しいと言えます。成果を示す従業員側の準備が整っていても、評価をする企業側の準備が整っていなければ適切な評価がおこなえないためです。しかし、そもそも現状、体系だった人事評価制度がなく導入を検討されている方もいらっしゃるかもしれません。
人事評価制度を整えると言っても何から手をつければ良いか分からずお困りの方へ向けて、本サイトでは「人事評価の手引き」を無料で配布しています。自社にとって適切な人事評価制度を検討するために、まずは人事評価制度について網羅的に理解したいという方は、こちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
4. KPIで数値化ができないものは結果に着目してみよう
KPIを数値化して設定することは、企業にとっても働き手にとっても業務を効率化するためにも重要なことです。具体的にKPIを設定できないと、従業員のモチベーション低下や目標達成への軌道修正が難しくなるといった問題が発生しやすいです。
KPIの数値化が難しい場合も、最終目標の結果に着目したり、そのプロセスを考えたりするなどの工夫を行うことが大切です。
働き方が多種多様になってきている現代だからこそ、評価される側もする側も、わかりやすい一定の基準を設けることが必要といえるでしょう。
関連記事:KPIツリーとは?作成方法や作成上の注意点を詳しく解説
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
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