固定残業代の計算方法について手当型・組込型・超過分を詳しく解説 |HR NOTE

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固定残業代の計算方法について手当型・組込型・超過分を詳しく解説

電卓と眼鏡

固定残業代の計算方法は、通常の残業時間の計算方法とは異なります。

新たに固定残業を導入する場合は、計算方法の種類や、正しい計算の仕方をしっかりチェックしておきましょう。

今回は、固定残業代の計算方法の種類と、具体的な計算の仕方、超過分の計算方法について解説します。

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1. 固定残業代2つの計算方法

ピンク色 電卓 メモ

固定残業は、実際の残業時間にかかわらず、一定の残業代を支給することを約束する制度です。

あらかじめ決められた残業時間の範囲なら、常に一定の手当が支給されるので、残業時間の計算の手間を省くことができます。

その代わり、固定残業代は前もって計算し、固定の手当として支給するか、あるいは基本給に組み込んでおかなければなりません。

雇用契約書や就業規則には残業代の計算方法を記載する必要があるので、それぞれの計算の仕方をチェックしておきましょう。

なお、固定残業は一般的な残業代と同じく、労働基準法第36条に定めた「時間外及び休日の労働」に該当します。

そのため、固定残業を計算する際は、同法第37条の定めのもと、割増賃金を支払う必要があることを覚えておきましょう。

[注1]労働基準法|e-Gov法令検索

2. 手当型の計算方法

手帳 電卓 カレンダー

固定残業を基本給に加算する形で支給する「手当型」の計算方法は以下の通りです。

固定残業代=1時間あたりの賃金額×固定残業時間×割増率

1時間あたりの賃金額は、その月の給与総額÷月平均所定労働時間によって算出します。

月平均所定労働時間は、以下の計算式で割り出すことができます。

1年間の所定労働日数×1日の所定労働時間×12ヵ月

たとえば年間休日が125日、1日の所定労働時間が8時間の会社なら、(365日-125日)×8時間÷12ヵ月=160時間となります。

1ヵ月の給与総額が30万円、月平均所定労働時間が160時間(8時間×20日間)だった場合、30万円÷160時間=1,875円が1時間あたりの賃金額となります。

固定残業時間は、基本給に加算される時間外労働手当分の残業時間のことです。

労使間で36協定を締結すれば、1日8時間、週40時間という法定労働時間を超えて残業することが可能になりますが、労働基準法第36条5の4では、時間外労働の時間を1月45時間、年360時間までと定めています。

そのため、固定残業時間を定めるときは、1月45時間を超えない範囲で規定する必要があります。

割増率は労働基準法第37条の規定により、通常の労働時間または労働日の賃金の計算額の2割5分以上、5割以下にすることが義務づけられています。

上記の範囲内であれば就業規則に記載のもと、割増率を自由に規定でききますが、通常は最低ラインである2割5分が採用されます。

以上の計算方法をもとに、給与総額30万円、固定残業時間45時間、割増率1.25(2割5分)の場合の固定残業代を計算すると、以下のようになります。

固定残業代=1,875円(1時間あたりの賃金額)×45時間×1.25=10万5,468.75円

1ヶ月間における割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合は、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げて処理しなければなりません。

上記の場合、50選以上1円未満の端数が生じているので、1円未満に切り上げて10万5,469円を固定残業代とする必要があります。

なお、ここでは割増率を最低ラインである1.25としているため、最大割増率である1.5を超えない範囲内なら、固定残業代を微調整することも可能です。

上記の例なら、5,469円を切り上げて、10万6,000円を固定残業代にしてもOKです。

手当型の場合、固定残業代は手当として支給されますが、その名称は企業によってさまざまで、「定額残業代」としているところもあれば、「営業手当」などと呼称しているところもあります。

参照:割増賃金の計算方法|厚生労働省 神奈川労働局
参照:労働基準法|e-Gov法令検索
参照:3.残業手当等の端数処理はどうしたらよいか|厚生労働省 東京労働局

3. 組込型の計算方法

電卓で計算する様子

組込型の場合でも、1時間あたりの賃金額と固定残業時間、割増率から固定残業代を計算するところまでは手当型と同じです。

ただ、組込型は基本給に固定残業代を含めて一体型にする方法なので、給与総額から固定残業代を差し引き、基本給を求める必要があります。

たとえば1ヵ月の給与総額が25万円、月平均所定労働時間が160時間、固定残業時間45時間の場合、固定残業代は以下のように計算します。

固定残業代=25万円÷160時間×45時間×1.25=87,891円(1円未満切り上げ)
基本給=25万円-87,891円=16万2,109円

4. 手当型と組込型、どちらを選べばいい?

AとBで選んでいる様子

ここまで固定残業代の計算方法を2つ紹介しましたが、どちらを選ぶかは企業が任意で選択できます。

ただ、組込型の場合、給与明細には「基本給」としか記載されないため、固定残業代がいくら組み込まれているのかわかりにくいという欠点があります。

また、組込型の計算方法では、給与総額から固定残業代を差し引いて基本給を計算するので、これまで基本給に残業手当を上乗せ支給する方法を採用していた場合、従業員の基本給が減ってしまうことになります。

当然、基本給について定めた就業規則に変更を加える必要がありますが、労働契約法第9条では「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」と定めています。[注2]

基本給の減少は労働者の不利益に該当しますので、固定残業代を組込型で計算する場合、従業員の合意を得る必要があります。

従業員との無用なトラブルを避けたいのなら、組込型よりも基本給に上乗せする手当型を採用した方が無難でしょう。

どうしても組込型を採用したい場合は、なぜ組込型を選んだのかをきちんと説明し、従業員の合意を得るための努力を惜しまないことが大切です。

[注2]労働契約法|e-Gov法令検索

5. 超過分の計算方法

電卓で計算して帳簿に記載する

固定残業を導入する場合、就業規則や雇用契約書には、あらかじめ固定残業時間を明記しておく必要があります。

固定残業時間は、36協定の時間外労働時間の上限(月45時間、年360時間)の範囲内であれば、任意で決めることができます。[注3]

仮に固定残業時間を20時間とした場合、20時間までの時間外労働賃金は、基本給に上乗せ、あるいは組み込んでいる固定残業代でカバーできます。

ただ、20時間を超えて残業した場合は、従来通り、残業時間に応じた時間外労働賃金を支払わなければなりません。

超過分の残業代は以下の計算式で算出します。

1時間あたりの賃金額×超過分の残業時間×1.25(割増率)

なお、固定残業時間を上限規制いっぱいの45時間に設定していた場合、これを超過して残業させるのは労働基準法違反に該当します。

臨時的な特別の事情がある場合は、例外として月45時間、年360時間の枠を超えて時間外労働に従事させることも可能ですが、それには労働基準法第36条5の5で定める「当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に第三項の限度時間を超えて労働させる必要がある」理由が必要となります。[注3]

単純に「多忙だから」「人手が足りないから」といった理由で時間外労働の上限を超えることは認められないので、日頃から従業員の残業時間を個別に把握しておくことが大切です。

固定残業代制だからと勤怠管理を行っていないと、労働基準法で定められた残業の上限規則を超過し、罰則を受ける可能性もあるため、適切に労働時間を管理しましょう。

当サイトでお配りしている無料ガイドブックの「固定残業代制度ルールBOOK|残業代の計算方法や導入する際の注意点を解説!」では、労働時間を適切に管理する方法を紹介しています。

固定残業代制を運用する方法や、導入に際し行うべき周知なども解説していますので、こちらから「固定残業代制度ルールBOOK」をダウンロードして、効果的な運用にご活用ください。

[注3]労働基準法|e-Gov法令検索

6. 固定残業代の計算方法は2通りある!超過分の計算方法もチェックしておこう

問題点を確認する男性

固定残業代は、基本給とは別に手当を支給する場合と、基本給にあらかじめ組み込む方法とで、計算方法が異なります。

就業規則や雇用契約書などに固定残業代の計算方法を記載する場合や、従業員に対して計算方法を説明する場合に備え、それぞれの正しい計算方法を確認しておきましょう。

また、固定残業時間を超えて残業した場合は、その時間に応じた残業代を別途支給する必要があります。

超過分の計算方法を調べておくのはもちろん、勤怠管理システムなどを導入して、誰がどのくらい残業時間を超過したのか正確に把握できる体制を整えておくことが大切です。

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