固定残業代(みなし残業代)の計算方法とは?超過分の計算も詳しく解説 |HR NOTE

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固定残業代(みなし残業代)の計算方法とは?超過分の計算も詳しく解説

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固定残業代(みなし残業代)の計算方法とは?超過分の計算も詳しく解説

固定残業代は、通常の残業時間と計算方法が異なります。

新たに固定残業を導入する場合は、計算方法の種類や、正しい計算の仕方をしっかりチェックしておきましょう。

今回は、固定残業代の計算方法の種類と、具体的な計算の仕方、超過分の計算方法について解説します。

関連記事:固定残業代について周知の義務や上限など基本を優しく解説

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1. 固定残業代(みなし残業代)の2種類の計算方法

ピンク色 電卓 メモ

固定残業は、実際の残業時間にかかわらず、一定の残業代を支給する制度です。

あらかじめ決められた残業時間の範囲内なら、常に一定の手当が支給されるので、残業時間の計算の手間を省くことができます。

その代わり、固定残業代は前もって計算し、固定の手当として支給するか、あるいは基本給に組み込んでおかなければなりません。

固定残業代を導入する場合は、労働条件通知書や就業規則に残業代の計算方法や金額を記載する必要があるので、それぞれの計算の仕方をチェックしておきましょう。

なお、固定残業は一般的な残業代と同じく、労働基準法第36条に定めた「時間外及び休日の労働」に該当します。

そのため、固定残業代を計算する際は、同法第37条の定めのもと、割増賃金を支払う必要があることを覚えておきましょう。

[注1]労働基準法|e-Gov法令検索

1-1. 手当型の固定残業代(みなし残業代)

固定残業代を基本給とは別に「基本給+固定残業代」の形で支給する形態が「手当型」の固定残業代です。

この場合、固定残業代というよび方ではなく、「役職手当」や「営業手当」等の名称で支給している企業もあります。

ただし、これが残業に対する手当である場合は、残業手当の規定を守った範囲で支給しなければ時間外労働に対する割増賃金の未払いとして従業員に告訴される場合もあるので、注意しましょう。

1-2. 組込型の固定残業代(みなし残業代)

固定残業代を基本給に組み込んだ形態で支給するのが、「組込型」の固定残業代です。

この場合、給与明細や就業規則等には「基本給〇円(固定残業代▲円を含む)というように記載されることが一般的です。従業員に対して、残業手当にあたるのがいくらなのかを明確に提示しておく必要があります。

関連記事:みなし残業と固定残業の間違いやすいポイントを徹底解説

2. 手当型の固定残業代(みなし残業代)の計算方法

手帳 電卓 カレンダー

固定残業代を基本給に加算する形で支給する「手当型」の計算方法は以下の通りです。

固定残業代=1時間あたりの賃金額×固定残業時間×割増率

1時間あたりの賃金額は、その月の給与総額÷月平均所定労働時間によって算出します。

月平均所定労働時間は、以下の計算式で割り出すことができます。

1年間の所定労働日数×1日の所定労働時間×12ヵ月

たとえば年間休日が125日、1日の所定労働時間が8時間の会社なら、(365日-125日)×8時間÷12ヵ月=160時間となります。

1ヵ月の給与総額が30万円、月平均所定労働時間が160時間(8時間×20日間)だった場合、30万円÷160時間=1,875円が1時間あたりの賃金額となります。

固定残業時間は、基本給に加算される時間外労働手当分の残業時間のことです。

労使間で36協定を締結すれば、1日8時間、週40時間という法定労働時間を超えて残業することが可能になりますが、労働基準法第36条5の4では、時間外労働の時間を1月45時間、年360時間までと定めています。

そのため、固定残業時間を定めるときは、1月45時間を超えない範囲で規定しなくてはなりません。

割増率は労働基準法第37条の規定により、通常の労働時間または労働日の賃金の計算額の2割5分以上、5割以下にすることが義務づけられています。

上記の範囲内であれば就業規則に記載のもと、割増率を自由に規定できますが、最低ラインである2割5分を採用する会社がほとんどです。

以上の計算方法をもとに、給与総額30万円、固定残業時間45時間、割増率1.25(2割5分)の場合の固定残業代を計算すると、以下のようになります。

固定残業代=1,875円(1時間あたりの賃金額)×45時間×1.25=10万5,468.75円

1ヶ月間における割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合は、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上1円未満の端数を1円に切り上げて処理します。

上記の場合、50銭以上1円未満の端数が生じているので、1円未満に切り上げ10万5,469円が固定残業代となります。

なお、ここでは割増率を最低ラインである1.25として計算しましたが、、計算の便宜を考慮して固定残業代を微調整することも可能です。

上記の例なら、5,469円を切り上げて、10万6,000円を固定残業代としても良いでしょう。

参照:割増賃金の計算方法|厚生労働省 神奈川労働局
参照:労働基準法|e-Gov法令検索

参照:3.残業手当等の端数処理はどうしたらよいか|厚生労働省 東京労働局

3. 組込型の固定残業代(みなし残業代)の計算方法

電卓で計算する様子

組込型の場合でも、1時間あたりの賃金額と固定残業時間、割増率から固定残業代を計算するところまでは手当型と同じです。

ただ、組込型は基本給に固定残業代を含めて一体型にする方法なので、給与総額から固定残業代を差し引いた、基本給を就業規則等に明示しておく必要があります。

たとえば1ヵ月の給与総額が25万円、月平均所定労働時間が160時間、固定残業時間45時間の場合、固定残業代は以下のように計算します。

固定残業代=25万円÷160時間×45時間×1.25=87,891円(1円未満切り上げ)
基本給=25万円-87,891円=16万2,109円

4. 手当型と組込型、どちらを選べばいい?

AとBで選んでいる様子

ここまで固定残業代の計算方法を2つ紹介しましたが、どちらを選ぶかは企業が任意で選択できます。

ただ、組込型の場合、給与明細には「基本給」としか記載されないため、固定残業代がいくら組み込まれているのかわかりにくいのが欠点です。

また、組込型の計算方法では、給与総額から固定残業代を差し引いて基本給を計算するので、これまで基本給に残業手当を上乗せ支給する方法を採用していた場合、従業員の基本給が減ってしまうことになります。

当然、基本給について定めた就業規則に変更を加える必要がありますが、労働契約法第9条では「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」と定めています。[注2]

基本給の減少は労働者の不利益に該当しますので、固定残業代を組込型で計算する場合、従業員の合意を得る必要があります。

従業員との無用なトラブルを避けたいのなら、組込型よりも基本給に上乗せする手当型を採用した方が無難でしょう。

どうしても組込型を採用したい場合は、なぜ組込型を選んだのかをきちんと説明し、従業員から合意を得ることを怠らないことが大切です。

[注2]労働契約法|e-Gov法令検索

5. 固定残業代(みなし残業代)の超過分の計算方法

電卓で計算して帳簿に記載する

固定残業代制度を導入する場合、就業規則や労働条件通知書には、あらかじめ固定残業時間を明記しておく必要があります。

固定残業時間は、基本的に、36協定の時間外労働時間の上限(月45時間、年360時間)の範囲内で各企業が任意で定めます。[注3]

仮に固定残業時間を20時間とした場合、20時間までの時間外労働賃金は、基本給に上乗せ、あるいは組み込んでいる固定残業代でカバーできます。

ただ、20時間を超えて残業した場合は、従来通り、残業時間に応じた時間外労働賃金を支払わなければなりません。

超過分の残業代は以下の計算式で算出します。

1時間あたりの賃金額×超過分の残業時間×1.25(割増率)

なお、固定残業時間を上限規制いっぱいの45時間に設定していた場合、これを超過して残業させるのは労働基準法違反です。

臨時的な特別の事情がある場合、36協定の特別条項を締結している場合は、例外として月45時間、年360時間の枠を超えて時間外労働に従事させることも可能ですが、それには労働基準法第36条5の5で定める「当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に第三項の限度時間を超えて労働させる必要がある」理由が必要となります。[注3]

単純に「多忙だから」「人手が足りないから」といった理由で時間外労働の上限を超えることは認められないので、日頃から従業員の残業時間を個別に把握しておくことが大切です。

固定残業代制だからと勤怠管理をおこなっていないと、労働基準法で定められた残業の上限規則を超過し、罰則を受ける可能性もあるため、適切に労働時間を管理しましょう。

当サイトでお配りしている無料ガイドブックの「固定残業代制度ルールBOOK|残業代の計算方法や導入する際の注意点を解説!」では、労働時間を適切に管理する方法を紹介しています。

固定残業代制を運用する方法や、導入に際しおこなうべき周知なども解説していますので、こちらから「固定残業代制度ルールBOOK」をダウンロードして、効果的な運用にご活用ください。

[注3]労働基準法|e-Gov法令検索

6. 違法な固定残業代とは

違法になるリスク

固定残業代制は規定さえ守っていれば、法律上全く問題がない給与制度です。ただし、固定残業代制には注意しなければならないポイントも多くあります。

誤った認識で違法な運用をおこなわないよう、違法になってしまうケースを確認しておきましょう。

6-1. 固定残業代と基本給の内訳が明示されていない場合

手当型の固定残業代制では、固定残業代がいくらなのかが明白ですが、組込型の固定残業代制の場合は、基本給とみなし残業時間に対する残業代の内訳を明白にして従業員に周知しなければなりません。

労働基準法第15条では、労働条件の明示が規定されています。

第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

引用:労働基準法第15条|eGov法令検索

組込型の固定残業代制を導入している場合、基本給のうちいくらが通常の賃金で、いくらが固定残業に対する割増賃金分の手当なのかを就業規則や雇い入れ時の労働条件通知書で明記しておかないと、この規定に違反することになります。

6-2. 超過分の残業代を支払っていない

固定残業代はあくまで残業時間を計算の便宜上みなし時間で設定して残業代を支払う制度です。当初みなした想定時間よりも多く残業をおこなわせた場合は従業員に追加で残業代を支払わなければいけません。

未払い賃金は、給料日から3年間さかのぼって請求する権利を労働者に与えられているため、適切に計算せずにいると仮に従業員から未払い残業代の請求を受けた場合の未払い額が、会社の経営に影響を及ぼす金額に上ることもあります。

一方で、従業員の残業時間がみなし時間に及ばなかった場合でも固定残業代を減額することはできません。「一定時間以上残業をしなかった場合には固定残業代を支給しない」などといった付与ルールを設けることも違法になります。

6-3. 残業の上限時間を超過して固定残業時間を設定している

36協定の特別条項を締結している場合でも、残業の上限時間は年720時間です。また、特別条項の締結時でも、月45時間を超えて残業をさせることができるのは年6回までであるため、仮に月50時間の固定残業代を設定し、年間7回50時間の残業が発生してしまうと労働基準法に違反してしまいます。

固定残業時間を月50時間に設定しても、実労働時間が残業の上限時間を超過しなければ違法にはなりませんが、固定残業代を45時間超に設定していると、社外から「ブラック企業」というイメ―ジを持たれたり、それゆえに優秀な人材の獲得が難しくなったりするリスクがあります。固定残業代の上限は45時間以内に設定しておくのが良いでしょう。

関連記事:固定残業代の45時間超が認められる場合と認められない場合をケース別に解説

6-4. 最低賃金を下回る固定残業代が設定されている

固定残業代は基礎賃金に対して2割5分以上の割増率で算出しなければいけません。最低賃金を下回る固定残業代が設定されていた場合は違法になるため、先述の計算方法に則って正しく計算しましょう。

7. 固定残業代の計算に便利なツール

固定残業代を導入すると、残業代計算の手間を大幅に削減できます。しかし、従業員別に固定残業代を算出したり、固定残業時間を超過した分の残業代を計算したりと、固定残業代制の運用には一定の工数がかかるのは確かです。

そのため、固定残業代の計算を簡略化するツールの導入を検討する会社も少なくないでしょう。最も身近なツールとしてエクセルがあります。また、web上には、固定残業代を計算するツールが多数公開されています。

いずれもツールも導入は簡単ですが、基本給や固定残業時間を手入力しなくてはならないため、ミスが起こりやすいというデメリットがあります。より正確性の高いツールを必要とする場合は、給与計算システムがおすすめです。固定残業代に対応したシステムなら、初期設定の情報に基づいて固定残業代を正しく計算できます。

また、固定残業代制の運用には勤怠管理も重要です。従業員の残業時間が固定残業時間を超過していないかを勤怠管理システムなどで正しく管理しておきましょう。勤怠管理システムは給与システムとも連携可能なので、正しい勤怠情報に基づいて給与計算をすることが可能です。

固定残業代制のように新しい取り組みを導入する際は、オペレーション変更時にさまざまなトラブルが生じやすくなります。スムーズに運用するためには、給与管理システムや勤怠管理システムなどのツールの導入を検討しましょう。

8. 固定残業代の計算方法は2通りある!超過分の計算方法もチェックしておこう

問題点を確認する男性

固定残業代は、基本給とは別に手当を支給する場合と、基本給にあらかじめ組み込む方法とで、計算方法が異なります。

就業規則や雇用契約書などに固定残業代の計算方法を記載する場合や、従業員に対して計算方法を説明する場合に備え、それぞれの正しい計算方法を確認しておきましょう。

また、固定残業時間を超えて残業した場合は、その時間に応じた残業代を別途支給する必要があります。

超過分の計算方法を調べておくのはもちろん、勤怠管理システムなどを導入して、誰がどのくらい残業時間を超過したのか正確に把握できる体制を整えておくことが大切です。

また、給与計算システムと連携し、法令を遵守した運用を徹底しましょう。

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