タイムカードの集計は、従業員の給与を計算するために必要な業務です。タイムレコーダーで記録した勤務時間を集計し、従業員の給与を計算します。
タイムカードを集計する方法は、無料でおこなう方法と有料でおこなう方法の2種類あります。
今回は、タイムカードを無料で集計する方法と、有料で集計する方法をご紹介します。
働き方改革が始まり、「タイムカードの集計工数を削減したいけど、どうしたらいいかわからない・・」とお困りの人事担当者様も多いでしょう。そのような課題解決の一手として検討していきたいのが、勤怠管理システムです。
勤怠管理システムの導入には、以下のようなメリットがあります。
・多様な打刻方法により、テレワークなどの働き方に柔軟に対応できる
・リアルタイムで労働時間を自動で集計できるため、月末の集計工数が削減される
・ワンクリックで給与ソフトに連携できる
目次
1|無料でタイムカードを集計する方法

タイムカードの集計は自分でおこなうことが可能です。コツさえ掴んでしまえば、すぐにできるようになる計算方法もご紹介します。
また、給与構成について時間内労働と時間外労働をそれぞれ集計して給与をまとめることになるので、ダブルチェックがしやすい手法であるともいえるでしょう。
1-1|エクセルのテンプレートを使って集計する
無料でタイムカードを集計する方法には「エクセルのテンプレート」を用いて集計する方法があります。
テンプレート内に関数やマクロが設定されているので、従業員に入力作業だけをしてもらえれば、あとはその結果を集計シートにまとめていくだけで、書式の統一と部署ごとの集計を容易になります。
利用時における注意点としては、Excelの関数入力欄を誤って操作して、マクロを壊して集計ができなくなる事態や従業員のシートからの転記ミスがあげられますが、ダブルチェックや経理におけるExcel記入欄の共有を通じてミスを防ぎましょう。
おすすめのエクセルテンプレート
こちらのテンプレートでは「残業割増」「深夜勤務割増」「休日勤務割増」「休日深夜勤務割増」を分けて算出することが可能です。
通常勤務に加えて、その他の勤務も発生しそうな業種においては正確な残業時間を把握することに適したツールとなっています。
さらに、休憩時間も自動的に控除できる設定となっているのでいちいち時間を再計算する必要はありません。
昨今の過重な労働による従業員の自殺や残業時間の徹底管理が働き方改革で訴えられている中で、有用なツールといえます。
1-2|フリーのWebサイトを用いて集計する
無料の方法には「フリーのWebサイト」を用いた方法もあります。今回は「勤務時間」「勤務開始時刻」「休憩時刻」「退社時刻」を入力すれば、どれだけの勤務時間・残業時間があったか、また遅刻の有無を計算することができます。
2|有料でタイムカードを集計する方法

2-1|集計機能付きタイムレコーダーを用いて集計する
有料ツールの代表例としてはタイムレコーダーによる時刻記録と自動集計があげられます。
機械を購入し対応するタイムカードを活用するだけで印字と集計が可能になる機能がついています。
さらに発展したタイプでは、給与計算ソフトと連動して印字した後に給与ソフトへ勤怠データが入力され給与計算も自動でおこなうものもあります。
タイムレコーダー給与計算連動モデル:TimeP@CKⅢ100(AMANO)
このタイプのタイムレコーダーは打刻された勤怠データの取り込みから集計までパソコンと連動させて作業することが可能です。
1台で100名までの打刻と記録ができ、複数の締日にも対応できます。万が一打ち間違いや打ち忘れが発生してもCSVデータを出力できるので後日修正可能です。
しかも、拠点が分かれていてもSDカードとCDで入力データのバックアップが可能で後日人事部でまとめて集計が可能となります。やや値段が張ってしまうのが難点ですが、コストに見合った集計とデータ保管をしてくれるので費用対効果は高いといえるでしょう。
価格:89,420円(税込)
勤怠管理システムを用いて集計する
会社の規模が大きくなるに連れて、タイムカードの集計はツールを使ったとしてもかなりの時間がかかってしまうことがあります。
集計をするツールに金額をかけるのであれば、タイムカードの代わりになる勤怠管理システムを利用するのも1つの方法かもしれません。
打刻から、集計、給与計算ソフトとの連携まで自動でおこなうことができるので、タイムカードを利用する以上のメリットがあります。
クラウド型勤怠管理システム:jinjer勤怠(ネオキャリア)
jinjer勤怠は、マルチデバイスに対応した勤怠管理システムです。
タイムレコーダーを活用しての勤怠管理では「打刻」「集計」「エクセルへの入力業務」などに長時間、労力をかける必要があります。
jinjer勤怠を活用すれば、タイムカードの集計のみならず、人事担当者の管理業務を一貫しておこなうことができます。
さらに、場所を選ばないスマートフォンやタブレットを活用した打刻でも位置情報を管理し、簡単な申請作業を導入することで、不正打刻を防止することも可能です。
また、従業員の勤怠データは自動的にクラウド上に反映され、ブラウザ上での管理、エクセルシートへの自動反映ができるので、給与システムなどへの連携も簡単におこなうことができます。
【料金】
初期導入費:100,000円~
1ユーザーあたり:300円/月
無料トライアル実施中
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3|このような場合どうする?タイムカードを集計する際に覚えておきたいこと

最後に、タイムカード計算の実務面における留意点を紹介します。意外と見落としているポイントがあるので、足元をすくわれないようにしましょう。
3-1|タイムカードの残業時間15分単位の切り捨ては違法
毎日発生する時間外労働に対しての四捨五入や切り捨ては違法です。
なぜなら、労働基準法にて労働で働いた時間への対価として賃金を払うことが原則となっており、かつ時間外労働に対しては割増賃金を支払うルールとなっているからです。
根拠条文(内容要約)
- 労働基準法第24条
「賃金は、原則として、その全額を労働者に支払わなければならない」 - 労働基準法第37条
「時間外労働、休日労働および深夜労働に対して、割増賃金を支払わなければならない」
では、実務的にどうすればよいかというと、集計後に1ヶ月間の時間外労働の合計時間が30分未満であればそれを0分とし、30分以上であればそれを1時間として計算する処理が可能となります。
なぜなら、事務の利便性を上げるための例外措置として、割増賃金計算における端数処理で次の取扱いをすることが認可されているからです。
割増計算における端数処理の例外規定
- 1か月の労働時間総数に端数が生じた場合:
時間外労働・休日労働・深夜労働の合計から30分未満の端数を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げることが可能 - 1時間あたりの賃金額/割増賃金額に円未満の端数が生じた場合:
50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上を1円に切上げ可能
- 1か月での割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合:
50銭未満の端数を切捨て、50銭以上を1円に切上げ可能
繰り返しになりますが、残業時間の端数処理の基本は15分ではなく、30分ということを留意しておきましょう。
割増賃金を支払わないと、罰金30万円(労働基準法24条規定)と未払い賃金をまとめて支払うことになってしまうので注意しましょう。
何よりも重要なのは、従業員に過重な時間外労働を強制しないホワイトな職場作りであることも念頭に入れましょう。
3-2|5分の遅刻を30分の遅刻と同じ扱いにして給与計算することは違法
25分の労働時間カットは労働基準法24条に違反するので、違反となります。しかし、遅刻に対する制裁として減給制度を設けるのであれば、労働基準法91条の制限内であれば可能です。規定は次の通りです。
・1回分の減給額が平均賃金の1日分の半額を越えてはいけない。
・減給の総額が賃金支払い時期(月給)における賃金総額の10分の1を越えてはいけない。
遅刻に対する減給にも限度があることを留意しつつ、ルールを整備しましょう。
4|まとめ
タイムカードの計算について、有料・無料のツールと自分でできる集計方法をまとめました。
やや手間はかかってしまいますが、Web上にあるエクセルのテンプレートを有効活用して、自前で集計することができます。
ツールを使えば、早く手間も掛からず労働時間と時間外労働を集計することも可能です。
タイムカードの集計方法を決める際には、それぞれのツールの利点と自社の実情が合っているかを点検することが重要です。
たとえば、10人未満の少人数なのに何万円も掛かってしまうツールを導入するのはコスト的に見合わないでしょう。
最も費用対効果高くかつ迅速に従業員やパートのタイムカードを集計できるか考えるといいでしょう。
本記事をご覧頂き、タイムカード導入の比較検討時における1つの視点として頂ければ幸いです。
(監修:社会保険労務士 石原 昌洋)
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