
こんにちは。社労士の小西広宣です。
今回はタイムカードの保管の重要性についてご紹介します。
労働基準法では、使用者(会社)に書類の保管義務を設けています。そのうち、労働時間を管理するための記録(タイムカード等)については、記録が完結してから3年間の保管義務があります。
例として、平成29年4月1日~30日までの1ヶ月分の記録については、会社側は平成29年5月1日から平成32年4月30日までの3年間は保管する義務があるのです。この保管義務に違反した場合、30万円以下の罰金が科せられる場合があります。
タイムカード保管の重要性

また、タイムカードを少なくとも法定期間内は保管しておくのは、会社自身を守るためにも重要です。
未払い残業代のトラブルが起きた時、保管しておいたタイムカードは、残業時間を算定するための重要な記録となります。実際、裁判でも保管しておくべき期間内のタイムカードを会社側が提示できなかったため、会社が敗訴したケースもあります。
スタジオツインク事件という裁判(東京地裁 平成23年10月25日判決)では、会社側が法定保管期間内のタイムカードを破棄していたため、労働者側が自ら記録していた勤務時間の記録を覆すだけの証拠を出すことができず、この部分については会社が敗訴しています。
このような例もあるため、法定保管期間内のタイムカードは、保管をしていつでも提示できるような状態にしておくことが大切です。
有効なタイムカードの保管方法

タイムカードと言っても、物理的に打刻しているケースや、Webによる打刻、PCのログイン、ログアウトの時刻を勤務時間とするケースなどいろいろあると思います。
Webによる打刻や、PCのログイン、ログアウトの時刻を使う場合は、その記録をいつでも印刷しておける状態にしておけば大丈夫でしょう。
物理的に打刻しているケースでは、紙のカードが溜まってしまいますが、段ボールに入れて保管する、また可能であればスキャンなどでデータ化して保管するのも手です。
なお、紙のものを保管するときは、いつのタイムカードかがすぐにわかるようにしておくことが大切です。段ボールに入れて保管するのであれば、同じ期間のものをまとめて、段ボールの外側にいつのものかを書いておくべきですし、データ化する場合も、フォルダやファイル名でいつのものかが一目でわかるようにしておくことが求められます。
これは、労働時間の記録の提示を求められた際、スムーズに提示できるようにするためです。
会社自身を守るためにも
現在は、未払い残業代について労働者の権利意識も高まっています。退職した社員から未払い残業代を請求された際、感情的になって払いたくないという場合もあると思います。
しかし、一円も払いたくないと考えて法定保管期間内のタイムカードを破棄してしまうと、法律違反となるだけでなく、労働者側が自分でつけた記録に対して反証することができなくなるため、かえって会社にとって不利な結果となってしまいます。
現在「働き方改革」で残業についても規制を強化する方向で進んでいますので、最低限タイムカードを法定期間内は保管しておくようにしておきたいですね。