突然ですが、“エンゲージメント”という言葉をご存じでしょうか。
従業員のエンゲージメントの向上は企業にとって非常に大切なことです。
本記事では従業員のエンゲージメント向上のメリットや、向上にむけた具体的な取り組みについてご紹介いたします。
関連記事:エンゲージメントとは?│ビジネス上の意味や向上させるメリットについて解説!
目次
1.エンゲージメントとは?
“エンゲージメント”とは「契約」「約束」という意味がありますが、人事領域においては従業員が「企業が目指す方向性に共感し、自発的に貢献したいと思う気持ち」のことを指します。
「従業員の企業に対する信頼の度合い」とも言い換えられ、企業と従業員の関係を表現する言葉として使われています。
2.従業員のエンゲージメントを向上させるメリット
従業員のエンゲージメントを向上させることは、企業にとって様々なメリットがあります。
その中でも今回は3つ紹介します。
【メリット1】離職率の低下
退職を考えている従業員には
“経営方針に共感できない”
“人間関係が上手くいっていない”
など企業や従業員に対して何かしらの悩みを抱えています。
しかしエンゲージメントの高い従業員はこのような悩みが比較的少なく、自社への貢献意欲に溢れています。
従業員の企業に対する帰属意識や愛社精神を高めることで、自社への存在価値を見出すことができるため、離職率の抑制に繋がります。
【メリット2】従業員のモチベーションが高まる
従業員のエンゲージメントとモチベーションは非常に密接な関係にあります。
エンゲージメントが高いとは、仕事に対する貢献意識があり、仕事に対して前向きな気持ちを抱けている状態です。
「組織と従業員の縦の関係」「従業員同士の横の関係」の双方で良好な関係を築けているとモチベーションの維持、生産性の向上へと繋がります。
【メリット3】顧客満足度が向上する
従業員エンゲージメントが高いことで、従業員は自分の仕事に対して意義を見出すことができ、こだわりを発揮しやすい状態になります。
従業員の取り組みが前向きになると、提供する商品やサービスの品質も高まりやすくなります。
結果として顧客満足度に繋がり、企業の信頼度も向上します。
従業員が自発的、積極的に仕事に取り組むことで、企業の品質やサービスが向上します。
3.従業員のエンゲージメントを高める具体的な方法
従業員のエンゲージメントを向上させることで従業員の働きがいを見出せるだけでなく、社会における企業の信頼度向上にも関係し、従業員にとっても企業にとっても良いことばかりです。
以下では従業員のエンゲージメントを高める具体的な方法について紹介します。
【方法1】会社の理念やミッションの共有
従業員が企業の方向性を理解し、共感度が高いほど「企業に貢献したい」という思いは強まります。
企業側は従業員が理解しやすいよう、理念やビジョンを明確にすることが大切です。
キックオフミーティングや社内報、企業の目指す姿などをまとめた「ブランドムック」を用いることでスムーズに従業員に周知することが可能になります。
【方法2】社内コミュニケーションの活性化
日常的に上司や部下、同僚同士のコミュニケーションが活発に行われていると、互いに意見を言いやすい環境が自然と出来上がります。
しかし、仕事に関する悩みや相談がしにくい環境になってしまっていると、仕事に対するモチベーションが低下してしまい、会社に対する貢献意欲も低下してしまいます。
従業員同士のコミュニケーションを活発化させるための施策として、社内イベントの開催やマネジメント方法の見直しが挙げられます。
社内イベントにコミュニケーションを取ることを求めたり、社内の人間関係を広げられるような仕掛けを施したりすることで、コミュニケーションの活発化を図ることができます。
また、上司と部下の対話を意識したマネジメントをおこなうことで、従業員同士のエンゲージメント向上につながります。特に「リアルタイムフィードバック」など高い頻度で上司とやり取りをするマネジメント方法は、従業員間での理解を深めることにもつながります。
関連記事:エンゲージメント向上にむけたマネジメント方法の紹介
【方法3】ワークライフバランスの推進
働く上では心身の健康を保つことが大切になってきます。
働き方の多様性を取り入れることは精神の健康に繋がり、エンゲージメントの向上にも繋がります。
具体的な施策として、
計画的付与:事前に有給休暇の取得日を決められる
ノー残業デー:残業しない日(曜日)を設ける
などがあります。
【方法4】適切な人事評価の実施
経営理念や行動方針を浸透させ、エンゲージメントを向上させるためには、適切な人事評価制度が欠かせません。
成果だけを評価するのではなく、「成果に至るまでのプロセス」や「仕事に対する姿勢」などを評価基準に加えることでより精度の高い評価システムになり、従業員の仕事に対する積極性や意欲を高めることができます。
具体的な評価制度の1つに1on1ミーティングの実施が有効です。
1on1ミーティングは複数人が参加する通常のミーティングでは気づくことの出来ない従業員1人1人の特性を見抜くことができるため、従業員は質の高いフィードバックが得られます。
関連記事:1on1ミーティングとは?期待される効果や運用時のポイント、7社の事例をご紹介
【方法5】エンゲージメント研修の実施
エンゲージメント研修は従業員のエンゲージメントを高める手段の1つです。 研修を行うことで従業員の仕事に対するワクワク感や幸福感、働きがいの向上、従業員の会社に対する愛着や貢献の意思をより深めることに繋がります。
関連記事:エンゲージメント研修とは?|メリットや注意点、事例について詳しく解説!
4.エンゲージメントの向上に成功した企業事例
これまでエンゲージメントの具体的な向上方法について紹介しました。
ここではエンゲージメントの向上に成功した企業の事例について紹介します。
【事例1】スターバックスコーヒージャパン株式会社
スターバックスコーヒーは2007年頃、従業員のエンゲージメントの低下が原因で業績が悪化していた過去がありました。
2000年に当時CEOを勤めていたハワード・シュルツ氏がこの状況を見かねて、CEO職に復帰し、従業員のエンゲージメントを高める行動に尽力しました。
具体的には従業員に経営方針や従業員の行動基準を理解してもらうため、スターバックスで働く上での「個人の成長目標」の設定や働きぶりを従業員同士で相互評価しあう制度などを設けました。
その結果従業員に主体性が生まれ、エンゲージメントや業績が向上し、コロナ禍においても黒字の利益を出すことに成功しています。
【事例2】株式会社小松製作所
小松製作所では2011年から従業員のエンゲージメント向上に向けた取り組みを開始し、翌年の2012年から企業理念や経営方針が伝わるよう、マネージャー職の従業員に向けた研修やワークショップなどを実施しました。
現場の従業員ではなくマネージャー職の従業員に研修やワークショップを行った理由として、現場の従業員のエンゲージメントを高めるには、直属の上司の働きかけが重要だと考えたからです。
マネージャー職の従業員は研修で学んだことを現場で実践することでエンゲージメントの向上に努め、結果としてエンゲージメントスコアは約2倍になり、離職率の低下にも繋がりました。
5.【ポイント】エンゲージメントの向上に失敗しないためには
従業員のエンゲージメントを高める具体的な方法として3点挙げましたが、取り組みを実行に移す前に、まずは現在の従業員のエンゲージメントの実態を把握することが大切です。
従業員のエンゲージメントの度合いを測定する“エンゲージメントサーベイ”を行うことで、現状を把握・分析が可能になります。
分析結果を基に、取り組みを行うことで従業員に対して適切なアプローチを行えます。
ここで大切なのは、エンゲージメントの向上はすぐに効果が出るものではないため、長期間に渡り継続して実施する必要があります。
そのため定期的にエンゲージメントサーベイを実施し、毎回の調査結果に応じて取り組みを柔軟に変更することで、従業員のエンゲージメント向上が実現可能になります。
エンゲージメントサーベイの詳細はこちら!
https://hrnote.jp/contents/soshiki-engagement-survey-20220909/
6.まとめ
今回は従業員のエンゲージメントの向上のメリットや向上における具体的な施策について紹介しました。
従業員のエンゲージメントを向上させるには少し時間はかかりますが、高めることで様々なメリットが得られます。
まずは一度エンゲージメントサーベイを行い、企業の実態について知ることから始めてみるのはいかがでしょうか。