有給休暇日数の繰越とは?上限や計算方法などわかりやすい例を紹介

年次有給休暇は一定の基準を満たした全ての労働者に一定日数が付与されます。しかし、1年間で付与された全ての有給休暇を消化できないこともあります。

そういった場合には、有給休暇を翌年度に繰越することができます。こちらでは、有給休暇の繰越についてわかりやすく解説します。

1. 有給休暇の繰越とは

有給休暇の繰越 有給休暇の繰越とは、1年間で付与された有給休暇を従業員が消化できなかった際に、翌年度に残日数を繰り越すことです。有給休暇には有効期限があるため、繰り越す際には注意が必要です。

1-1.有給休暇の繰越は2年以内なら可能

有給休暇の有効期限は付与されてから2年間です。労働基準法第115条では、年次有給休暇の請求権は2年で消滅すると定められているため、2年以内であれば、有給休暇は繰越すことが可能です。
参考:労働基準法|e-Gov 法令検索

1-2.有給休暇の繰越をしない場合は違法になる

労働基準法で年次有給休暇の請求権が定められており、有給休暇を取得することは労働者の権利であるため有給休暇が全て消化できなかった場合、有給休暇の残日数を翌年度に繰越さなければ、違法となります。

会社の就業規則に1年間で有給休暇が消滅するなどといった記載があったとしても、それは法律に反しているため、無効となります。

2. 有給休暇の繰越日数の上限について

有給休暇の繰越日数をカレンダーで確認中こちらでは、有給休暇の繰越日数の上限について解説します。

2-1.繰越日数の上限はある?

有給休暇の繰越日数に上限はありません。付与されてから1年のうちに取得できなかった年次有給休暇は、全て翌年に繰り越すことができます。しかし、有給休暇には2年間の期限があるため、有給休暇を繰越しできる日数は、その年に付与された有給休暇と同じ日数です。

勤続年数によって有給休暇の付与日数が異なるため、繰越日数の上限も異なります。

例)6年半以上勤続した従業員の場合
一年に付与される有給休暇日数は20日なので、繰越できる日数は20日となります。

2年間の保有期限を過ぎた有給休暇は消滅してしまうため、注意が必要です。
繰越には期限があるため、企業は従業員が有給休暇をため過ぎていないか確認する必要があります。

2-2.保有できる最大の有給日数は?

保有できる最大の有給日数は、前年度の繰越日数と今年度の有給休暇の日数の合計日数です。

例)6年半以上勤続した従業員が保有できる最大の有給日数
前年の有給休暇 繰越日数20日+今年の有給休暇 付与日数20日=40日

勤続年数に応じて有給の付与日数は増えていきますが、法定通り年次有給休暇を付与した場合は最大で20日になります。そのため、保有できる日数は最大で40日となります。
ただし、法定よりも多く有給休暇を付与している場合は、最大保有日数は40日よりも多くなります。

3. 有給休暇繰越のわかりやすい計算方法の例

繰越有給休暇の計算方法有給休暇繰越の計算方法は、
①当年の取得日数>前年の繰り越し日数の場合
前年の有給休暇繰越日数ー当年の取得日数+当年の付与日数=当年の繰越日数です。

②当年の取得日数<前年の繰り越し日数の場合
当年の付与日数=当年の繰越日数です。

前年から繰り越した有給休暇から取得していくことが一般的であるため、前年の有給休暇繰越日数が当年の有給休暇取得日数を上回っていた場合、残った前年度分の繰越日数は時効を迎えてしまい、当年の付与日数が繰越日数となります。

例)前年の繰越日数が10日で、勤続年数2年半の従業員が今年6日間有給を取得した場合

これは当年の有給休暇繰越日数が取得日数を4日上回っているため、4日分の有給休暇が時効を迎え、繰越日数は12日となります。

4. そもそも労働基準法が定める有給休暇の付与条件や日数とは

卓上カレンダー繰越日数を計算するためには、有給休暇の付与条件や日数を把握する必要があります。ここでは、有給休暇の付与条件や付与日数について解説します。

4-1. 法律で定められた有給休暇の付与条件

労働基準法で定められた有給休暇の付与条件は以下の通りです。

  • 雇入れの日から起算して労働者が6カ月継続して勤務している
  • 全労働日の出勤率が8割以上

労働日とは、法定休日と所定休日を除いた日です。出勤率は出勤日÷労働日で算出し、業務で発生した怪我や病気を理由とする休業期間、育児・介護休業の期間は全て出勤日としてカウントします。

上記2つの付与条件を満たしていれば、正社員のみならず、パート・アルバイトなどの非正規雇用者にも有給休暇が付与されます。

参考:年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。|厚生労働省

4-2. 法律で定められた有給休暇の付与日数

労働基準法で定められたフルタイム労働者の有給休暇の付与日数は以下の通りです。

パート・アルバイトなどの非正規雇用者は週所定労働日数に応じて、以下のように日数が比例付与されます。

使用者は最低限この日数を労働者に付与する義務があり、付与せずにいると労働基準法に違反することになり、罰則が与えられます。

参考:年次有給休暇とは|厚生労働省

4-3. 会社独自の有給休暇を設けることも可能

労働基準法はあくまで使用者が守るべき最低限の義務です。そのため、最低限の有給日数以上の有給休暇を会社独自で付与することには何の問題もありません。また、有給休暇の付与時期を早めることも可能です。

しかし、その場合は注意が必要です。1回目の有給休暇を付与した日のことを基準日といいます。有給休暇を前倒して付与した場合、最初に有給休暇を付与した日が基準日となり、労働者が勤続した場合、1年ごとにその基準日に有給休暇が付与されます。
使用者が確認すべきなのは、最低限の労働基準法を守れているかという点です。

5.   2019年の法改正に伴って5日間の有給休暇取得が義務化

法律の本2019年の労働基準法改正に伴って、年次有給休暇が10日以上付与される労働者を対象に、有給休暇付与日から1年以内に5日間の有給休暇を取得することが義務付けられています。

この法改正によって、企業には従業員が1年間で5日の有給休暇を取得しているかどうかを確認しなければならなくなりました。対応できていない場合、労働基準法に違反することになるので、注意が必要です。

有給休暇の管理は確認すべき事項が多く、担当者の思わぬ負担となります。その上、法律違反になっていないかという確認も必須となります。当サイトでは、法律に則った有給休暇の管理方法をわかりやすく紹介する資料を無料で配布していますので、自社の運用が正しく行われているかどうか確認したい方は、こちらからダウンロードをしてご確認ください。

5-1. 繰越分から年5日を消化しても問題ない?

年次有給休暇を取得する際には原則繰り越し分から消化します。就業規則で有給休暇は当年分から消化すると定められている場合はこの限りではありません。取得義務が定められている年5日の有給休暇は、繰越し分の有給休暇から取得しても問題はありません。

5-2. 年5日の有給取得義務への対応

年5日の有給取得義務に対応するためには、各企業で工夫を施す必要があります。
具体的な対応としては、年次有給休暇取得計画表を作成し、時季指定や事前に労使協定を締結して計画年休を導入するなどが多く見られます。

有給休暇の取得時季指定とは、企業側が1年以内に有給休暇を5日取得していない従業員の有給取得日を決めるものです。

参考:年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説|厚生労働省

5-3. 法違反となるケース

以下の2つのケースは、いずれも法違反となります。

①年5日の有給休暇を取得できない労働者が一人でもいた場合
②年5日の有給休暇を時季指定はしたが完全に取得していない場合

企業は有給休暇の時季指定をするだけでなく、有給休暇付与日から1年以内に5日間の有給休暇を実際に取得までさせないといけません。これができていない場合も法違反となります。

法違反が認められた場合、労働基準監督署から労働者の有給取得に向けて指導が行われるため、企業は改善を図る必要があります。 

6.有給休暇の繰越や付与日数について理解しよう

有給休暇の繰越について理解する従業員有給休暇は労働基準法によって労働者に認められた権利です。同時に使用者は労働者に有給休暇を付与する義務があります。

そのため、使用者は労働者の有給休暇の繰越や付与日数を正確に理解する必要があります。
2年以内であれば、有給休暇は繰り越すことができます。2年を超えてしまうと消滅するため、有給休暇は計画的に消化することが大切です。

有給休暇の取得しやすさは、企業の労働環境の良さを判断するにあたって重要な指標となります。適切に有給休暇を管理し、従業員が有給休暇を取得しやすい労働環境の整備を行って行きましょう。

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