雇用契約書の保管期限とは?電子化して管理するメリットや注意点も解説 |HR NOTE

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雇用契約書の保管期限とは?電子化して管理するメリットや注意点も解説

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雇用契約書は、雇用する側と労働者間とで雇用に関する合意を証明する書類です。他の人事関連の契約書と同様、雇用契約書においても保管期限が定められており、従来から紙で保管されることが一般的となっていました。

しかし、近年、紙で契約書を保管することに対してさまざまなリスクが懸念されていることから、契約書を電子化した管理に注目が集まっています。今回は、雇用契約書の法律上の保管期間、電子化する方法やメリット、注意点について解説していきます。

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1. 雇用契約書の法律上の保管期間

雇用契約書の保管期限は、労働基準法第109条により5年間と定められています。違反すると、30万円以下の罰金の罰則を受ける恐れがあります。そのため、適切な方法での管理が求められます。

(記録の保存)
第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。

引用:労働基準法第109条 | e-Gov法令検索

なお、経過措置が設けられているので、現状は3年間の保管でも問題ありません。しかし、経過措置が終了したら5年間に切り替わるため、できる限り5年間保管しておくことが推奨されます。

関連記事:雇用契約書の保管期間は5年!経過措置の内容やほかの書類についても紹介

1-1. 雇用契約書の管理方法

雇用契約書の一般的な管理方法として、契約書類を紙面に印刷し、台帳を作って管理、その後保管期限を待って破棄するという方法があります。しかし、従来からおこなれている紙媒体での管理方法では、期限を過ぎたまま契約書を保管したままにしているケースも多いです。また、セキュリティリスクやコストなどの問題点もあります。このような課題を解消するため、紙の雇用契約書と同等の効力を持つ、電子化された雇用契約書の利用が注目されています。

1-2. 雇用契約書と労働条件通知書の違い

雇用契約書と似た書類に「労働条件通知書」があります。労働条件通知書と雇用契約書の記載内容はほとんど同じです。しかし、労働条件通知書は、労働基準法第15条によって、交付しなければならないと決められています。

(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

引用:労働基準法第15条一部抜粋|e-Gov

一方、雇用契約書の交付については、法律で定められていません。しかし、双方が合意したかどうかを証拠として残していないと、従業員とトラブルが生じたときに、企業側が不利になる可能性があります。そのため、雇用契約書を発行して、従業員に署名・捺印してもらうことが大切です。

関連記事:雇用契約書が持つ法的効力とは?労働条件通知書との違いを詳しく紹介

1-3.【注意】2024年4月より記載事項が追加される

2024年4月から法改正により、労働条件通知書の記載事項が追加されます。追加事項は、次の通りです。

引用:令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます|厚生労働省

労働条件通知書と雇用契約書を兼用している場合などは、対応しなければ法に違反することになります。厚生労働省が公表しているひな形・テンプレートや記載例を活用して、法改正にきちんと対応することが大切です。

関連記事:労働条件通知書とは?ない場合の違法性や雇用契約書との違い、テンプレートなどを紹介

2. 雇用契約書を電子化して管理するメリット

2019年4月から法改正により、労働条件通知書の電子化が解禁されました。これにより、労働条件通知書や雇用契約書を電子化したいと考える企業も増えています。雇用契約書を電子化して管理するメリットには、次の4つが挙げられます。

2-1. 人材採用がスピーディーになる

雇用契約書を電子化することで、人材の募集から雇用契約の締結までの一連の流れをスピーディーに進められます。そのため、優秀な人材をいち早く採用したい、という採用担当者の狙いにも合致したものとなります。

2-2. 契約更新時の業務効率がアップする

従業員の契約更新をする場合にも、電子化された雇用契約書を利用することで、効率アップが期待できます。従来の紙書類でおこなっていた印刷・押印作業の手間、また、電子化による作業簡略化によるミスも削減できます。

2-3. 書類のコスト削減が可能となる

紙書類で保管する場合、印刷代や用紙代、郵送料などのコストも必要になります。また、保管する書類が多くなればなるほど、書類保管に要するスペース代もかかってきます。しかし、電子化して管理することにより、ここで挙げたコストに関してはすべて不要になります。

2-4. リモートワークが推進しやすくなる

書類の電子化をはかることで、従来必要とされた書類の押印作業が不要となり、リモートワークを推進しやすくなります。また、リモートワークを推進することで、全国各地からさまざまな人材を集めることが可能となり、結果的に優秀な人材と出会えるチャンスも広がります。

関連記事:雇用契約書と労働条件通知書の違いについて電子化の可否もあわせて徹底解説

3. 雇用契約書を電子化する方法・流れ

雇用契約書を電子化するには、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。ここでは、雇用契約書の電子化方法の流れを紹介します。

3-1. 雇用契約書の作成・交付に関する課題を洗い出す

まずは雇用契約書の作成・交付に関する自社の課題を洗い出しましょう。たとえば「コストがかかっている」「管理に時間や手間がかかる」などが挙げられます。課題から目的を明確にすることで、雇用契約書の電子化をスムーズに進めることができます。

3-2. 電子契約サービスを選定する

電子契約サービスとは、紙の契約書の代わりに、Web上で電子ファイルを利用して押印・署名をおこない契約ができるサービスです。電子契約サービスには、さまざまな種類があります。料金や機能、サポート、セキュリティなどの観点から複数のツールを比較したうえで、自社のニーズにあった電子契約サービスを選定しましょう。

関連記事:電子契約サービス比較22選|選定ポイントや機能・コスト一覧表を紹介!

3-3. 社内ルールや業務フローを変更する

電子契約サービスを導入する場合、これまでの社内ルールや業務フローでは対応できない可能性があります。そのため、社内ルールや業務フローの見直しをおこない、必要に応じて変更しましょう。また、変更した場合、混乱を招かないよう、従業員にきちんと周知することも大切です。

3-5. 雇用契約書を電子化して運用する

電子契約サービスの導入、社内ルール・業務フローの変更が実施できたら、実際に雇用契約書の電子化を始めてみましょう。定期的に見直しをおこない、課題があったら改善することで、施策の効果を高めることができます。

4. 雇用契約書を電子管理する際の注意点

ここでは、雇用契約書を電子化して管理する際の注意点について詳しく紹介します。

4-1. 電子帳簿保存法に注意する

電子カして雇用契約書をやり取りする場合、電子帳簿保存法の「真実性」「可視性」といった要件を満たす必要があります。電子帳簿保存法の要件を満たしてない状態で、雇用契約書を電子化すると、契約書としての効力が認められない恐れもあります。また、企業側だけでなく、従業員側にも電子帳簿保存法の注意点を周知すること大切です。

関連記事:電子帳簿保存法における要件は?具体的な保存方法も紹介

4-2. 雇用契約書の電子化要件に気を付ける

労働条件通知書の電子化が解禁されましたが、電子化するには下記のような要件があります。

  • 労働者が希望する場合のみ電子化が認められる
  • プリントアウトが可能な方法で電子交付する
  • 本人のみが閲覧できる状態で交付する

雇用契約書には上記のような要件は明確に規定されていません。しかし、雇用契約書も労働条件通知書の電子化要件を満たして交付するのが望ましいです。また「労働条件通知書兼雇用契約書」を電子化して交付する場合は、必ず電子化要件を遵守する必要があります。

法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める方法は、労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付とする。ただし、当該労働者が同項に規定する事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができる。
一 ファクシミリを利用してする送信の方法
二 電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この号において「電子メール等」という。)の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)

引用:労働基準法施行規則第5条一部抜粋|e-Gov

関連記事:労働条件通知書を電子化するメリットと具体的な手順を解説

4-3. 管理監督者やパート・アルバイトでひな形を変える必要あり

雇用契約書は採用する従業員に応じて、ひな形・テンプレートを変えたうえで、作成する必要があります。

新しく雇用する従業員が「管理監督者」に該当する場合、労働基準法の労働時間や休憩、休日などの規定が適用されません。なお、「管理監督者」とは「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」と定義されています。管理監督者かどうかは、次のような事情を考慮したうえで判断されます。

  • 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること
  • 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有しているこ
  • 現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものであること
  • 賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること

引用:労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために|厚生労働省

そのため、管理監督者向けの雇用契約書を作成する際は、上記の要件を満たすよう作成することが大切です。

また、正社員だけでなく、パート・アルバイトとも雇用契約を結ぶため、雇用契約書を交付する必要があります。パート・アルバイトの場合、下記のパートタイム労働法第6条の要件も満たさなければならないので注意が必要です。

(労働条件に関する文書の交付等)
第六条 事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該短時間・有期雇用労働者に対して、労働条件に関する事項のうち労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十五条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものであって厚生労働省令で定めるもの(次項及び第十四条第一項において「特定事項」という。)を文書の交付その他厚生労働省令で定める方法(次項において「文書の交付等」という。)により明示しなければならない。

引用:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)第6条|e-Gov

労働条件通知書のひな形は、厚生労働省「様式集」からダウンロードすることができます。労働条件通知書のテンプレートを活用することで、効率よく雇用契約書も作成することが可能です。

関連記事:雇用契約書の書き方とは?明示しておくべき事項を詳しく紹介

5. 雇用契約書を電子化する際のポイント

電子契約サービスを利用して、雇用契約書を電子化する際には、以下5つの点に注意するとよいでしょう。

5-1. 契約書のどの段階までを電子化するかを決める

雇用契約書を電子化する場合、契約書のどの段階までを電子化するのかを検討したうえで、サービスの導入を検討するとよいでしょう。電子化する目的やどの範囲まで電子化をおこなうかを明確にして、サービスを導入すると、自社の目的に合った電子契約サービスを選択できます。

5-2. どのレベルの電子契約サービスを利用するかを考える

自社で導入する電子契約サービスに対し、どのレベルまでの機能を求めるのか、あらかじめ決めておくのがおすすめです。電子契約サービスの中には、契約書の作成だけでなく、タスク管理やシステム連携などの機能、契約書のスキャン機能を備えているものもあります。電子契約サービスを選ぶ際には、必要なサービスが過不足なく提供されているものを選ぶようにしましょう。

5-3. サービスの本人確認方法を検討する

電子契約書で利用する本人確認の方法には、電子サインや電子証明書があります。電子サインと比較し、電子証明書のほうがより本人性の担保に有効という特徴があります。自社の認証ルールと照らし合わせたうえで、最適な方法を選択するようにしましょう。

5-4. 入社する人への周知方法を検討する

雇用契約書の電子化については、入社してくる人に対しても、あらかじめ周知しておきましょう。サービスの仕組みや操作のマニュアルなどを事前に用意しておくと、ITに苦手意識がある人でも、サービスを最大限に活用できるようになります。

5-5. 社内での電子契約に対する理解を深める

今いる従業員に対しても、電子契約サービスを利用した雇用契約書とすることで、業務効率の向上をはかれます。電子契約サービスについての理解を深めるため、積極的にサービスの利用方法に関する研修や説明会を開催してみるのも一つの手です。

6. 雇用契約書の保管ルールを守り、適切な管理を

今回は、雇用契約書の保管期限のほか、電子化して契約書を管理する方法、そのメリットや注意点などを中心に紹介しました。雇用契約書の保管期限は、法律上5年となっており、この期間については適切な管理をおこなう必要があります。

従来は紙の書類で管理をおこなうのが一般的でしたが、近年は管理上のリスク回避から、電子化しての保管に注目が集まってきました。雇用契約書を電子化して管理するためには、電子契約サービスの利用がおすすめです。

電子契約サービスを利用することで、契約時の業務効率向上や書類作成にかかるコスト削減、リモートワークへのハードル低下など、さまざまなメリットが見込めます。なお、電子契約サービスを導入する際には、自社の目的と照らし合わせたうえで、最適なサービスを選択できるようにしましょう。

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労働者保護の観点から、解雇には様々な法規定があり、解雇の理由に合理性が無ければ認められません。

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