契約期間を定めて雇用契約を行った場合、明確な期限がある場合はその時点で契約を終了するのが一般的です。しかし、期間が曖昧だったり更新される可能性があったりする場合は、契約の終了が認められないケースもあります。
契約を更新しない場合、どのような手続きをおこなわなければならないのかを確認しましょう。
有期雇用契約は労働基準法・労働契約法において様々なルールが設けられているため、法律に則って雇用契約を結ぶ必要がありますが、従業員とのトラブルになりやすい部分でもあります。
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雇用契約の結び方から契約更新の方法、更新しない(雇止めをする)時の対応方法、無期転換ルールまで、有期雇用契約のルールを確認しておきたい方は、ぜひダウンロードしてご覧ください。
目次
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1. 契約を更新しない場合に会社がおこなう手続き
契約を更新しない場合、企業は正しい手続きを行わなければなりません。
下記を実行しない場合、雇い止めが認められない可能性もあるので注意してください。
1-1. 雇用契約書に契約内容を明示する
期限付きで労働者を雇用する場合は雇用契約書にその旨を明記しなければなりません。雇用契約書には、雇用の期限が来た場合更新される可能性があるのかないのかを記載しましょう。
更新の可能性がる場合は更新方法について、自動的に更新されるのかそうでないのかも確認できるようにしておいてください。
更新するかどうかの判断基準を明記しておくことも大切です。業務量や成績、能力、企業の業績、業務の進捗状況などで判断されるのが一般的です。
関連記事:雇用契約をトラブルなく結ぶ方法は?違法にならないための対応をわかりやすく解説
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1-2. 契約を更新しない理由を明確にする
雇用契約を更新しない場合は正当な理由が必要です。雇用契約書に書かれていた判断基準に則った雇い止めの理由を用意してください。
理由が正当でないと認められた場合は雇用契約を更新しなければならない可能性もあります。
1-3. 契約を更新しない予告をおこなう
1年以上雇用している、また3回以上契約を更新している労働者に対して、雇用契約を更新しない場合は30日前に予告しなければなりません。事前に期限が来たら契約を更新しないことを伝えている場合は、これに該当しません。
通告方法は法律では定められておらず、書面でも口頭でも問題ありません。
しかし、書面で通告することで証拠となり、労働者とのトラブルを防ぐのに役立ちます。
1-4. 解雇予告手当の支払いをおこなう
上記で解説した通り、雇い止めの際は期限の30日前までに本人に予告しなければなりません。
さまざまな都合で30日前までに予告ができなかった場合は解雇予告手当を支払わなければならないことが法律で定められています。
30日に間に合わなかった日数に対してその労働者の1日の平均賃金をかけた金額を計算し支払いましょう。
このような有期の雇用契約を更新しない場合に企業がとるべき対応を怠った場合、社員とのトラブルに発展する可能性もあります。トラブルを防ぐためにも、有期雇用契約の社員を雇っている会社は事前に雇用契約に関する法律に則ったルールを確認しておくことが重要です。当サイトでは、雇止めの方法や無期転換ルールなど有期雇用契約についてを1冊にまとめた資料を無料でお配りしています。こちらからダウンロードして、法律に則った対応ができているかの確認にご活用ください。
2. 雇用契約を更新しないことを認められる理由
雇用契約を更新しない場合、労働者からその理由を求められることがあります。この際に正当な理由がなければ雇用契約を更新しないことが認められない可能性もあります。正当な理由として認められる理由を確認しましょう。
正当な理由として適応されるのは、以下のような場合です。
- 雇用契約を更新しないことを前回の更新時に通告し、労働者が合意している
- 雇用契約書に明示している更新の上限に達する
- 担当業務が中止・終了した
- 事業を縮小する
- 業務をおこなう能力がないと判断された
- さらに雇用契約書に明記された内容に反する行動を労働者が取った
- 勤務不良が多い場合 など
3. 雇用契約を更新しないことを認められないケース
雇用契約を更新しないことを認められないケースについても解説します。雇い止めの理由として正当性がない場合や、期限付きで雇用している労働者の業務内容や立場が正社員とあまり変わらない場合、雇用継続が合理的な場合などは雇い止めが認められない可能性が高いです。
3-1. 理由が適切でない場合
労働契約法では、雇用契約を更新しない理由が正当ではない場合は雇い止めは認められません。判断基準が合理的ではない、客観的ではない、相当性がないと判断される理由に該当しないかをよく考える必要があります。
認められなかった場合も労働条件を新たに厳しくしたり業務内容を変えたりせず、前回と同様の内容で雇用契約を更新しなければなりません。
3-2. 無機契約と同等の業務内容の場合
期限付きで雇用されている労働者と無期限で雇用されている労働者の業務内容が、ほぼ同等である場合は雇用契約を更新しないことを認められないことがあります。
正規雇用の労働者と業務内容がほぼ変わらない、業務に対する責任や社内での地位がほぼ変わらない場合はとくに注意が必要です。
更新回数が多く、通算の契約期間が長い場合にも雇用契約を更新しないことが認められない可能性が高いです。
雇用契約を打ち切りたい労働者が理由が正当ではない、判断基準が曖昧、合理性に欠けるなどの主張をした場合、雇い止めができない可能性が高くなるため、注意してください。
3-3. 雇用継続が合理的な場合
期限付きの雇用契約を結んでいる場合、契約を更新するかしないかは企業と労働者の双方の合意がなければなりません。
しかし、雇用契約が自動的に更新される状態が続いている、あるいは、ほぼ正社員と同等の業務をおこなっており、雇用の継続が合理的だと判断された場合、雇い止めができない可能性もあります。
判断基準は業務内容・更新回数などで、具体的には以下の通りです。
- 業務内容が恒常的であり一時的ではない
- 正社員と同等の地位の下で働いている
- 通算の勤続年数が長い
- 更新回数が多い など
雇用契約の更新を繰り返し、5年以上契約を更新し続けている場合、労働者は企業に対して無期雇用契約の申し込みが可能です。
4. 雇用契約を更新しないことを伝える際のポイント
雇用契約を更新しないことを伝える際のポイントを解説します。
予告期間を確認し、契約解除通知書を作成することで、ある程度雇い止めに関するトラブルを防ぐことが可能です。
4-1. 予告期間の確認
1年以上雇用している期限付きの雇用契約者や契約の更新を3回以上おこなっている契約者に対しては、契約期間の満期となる30日前までに雇い止めの予告をしなければならないという決まりがあります。
予告は個別面談で口頭でおこなう他、書面でおこなう方法もあります。
面談の中で契約者本人が契約の更新を希望しない場合は、契約更新を希望しない旨を記載した書面、退職届を提出してもらうようにしてください。
下記で解説する契約解除通知書、雇用期間満了通知書を契約者から請求された場合はすぐに提出しなければなりません。あらかじめ用意しておくと、面談もスムーズに進められるでしょう。
4-2. 契約解除通知書を作成する
契約解除通知書にサインをしてもらうことで、雇い止めに関する労働者と企業間のトラブルを防ぎやすくなります。
契約解除通知書に指定の書式はありません。また、この契約解除通知書を作成し、サインをもらわなければ雇い止めができないというルールもありません。
しかし、契約者が契約解除通知書や雇い止めの理由を求めた場合には速やかに書面を用意する必要があります。あらかじめ書類を作成しておくといいでしょう。
契約解除通知書には、解除する契約内容について、解除の理由について、解除までの期間について記載しておくのが一般的です。
5. 雇用契約を更新しない場合の手続きを確認しておこう
雇用契約を更新しない場合の手続きについて解説しました。期限付きで雇用している労働者の業務内容や雇用契約を更新した回数、勤続年数などによっては雇い止めが難しいケースも多いです。
雇い止めを予告する期間、手続きも明確に定められています。トラブルを避けるためにも、適切な手順を踏み、ルールをしっかり守ることが大切です。