労働基準法の産前産後休業とは?給与・賞与や解雇の取り扱いも解説! |HR NOTE

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労働基準法の産前産後休業とは?給与・賞与や解雇の取り扱いも解説!

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赤ちゃんと一緒に寝る母親

近年では少子高齢化の影響により、労働人口が減少しています。そのため、出産や育児をしながら働く女性労働者をサポートすることが求められています。労働基準法では、産前産後休業の規定が細かく定められています。この記事では、労働基準法の産前産後休業の仕組みや、休業期間中の給与・賞与、解雇の取り扱いについてわかりやすく解説します。

法改正から基本的な内容まで分かりやすく解説!
労働基準法総まとめBOOK

労働基準法の内容を詳細に把握していますか?

人事担当者など従業員を管理する役割に就いている場合、雇用に関する法律への理解は大変重要です。
例外や特例なども含めて法律の内容を理解しておくと、従業員に何かあったときに、人事担当者として適切な対応を取ることができます。

今回は、労働基準法の改正から基本的な内容までを解説した「労働基準法総まとめBOOK」をご用意しました。

労働基準法の改正から基本的な内容まで、分かりやすく解説しています。より良い職場環境を目指すためにも、ぜひご一読ください。

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1. 労働基準法による産前産後休業の規定

赤ちゃんと夫婦

労働基準法第65条には、産前産後休業に関しての規定が記載されています。ここでは、労働基準法の産前産後休業に関する規定について詳しく紹介します。

1-1. 産前休業

6週間以内に出産の予定がある妊産婦は、事業主に請求することで、産前休業を取得することができます。この場合、当該女性労働者を無理やり働かせたら違法になるので注意が必要です。なお、双子や三つ子など多胎妊娠に該当する場合、14週間以内に出産の予定があれば、産前休業を取得することが可能です。

また、産前休業の規定は、出産予定日を基に計算されます。出産予定日を過ぎて出産があった場合、出産予定日から出産日までの期間も産前に含まれることになり、当該女性労働者はその期間も産前休業を取得することができます。

(産前産後)
第六十五条 使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。

引用:労働基準法第65条一部抜粋|e-Gov

1-2. 産後休業

妊産婦には、出産後8週間を経過するまで産後休業を取得させる必要があります。産後休業は、産前休業と違い、原則として請求がなくとも取得させなければなりません。ただし、産後6週間経過後、当該妊産婦が働きたいと事業主に請求し、主治医が支障ないと認めた場合に限り、当該女性労働者を働かせることができます。

なお、産前休業は妊娠4カ月以上であれば、流産や死産であっても申請が可能です。また、産後休業の規定は、出産予定日でなく、出産日を基準に計算します。

② 使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。

引用:労働基準法第65条一部抜粋|e-Gov

1-3. 軽易業務への転換の規定

労働基準法第65条により、妊娠中の女性労働者が事業主に請求した場合、産前産後に限らず、他の軽易な業務に配置転換をおこなう必要があります。軽易業務とは、請求があった業務であり、当該妊婦のために新しく業務を創設する義務まではないとされています。

③ 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。

引用:労働基準法第65条一部抜粋|e-Gov

1-4. 産前産後休業中の解雇は認められていない

労働基準法第19条により、女性労働者が産前産後休業を取得する場合、その期間と、休業期間終了後30日間は、原則として解雇することが認められていません。ただし、行政官庁の認定を受けたうえで、労働基準法で定められた打切補償を支払う場合や、災害などのやむを得ない事情で事業の継続が困難だと判断される場合は、解雇が認められる可能性もあります。

(解雇制限)
第十九条 使用者は、(省略)並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
② 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

引用:労働基準法第19条一部抜粋|e-Gov

1-5. 出産まで勤務する場合は女性従業員の健康に配慮する

産前休業は請求がなければ、取得させなくても問題ありません。ただし、妊産婦が産前休業を申請せず勤務する場合、健康に配慮する必要があります。男女雇用機会均等法第12条に則り、女性労働者が母子健康法に基づく保険指導や健康診査を適切に受けられるよう、事業主は必要な時間をきちんと確保しなければなりません。また、指導事項を正しく守れるようにするため、時差出勤を許可して通勤の負担を緩和したり、休養を与えるために休憩時間を延長したりするなどの措置を講じる必要もあります。

(妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置)
第十二条 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、その雇用する女性労働者が母子保健法(昭和四十年法律第百四十一号)の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければならない。

引用:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)第12条一部抜粋|e-Gov

関連記事:労働基準法による妊婦を守る制度についてわかりやすく紹介

2. 労働基準法に基づく産前産後の働き方

産後働く女性

労働基準法では、産前産後休業のほかに、働き方の規制に関するルールも定められています。ここでは、労働基準法に基づく産前産後の働き方について詳しく紹介します。

2-1. 坑内業務や危険有害業務の就業は制限される

労働基準法第64条の2に基づき、妊娠中の女性や、事業主に申し出た産後1年を経過しない女性には、坑内(炭山や鉱山などの坑道の内部)でのいずれの業務にも従事させてはなりません。

また、労働基準法第64条の3に則り、妊産婦(妊娠中の女性、産後1年を経過しない女性)には、重量物を扱う業務や、有害ガスが生じる場所での業務など、危険有害業務に就かせることは違法になります。なお、危険有害業務に該当する具体的な業務は、女性労働基準規則で細かく定められているのできちんとチェックしておきましょう。

(坑内業務の就業制限)
第六十四条の二 使用者は、次の各号に掲げる女性を当該各号に定める業務に就かせてはならない。
一 妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産後一年を経過しない女性 坑内で行われるすべての業務

引用:労働基準法第64条の2一部抜粋|e-Gov

(危険有害業務の就業制限)
第六十四条の三 使用者は、妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺ほ育等に有害な業務に就かせてはならない。
(省略)
③ 前二項に規定する業務の範囲及びこれらの規定によりこれらの業務に就かせてはならない者の範囲は、厚生労働省令で定める。

引用:労働基準法第64条の3一部抜粋|e-Gov

2-2. 労働時間の制限規定を適用できる

労働基準法第66条により、妊産婦が請求した場合、変形労働時間制を採用している場合でも、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて労働させることは認められません。

また、妊産婦が請求すれば、法定労働時間を超える労働(時間外労働)や法定休日(1週1日または4週4日)の労働(休日労働)、深夜帯(22時から5時まで)の労働(深夜労働)もさせられなくなります。

このように、妊産婦からの請求に応じて、事業主は労働時間を制限しなければなりません。請求がなければ、時間外労働や休日労働、深夜労働をさせても違法になりませんが、36協定の締結・届出や割増賃金の支給に関するルールをきちんと遵守することが大切です。

第六十六条 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第三十二条の二第一項、第三十二条の四第一項及び第三十二条の五第一項の規定にかかわらず、一週間について第三十二条第一項の労働時間、一日について同条第二項の労働時間を超えて労働させてはならない。
② 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第三十三条第一項及び第三項並びに第三十六条第一項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。
③ 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。

引用:労働基準法第66条|e-Gov

関連記事:36協定とは何かわかりやすく解説!特別条項や新様式の届出記入方法も紹介!

2-3. 育児時間を請求できる

労働基準法第67条に則り、生後満1歳に満たない子どもを育てている妊産婦は、既に与えられている休憩時間のほかに、1日2回それぞれ30分以上の育児時間を請求することができます。育児時間に就業させるのは違法になるので注意が必要です。また、急に育児時間が必要になるケースもあるため、柔軟に申請できる体制を整備することが大切です。

(育児時間)
第六十七条 生後満一年に達しない生児を育てる女性は、第三十四条の休憩時間のほか、一日二回各々少なくとも三十分、その生児を育てるための時間を請求することができる。
② 使用者は、前項の育児時間中は、その女性を使用してはならない。

引用:労働基準法67条|e-Gov

2-4. 生理休暇も取得できる

労働基準法第68条により、妊娠中や出産後に限らず、生理日にあたり就業が著しく困難な場合には、事業主に請求することで、生理休暇を取得することができます。生理休暇の取得日数に上限はありません。また、申請方法の決まりもないため、使用者の裁量で申請のやり方を決めることができます。

(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
第六十八条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。

引用:労働基準法第68条|e-Gov

関連記事:労働基準法の生理休暇とは?賃金の有無や何日取得できるのかを条文を基に解説!

2-5. 時短勤務制度を利用できる可能性がある(育児・介護休業法)

3歳未満の子どもを育てている場合、短時間勤務制度(時短勤務制度)を利用できる可能性があります。時短勤務制度は、労働基準法でなく、育児・介護休業法第23条で定められている制度です。時短勤務制度を活用すれば、1日の労働時間を短くして働くことができます。

(所定労働時間の短縮措置等)
第二十三条 事業主は、その雇用する労働者のうち、その三歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業をしていないもの(一日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるものを除く。)に関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づき所定労働時間を短縮することにより当該労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための措置を講じなければならない。(省略)

引用:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)第23条一部抜粋|e-Gov

関連記事:時短勤務(短時間勤務)とは?いつまでが適用期間?メリット・デメリットもわかりやすく解説!

3. 労働基準法に基づく産前産後における給与の計算方法

お金を計算する女性

労働基準法の産前産後休業を取得した場合、賃金の有無や計算方法がどのようになるか気になる人も少なくないでしょう。ここでは、労働基準法に基づく産前産後の賃金計算の方法について詳しく紹介します。

3-1. ノーワーク・ノーペイの原則に従って賃金を計算する

労働基準法には産前産後休業中の賃金について明記されていません。そのため、ノーワーク・ノーペイの原則に従って賃金を計算するのが一般的です。

たとえば、産前産後休業を取得し、その期間労働をしていない場合、その期間は無給でも問題ありません。一方、産前休業を取得せず、働いた場合、その期間の給与は正しく計算し、支給しなければ違法になるので注意しましょう。また、労使間でトラブルを生まないよう、あらかじめ就業規則に産前産後休業中の賃金は支給されないことを明記し、きちんと従業員に周知しておくことが大切です。

3-2. 賞与・ボーナスの支給は就業規則に従う

賞与・ボーナスは必ずしも支給しなければならないものではないため、そもそも賞与制度を導入していなければ、産前産後休業中の労働者に賞与を支給しなくても何ら問題ありません。しかし、賞与・ボーナスの制度を導入している場合、産前産後休業中の労働者の賞与は就業規則や雇用契約書に従って支給するのが原則です。

たとえば、就業規則で明記された賞与の算定対象期間中はきちんと労働に従事していて、算定対象期間後に産前産後休業を取得した場合、その賞与は受け取れる可能性が高いです。また、産前産後休業を取得したことのみを理由に賞与・ボーナスを支給しないことは、男女雇用機会均等法第9条の不利益取り扱いに該当し、違法とされる恐れもあるので注意が必要です。

3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。(省略)

引用:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)第9条一部抜粋|e-Gov

4. 産前産後に給与に代わってもらえる給付金制度

ソファの上に座って計算機、ノート、貯金箱を持つ妊娠中の若い女性

産前産後休業中は、給与が受け取れず、無理に働く労働者が生じる可能性もあります。産前産後休業中には給与に代わってもらえる給付金制度がいくつかあります。給付金制度を正しく理解し、従業員に適切に周知することで、女性労働者は安心して産前産後休業を取得することが可能です。ここでは、産前産後に給与に代わってもらえる給付金制度について紹介します。

4-1. 出産手当金

出産手当金とは、出産日以前42日(多胎妊娠であれば98日)から出産日の翌日以降56日までの範囲内で、労働をせず給与の支給を受けなかった場合に受け取れる給付金です。出産手当金は、およそ1日あたり賃金の3分の2の金額です。なお、出産予定日より遅れて出産があった場合、その遅れた期間も支給対象に含まれます。

関連記事:会社側が出産手当金の申請から入金までに対応すべきフローを徹底解説!

4-2. 出産育児一時金

出産育児一時金とは、子どもが生まれた際に受け取れる一時金のことです。出産育児一時金の額は1児につき50万円(2023年3月以前は42万円)です。そのため、双子を出産した場合は、100万円の出産育児一時金が受け取れます。ただし、産科医療補償制度に加入していない医療機関などで出産があった場合、受け取れる一時金は1児につき48.8万円(2023年3月以前は40.8万円)となるので注意しましょう。

4-3. 育児休業給付金

労働者は、一定の要件を満たせば、原則1歳未満の子どもを養育する場合に育児休業を取得することができます。その際、育児休業給付金を受け取れる可能性があります。育児休業給付金は、およそ1日あたり賃金の3分の2の金額です。

関連記事:育児休業の期間はいつまで?男性も可能?給付金の申請条件や計算方法もわかりやすく解説

4-4. 社会保険料の免除

産後休業に関係する給付金制度ではありませんが、産前産後休業を取得した場合、社会保険料の免除を受けることができます。産前産後休業期間中の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)の支払いは、申請すれば労使ともに免除が受けられます。なお、産前産後休業により免除された期間も、社会保険料を支払ったものとして扱われるため、将来の年金額にもきちんと反映されます。

関連記事:産休による社会保険免除の申請方法や対象期間を紹介

5. 労働基準法の産前産後休業を取得する際の手続き

書類に記入する様子

女性労働者が産前産後休業をスムーズに取得できるよう、申請フローをきちんと整備しておくことが大切です。ここでは、労働基準法の産前産後休業を取得する際の手続きについて詳しく紹介します。

5-1. 従業員から産前産後休業届を受け取る

従業員から妊娠の報告があったら、出産予定日や最終出勤日、復帰するか、育児休業を希望するかなどを確認しましょう。その後、産前産後休業を希望するか確認し、産前産後休業届を提出してもらいます。また、休業中の連絡先を聞いておくと、書類に不備などがあったときにスムーズに対応することが可能です。

5-2. 産前産後休業取得者申出書を提出する

産前産後休業がスタートしたら、産前産後休業取得者申出書を日本年金機構や健康保険組合に提出します。この申出書は原則企業が提出します。産前産後休業取得者申出書を提出することで、休業中の事業主と被保険者の保険料が免除されます。なお、産前産後休業は出産予定日から起算して計算されますが、出産予定日どおりに出産することは稀なため、産前産後休業取得者申出書は出産後に提出しましょう。

5-3. 出産手当金を申請する

出産手当金は全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)もしくは組合管掌健康保険(組合健保)に、産休開始の翌日から2年以内に提出します。提出は原則従業員がおこないますが、提出書類に事業主証明書が必要であり、企業が提出することも可能です。

事前にどちらが提出するかを決めておくとよいでしょう。なお、出産手当金以外に出産育児一時金制度の利用も可能ですが、同制度は本人が届け出る必要があるため、きちんとアナウンスしてあげましょう。

5-4. 健康保険被扶養者異動届を提出

産まれた子どもはその日のから被保険者となります。そのため、協会けんぽ、または組合健保に健康保険被扶養者異動届を提出し、社会保険の扶養に入るための手続きをしましょう。なお、申請が遅れてしまった場合でも出生日まで遡れますが、健康保険証がないため多額の医療費が発生してしまいます。そのため、早めに提出することを心がけましょう。

関連記事:健康保険被扶養者(異動)届とは?書き方や記入例、提出が必要なケース、添付書類を解説!

6. 労働基準法の産前産後に関するよくある質問

妊娠中の女性

ここでは、労働基準法の産前産後に関するよくある質問への回答を紹介します。

6-1. 産前産後休業の期間に有給休暇は取得できる?

産後6週間は労働者の意思に関係なく、労働基準法に基づき強制的に労働することが認められないため、有給休暇を取得することはできません。一方、産前休業中や、産後6週間を経過した後は、原則として、労働者の請求の有無によって働くかどうか決められるので、有給休暇を取得することができます。また、労働基準法第39条により、産前産後休業を取得した期間については、出勤があったものとして有給休暇を付与する際の出勤率の計算に含むため注意しましょう。

⑩ 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第一号に規定する育児休業又は同条第二号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間は、第一項及び第二項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。

引用:労働基準法第39条一部抜粋|e-Gov

6-2. 育児休業と育児休暇の違いとは?

育児休業と育児休暇は違う制度です。育児休業は、育児・介護休業法により定められた制度で、法律で規定されているので、条件を満たす労働者から請求があったら、必ず応じなければなりません。

一方、育児休暇は、法律で定められておらず、会社独自で導入する福利厚生制度の一つです。そのため、育児休暇を導入しなくても違法になることはありません。しかし、仕事と育児の両立をサポートする観点から、育児休暇を導入している企業も少なくないようです。

6-3. 産前産後休業に関する規定に違反したらどうなる?

産前産後休業を正しく与えない場合、労働基準法第65条「産前産後」の規定に違反することになります。この場合、労働基準法第119条に則り、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金の罰則が課せられる恐れがあります。また、労働基準法に違反した会社として、厚生労働省のWebサイトなどに企業名が公表されるリスクもあります。このような罰則を受けないためにも、正しく産前産後休業が取得できる仕組みを整備しましょう。

第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
一 (省略)、第六十四条の三から第六十七条まで、(省略)の規定に違反した者

引用:労働基準法第119条一部抜粋|e-Gov

7. 産前産後休業の規定を把握して働きやすい職場を作ろう!

笑顔で会議する様子

労働基準法では、産前産後休業の規定が細かく定められています。産前産後休業期間中は、原則として給与が支給されません。しかし、給与の代わりに、出産手当金や出産育児一時金、育児休業給付金などの給付金を受け取れる可能性があります。また、妊産婦は、育児時間を請求したり、時間外労働や休日労働を拒否したりする権利があります。社内制度をきちんと整備し、妊産婦が働きやすい職場を作り出しましょう。

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今回は、労働基準法の改正から基本的な内容までを解説した「労働基準法総まとめBOOK」をご用意しました。

労働基準法の改正から基本的な内容まで、分かりやすく解説しています。より良い職場環境を目指すためにも、ぜひご一読ください。

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