労働基準法による生理休暇の規定や日数について詳しく解説 |HR NOTE

労働基準法による生理休暇の規定や日数について詳しく解説 |HR NOTE

労働基準法による生理休暇の規定や日数について詳しく解説

  • 労務
  • 労務・その他

体調不良の女性

労働基準法に従い生理休暇を設けていても、制度を利用する従業員は少ないかもしれません。しかし、生理休暇は女性従業員の正当な権利であり、企業側は積極的に取得を促す必要があります。

本記事では、労働基準法による生理休暇について解説しております。生理休暇への理解を深め、従業員の働く環境を整備する際にお役立てください。

法改正から基本的な内容まで分かりやすく解説!
労働基準法総まとめBOOK

労働基準法の内容を詳細に把握していますか?

人事担当者など従業員を管理する役割に就いている場合、雇用に関する法律への理解は大変重要です。
例外や特例なども含めて法律の内容を理解しておくと、従業員に何かあったときに、人事担当者として適切な対応を取ることができます。

今回は、労働基準法の改正から基本的な内容までを解説した「労働基準法総まとめBOOK」をご用意しました。

労働基準法の改正から基本的な内容まで、分かりやすく解説しています。より良い職場環境を目指すためにも、ぜひご一読ください。

労働基準法のebookダウンロード


【社労士監修】HR関連法改正トレンドBOOK 2024年版

2023年は一部企業を対象に人的資本開示が義務化されたほか、HR関連での法改正に動きが見られました。
2024年では新たな制度の適用や既存のルールの変更・拡大がおこなわれます。
人事担当者として知っておきたいHR関連の法改正に関する情報ですが、その範囲は幅広く、忙しい業務の中でなかなか網羅的に把握することは難しいのではないでしょうか。

  • 忙しい中でも要点をまとめて情報収集をしたい
  • 社労士が監修した正確な情報を知りたい
  • HR関連の法改正を把握しておきたい

という方はぜひご確認ください!

1. 労働基準法による生理休暇の規定

薬を飲む女性

まずは、労働基準法で定められている生理休暇について解説します。[注1]

1-1. 労働基準法における生理休暇とは

労働基準法による生理休暇の規定は以下のとおりです。

(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
第六十八条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。

引用:第五十六条|労働基準法

1-2. 生理休暇の対象者

生理休暇に雇用形態は関係ありません。労働基準法では「生理日の就業が著しく困難な女性」とあるため、企業に雇用されている者であれば誰でも取得可能です。

つまり、正社員をはじめパートやアルバイト、非正規労働者の誰もが生理休暇を取得する権利があります。また、役職や年齢、勤続年数などによる制限も一切ありません。

1-3. 生理休暇は本人の申請があれば付与しなくてはらならない

生理休暇は、生理によって体調が優れない従業員本人の申請があった場合、就業を免除し休暇を取得させる制度です。労働基準法に定められているため、いかなる理由があっても休暇を付与しなくてはなりません。

企業の中には、就業規則などに生理休暇の規定がないため休暇を付与しないケースがあります。しかし、これは労働基準法に違反する行為です。生理日で就業が困難な従業員から休暇の申請があった場合は必ず休暇を付与しなくてはならないことを覚えておきましょう。

1-4. 生理休暇の取得率

厚生労働省の調査では、生理休暇を取得した女性の数はわずか0.9%にとどまっています。たとえ生理休暇があることを知っていても、なかなか取得できないのには以下のような理由があると考えられます。

  • 休みを取りにくい職場環境
  • 上司に生理であることを言いにくい
  • 同僚から生理の辛さを理解してもらえない

そのため、生理のつらい症状があっても薬を服用して我慢して就業したり、生理休暇ではなく有給休暇として休暇を取得したりする人も少なくないようです。

企業側は生理休暇を就業規則に策定することによって女性がより働きやすい環境にすることに加え、生理休暇を取得しやすい雰囲気に変えていく必要があります。

2. 労働基準法による生理休暇の日数[注1]

期間

就業規則などに生理休暇を含める場合、気になるのがその日数です。ここからは生理休暇の日数について解説します。

2-1. 生理休暇に上限はない

生理休暇の日数については上限がありません。極端な話をすれば、従業員から生理休暇を取得したいという申し出があれば、そのすべてに付与する必要があります。

労働基準法に「生理日の就業が著しく困難な女性」とだけ規定されていて、とくに日数に関する制限が設けられていないためです。

2-2. 就業規則における生理休暇の日数制限は可能?

労働基準法に従って就業規則の生理休暇を定める場合、先述したとおり日数制限はできないことになります。日数制限を設けない主な理由は、生理は人によって症状などが違うことが挙げられます。

生理期間の長さや症状の程度、就労の可否などは個人差が大きく、一般的な基準が存在しません。そのため、生理休暇はあくまでも従業員本人の申請に対して付与するというスタンスになっているのです。

なお、人によっては生理の前から頭痛や腹痛などの症状に苦しむ人もいます。このような人をPMS(月経前症候群)と呼びますが、これは生理日には該当しないため生理休暇を付与する必要はありません。

ただし、PMSはこれから来る生理が原因で起こる症状であるため、人によっては生理日以上の苦痛を感じる人もいます。そのため、労働基準法による定めはないものの、企業の就業規則によって生理休暇と同様の扱いにすることも可能です。

2-3. 生理休暇の取得単位

生理休暇の取得は必ずしも1日単位とは限りません。出社してから腹痛がひどくなるケースなどもあるため、半日単位や時間単位での取得を認める必要があります。

鎮痛剤などを服用し、症状が軽くなってから出社するということも可能になるので、より柔軟な働き方ができるように配慮することが大切です。

2-4. 生理休暇の給与について

生理休暇時の賃金について、労働基準法では定めがありません。そのため、有給・無給にするかは企業と従業員の話し合いによって決めることができます。ちなみに、生理休暇を無給としても問題はありません。

生理休暇の給与に関するルールの一例をご紹介します。

  • 1ヵ月で生理休暇を有給とするのは1日まで、2日目以降は無給とする
  • 生理休暇は何日取得してもすべて有給とする、有給日数がない場合は無給とする

なお、就業規則などで生理休暇を有給とした場合は、従業員が生理休暇を取得したら必ず賃金を支払わなくてはいけません。

2-5. 生理休暇の申請方法

生理休暇の申請方法はシンプルに口頭で受け付けます。生理日やその症状は予測が難しく柔軟な対応が必要なので、当日の申請も可能とするのが好ましいでしょう。

企業の中には、生理休暇の取得条件として医師の診断書を必要とするケースもあります。しかし、このような条件を課すと、就業が困難であるにもかかわらず通院したり、費用をかけて診断書を入手したりと本人の負担が大きくなります。その結果、生理休暇を取得しないという選択をせざるを得ない状況になり、生理休暇の必要性がなくなってしまいます。

従業員に対し、生理休暇をいかに取りやすくするかに重点を置いて導入することが大切です。

2-6. 生理休暇の不正取得について

生理休暇は従業員本人の申請をすべて承認して休暇を付与するため、性善説に基づく制度とも考えられます。そのため、生理日ではなかったり、生理日でも就業に影響がなかったりする場合でも生理休暇を取得する従業員が出てくる可能性があります。

企業側としては、従業員を疑って生理の症状などを聞き出すようなセクハラ行為は避けなくてはなりません。しかし、本来なら必要のない休暇を与えることは避けたいはずです。
このような生理休暇の不正取得に備え、企業も以下のような方法で対策を講じる必要があります。

  • 就業規則などで生理休暇を完全無給とする
  • 生理休暇を有給にできる日数を制限し、超えた分は無給とする
  • 不正取得者に対する懲戒ルールを定める

生理休暇を導入する以上、従業員による虚偽申告は一定数あるものと想定し、事前に対策することをおすすめします。

3. 労働基準法による生理休暇に関する罰則[注1]

注意点吹き出し

あまり知られていませんが、従業員が生理休暇を請求したにもかかわらず、会社側がこれを認めなかった場合は労働基準法に基づいて罰則が課されます。

  • 労基法第120条1号 30万円以下の罰金に処する

この処罰はそれほど厳しいものではないかもしれません。しかし、女性が持つ当然の権利を認めないという態度は、社会的信用を失いかねません。従業員や社会からの信頼大切に対処しましょう。

[注1]労働基準法|e-Gov法令検索

4. 労働基準法による生理休暇について知っておこう

笑顔の女性

生理休暇は働く女性が行使できる当然の権利です。生理の辛さは本人にしかわからないため、企業側は申し出があれば絶対に休暇を付与しなくてはなりません。万が一生理休暇を認めない場合は罰金を課せられることもあるので注意が必要です。

しかし、生理休暇の給与や不正取得については企業側で調整できるため、就業規則などを策定する際は業務や企業活動に影響が出にくいように検討するとよいでしょう。

法改正から基本的な内容まで分かりやすく解説!
労働基準法総まとめBOOK

労働基準法の内容を詳細に把握していますか?

人事担当者など従業員を管理する役割に就いている場合、雇用に関する法律への理解は大変重要です。
例外や特例なども含めて法律の内容を理解しておくと、従業員に何かあったときに、人事担当者として適切な対応を取ることができます。

今回は、労働基準法の改正から基本的な内容までを解説した「労働基準法総まとめBOOK」をご用意しました。

労働基準法の改正から基本的な内容まで、分かりやすく解説しています。より良い職場環境を目指すためにも、ぜひご一読ください。

労働基準法のebookダウンロード

--------------------

\【2024年最新版】HR関連法改正トレンドBOOK/

▼無料ダウンロードはこちら▼
https://hrnote.jp/document/?did=148030

ChatGPTで変わる人事業務【実践編】

昨今のHR領域では、いかにAI・データの活用をおこなえるかが課題となっており、ChatGPTの登場により、ますます注目度が高まりました。
一方でChatGPTを業務に取り入れていきたいと考えている方の中には、

  • ChatGPTではどのような業務に取り入れられるのかわからない
  • 興味はあるものの、具体的にどの場面で活用できるのかわからない

などと考える方がいるのではないでしょうか。

本資料では、「ChatGPTの導入によって人事業務にどのような変化がでるのか」についてわかりやすく解説しています。
人事業務×ChatGPT活用について知りたい方は、ぜひご確認ください!

人事業務に役立つ最新情報をお届け!メールマガジン登録(無料)

HR NOTEメールマガジンでは、人事/HRの担当者として知っておきたい各社の取組事例やリリース情報、最新Newsから今すぐ使える実践ノウハウまで毎日配信しています。

メルマガのイメージ

関連記事

退職金は年末調整の対象に含まれる?退職所得の計算方法や確定申告が必要なケースを解説

退職金は年末調整の対象に含まれる?退職所得の計算方法や確定申告が必要なケースを解説

退職金は年末調整の対象となる所得には含まれませんが、所得税の課税対象ではあります。当記事では、なぜ退職金が年末調整の対象にならないのか、退職金に対する所得税の課税金額の計算方法、そして、退職金に対して確定申告が必要になる […]

  • 労務
  • 給与計算
2024.04.19
HR NOTE 編集部
サイレント退職、なぜ起こる?仕組みと予防策を解説|Smart相談室 伊禮 武彦

サイレント退職、なぜ起こる?仕組みと予防策を解説|Smart相談室 伊禮 武彦

こんにちは。株式会社Smart相談室の伊禮武彦と申します。法人向けオンラインカウンセリングサービス「Smart相談室」の運営、ビジネス部門の統括責任者を担当しています。 今回はクライアント様よりよくご相談を頂くサイレント […]

  • 労務
  • リスクマネジメント
2024.04.19
金井一真
ワークフローシステムの機能一覧!基本から便利機能まで解説

ワークフローシステムの機能一覧!基本から便利機能まで解説

近年では、ワークフローシステムが注目されています。システムを導入することで、紙の申請書を使うデメリットが解消できるため、業務負担の軽減が期待できます。ワークフローシステムには、さまざまな機能があります。当記事では、ワークフローシステムの機能について詳しく紹介します。ワークフローシステムの機能について興味がある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

  • 労務
  • 労務・その他
2024.04.08
HR NOTE 編集部
法定労働時間の意味や上限を超えないためのポイントを解説

法定労働時間の意味や上限を超えないためのポイントを解説

法定労働時間とは1日8時間、週40時間であり、これを超える労働時間数に対しては割増賃金の支給が必要です。ただし、近年導入が進むフレックス制度をはじめとする複数の労働制度では、上記の条件とは少し異なる場合もあります。本記事 […]

  • 労務
  • 勤怠管理
2024.03.29
HR NOTE 編集部
通らない稟議書に共通する特徴やうまく通すコツを徹底解説

通らない稟議書に共通する特徴やうまく通すコツを徹底解説

稟議書が通りやすい人と、通りにくい人では書き方に大きな違いがあります。 どうしても通したい稟議がある場合は、読み手のことを考えた構成や文章にすることが大切です。本記事では通らない稟議書に共通する原因や、稟議書が通すコツな […]

  • 労務
  • 労務・その他
2024.03.28
HR NOTE 編集部

人事注目のタグ