出勤簿とは?手書きでの作り方や保存期間・罰則内容をあわせて解説! |HR NOTE

出勤簿とは?手書きでの作り方や保存期間・罰則内容をあわせて解説! |HR NOTE

出勤簿とは?手書きでの作り方や保存期間・罰則内容をあわせて解説!

  • 労務
  • 勤怠管理

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出勤簿とは、従業員の労務管理をおこなうために必要な帳簿です。出勤日や出勤日数などの項目が記載されており、過剰な残業がおこなわれていないか、割増賃金の未払いがないかなどを確認することができます。労働時間を客観的に把握できる仕組みを用いて運用することを心がけましょう。

この記事では、出勤簿の書き方や保存の重要性について詳しく解説します。罰則を受けないよう管理するためにも、理解を深めておきましょう。

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法定三帳簿とは、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の3種類の帳簿のことです。

いずれも、雇用形態に限らず、従業員を雇用する際には必要となるうえ、労働基準法で保存期間や記載事項などが決められているため、適切に調製しなければなりません。

当サイトでは、『法定三帳簿の作成ガイドブック』を無料で配布しており、作成から保管の方法まで法定三帳簿の基本について詳しく紹介していますので、「法律に則って適切に帳簿を管理したい」「法定三帳簿の基本を確認しておきたい」という担当者の方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

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1. 出勤簿とは

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出勤簿とは、従業員の出退勤時刻を記録し、一人ひとりの労働時間を管理するために作成する帳簿のことです。出勤簿は給与計算の元となるほか、過剰となる残業がおこなわれていないか、残業代・割増賃金の未払いがないかなどの確認に使うことができます。

1-1. 出勤簿は法定三帳簿のうちの一つ

出勤簿は、法律により作成・保管が義務付けられている法定三帳簿のうちの一つです。法定三帳簿とは、「出勤簿」「賃金台帳」「労働者名簿」を指します。

賃金台帳とは、従業員の賃金や賞与の支払い状況、源泉徴収税額などを記入する書類です。また、労働者名簿とは、従業員の氏名、生年月日、住所、雇用年月日などの情報を記入する書類です。法律によって定められている帳簿であるため、適切に管理しなければなりません。

1-2. 出勤簿の対象者とは

出勤簿の対象者は、従業員全員です。パートやアルバイト、契約社員も対象となります。以前は管理監督者に該当する従業員に限り、対象外とされていました。

しかし、2019年4月の働き方改革関連法による労働安全衛生法の改正にともない、管理監督者であっても勤怠管理が義務化されました。そのため、原則として役職や雇用形態に関係なく、従業員全員が対象となっているので注意しましょう。

1-3. 出勤簿を作成する目的

出勤簿を作成する大きな目的は、従業員の労働時間を適切に把握することです。労働基準法によって1日8時間・週40時間という法定労働時間が定められており、基本的にはこの範囲内で労働させる必要があります。また、36協定を締結して法定外残業を命じる場合でも、一定の上限規制を遵守しなければなりません。

さまざまな規制の範囲内で労働させる必要があるため、企業としては出勤簿を作成して、従業員の労働時間をしっかりと把握しなければならないのです。さらに、適切な賃金を支給したり、法定外労働に対する割増賃金を算出したりするためにも出勤簿を作成しておく必要があります。

関連記事:36協定とは何かわかりやすく解説!特別条項や新様式の届出記入方法も紹介!

1-4. 出勤簿のフォーマットは自由

出勤簿のフォーマットに関して、法律による規定はありません。出勤日や出勤日数など、記載が必須である項目を満たしている場合は、ある程度自由に記録することが可能です。記載すべき項目について後ほど詳しく解説します。

1-5. 出勤簿とタイムカードの違いとは

タイムカードと出勤簿は、どちらも従業員の出退勤の時間を記した記録であることに変わりはありませんが、一般的にタイムカードは打刻機(タイムレコーダー)に差し込んで時刻を印字した紙を指し、出勤簿は従業員が手書きで自身の出退勤の時間を記した帳簿を指します。

なお、出勤簿とタイムカードはどちらも労働基準法第109条の「労働関係に関する重要な書類」に該当する書類であり、一定期間の保管が義務付けられています。

関連記事:労働基準法第109条の重要な書類の保存期間は何年?法改正や経過措置、違反した場合の罰則を解説!

2. 出勤簿の書き方・記載すべき項目とは

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出勤簿は従業員の勤怠情報を管理するものであり、従業員の出退勤の時刻は必ず記載する必要があります。それ以外の項目については、規定のフォーマットが定められていないため、各企業に委ねられています。

ただし、賃金台帳に記載する事項に合わせ、以下の項目を追加で設けておくとよいでしょう。

  • 出勤日および出勤日数
  • 日別の労働時間数
  • 休憩時間
  • 時間外労働をおこなった日付・時刻・時間数
  • 休日出勤をおこなった日付・時刻・時間数
  • 深夜労働をおこなった日付・時刻・時間数

各項目の詳細は以下の通りです。

2-1. 出勤日および出勤日数

従業員ごとの出勤日や出勤日数については、賃金計算のためにも重要であるため、確実に記載しておきましょう。「出勤」という言葉が付いていますが、仮にリモートワークなどで出社していなくても、労働が発生している場合は出勤日としてカウントする必要があります。

2-2. 日別の労働時間数

労働時間は出退勤時刻から算出することも可能ですが、別途記載しておけば、従業員がどの程度の時間働いているのか把握しやすくなります。出退勤時刻から計算する場合は、始業時刻と終業時刻の差を求め、さらに休憩時間を引きましょう。

2-3. 休憩時間

企業は、労働時間に応じて適切な休憩時間を付与しなければなりません。出勤簿にも、必要に応じて、付与した休憩時間を記載しておきましょう。

関連記事:労働時間に休憩は含む?休憩時間の計算方法や残業時の取り扱いについても解説!

2-4. 時間外労働をおこなった日付・時刻・時間数

時間外労働とは、1日8時間・週40時間という法定労働時間を超えた労働のことです。時間外労働が発生した場合、割増賃金を支給する必要があるため、通常の労働時間とは別に管理する必要があります。

2-5. 休日労働をおこなった日付・時刻・時間数

法定休日に労働を命じた場合も、割増賃金の支給が必要です。ただし、所定休日の労働には休日労働の割増賃金は発生しません。しかし、時間外労働の割増賃金は生じる可能性があるため、混同しないように気を付けて管理しましょう。

関連記事:所定休日の割増賃金とは?法定休日や割増賃金の計算方法も詳しく紹介

2-6. 深夜労働をおこなった日付・時刻・時間数

深夜労働とは、原則22時~翌5時の時間帯における労働のことです。深夜労働に対しても割増賃金が発生するため、忘れずに記載しておきましょう。

2-7. 手書き用出勤簿の記載例

手書きで出勤簿を作成する際には、厚生労働省が公開している記載例を参考にするとよいでしょう。必要に応じてうまく活用してください。

またネット上では、出勤簿用のテンプレートをダウンロードして入手することも可能のため、必須項目が含まれていることを確認したうえで活用することも手段の一つでしょう。

参考:労働者を雇用したら帳簿などを整えましょう |厚生労働省

3. 出勤簿の作り方

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ここからは、出勤簿を作成する一般的な方法を紹介します。

出勤簿を運用するうえでは、客観的に労働時間を把握できる仕組みが必要です。法律に沿った管理をおこなうことを前提に、自社において最も効率的な作成方法を採用しましょう。

3-1. 手書きで管理する

従業員数が少ない企業においては、出勤簿を手書きで管理することも手段の一つでしょう。手書きの出勤簿であっても必須項目を満たしていれば、違法となりません。

とはいえ、従業員の増加にともない工数が増加することや、人為的記入ミスが生じやすいことから、一時的な管理方法として採用することをおすすめします。

3-2. エクセルを活用する

エクセルを使い、出勤簿を作成することも可能です。従業員の勤怠データを反映することで記入・計算ミスを防ぐことができるでしょう。

ただし、法改正の際に仕様を変更するなどの必要性も生じるため、随時確認を徹底しなければなりません。

3-3. 勤怠管理システムを導入する

勤怠管理システムを導入すると、従業員の打刻データが自動反映されるため、労働時間を集計する際に改めて出勤簿の情報を打ち込む工数が発生しません。

とくにクラウドサービスの場合、法改正に自動で対応できるものもあるため、担当者の負担削減が見込めるでしょう。

関連記事:出勤簿ソフトとは?導入するメリットや注意点を解説

4. 出勤簿の保存期間とは

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出勤簿の保存期間は、2020年4月の労働基準法の改正により「5年間」へと延長されました(ただし、当分の猶予期間の間は3年)。

(記録の保存)
第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。

引用:労働基準法|e-Gov法令検索

誤って破棄することのないよう注意しましょう。

関連記事:出勤簿の保存期間は7年?5年?法改正の内容・適切な保存方法も解説

4-1. 出勤簿を保存できていない場合に科される罰則とは

出勤簿を保存できていない場合には、労働基準法第109条の違反に該当するため、120条によって定められた罰則が発生します。具体的には、30万円以下の罰金が科される可能性もあるため注意が必要です。

また、悪質だと判断された場合など、一部のケースでは社名が公表されることあります。無自覚にこのような事態に陥ることのないよう、法律に沿った出勤簿の作成・管理を徹底しましょう。

出勤簿を運用するためには、客観的に労働時間を把握できる仕組みが必要になります。
使用者自身が各従業員の始業・終業時刻を把握するという方法でも対応できるのですが、ある程度の規模の会社においては、この方法は現実的ではないでしょう。

従業員自身の自己申告では、客観的なデータと認められない可能性もあるので、ICカードやスマートフォン・タブレットなどを用いて打刻できる勤怠管理システムを採用して運用するのが望ましいです。

参照:労働基準法|e-Gov法令検索

5. 適正に出勤簿を運用するうえで注意すべき点

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出勤簿を運用するうえでは、以下のようなポイントに注意しましょう。とくに自己申告制を採用する場合は注意が必要です。

参照:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準|厚生労働省

5-1. 労働時間の定義や申告方法を周知する

出勤簿を運用するにあたって、従業員の自己申告によって始業・終業時刻を把握することは原則として禁止されています。自己申告によって労働時間の把握をおこなうと、どの部分を労働時間として扱うかが、従業員の認識次第になってしまいがちだからです。

そのため、やむを得ず自己申告制を採用するときは、従業員に対して適正に自己申告をおこなってもらえるように、労働時間の定義や申告の方法などをしっかりと説明しましょう。

5-2. 必要に応じて実態調査をおこなう

従業員からの自己申告によって労働時間の把握をおこなう場合でも、使用者側で労働時間に関して、ある程度客観的なデータを有している場合もあります。

たとえば、オフィスのある建物への入退館記録や、パソコンのログイン・ログアウト履歴のようなデータです。

このようなデータから把握できる労働時間と、従業員自身が申告している労働時間に大きな乖離がある場合、必要に応じて実態調査をおこない、場合によっては労働時間の補正をする必要があります。

5-3. 適正な申告を阻害する目的で時間外労働の上限を設定しない

従業員自身による自己申告で労働時間を管理する場合、上述したように、従業員自身に適正に自己申告をおこなってもらわなければ、適切に管理することはできません。

そのため、労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するようなことは、認められません。

会社によっては、時間外労働を削減するために社内通達を出しているようなケースもあるでしょう。

そのような措置が従業員による適正な申告を阻害する要因になっていないか確認し、要因となっていると認められる場合は、改善措置を講じる必要があります。

5-4. 出勤簿は印鑑・押印のみでは認められない

出勤簿は出退勤の時刻や労働日数をはじめとする勤怠情報を記載する必要があり、出勤した日に署名・押印するだけでは労働時間が把握できず、不適切な運用となります。

なお、出勤簿作成にあたり、押印に関する法的な規定はなく、印鑑を押さなくても問題ありません。署名・押印のみならず、必要事項の記載をするようにしましょう。

5-5. 労働時間は1分単位で管理する

出勤簿に記載する労働時間は、1分単位で管理しなければなりません。労働基準法の第24条により、賃金の全額払いの原則が定められているからです。

(賃金の支払)
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

引用:労働基準法|e-Gov法令検索

たとえば、労働時間を15分や30分単位で管理したり、数分の労働時間を切り捨てて給与計算したりすると、全額払いの原則に反してしまいます。賃金は、労働時間を1分単位で正確に把握したうえで、全額を支払うようにしましょう。

関連記事:勤怠管理を15分単位でおこなうのは違法!正しい残業時間の計算方法も解説!

5-6. 法改正に注意する

労働基準法など、労働時間や出勤簿に関する法律は定期的に改正されるため、状況の変化については常に把握するようにしましょう。法改正があった場合は、管理方法や出勤簿の書式を変更しなければならないケースもあります。

しっかりと対応しないと、法律違反として罰則を受ける可能性もあるため注意しましょう。

6. 出勤簿は適切な労務管理をおこなううえで必ず必要な書類

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出勤簿は従業員の労務管理をおこなうのに必要な書類で、出退勤時刻や出勤日、出勤日数、時間外労働をおこなった日付・時刻・時間数などの項目が記載されます。

出勤簿の運用にあたっては客観的に労働時間を把握できる仕組みが必要なので、従業員の自己申告によって始業・終業時刻を把握することは原則として禁止です。

どうしてもそのような形で把握せざるを得ない場合は、従業員に対して適正な自己申告をおこなうことを説明するなどして、対処するようにしましょう。

出勤簿は自社のスタイルに合った方法で管理し続けていく必要があります。たとえば、エクセルなどで作成しても構いません。より正確性を求めるのであれば、出勤簿を出力できる勤怠管理システムなどを活用するのもおすすめです。

インターネット上のテンプレートや、勤怠管理システムをいくつか使用してみるなどして、最適な方法で作成・管理しましょう。

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法定三帳簿とは、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の3種類の帳簿のことです。

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