
人事の皆さまは、自社の福利厚生の制度構築に関してどのように行っていますでしょうか。従業員の働きやすさにおいて、福利厚生の制度充実はひとつポイントになるかと思います。
福利厚生が充実していれば、採用においても惹きつけ要素になりますし、生産性の向上、離職率低下につなげることもできます。
今回は、福利厚生をユニークにすることのメリットや、ユニークな福利厚生制度に取り組んでいる企業の例をご紹介していきます。
目次
1.福利厚生をユニークにすることのメリット

福利厚生制度をユニークにすると以下のようなメリットがあると考えられます。
1-1. 人材の確保につながる
ユニークな福利厚生によって企業に独自性を持たせることで、メディアからの注目が集まるようになれば、企業の知名度・ブランド力が向上します。
そしてそれによって求人に対する応募が増加し、企業が求めている人材を確保しやすくなるといったメリットがあります。
1-2. 従業員の定着率が向上する
福利厚生をユニークなものにすることは従業員の定着度の向上にもつながります。
独自で導入した福利厚生制度が充実し、従業員が働きやすい環境になると、人材がきぎょに定着しやすくなります。
2.ユニークな福利厚生制度に取り組んでいる企業例8選

ここでは、実際にユニークな福利厚生制度に取り組んでいる8つの企業の事例をご紹介します。
2-1. GMOインターネット株式会社
GMOインターネット株式会社はインターネットインフラ事業などを展開している企業になります。いつでも無料で飲食が可能な「GMO Yours」や小さな子どおがいる親でも安心して働くことができる「GMO Bears」などの福利厚生のほかにも、プロによるボディケアサービスを格安で受けることができる「GMO Bail Relax」といった制度も用意されています。
2-2. ヤフー株式会社
ヤフー株式会社はインターネット広告事業やeコマース事業を行う企業です。上記以外にも、「マタニティー休暇」や、障害者の方がより安定したパフォーマンスを発揮できるよう体調維持管理をしやすくすることを目的とした「ノーマライゼーション休暇」など、多様な福利厚生制度を用意しています。
2-3. 株式会社ZOZO
株式会社ZOZOはファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する企業です。
指定のエリア内に住みスタッフに毎月3~5万円を支給する「千葉/つくば/宮崎手当」といったユニークな福利厚生のほかにも、ZOZOTOWNでの買い物が割引になる「従業員割引制度」などといった福利厚生制度が用意されています。
2-4. アクセンチュア株式会社
アクセンチュア株式会社はストラテジー&コンサルティングやテクノロジー事業などを展開しています。上で述べた制度のほかにも、多くの施設における割引特典や、健康サポートなどの福利厚生制度を用意しています。
2-5. クックパッド株式会社
クックパッド株式会社は、料理レシピの投稿・検索サービスである「クックパッド」を中心に、「毎日の料理を楽しみにする事業」に取り組んでいる企業です。
これらの住まいや健康に関する福利厚生のほかにも、リフレッシュ休暇制度や保育支援制度といった福利厚生制度が用意されています。
2-6. 株式会社サイバーエージェント
株式会社サイバーエージェントは、メディア事業やインターネット広告事業を展開している企業です。上で述べたもののほかにも、退職時に支給される勤続インセンティブ制度(条件あり)や部活動であるCArcleなどといった制度も用意されています。
2-7. サイボウズ株式会社
サイボウズ株式会社は、グループウェア・チームワーク強化メソッドの開発、販売、運用に関する事業を行っている企業です。
当社では、上記のような福利厚生制度のほかにも、社員同士の交流の場を多く設けるなど、チーム力を高めるための取り組みが行われています。
2-8. さくらインターネット株式会社
さくらインターネット株式会社は、インターネットへの接続サービスの提供などの事業に取り組んでいる企業です。
当社では、さぶりこ(Sakura Business and Life Co-Creation)と呼ばれる、社員個人が「働きがい」を追求できることを理想とした考え方を持っており、それを基に福利厚生制度が実施されていることが特徴です。
上で紹介したもののほかに、20時間分の残業手当を先払いで支給してもらえる「タイムマネジメント制度」や、その日の勤務時間を10分単位でスライドできる「フレックス制度」といった制度などが用意されています。
3. 福利厚生の手厚さは業種で違う?
アメリカの企業における福利厚生には、健康保険、401K(確定拠出個人年金制度)、有給休暇、ストック・オプション、住宅・自動車の補助などがあります。
健康保険や401Kなどはどの企業でも提供されていますが、その他のプランを加えた全体としての福利厚生は、業種ごとに多様です。
キャリア情報サイト「Glassdoor」によると、5人に3人は仕事を選択する際に福利厚生を気にしているとのことです。
さらに、Glassdoorのデータベースから47万件ものレビュー内容を分析しており、8業種による福利厚生の手厚さの違いを調査しています。

上記によると、全体としての福利厚生への満足度が高かったのは金融、IT業界で、製造、教育が続きます。一方、小売や飲食などのサービス業では、福利厚生への評価が低い傾向が見て取れます。
また、業種によって、評価のばらつきにも差があります。
たとえば、製造や教育業界では高評価が集中しているのに対し、へルスケア、ビジネスサービスの分野では評価が分散しています。

なお、アメリカの従業員に人気のある福利厚生は、「産休と育児休暇」「退職金給付」「無料の食事や軽食」とのことです。
産休と育児休暇にフォーカスを当てて、従業員の評価ランキングを見ると以下のようになります。

これを見ると、金融、IT、教育業界は満足度が高い傾向で、全体評価と相違はなさそうです。それ以外だと、飲食サービス業が中位に上がって、ヘルスケア業界が低い評価を受けています。
さらに、Glassdoorは「退職給付金」や「無料の食事や軽食」に関してもレビューランキングをとっており、「無料の食事や軽食」をみると教育業界がもっとも評価が低く、飲食サービスが順位をあげています。
業界の文化や風習などの特色が出ているように思われます。
全体評価から福利厚生の内容ごとに視点をうつすと、内容によって評価が違ってくる模様です。
このように、アメリカでは業種や内容によって福利厚生の評価が大きく異なります。
4. 最後に
いかがでしたでしょうか。
福利厚生の制度を構築するにしても、「従業員が何を求めているのか」「業界や自社の特徴を活かすことができそうか」なども考慮すべきでしょう。
バラエティに富んだユニークな制度の事例をいくつか紹介させていただきましたが、アイデア勝負のみの突拍子もないサービスを行っているわけではなく、いずれも、各企業の方向性に沿って従業員の働きやすさや生活のしやすさを追求した福利厚生となっています。
また、アメリカには、ユニークな福利厚生を提供する企業が多くあります。有名なのはGoogleで、24時間使えるジムやフリーフード、無料ランドリーなど個性的でかつ他社がうらやましく思うような福利厚生が高評価を得ています。
また、コストコでは、スーパーのセール時期などの繁忙期でも店舗を閉めて休日にするという従業員の生活を重視した制度を設けています。
女性の進出を支援するAppleでは、卵子の凍結保存の支援、不妊治療に援助金を出す、といった制度があります。
さらに、Evernoteでは、月に2度、無料で自宅のハウスクリーニングを手配するといった福利厚生があります。このように、企業のビジョンや従業員の現状に応じて、多様な福利厚生が用意されています。
様々な企業のユニークな事例をもとに、自社で取り組む福利厚生を検討しても良いかもしれません。
【参考記事】 https://www.glassdoor.com/research/studies/best-industries-for-benefits/
--------------------
--------------------
人事/HR業界の最新情報を毎週チェック!