フレックスタイム制度で生産性の向上を!3つの企業の成功事例をご紹介 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

フレックスタイム制度で生産性の向上を!3つの企業の成功事例をご紹介 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

フレックスタイム制で生産性の向上を!3つの企業の成功事例をご紹介

フレックスタイム制」とは、従業員の労働時間を固定ではなくフレキシブルに変動させ、社員のワークライフバランスの向上と生産性の向上を同時に実現させるために導入された制度です。

比較的に構成人数が多く、時間の融通が効きやすい会社で導入されることが多いですが、最近では働く場所だけではなく時間にも注目が集まり、今後フレックスタイム制が浸透していくと考えられます。

そこで今回は、フレックスタイム制を導入し成果をあげている企業の事例を3つご紹介していきます。

フレックスタイム制の概要を知りたい方はこちら
フレックスタイム制とは|導入のメリットから手続きまで総まとめ

1.フレックスタイム制とは

フレックスタイム制とは、「最大期間を3か月とする一定期間内(精算期間)の総労働時間をあらかじめ決めておき、労働者はその精算期間内で毎日の労働日の労働時間を自分で決めることができる」という制度です。

労働時間を自由に決めることができるといいましたが、一般的にはコアタイムフレキシブルタイムという時間に分けて運用されることがほとんどです。

1-1.コアタイムとフレキシブルタイム

コアタイム』とは、その時間内は必ず勤務していないといけない時間帯です。日々決まった時間に会議や打ち合わせなどをする場合に、フレックスタイムだからといって参加しないわけにはいきません。

たとえば、10時から15時と明確に時間を設定して、オフィスに出勤する時間をコアタイムとして設けます。

フレキシブルタイム』とは、コアタイム以外の時間帯ならいつ出社または退社してもいいという時間帯のことをいいます。

このコアタイムとフレキシブルタイムは、各企業によって時間帯が設定されるため、コアタイムが長い会社もあれば短い会社もあります。

コアタイムとフレキシブルタイムについてさらに知りたい方はこちら!
フレックスタイム制の「コアタイム」|フレキシブルタイムとの最適なバランスは?

1-2.スーパーフレックスタイム制とは

フレックスタイム制には、基本的に前述したコアタイムとフレキシブルタイムが存在しますが、コアタイムが存在しない制度を「スーパーフレックスタイム制」と言います。

普通のフレックスタイム制に比べさらに自由度の高い働き方が可能になるため、自己管理さえきちんとできれば、より良いワークライフバランス実現につながると考えられています。

さらに、働く時間だけではなく場所も自由に決められる制度は「スーパーフレックス制度」と呼ばれ、欧米の企業ではすでに浸透してきています。

スーパーフレックスタイム制について詳しく知りたい方はこちら!
コアタイムなしのフレックスタイム制を導入するメリット・デメリットを紹介

1-3.フレックスタイム制のメリット・デメリット

フレックスタイム制のメリットとして、ワークライフバランスの推進、無駄な残業の軽減、優秀な人材の確保などが挙げられます。

一方、デメリットとしては、勤務時間外に連絡が来る可能性があることや、社内外のコミュニケーションが取り辛くなることが挙げられます。

上手く活用するためには、社内のコミュニケーションツールの再検討や、チームでのルール作りなどが必要になります。

また当サイトでは、ここまで解説してきたフレックスタイム制のメリット・デメリットや導入手順などを、図を用いてわかりやすく解説した資料を無料で配布しております。

導入検討中でフレックスタイム制に関して理解を深めたいご担当者様は、こちらから「フレックスタイムを実現するための制度解説BOOK」をダウンロードしてご確認ください。

フレックスタイム制のメリット・デメリットをさらに詳しく知りたい方はこちら!
フレックスタイム制のメリット・デメリットとは?注意点や導入フローをあわせて解説

2.フレックスタイム制の導入状況

実際、日本ではどれくらいフレックスタイム制が導入されているのでしょうか。

厚生労働省が実施した令和2年就労条件総合調査によると、全企業に対しフレックスタイム制を導入している企業は6.1%です。労働者割合では9.3%と、どちらも10%に満たない状態です。

また、従業員数が1000人以上の企業でフレックスタイム制を導入しているのは16.7%で、300-999人規模では8%、100-299人規模では4.4%と、従業員数が多い企業ほどフレックスタイム制を導入していることが分かります。

全体的にはフレックスタイム制導入企業は少ないですが、平成31年に導入企業が5.0%だったのに比べると増加していると言うことができます。(参考:平成31年度就労条件総合調査

最近では、コロナ禍でリモート化に伴って、働く時間も自由にする企業が増えてきました。今後フレックスタイム制を導入する企業は増えていくのではないでしょうか。

3.フレックスタイム制導入によって成果をあげている企業事例3選

ここからは、フレックスタイム制を導入して成果をあげている企業事例を3つご紹介します。

3-1.アサヒビール株式会社|社員の働き方へのフレキシブルな対応は、結果的に社益をもたらす

アサヒビール株式会社は、『全社員が安全で健康に働ける環境をつくること』が企業のミッションであると考えています。そのミッションを達成するために、社員にとって一番いいワークライフバランスが実現できるような取り組みを積極的におこなっています。

その取り組みの一環として、フレックスタイム制を取り入れています。必ず会社に出勤する時間が設けられているコアタイムを含む制度のほかに、コアタイムを含まない『スーパーフレックス制』を導入しており、時間に縛られることなく社員のライフスタイルに合わせてフレキシブルな対応をしています。

このようにアサヒビール株式会社の社員の働き方に対する取り組みが、家庭の育児や介護をしなくてはいけない社員でも働ける環境をつくり、育児を高い水準で支援している会社へ厚生労働者から贈られる、「プラチナくるみん」認定を受けています。

無駄な労働時間を削減するという考え方から、在宅勤務制度やビデオ会議なども取り入れて生産性を落とさずに結果を出し続けることができています。

「プラチナくるみん」とは
2015年4月1日から施行された制度で、仕事と育児の両立支援に熱心に取り組む企業の中から、高い実績を残した企業へ送られる厚生労働省からの認定になります。「プラチナくるみん」の認定を受けることで、税制の優遇を受けることができ、認定マークを利用することができます。「プラチナくるみん」の認定マークは商品や広告に利用することができるので、仕事と育児の両立ができている企業だというイメージを上げることができます。また優秀な人材確保のための企業ブランディングにもなります。以前に「くるみん」についての記事も書いています。
人材不足の解消に!「くるみんマーク」の概要と取得メリットとは?

3-2.三井物産ロジスティクスパートナーズ|ライフ・クオリティの向上は、生産性のクオリティの向上に繋がる

三井物産ロジスティクスパートナーズでは、オーバーワークをしている社員が多かったことから、フレックスタイム制アニバーサリー休暇などワークライフバランスを重視した働き方を積極的に取り入れました。

オーバーワークになりやすい若手のみならず、マネージャークラス以上の中高年層社員にも、社長の川島氏は「家族と過ごす時間」「趣味の充実」など、自分の時間を大事にする働き方を熱心に説いたそうです。また同時に、それはそれとして、きっちり結果を出すことも社員に求め、そのための改善策を具体的に提唱し、推し進めました。

結果として、オーバーワーカーが減り、さらに過当競争にあるロジスティクス業界のなかでも、好業績を維持できている要因になっています。

3-3.旭化成ホールディングス|介護支援勤務制度の充実を!

「旭化成ホールディングス」は、急速に進む高齢化から、今後、介護負担しながら勤務する社員が増えることを見据え、他社よりも一歩踏み込み、フレックスタイム制を導入して仕事と介護が両立できる支援をおこなっています。

その特徴は、以下の3つです。

  1. コアタイムの短縮
  2. フレックスタイム制なのに『フルタイム勤務』が原則
  3. 制度利用に、期間の定めを設けない

1.コアタイムの短縮

「社員が出勤・退勤の時間を決められる」という点が最大の特徴である『フレックスタイム制度』を導入しました。加えて「コアタイム」を短縮することで、さらに働き方のフレキシビリティの向上に向けて取り組んでいます。

ワークライフバランスをフレックスタイム制度の導入で見直すことで仕事と介護が両立できる仕組みをつくりました。

2.フレックスタイム制度なのに『フルタイム勤務』が原則

介護の為の短時間勤務制度は、「ノーワーク・ノーペイ(労働なきところに支払なし)」の原則により、社員の給与面や、賞与・退職金の査定、年金受給額などにおいて影響を与えます。また、管理職年代の仕事と介護の両立においては、本人のその後のキャリアへの影響も懸念点です。

フルタイム勤務(1ヶ月で必ず働かなければいけない総労働時間)を前提にすれば、社員はフレックスタイム制度の中でも給与や、役職のために危機感を感じることができ、仕事と介護の両立ができるようなワークライフバランスを作り上げることができます。

3.制度利用に、期間の定めを設けない

介護と育児の最大の違いは、介護は期間の見通しがつかない点です。20年以上続くこともあるため、期間を定めないことで、社員に大きな安心感を与えました。

一方、会社側は、優秀な社員を介護離職させずに済みます。これはもちろん、収入源をつなげる社員側にとってもメリットです。

4.最後に

いかがでしたでしょうか。

さまざまな企業がフレックスタイム制を導入し、社員ひとり1人のワークライフバランスを重要視しています。いかに業績を上げるのか、生産性を向上させるのかを考えながら導入を進めていく必要があります。

今回ご紹介をした企業の活用事例を見ていただくと分かるように、企業によってフレックスタイム制度の取り入れ方はさまざまです。

今後フレックスタイム制の導入を考えていくには、社員にどのような働き方をしてほしいのか、生活を送ってほしいのかを考えることが重要になってきます。

ライフパターンの多様化、少子高齢化などによる労働人口の減少などの昨今の情勢を考慮して社員のため、企業のためになるようなフレックスタイム制を導入したいですね。

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