近年採用代行は注目を集めていますが、採用代行として人材の採用を外部に委託した場合、「委託募集にあたらないか?」「違法性はないか」などという不安な声があることも事実です。
本記事では、採用代行と委託募集の関係について解説いたします。安心して採用代行サービスを活用できるように、委託募集の概要や採用代行の違法性、委託募集の許可の取り方に関する理解を深めていきましょう。
目次
1.採用代行は委託募集に該当するが違法性はない
採用代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)サービスとは、採用活動の一部、または全てを外部の専門家へ委託(アウトソース)する採用支援サービスです。労働者の募集を第三者へ委託していることから、採用代行は「委託募集」に該当します。
1-1.委託募集とは
委託募集とは、労働者の募集を第三者(自社従業員以外)に委託することです。労働者募集を第三者へ委託する場合には、その適格性を事前にチェックするため、許可制がとられています(職業安定法第36条1項、第60条、施行規則第37条1項3号)。
採用代行には、委託募集に該当するものとそうでないものがあり、労働者の募集・選考などの採用業務を外部に委託する場合は委託募集に該当するため、許可が必要です。
一方で、募集や選考は自社でおこない、採用試験問題の作成・実施のみを外部へ委託するといった場合であれば、「第三者が募集をおこなった」とまでは言えないため、委託募集には該当しません。
1-2.採用代行を業務委託しても違法行為には当たらない
結論から申し上げると、許可がとれていれば、採用代行は違法行為にはなりません。
労働者の募集や選考といった採用業務を外部へ委託する場合には、厚生労働大臣、または就業地を管轄する都道府県労働局長の許可を受ける必要があり、募集主及び募集受託者がそれぞれ委託募集の許可基準を満たすことで許可が下ります。
ちなみに、許可を得て職業紹介事業をおこなう業者に募集を委託し、次に当該職業紹介事業者が求職者を募りって応募者を紹介された場合は職業紹介に該当するので、基本的に「委託募集」の許可は必要ありません。
職業安定法によると「許可を受けずに法第36条第1項の委託募集を行った者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰に処せられる(法第64条第6号)」と記載してあります。
違法行為の内容にあらかじめ許可の方法を確認しておきましょう。
2. 採用代行が必要とされる背景
採用代行が必要とされる背景には主に3つの要因があります。
- 採用手法が多様化し、採用担当者の負担が大きくなっている
- 少子高齢化に伴い、人材確保がより困難になっている
- 中小企業の中には、採用を専門とする担当者が不在となるケースがある
時代の変化や応募者のニーズに応えるため、採用手法が多様化・複雑化しています。また、どの業界においても深刻な人材不足であり、人材の確保が急務になっています。中小企業の中には、通常の業務をおこなう傍らで採用業務を兼務するといったケースもあり、効率的かつ確実な採用が難しい現状があるようです。
採用代行は採用のプロです。多様な採用手法を熟知し、企業に合う採用方法で求める人材を採用できる可能性を高めてくれます。採用を代行サービスに委託することで、採用における負担を減らし、現状の課題を克服しやすくなるでしょう。
3. 採用代行を利用するメリット
採用代行を利用することで、以下のような恩恵を受けられる可能性があります。
3-1. 採用コストを削減できる
自社採用をおこなう場合、採用にコストがかかってることを実感しにくいかもしれません。会議室のレンタル代のように目に見えて費用がかかっているものもありますが、募集要項の作成や採用説明会の準備などの人的コストは目に見えにくいため、実際には採用にかなりのコストがかかっています。
そのため、採用代行に切り替えることで採用コストを削減できるケースがほとんどです。
今後、採用手法の多様化などにより人材の確保はより困難になることが予想されます。採用担当者の負担をこれ以上増やさないために、採用代行の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
3-2. 採用代行サービスのノウハウを自社に取り入れることができる
採用代行サービスはさまざまな採用手法を用いて企業の採用を支援します。また、採用に関する最新の情報を持ち合わせているため、時代にマッチした最適な採用方法を提案してくれます。
採用活動に特化したサービスを導入すれば、自社の採用力を高めることも可能です。
4. 採用代行サービスの費用相場と依頼可能な業務
採用代行サービスの多くは月額料金性をとっています。費用相場は25~100万円と言われていますが、実際の費用は企業によって異なります。
採用代行サービスは多様な採用業務を代行してくれるため、採用のほぼ全てを任せることが可能です。採用代行サービスに依頼できる業務の一例を紹介します。
- 採用要件の設定
- KPIの設定
- 求人広告や募集要項の作成
- 書類選考
- 面接
- スカウトメールの作成
- 応募者への対応など
費用や依頼可能な業務は業者によって異なります。興味がある方は、一度業者に相談してみるとよいでしょう。
5.委託募集の許可を得るための申請方法
採用代行を利用する際は、事前に許可を得る必要があります。では、委託募集の許可申請はどのようにするのでしょうか。
5-1.許可の取り方
募集主は、「委託募集許可等申請書(様式第3号)」に必要事項を記載し、厚生労働省、または都道府県労働局長へ提出します。申請の際は、委託募集許可等申請書の内容を証明する帳簿や、書類を同時に提出する必要があります。
・様式第3号「委託募集許可等申請書」
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/bosyu/dl/y03.pdf
一つの都道府県から30人以上募集する場合と、募集人数が100名以上になる場合は、厚生労働大臣の許可が必要になります。それ以外は就業地の都道府県労働局長の許可を取りましょう。
【提出期限】
- 厚生労働大臣の許可等に係るもの:募集を開始する月の21日前まで
- 都道府県労働局長の許可等に係るもの:募集を開始する月の14日前まで
申請後、委託募集の許可基準に基づき審査されます。申請手続きは、募集主の代わりに募集受託者(採用代行業者)がおこなうことも可能なため、採用代行企業に依頼して自社の負担を減らすとよいでしょう。
5-2.許可の基準
申請後、委託募集の許可基準に基づいて審査がおこなわれ、許可・不許可、条件付きの許可といった判断がなされます。許可の基準は以下の通りです。
【許可の基準】
- 募集主、募集受託者がそれぞれ職業安定法その他の労働関係法令に係る重大な違反がないこと
- 募集に係る労働条件が適正であること
- 募集に係る業務内容、労働条件が明示されていること
※参照:Ⅲ委託募集 – 厚生労働省
6.採用代行サービス業者を選定するポイント
これまで説明してきたように、採用代行は許可を取っていれば違法にはなりません。
採用代行を依頼するにあたっては、まず、採用業務に関する自社の課題を把握しておくことが大切です。
そもそも応募が少ないのか、選考の日程調整に時間がかかりすぎているのか、辞退率が高いのかなど、課題を明確にした上で、自社でおこなう業務と依頼する業務を分類し、該当業務の対応ができる会社を選ぶようにしましょう。
選定のポイント
- 採用代行サービス提供の許可を会社としてきちんと取っているか
- 依頼したい業務に対応できるかどうか
- 豊富な実績があるか、且つ過去に同業界の採用代行の実績があるか
- 自社内のルールに沿って依頼できるか
- 進捗状況の共有するためのツールは何か
採用は経営の根幹に関わってくる重要な業務です。採用代行サービスを選ぶ際は、じっくり時間をかけて各社を比較し、自社に合った会社選定をおこなうことが大切です。
7.採用代行サービス業者5社の特徴を比較
採用代行は、中小企業のように応募者からの認知が十分でないと感じている企業や、採用におけるマンパワーやノウハウ不足の企業、応募数が多くノンコア業務が多い企業など、採用におけるさまざまな課題を持っている企業におすすめです。では、どういった企業が採用代行サービスを提供しているのか、ここでは特徴含めて紹介します。
7-1.株式会社キャリアマート
- 年間1000社以上の採用をサポートし、業種に合わせたアウトソーシングを実施。
- 採用数に応じたアウトソーシングプランを提供。
- 初期費用0円で、月額1万円から依頼可能。
7-2.株式会社uloqo
- 広告業界最大手グループのネット広告代理店、リサーチ業界最大手企業等、60社以上との取引実績あり。
- 契約継続率90%以上を誇る高品質サービス。
- 深い理解と専門知識を有したコンサルタントによる支援で、採用ペルソナ設計から面接代行まで、すべての段階においてスムーズな対応が可能。
7-3.株式会社アールナイン
- 1,200社以上の導入実績があり、最適な採用コンサルティングと採用実務サポートを提供。
- 採用に関わるニーズに対応できるサービスを、全国の主要都市で展開。
- 面接・説明会代行、リクルーター制度導入、リクルーター代行、面接官・リクルータートレーニングが得意分野。
7-4.株式会社トライアンフ
- 3,000社以上の導入実績があり、企業の採用強化、組織強化、人事・労務の効率化をサポート。
- 現状把握から来期提案の検討まで、長期的な視点を持った採用代行を実施。
- 常駐型アウトソーシングも実施しており、採用経験の豊富なスタッフを企業に派遣することも可能。
7-5.株式会社ネオキャリア
- 業界トップクラスで10,000社以上の支援実績があり、新卒・中途・アルバイトなど幅広い業種業界のノウハウが豊富。
- 説明会・面接などの日程設定、応募者対応、面接代行など、採用におけるさまざまなサービスに対応。短期的な依頼も可能で導入しやすい。
- 月10万円からのお得なキャンペーンも実施。
8.採用代行サービスを利用して効率的かつ確実な採用につなげよう
結論、採用代行は委託募集にあたりますが、しかるべき許可を取っていれば違法ではありません。
プロの目線で採用活動をサポートしてくれる採用代行サービスを上手に活用して、効率的な採用活動を実現しませんか。
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