フリーランスエンジニアを採用し、活用するには 〜データでみるフリーランス採用の最前線と活用ポイント〜 |HR NOTE

フリーランスエンジニアを採用し、活用するには 〜データでみるフリーランス採用の最前線と活用ポイント〜 |HR NOTE

フリーランスエンジニアを採用し、活用するには 〜データでみるフリーランス採用の最前線と活用ポイント〜

  • 採用
  • エンジニア採用手法

※本記事は、株式会社Hajimariより寄稿いただいたものになります。

年度が変わり、採用予算の策定に悩む人事担当者の方も多いのではないでしょうか。

「優秀なエンジニアがなかなか採用できない」
「内定を出しても辞退される」

そんな声を、採用担当者から日々聞きます。

職種別の採用難易度を見ると、エンジニア職の採用は非常に難しくなっています。新卒のエンジニア職採用を実施する企業の4社に1社が、採用目標未達見込みとの調査*もあります。(参照:レバテック株式会社「新卒エンジニア採用実態調査」

そうした状況の打開策として、近年注目されているのが「フリーランス人材の活用」です。フリーランスのメンバーが社内プロジェクトに関わることが増えたと感じている方もいるかもしれません。

一層の働き手不足が懸念される中、企業にとって重要な選択肢の一つとなるフリーランス活用ですが、「適正な単価がわからない」「採用した後、どう動かせばいいか不安」という課題がつきまといます。

正社員と異なり、入社後の研修制度やフォロー体制が整っていないケースも多く、想定したパフォーマンスを出してもらえないことも珍しくありません。

本記事では、フリーランスエンジニアの最新市場データをもとに適正単価を解説するとともに、創業以来フリーランス市場の前線を見ているHajimariの事例から見えたフリーランス活用ノウハウをご紹介します。

執筆者亀田 壮司株式会社Hajimari(旧:ITプロパートナーズ) 執行役員

2017年の入社以来、フリーランスエンジニアの活用支援を行うエージェント業務に従事し、全社MVP賞を受賞。29歳で執行役員に就任後は、プロパートナーズ事業本部を中心に幅広いミッションを担う。長年にわたりフリーランス市場の最前線に立ち続け、数多くの企業のフリーランス活用を支援してきた。本記事で紹介するデータと知見は、その現場経験から生まれたものです。

フリーランスエンジニアの採用現況 〜市場で起きている「単価の二極化」〜

まず、フリーランスエンジニア市場の全体像をお伝えします。

Hajimariのプラットフォームデータ(2024年11月〜2026年3月、直近16ヶ月の案件単価変動)を見ると、フリーランス市場では単価の二極化が明確に進んでいることがわかります。

単価が上昇しているのは「AI・インフラ系」「バックエンド開発」領域です。AIエンジニアやネットワークエンジニアへの需要が急速に高まっており、企業は希少人材の争奪戦を繰り広げています。

採用担当者としては、この二極化の構造を理解した上で予算決定・採用判断をすることが、今後ますます重要になっていくでしょう。以下のデータは、フリーランスエンジニアの案件単価における直近16ヶ月の変動です(参照:フリーランスエンジニア案件の平均単価相場

▮ プログラミング言語別:KotlinとPythonが上昇、Swiftは急落
スキル・役割 2024年11月 2026年3月 変動率
Kotlin 66.0万円 70.0万円 +6.06%
Python 65.0万円 68.0万円 +4.62%
JavaScript 60.0万円 62.0万円 +3.33%
Go 70.0万円 72.0万円 +2.86%
Java 58.0万円 59.0万円 +1.72%
TypeScript 66.0万円 67.0万円 +1.52%
Ruby 74.0万円 73.0万円 -1.35%
PHP 63.0万円 62.0万円 -1.59%
Swift 70.0万円 65.8万円 -6.07%

注目すべきは Kotlin(+6.06%)と Python(+4.62%)の上昇です。Kotlinは簡潔さと安全性を兼ね備えており、Androidアプリ開発やサーバーサイド領域でも採用が進み、需要が拡大しています。Pythonは、AIや機械学習領域などの成長領域に活用されており、引き続き強い需要が続いています。

一方、Swift(−6.07%) の下落は注目に値します。iOSアプリ開発の需要そのものが消えたわけではありませんが、iPhoneとAndroid両方に対応したアプリを効率よく作れる新しいツールの台頭により、Swift専門エンジニアのニーズが下がってきてます。

また、AIによる開発補助ツールが進化し、モバイル開発の一部作業が自動化されつつあることも、単価の下押し要因となっている可能性があります。

▮ フレームワーク別:DjangoとLaravelが二桁上昇
スキル・役割 2024年11月 2026年3月 変動率
Django 57.0万円 64.3万円 +12.72%
Laravel 59.0万円 66.0万円 +11.86%
Vue.js 61.0万円 65.0万円 +6.56%
Node.js 62.0万円 66.0万円 +6.45%
Ruby on Rails 71.0万円 71.0万円 0.00%
React 68.0万円 67.0万円 -1.47%
Next.js 68.0万円 65.0万円 -4.41%
Spring 67.0万円 64.0万円 -4.48%
Flutter 69.0万円 63.0万円 -8.70%

 フレームワーク別では、Django(+12.72%)とLaravel(+11.86%)の大幅上昇が目立ちます。両フレームワークとも、高速かつ効率的に開発できる点から人気が高まっています。

対照的に、Flutter(−8.70%)は顕著に下落。新しいツールの台頭により「Flutter専門のエンジニアに頼まなくても対応できる場面」が増えてきたことが背景として考えられます。

▮ 職種別:AIエンジニアとネットワークエンジニアが高騰
スキル・役割 2024年11月 2026年3月 変動率
ネットワークエンジニア 55.0万円 61.0万円 +10.91%
AIエンジニア 73.0万円 79.5万円 +8.90%
インフラエンジニア 59.0万円 60.0万円 +1.69%
フロントエンドエンジニア 65.0万円 64.0万円 -1.54%
Webディレクター 55.0万円 53.0万円 -3.64%
ITコンサルタント 101.0万円 90.0万円 -10.89%

職種別で最も大きな変動を示しているのが、ITコンサルタントの−10.89%です。長く100万円を超えていた平均単価が90万円台に落ち着いています。

その一方で、AIエンジニア(+8.90%)とネットワークエンジニア(+10.91%)の単価は明確に上昇しています。中でも、AIエンジニアの最新単価は79.5万円と全職種で最高水準。AI関連人材の争奪戦が激化している様子が伺えます。

ネットワークエンジニアについては、クラウド移行の加速やサイバーセキュリティへの意識高まりを背景に、インフラ・ネットワーク領域の専門家へのニーズを背景に単価上昇しています。

最も大きな変動を示している ITコンサルタント(−10.89%) については、自社内にデジタル人材を抱えることで外部への依存度を下げる企業が増えたことで、単価の下落につながっています。また、高単価な「戦略立案フェーズ」よりも「実行支援フェーズ」の需要が増えたことも、単価押し下げの一因として挙げられます。

こうした需要は、むしろAIエンジニアやデータエンジニアへシフトしていると捉えるべきでしょう。上記のデータを採用実務にどう活かすか、ポイントをまとめます。

データを踏まえた採用判断のポイント
単価が上昇しているスキルは、採用スピードが勝負です。今後さらなる単価上昇の可能性に備え、マッチする人材に出会ったタイミングで早めにオファーを出すことが重要です。
フリーランスの場合、正社員採用以上に「他社との競合」が起きやすく、検討に時間をかけるほど競争率が上がります。実際に、長年フリーランスと企業のマッチング事業を展開してきたHajimariの支援事例でも、AI関連人材の獲得競争率は上がってきています。
AIエンジニアは単価も高く上昇トレンドにある一方、市場にいる人数が少ない希少職種です。こうした職種を活用する際は、任せる業務と目指すゴールを明確に決めた上で短期集中的に動いてもらうことが、予算内でコスト効率を高める鍵となります。
一方、フロントエンドエンジニアのように市場に人材が多い職種は、複数の候補者を比較検討し、スキルと単価のバランスを見極めることで、予算・質のバランスが取れた人材を確保しやすくなります。

フリーランス活用ノウハウ〜“採用して終わり”にしないための5つの実践〜

正社員市場の人材獲得が激化する現代では、フリーランス活用はもはや補助ではなく、開発体制の中核を担う戦略的な選択肢です。

ただ、フリーランスを採用してうまくいかないケースには共通のパターンがあります。それは「採用して終わり」になってしまうことです。正社員のような、研修や上司のフォローなどの仕組みが整っていないことが多く、結果として想定していたアウトプットが出ないという状況に陥りがちです。

以下では、Hajimariが実際の支援現場で培ったフリーランスが最大のパフォーマンスを発揮するための実践ノウハウをご紹介します。

1. 採用時のミスマッチを防ぐ

「採用してみたら思っていた人と違った」

こうしたミスマッチは、フリーランス活用でよく起きるトラブルの一つです。原因の多くは、現場・人事・エージェントの三者間で、求める人物像の解像度がバラバラなことにあります。

人事担当者として、現場から「Pythonができる人が欲しい」とだけ言われて困った経験はないでしょうか。スキルだけを条件にすると、「技術は申し分ないのに、プロジェクトに馴染めなかった」というミスマッチが起きやすくなります。

ミスマッチを防ぐには、採用要件をスキルだけでなく「解決したい事業課題」「チームのミッション」「求める行動レベル」まで落とし込んで言語化することが必要です。

「AIを活用した新機能の開発フェーズを一人でリードできる人」など具体性のある要件を、現場・人事・エージェントで共有することで、マッチング精度は大きく向上します。

2. 「開発文化(カルチャー)」の早期伝達

技術スキルが完璧でも、文化が合わなければパフォーマンスは発揮されません。これは正社員でも同じですが、フリーランスの場合は特に注意が必要です。

フリーランスのメンバーは複数の企業で仕事をしていることも多く「個社ごとのルール」を自然に把握する機会が少ないからです。暗黙の了解になっている開発文化がフリーランスには伝わっていないケースは非常に多くみられます。

具体的には、技術選定の裁量権の範囲、リモート時コミュニケーションのルール、コードレビューの文化など、自社特有のルールを参画初期に明文化して共有することが重要です。

また、情報格差をなくすために、可能な限りオープンな場で議論を行う・定例会議に参加してもらうなどの工夫をすることで、フリーランスメンバーが当事者意識を持って参画できる環境が整います。

3. 適切な期待値調整とトラブル予防

「もっとスピードを上げてほしい」
「思ったより品質が低い」

こうした不満が蓄積して、突然の契約終了や関係悪化につながるケースがあります。

定期的なコミュニケーションで、業務の質・量だけでなく、「稼働時間」「業務範囲」「成果物の基準」にズレがないかを確認していきましょう。

もしパフォーマンスへの懸念が生じた場合は、感情論ではなく事実ベースのフィードバックを心がけることが重要です。

「〇〇のタスクが期日より3日遅れています。何か障壁がありますか?」という形で、具体的に・早めに・建設的に伝えることがトラブルを未然に防ぎます。

また、契約形態についてもフリーランスの多くは指揮命令権のない準委任契約を結んでいます。契約に沿った業務の指示ができているかも都度確認が必要です。

Hajimariの実践事例:CTO経験者フリーランスによる新規事業立ち上げ

上記のノウハウが実際にどう機能するか、Hajimariの事例でご紹介します。

事例

Hajimariにおいてこれまで進出してこなかったSaaS分野へ事業展開する際、メガベンチャーでCTO経験と組織マネジメント経験を持つフリーランスエンジニアが参画。

「SaaS事業を立ち上げ、6ヶ月でMVPリリースをする」という明確なゴールと、「経営視点から開発に求めること(コスト感覚・スピード重視・外部ベンダー活用の判断など)」をあらかじめ丁寧にすり合わせることで、認識齟齬の発生も防ぎました。

参画後は、開発戦略やプロダクトコンセプトの策定から、現場で発生する技術的な課題への随時対応まで、プロの視点から伴走し、プロジェクトは期日通りにMVPリリースを達成しました。

プロジェクトの最大の成功理由は、「何を任せるか」を最初に明確にしたことです。曖昧な状態でスタートしていたら、優秀な人材でも力を発揮しきれなかったでしょう。

優秀な人材を獲得することの難易度が上がるなか、フリーランス活用はもはやどの企業にとっても必須の手法です。

採用担当者に求められるのは、企業の課題解決に適した人材を適切な価格で採用し、パフォーマンスの出る環境を用意することです。

フリーランスを活用し、開発のスピードと質の両方を向上させることで、飛躍的な事業成長を実現させましょう。

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