有形商材営業と無形商材営業の違いとは? 採用時に見極めるべき営業スキルのポイント|エッジコネクション大村 |HR NOTE

有形商材営業と無形商材営業の違いとは? 採用時に見極めるべき営業スキルのポイント|エッジコネクション大村 |HR NOTE

有形商材営業と無形商材営業の違いとは? 採用時に見極めるべき営業スキルのポイント|エッジコネクション大村

  • 採用
  • 採用戦略・要員計画

※本記事は、株式会社エッジコネクションより寄稿いただいた内容を掲載しております。

営業職の採用において、「法人営業か個人営業か」「新規開拓かルート営業か」といった軸はよく評価基準として挙げられます。しかし、私が実際に採用支援や営業組織の構築に携わるなかで、それと同じくらい重要でありながら見落とされがちなポイントがあると感じています。それが、「どのような商材を営業してきたか」という視点です。

世の中の商材は大きく「有形商材」と「無形商材」に分けられます。この2つでは、営業プロセスの構造が異なるため、営業担当者が自然と身につけてきたスキルも大きく変わります。商材特性を考慮せずに採用を行うと、「営業経験者を採用したのに成果が出ない」「早期離職につながった」というミスマッチが生じやすくなります。

本記事では、有形商材営業と無形商材営業の違いを整理したうえで、それぞれの経験者がどのようなスキルを身につけているかを解説します。また、キャリアチェンジ採用で起きやすいミスマッチや、採用時に確認すべきポイントについても紹介します。

寄稿者大村 康雄株式会社エッジコネクション 代表取締役社長

慶應義塾大学経済学部経済学科卒業後、シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)入行。2007年、株式会社エッジコネクション創業。営業支援業を軸に、人事・財務課題にも対応するコンサルティング企業として展開。これまでに1800社以上を支援し、継続顧客割合は75%を超える。2024年7月には「24歳での創業から19期 8期連続増収 13期連続黒字を達成した黒字持続化経営の仕組み」を出版。

有形商材と無形商材とは何か

有形商材

実際に手で触れたり目で見たりすることができる商品を指します。
皆さんの視界に映っているほぼすべてのモノが有形商材です。

食品、家電、自動車、住宅設備など、形として存在するものはすべてこのカテゴリに含まれます。なお、アプリやWebサービスなど、画面上で動作するプロダクトも「デモで体験できる」という意味で有形商材に含める場合があります。

無形商材

形がなく、手で触れることのできない商品・サービスを指します。
研修、コンサルティング、保険、採用支援サービスなどが代表例です。

当社が手がける営業支援や採用コンサルティングも、まさに無形商材にあたります。目で見て良し悪しを判断することができないため、営業プロセスの構造が有形商材とは大きく異なります。

有形商材営業で身につく営業スキル

有形商材の最大の特徴は、商品そのものが営業を助けてくれる点にあります。

顧客は商品を実際に見たり触ったりして判断できるため、営業担当者の役割は「いかにその商品の魅力を最大限に伝えるか」に集中しやすくなります。

そのため、有形商材の営業経験者は、次のようなスキルが自然と磨かれていきます。

  1. 商品の特長を分かりやすく説明するプレゼン力
  2. 商材に関する深い製品知識
  3. 顧客の購買意欲を引き出すクロージングトーク

商品自体に訴求力があるため、顧客の課題を深掘りするよりも「この商品を選ぶべき理由」を的確に伝える力が問われます。商品スペックの比較対応や、質疑応答での即答力も磨かれやすい環境です。

無形商材営業で身につく営業スキル

無形商材は、文字通り形がありません。パンフレットはあっても、顧客がそれだけを見て購買を決断することはまずないでしょう。営業担当者が商談力で補わなければ成約には至らない——これが無形商材営業の大前提です。

たとえば、コーチングサービスの場合を考えてみてください。著名な経営者の実績を多数持つコーチであっても、顧客の話をろくに聞かず、アドバイスがしっくりこなければ契約には至りません。

一方、実績がまだ少ない駆け出しのコーチでも、真摯に話を聞き、顧客の課題に寄り添うアドバイスができれば、同じ土俵で勝負できます。これが無形商材営業の本質です。

無形商材の営業経験者には、次のようなスキルが自然と磨かれていきます。

  1. 顧客の話を丁寧に引き出す傾聴力・ヒアリング力
  2. 顧客の状況・感情に寄り添う共感力
  3. 課題を明確化し、解決策までを論理的につなぐ提案力

また、無形商材の成約には、顧客が「この人に任せたい」と感じる信頼感の醸成が不可欠です。顧客から「お願いしたい」というスタンスを引き出すところまでもっていくことが求められます。

商材の違いによって営業経験の蓄積ポイントが変わる

有形・無形を問わず、営業の商談プロセスはおおむね次の流れをたどります。

営業の商談プロセス
①初回接触(来店・架電・訪問など)
②ニーズ・購買意欲の明確化
③商品・サービスの提案・選定
④最終調整・質疑応答
⑤成約

有形商材の営業では、③④のステップに重きが置かれます。
商品説明・デモ・質疑応答の経験値が自然と積み上がっていきます。

一方、無形商材の営業では、②のニーズ明確化が最重要ステップとなります。「顧客が何に困っているか」を丁寧に引き出し、信頼関係を構築するトーク展開のスキルが蓄積されていきます。

つまり、同じ「営業経験者」であっても、どの商材を扱ってきたかによって、蓄積されているスキルの質はまったく異なります。この視点を採用時に持てているかどうかが、ミスマッチを防ぐ大きな分岐点になります。

営業採用で見落とされがちな「商材の違い」

転職市場や採用現場では、「法人か個人か」「新規開拓かルート営業か」という切り口で候補者を評価するケースが多く見られます。しかし、「どんな商材を売っていたか」という観点はまだまだ重視されていないのが実情です。

有形商材→無形商材へキャリアチェンジする場合

最初に直面するハードルは「商品の力に依存しない営業スタイルへの転換」です。

有形商材の経験者は、良い商品であれば成果につながるという感覚が染みついていることがあります。しかし無形商材では、まず「この人に任せたい」と思ってもらえる信頼感の醸成が成約の前提条件です。

商品説明より先に、ヒアリングと共感のプロセスが求められます。

無形商材→有形商材へキャリアチェンジする場合

有形商材の世界では「衝動買い」が存在します。
顧客のニーズを深掘りしすぎると、かえって購買意欲が冷めてしまうケースもあります。

また、有形商材の営業では、あくまで主役は商品です。「自分という営業マン」ではなく「商品が売れていくこと」に喜びを見出せるかどうかが、定着を左右します。

営業採用で注意すべきポイント

以上を踏まえ、採用担当者が面接で確認すべき具体的なポイントを整理します。

有形商材経験者を「無形商材営業」として採用する場合の確認事項
  • その人の営業成績は、商品力によるものか、本人の商談力によるものか(「なぜ売れたのか」を具体的に語れるかどうか)
  • 「ニーズの明確化・信頼醸成・提案」という一連のプロセスを習得させられる育成体制が自社内に整備されているか
  • 「今まで培ってきた営業スタイルをリセットして学び直す」という意識を、採用側・候補者側の双方が受け入れられるか
無形商材経験者を「有形商材営業」として採用する場合の確認事項
  • 自社の「商品」「サービス」に愛着や興味を持てるかどうか(モチベーションの源泉が「商品を広める」ことにあるか)
  • 顧客のニーズを深掘りするプロセスより、「商品説明・提示・クロージング」のプロセスにやりがいを感じられるか
  • 「自分」ではなく、「商品」が主役であることを自然に受け入れられるか

これらは面接で直接「どんな商材を扱ってきましたか」「なぜそれが売れたと思いますか」と問うことで確認できます。答え方の構造で、候補者のスキルの蓄積ポイントが見えてきます。

IT商材営業は有形と無形の両方の要素を持つ

最後に、近年増加しているIT商材の営業について触れておきます。

アプリやSaaSなどのIT商材は、デモやトライアルで使用感を体験できるため、有形商材的な性質を持ちます。しかし、基幹システムや高度にカスタマイズが必要なソリューションになると、少し触っただけでは良さが伝わりにくく、「ニーズの明確化・信頼醸成・適切な提案」が不可欠です。つまり無形商材の要素が強くなります。

IT商材の営業人材を採用する際は、自社プロダクトが有形商材寄りか無形商材寄りかを先に見極め、それに合ったバックグラウンドを持つ候補者を選ぶことが大切です。

まとめ

「営業経験あり」という一点だけで採用を判断すると、入社後のスキルギャップがミスマッチや早期離職につながりかねません。

「どんな商材を売ってきた人材か」という視点を採用の評価軸に加えることで、入社後に活躍できる営業人材の見極め精度は大きく向上します。ぜひ次の採用面接から取り入れてみてください。

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