雇用契約書の電子化は合法?メリットや導入方法、労働条件通知書との違いも解説 |HR NOTE

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雇用契約書の電子化は合法?メリットや導入方法、労働条件通知書との違いも解説

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人採用活動はコロナ禍以降、リモート環境での雇用契約や、Web会議システムを使用した「オンライン入社」を進める会社が増えました。

2018年9月7日に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令」が公布され、労働条件通知書の書面交付義務が緩和されたことも、採用活動のオンライン化を後押ししています。

雇用契約書や労働条件通知書を電子化するメリットはどのようなものなのでしょうか。企業の人事担当者向けにわかりやすく解説します。

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1. 雇用契約書と労働条件通知書との違い

採用活動において、雇用契約書と労働条件通知書を混同している例がしばしば見られます。雇用契約書と労働条件通知書は異なる書類であり、法律上の定義も違います。

また、2018年9月7日に書面交付義務が緩和されたのは雇用契約書ではなく、「労働条件通知書」です。そもそも雇用契約書は書面交付義務がなく、電子ファイルで提供しても何ら問題ありません。

ここでは、雇用契約書と労働条件通知書の違いを簡単に説明します。

1-1. 雇用契約書

雇用契約書とは、民法第623条に基づき、雇用者と労働者の間で取り交わす契約書です。

民法第623条では、雇用契約について「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる」と定めています。

民法には「契約自由の原則」があり、雇用契約書の交付は義務化されていませんが、労働者とのトラブルを避けるため雇用契約書を取り交わすのが一般的です。

また、労働契約法第4条により、雇用契約書は「できる限り書面により確認するもの」と定められていますが、電子ファイルなどでの交付が認められています。

1-2. 労働条件通知書

一方、労働条件通知書は、賃金や雇用形態、契約期間などの労働条件について定めたもので、労働基準法第15条により、労働者へ交付することが義務付けられています。

これまで、雇用契約書は自由な形式で交付できましたが、労働条件通知書は書面での交付が義務付けられていました。

しかし、法改正後の労働基準法施行規則では、以下の「「電子化3要件」を満たせば労働条件通知書を電子ファイルで提供しても良いことになりました。

  1. 労働者の同意があること
  2. 労働者を本人を対象とした手段で送信すること(電子メールなど)
  3. プリントアウト可能な状態にすることの

1-3. 雇用契約と労働契約の違い

雇用契約と似ている言葉として労働契約という言葉もあります。この2つは、定義している法律に違いがあります。

雇用契約は民法で、労働契約は労働契約法で定義されている言葉ですが、意味に関してはほぼ同義として捉えて問題ないでしょう。

2. 雇用契約書を電子化することによるメリット・デメリット

雇用契約書や労働条件通知書は、必ずしも書面で提供する必要はありません。電子契約サービスで署名を行い、PDFなどの電子ファイルで労働者に提供することが可能です。ここでは、雇用契約書を電子化するメリットやデメリットを解説します。

2-1. メリット

雇用契約書を電子化するメリットは4つあります。

・リモートワーク環境でもオンライン対応可
・契約書管理の効率化
・印刷代や郵送費などのコスト削減
・本人確認書類の回収率UP

リモートワーク環境でも雇用契約を締結できるだけでなく、契約書管理の効率化やコスト削減、本人確認書類の回収率を高めるといったメリットがあります。

2-1-1. リモートワーク環境でもオンライン対応可

これまで、雇用契約を結ぶときは入社時に雇用契約書を交付するのが一般的でした。人事担当者と労働者の両名が出社する必要があるため、リモートワーク導入の妨げとなっていました。

しかし、雇用契約書を電子化すれば、オンラインでの対応が可能です。

そのため、「オンライン入社」の導入に合わせ、雇用契約書の電子化に取り組む企業が増えています。

2-1-2. 契約書管理の効率化

雇用契約書を電子ファイルで管理することで、契約書管理を効率化できます。電子契約サービスを導入すれば、電子契約書をデータベースに登録し、一元管理することが可能です。

また、従業員ごとに契約日や契約ステータスを管理できるため、契約更新業務も効率化できます。

2-1-3. 印刷代や郵送費などのコスト削減

雇用契約書を電子化すれば、契約書の印刷・郵送が不要になるため、印刷代や郵送費などのコストを削減できます。とくに従業員が多い企業の場合、印紙代や郵送費が意外に大きな出費となるケースが少なくありません。

また、雇用契約書を書面で保管する必要がないため、書類を入れるキャビネットなどのオフィス用品の購入費用も削減できます。

2-1-4. 本人確認書類の回収率UP

雇用契約の際、本人確認書類の提出を求める場合も、手続きをオンライン化すると便利です。

電子契約サービスを導入すれば、本人確認書類の返送がより手軽になるため、本人確認書類の回収率を高め、対応漏れを減らせます。

2-2. デメリット(注意点)

一方、雇用契約書の電子化にはメリットだけでなくデメリットもあります。メリットとデメリットを比較し、自社に合った手段かどうか事前に検討しましょう。雇用契約書の電子化のデメリットは次の2点です。

・相手に理解してもらうための説明コスト
・操作ミスのリスク

それぞれ注意すべきポイントや、デメリットを解消するための対策を紹介します。

2-2-1. 相手に理解してもらうための説明コスト

電子契約は近年普及した契約方法であり、電子契約に不慣れな従業員も少なからず存在します。

雇用契約書を書面から電子媒体に切り替える場合は、自社の従業員や将来の入社希望者に対し、丁寧に説明をおこない同意を得る必要があります。

2-2-2. 操作ミスのリスク

スマホの誤タップなどにより、誤って契約に同意した場合の対応方法を考えておくことも大切です。

電子契約法により、契約当事者の錯誤による契約無効が認められるのは、B2C(BtoC)の電子消費者契約に限られます。契約解除には所定の手続きが必要なため、操作ミスが起きにくい電子契約サービスを選ぶといった工夫が必要です。

3. 雇用契約を電子化する3つの方法

先程の解説の通り、雇用契約書は必ずしも交付しなくてはならない書類ではありません。しかし、労使トラブルを防ぐために取り交わすのが一般的で、労働条件通知書とセットで作成するケースもあります。

そこで、ここからは雇用契約書と労働条件通知書を電子化する3つの方法を紹介します。自社のスタイルに合わせて最適な方法を選択してください。

3-1. 「雇用契約書」と「労働条件通知書」をそれぞれ電子化する

労働条件通知書の電子化とは別に、就業規則などを記載した雇用契約書をPDFなどで作成して別途交付する企業もあります。
2つの書類を別々に交付することで労働者は安心して就業できます。しかし、労働者を採用するたびに2つの書類を別々に作るというのは、あまり効率的な方法とは言えないでしょう。

3-2. 「労働条件通知書兼雇用契約書」を電子化する

事務処理の効率化を図るなら、「雇用契約書」と「労働条件通知書」の両方を兼ねた「労働条件通知書兼雇用契約書」を電子化するのおすすめです。
労働条件通知書の最下部に就業規則に則って働く旨を記載すれば、法抵触する心配もありません。

3-3. 「労働条件通知書」のみを電子化する

雇用契約書の交付は法的な拘束がないため、企業によっては「労働条件通知書」のみを電子化して交付しています。
しかし、雇用契約書を交付しないため、就業規則などを含め労働者が合意した証拠が残らず、トラブルの原因になりかねません。
そのため、この方法はできるだけ避け、先述の2つのいずれかの方法を選ぶことをおすすめします。

4. 雇用契約書を電子化する手順

雇用契約書を電子化する方法は主に3つあります。

  • 雇用契約書をPDF化し、電子メールで送付する
  • デジタル署名サービスを利用する
  • クラウドサービスを契約する

ここでは、多くの企業が導入を検討しているクラウドサービスによる電子化の手順を紹介します。

手順 概要
現状の把握と改善点の洗い出し
  • 雇用契約書の作成~回収・保管までのフローや工数を確認する
  • 現状の課題を明らかにし、どの部分の改善が必要か検討する
クラウドサービス導入による効果を見極める
  • 洗い出した課題と、クラウドサービスを導入した際に削減できる工数を比較し、得られる考課を数値化する
無料トライアルを試してみる
  • 導入したいサービスが無料トライアルを実施している場合は積極的に活用する
  • 操作性や作業の効率性を確認し、本当に自社に合うシステムか否かを確認する
導入するサービスの決定・承認
  • 現状の課題を解決し、十分な効果が得られると判断した場合は、サービスの導入に向けて必要な手続きや承認を得る
従業員への周知を徹底する
  • 従業員も含め、人事担当者や管理職などにサービスを利用することを通知する
  • システムの使い方やフローの変更などもルール化して周知する
システムを導入し、雇用契約書を交付する
  • 導入したら雇用契約書を交付する
  • 運用中の疑問や不具合を解消するため、サポート体制の充実したサービスを選ぶ

署名・捺印を必要とする雇用契約書においては、署名機能を搭載しているデジタル署名サービスや、契約書の作成や従業員との取り交わしもシステム上で完結できるクラウドサービスを選ぶと効果を実感しやすいでしょう。なお、電子化サービスの選び方は後ほど解説します。

どこまでのサービスを必要とするかは企業によって異なるので、自社の課題とやりたいことを明らかにしておくことが大切です。

5. 雇用契約書を電子化する際の注意点

雇用契約書を電子化する際にはいくつかの注意点があります。

5-1. 電子帳簿保存法に対応できるように準備をする

雇用契約書に限らず、さまざまな書類を電子化して保管する際には電子帳簿保存法をしっかり理解しておく必要があります。

電子帳簿保存法とは国税書類の電子保存についてまとめられた法律で、電子保管する際の条件なども定義されています。そのため、システムを選ぶ際にも電子帳簿保存法に対応したシステムを選んでおくと良いでしょう。

5-2. 改ざんされないような体制を構築する

雇用契約書は労働契約に関する内容を記載しているため、労使間でトラブルになりやすい書類の1つです。

そのため、誰でも閲覧・編集できる状態にしておくと改ざんされるリスクがあり、雇用契約の内容が書き換えられてしまう可能性も出てきます。

そのため、雇用契約書は改ざんできない、原本をそのまま残しておけるような体制を構築しておく必要があります。

5-3. 労働者側が雇用契約書をチェックしているか確認する

雇用契約書を交付した場合は、労働者側がその内容をきちんと確認しているかをチェックする体制が必要です。

例えば、雇用契約書をメールで送付した場合、メールフィルター機能により正しく受信できず、内容を確認できていないケースなどが生じることがあります。そのことを確認しないまま労働させた場合、後になって労使トラブルが起こる可能性があるので注意が必要です。

企業側は労働者側に対し雇用契約書を送付する旨を事前に通知し、後日交付を確認したかチェックします。また、受け取った雇用契約書は適切に保管してもうらうように周知しておきましょう。

このように、雇用契約書の電子化にはさまざまな配慮が必要になるため、新規プロジェクトとしてチームを立ち上げたり、電子化ツールを利用したりして迅速かつ正確な対応ができるようにすることが大切です。

6. 雇用契約書の電子化に活用すべきツールの選び方

実際に雇用契約を電子化する手段としては、電子契約サービスの導入がおすすめです。電子契約サービスを利用すれば雇用契約書の電子化はもちろん、契約の締結からその後の保管までの全てに対応することができます。

最近ではクラウド型の電子契約は主流になってきていますが、クラウドサービスは基本的に導入から実際に利用するまでの手順も簡単なので導入を検討することをおすすめします。

雇用契約書の電子化に役立つツールを選ぶポイントは以下の通りです。

  • 定額プランや従量課金プランなど、最適な料金プランがあるか
  • セキュリティ機能が充実しているか
  • 既存の内容に近い雇用契約書を作成できそうか
  • 電子契約の種類(当事者型・立会人型)が選べるか
  • 作業の効率化が見込めるか、コストに見合う効果が得られそうか

7. 雇用契約書電子化の導入事例

それでは、実際に雇用契約書の電子化を行った、人材派遣業の事例を見てみましょう。

こちらの事例では、紙の雇用契約書を郵送して交付していました。しかし、郵送には最短で1時間かかり、書類に不備があった場合はさらにタイムロスが発生していました。

また、契約書が届いたか電話確認を都度行う必要があり、進捗管理に無駄が生じていました。雇用契約書を電子化した結果、最短20分で契約締結できるようになり、派遣社員の稼働率が向上しました。

また、電子契約サービス上で雇用契約書を添付したメールの開封状況などを確認できるため、進捗管理も効率化できました。

8. 電子契約サービスで契約業務の工数削減を実現しよう

2018年9月7日に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令」が公布されたことで、雇用契約書だけでなく、労働条件通知書の電子化が可能になりました。

テレワークやリモートワークが常態化する今、出社せずに採用活動を行うためには、雇用契約書や労働条件通知書の電子化が欠かせません。電子契約サービスを導入し、契約時間の短縮や、契約業務の工数削減を実現しましょう。

また、このような人事労務書類を電子化するにあたっては、様々な法律に対応しなければいけません。

雇用契約書電子化の早期実現のために、電子契約サービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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