「社内で人材育成がうまくいかない」
「人材育成に適した目標が立てられない」
「目標設定の注意点がわからない」
上記のような悩みを抱える労務担当者もいるでしょう。
人材育成における目標とは、企業が求める人物像に育てるための指標です。
本記事では、人材育成における目標の設定方法、注意点について解説します。従業員を適切に成長できる環境づくりの参考にしてください。
目次
1. 人材育成における目標とは
人材育成における目標とは、企業が求める人物像に育てるための指標です。
企業は経営目標を達成するために、貢献してくれる人材を求めています。しかし、最初から企業が求める人物像にマッチした人材は少ないです。
そこで、人材育成の目標を掲げ、従業員の成長をサポートします。
従業員の成長は人それぞれです。1年で急激に成長する新人がいれば、入社5年目にして開花する従業員もいます。
従業員個人の成長に合わせた人材育成ができるよう目標を設定していきましょう。
2. 人材育成における目標設定の3つの重要性
人材育成における目標設定の重要性は、以下の3つにまとめられます。
- 従業員のモチベーションアップにつながる
- 従業員の進捗状況が明確になる
- 管理者と従業員の評価をしやすくなる
2-1. 従業員のモチベーションアップにつながる
重要性の1つ目は、従業員のモチベーションアップにつながることです。
目標を立てることで達成するべき基準が明確になるため、意欲がかき立てられます。
例えば、今月中に新規顧客から契約を3件取る目標を立てた場合、3件の契約をとるために必要な行動量のイメージがつきやすいです。基準が明確にあると、少し頑張れば達成できそうだと考えられるようになり、自分の力を発揮する意欲が高まります。
従業員のモチベーションアップには主体性が重要です。管理者からの指示で行動すると主体性が失われ、モチベーションアップにつながりにくいため注意してください。
2-2. 従業員の進捗状況が明確になる
重要性の2つ目は、従業員の進捗状況が明確になることです。
目標設定することで、従業員の現在地が把握可能になります。現在地が判明すれば、目標達成するために必要な行動が逆算できるでしょう。
その結果、管理者は従業員に対して必要なアドバイスができ、従業員は目標達成により近づけます。
さらに、多くの従業員がつまずく箇所がわかれば、外部の講師を招いた研修を企画するなど、対策が可能です。
2-3. 管理者と従業員の評価をしやすくなる
重要性の3つ目は、管理者と従業員の評価をしやすくなることです。
人材育成の目標があることで無事に達成できたのか、反対に達成まであとどれくらい必要なのかが明確になります。
その結果、管理者は従業員を評価しやすく、企業は管理者を評価しやすい環境の構築が可能です。
評価ができれば改善点も浮かび、より良い人材育成ができるでしょう。
3. 人材育成における目標設定の4つの手順
人材育成における目標設定の手順は、以下の順番です。
- 企業の目標を設定する
- 育成する従業員のスキルや経験を明確にする
- 従業員一人ひとりの目標を設定する
- 人材育成の計画書を作成する
3-1. 企業の目標を設定する
最初に、企業の目標を設定します。
企業における人材育成は、企業の目標を達成することが目的であり、トップダウンで従業員一人ひとりの目標を設定する必要があるためです。企業は1年後、3年後にどういう姿になりたいのか明確にしましょう。
企業の目標例は以下のとおりです。
- 3年後に売上100億円を突破させる
- 1年後には新規事業に参入する
- 新サービスを3つ開発する
上記のように企業として目指すべき目標を設定し、人材育成における従業員の目標設定に反映させることが重要です。
3-2. 育成する従業員のスキルや経験を明確にする
次に、育成する従業員のスキルや経験を明確にすることです。
従業員の現状を把握することで、誤った目標設定を防げます。
例えば、プログラミング経験のある従業員がすでに身につけているプログラミング言語の習得を目標設定にするのは、本人の成長につながりません。
適切な人材育成にするために、従業員のスキルや経験を洗い出しておきましょう。
3-3. 従業員一人ひとりの目標を設定する
従業員の現状を把握したら、一人ひとりの目標を設定しましょう。
目標設定では、以下の点を考慮することが大切です。
- 実績
- 価値観
- 入社歴
画一的な目標作成では従業員の育成が不十分となり、従業員の主体性が弱くなります。個々に合わせた目標設定にしましょう。
手間や時間はかかりますが、従業員ごとに目標を設定することが人材育成の近道です。
3-4. 人材育成の計画書を作成する
最後に、人材育成の計画書を作成してください。
目標が決まれば、達成に向けて必要になる行動が明確になります。そのため、管理者と従業員は計画書を作成しましょう。
計画書ではいつまでに、何を、どれくらい達成するのかが可視化できます。可視化しておくことで、後日のフィードバックがしやすくなり、次回以降の人材育成にも活用可能です。
4. 【職種別】人材育成における目標の例文
人材育成における目標の例文を職種別に3つ紹介します。
- 営業職
- 開発職
- 事務職
4-1. 営業職
営業職における人材育成の目標例は、以下の通りです。
- 3ヵ月後に新規顧客を5名獲得するために、1日3社訪問する
- 1ヵ月の売上を300万円にするために、既存の顧客に新商品を紹介する
営業職では、新規顧客数や売上などの成果目標と、そこから逆算した行動目標を立てるとよいでしょう。
4-2. 開発職
開発職における人材育成の目標例は、以下の通りです。
- 1年後に自分でシステムの設計、構築、実装ができるようになる
- 6ヵ月後に新入社員が新規言語を習得できるようにサポートする
開発職は、自分のスキルを磨くことが成長に直結します。自分がまだ対応できない分野に挑戦すると目標が立てやすいでしょう。
4-3. 事務職
事務職における人材育成の目標例は、以下の通りです。
- 1ヵ月後に入力ミスを0件にする
- マニュアルを作成し、業務引き継ぎ時間を50%削減する
事務職は成果が見えにくい職種です。現在担当している作業から数値化できる箇所を見つけることで、成長につながる目標設定になります。
5. 人材育成における目標の管理方法2選
人材育成における目標の管理方法は、以下の2つです。
- 期限を設ける
- 定期的に見直す
5-1. 期限を設ける
管理方法の1つ目は、期限を設けることです。
「いつまでに達成するか」まで決めておくことで、限られた期間内にやるという意識が芽生え、意欲が高まります。
反対に、期限が明確にないと「いつかできればいいや」と後回しに考えやすく、達成に向けて効果的に取り組めません。メリハリをつけにくいため、集中して取り組むことが難しいです。
目標を管理する場合は、長期・中期・短期などの規模に応じていつまでに達成させるのかを明確にしておきましょう。
5-2. 定期的に見直す
管理方法の2つ目は、定期的に見直すことです。
管理者が目標を定期的に見直すことで、進行状況に応じたアドバイスやフィードバックができます。こまめなサポートにより従業員のモチベーションも維持できるでしょう。
従業員の成長速度や目標達成度に合わせて、定期的に目標を見直してください。
6. 人材育成における目標設定の3つの注意点
人材育成における目標設定の注意点は、以下の3点です。
- 計測可能な目標にする
- 従業員が納得できる目標にする
- 企業の目標と一致する目標にする
6-1. 計測可能な目標にする
注意点の1つ目は、計測可能な目標にすることです。
可視化された数値は、目指すべき基準が明確になるため、従業員のモチベーション向上につながります。
反対に計測できなければ、管理者は従業員を評価できません。評価ができないとアドバイスやフィードバックもできないため従業員の育成が困難になります。
目標を設定する際には、期日や数値、達成に向けた具体的な方法を盛り込むようにしてください。
6-2. 従業員が納得できる目標にする
注意点の2つ目として、従業員が納得できる目標にすることが挙げられます。
目標に納得感があると取り組む意欲が高まり、達成に向けて積極的に行動しやすいためです。
反対に従業員が納得していない目標は、途中で挫折する可能性が高くなります。従業員が「目標達成する意味があるのか?」と疑問視している状態では、目標達成に向けた行動が疎かになるためです。
管理者と従業員がしっかり話し合い、両者が納得できる目標を設定してください。
6-3. 企業の目標と一致する目標を作成する
注意点の3つ目は、企業の目標と一致する目標を作成することです。
企業と従業員が同じ方向を目指すことで、組織が一丸となり達成に向けた行動ができます。
一方で、企業の目標から大きく外れた目標は、管理者から評価されず従業員のモチベーションが下がるでしょう。
例えば、企業が来年までに従業員数を100名に増加させたいと考えていると仮定します。一方、人事部に所属する従業員の目標が新規採用50名だと企業は目標が達成できません。
従業員自身の目標が達成できても、企業の目標は達成できていないため、評価は低くなります。企業の目標と異なることがないよう、事前に確認しておきましょう。