「くだらないといわれる目標管理をする意味を知りたい」
「意味ないといわれる目標管理の効果的な手順が知りたい」
上記のようにお困りの方も多いでしょう。
目標管理(MBO)とは、従業員が決めた個人やチームの目標の進捗や達成度によって評価する人材管理手法の一つです。
従業員の業務に対する自主性を促す手法ですが、くだらない・意味ない・時代遅れなどのマイナスイメージも多く見受けられます。
本記事の内容は、目標管理がくだらないといわれる理由や目標管理をする意味などの解説です。
加えて、目標管理を効果的におこなう手順や目標管理の新たな手法も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 目標管理がくだらないといわれる5つの理由
目標管理がくだらないといわれる理由は、以下の5つです。
- 目標をトップダウンで決めることが多い
- 組織目標と個人目標のリンクが難しい
- 運用管理に手間がかかる
- 定性的な目標が評価されにくい
- 目標を修正する機会がない
「意味ない」「時代遅れ」といわれることもある目標管理ですが、理由を理解することで問題点を適切に把握できます。それぞれの詳細を見ていきましょう。
1-1. 目標をトップダウンで決めることが多い
目標管理がくだらないといわれる理由の一つは、トップダウンで決める目標が多いことです。
トップダウンの決定では、組織の上層部が決めた目標に下部組織が従います。つまり、下部組織の考えや状況が反映された目標ではないため、目標管理を時代遅れと感じる従業員も多いです。
またトップダウンで決めた目標のなかには実現不可能な目標が多いことも、目標管理を意味ないと感じる理由でしょう。
下部組織の意向を反映せずに上層部が目標を決めた場合には、下部組織に属する従業員のモチベーションの低下が予想されます。
1-2. 組織目標と個人目標のリンクが難しい
組織目標と個人目標のリンクが難しいことも、目標管理がくだらないといわれる理由です。
目標管理において個人目標を決める際には、組織目標と結びつけた内容にしなければなりません。つまり、個人の考えにもとづく自由な目標設定ではなく、組織目標とリンクさせた設定が必要です。
しかし仕事に対する個人の価値観の多様化により、組織目標にリンクさせた個人目標の自由な設定が難しいケースが増えています。例えば、以下のような場合には、個人目標の変更を求められる場合が多いでしょう。
組織目標 |
設定売上の達成 |
個人目標 |
ワークライフバランスの充実 |
ダイバーシティとよばれるビジネスにおける多様化が推進されている背景も、目標管理が時代遅れといわれる理由の一つです。
1-3. 運用管理に手間がかかる
運用管理に手間がかかることも、目標管理がくだらないといわれる理由の一つです。運用管理において、個人やチームが決めた目標の進捗状況や達成度を都度把握しなければなりません。
進捗状況や達成度を把握するための作業にあてる時間が増える結果、本来の目標を達成するための時間を削ることになります。そのため、目標管理をくだらないと感じる従業員も多いでしょう。
1-4. 定性的な目標が評価されにくい
定性的な目標が評価されにくいことも、目標管理がくだらないといわれる理由の一つです。
数値化できない定性的な目標は、新着状況や達成の判断が難しいため評価につながりにくいといえます。例えば、新たな営業ノウハウの習得・実施などです。
一方、数値化する定量的な目標の場合には、数値による判断ができます。例えば、新規顧客20名の獲得などです。
定性的な目標を達成したにもかかわらず評価につながらない場合、目標管理をくだらない・意味ないと感じるでしょう。
1-5. 目標を修正する機会がない
目標を修正する機会がないことも、目標管理がくだらないといわれる理由の一つです。ビジネス環境は激しく変化しているため、環境の変化に応じて目標を見直して修正する必要があります。
また企業目標が変更された場合には、個人やチームの目標も修正しなければなりません。
変化に応じた修正ができない仕組みも、目標管理が時代遅れ・意味ないといわれる理由でしょう。
2. 目標管理をする意味
目標管理をする意味は、以下のとおりです。
- 組織と従業員が方向性についての共通認識のもと活動できる
- 方向性に沿うための効率的な業務遂行につながる
- 従業員の自己管理能力が向上する
- 従業員の自主性が向上する
- 従業員のモチベーションアップにつながる
- 従業員のスキルアップにつながる
- 人事評価がしやすくなる
企業側が明確な方向性を示して従業員に周知することで、従業員側は企業の方向性からそれることなく達成すべき目標に向かえるでしょう。
従業員側は効率的に業務を遂行できるだけでなく、成果が評価されやすいメリットもあります。企業側にとっても、企業が目指す方向性における従業員の成果は評価しやすいです。
また従業員側が達成すべき目標に向かう過程で、自己管理能力や自主性が鍛えられてスキルアップできます。
結果、企業から評価される機会が増えることにより、従業員のモチベーションが向上する好循環が生まれるでしょう。
つまり、企業側・従業員側の双方に目標管理をする意味があります。
3. 目標管理の有効性を高めるポイント
目標管理の有効性を高めるポイントは、以下のとおりです。
- 組織目標と個人目標をリンクさせる
- 目標設定で従業員の自主性を尊重する
- 定量的・具体的な目標を設定する
- 達成可能な目標を設定する
- 低すぎる目標は避ける
- 目標達成のための具体的な行動を明確にする
- 成果だけでなく過程も評価する
- 定期的に振り返る機会を設ける
- 定期的にフィードバックする
- 変化に応じた修正の機会を設ける
- 評価プロセスを透明化する
- 従業員の負担が少ない運用管理方法を採用する
チームの場合は、先にチームの目標から決めることで、方向性に沿った個人目標を立てやすくなります。
4. 目標管理を効果的におこなう6つの手順
目標管理を効果的におこなう手順は、以下の6つです。
- 組織の方向性や目標の明確化・提示
- 評価プロセスの明確化・提示
- チームや個人の具体的な目標・達成基準の設定
- 3の達成に向けた具体的な行動の明確化・計画立案・計画の実施
- 4の進捗状況・過程での活動・成果の確認
- 5の結果の振り返りやフィードバックの実施
手順6に続き、手順6でわかった改善点を反映させた目標達成のための具体的な行動を明確化して、実施計画を立てて実践しましょう。
5. 目標管理の新たな手法
目標管理の新たな手法は、以下の2つの手法です。
- OKR(Objectives and Key Results)
- アジャイル目標管理
では、各手法について詳しく見ていきましょう。
5-1. OKR(Objectives and Key Results)
目標管理の新たな手法の一つがOKR(Objectives and Key Results)で、日本語に訳すと「目標と成果指標」です。
OKRでは、わくわくするような目標を立て、目標達成のための具体的な成果指標を定めます。成果指標の進捗状況を測定し、評価する手法です。
例えば、企業のOKRとして「顧客ニーズを的確に把握してきめの細かいサービスを提供する企業になる」を設定します。成果指標としては「リピート率30%」などが適切です。
また3ヵ月から半年に1度目標を設定し、頻繁に進捗具合をチェックしましょう。
従業員の一致団結を狙うために、6割から7割ほどの目標達成度が予想される、かろうじて達成できるほどの難しい目標を設定します。
組織のOKRを決めたあとで、個人のOKRの設定も実施しますが、優先されるのは組織のOKRの達成です。
5-2. アジャイル目標管理
アジャイル目標管理は、アジャイル思考に基づく目標管理の新たな手法の一つで、短期目標の設定や可視化が特徴です。
まず目標を決め、続いて目標達成に向けた具体的な行動や必要な過程をリスト化した行動計画を立てましょう。
リスト化により可視化することで、新着状況の把握や評価、フィードバックがしやすくなります。
設定目標に対して実行した行動や過程の結果を評価・分析し、目標の達成度合いを見極めましょう。達成度合いを踏まえて、以降の目標を軌道修正するなど管理に反映します。
なお、アジャイル思考とは、短期間で以下のPDCAサイクルを実施し、何度も繰り返すことで変化に応じた柔軟な対応をする思考のことです。
実施の順番 |
原語 |
実施の内容 |
1 |
Plan |
計画を立てる |
2 |
Do |
計画を実行する |
3 |
Check |
実行した結果を評価する |
4 |
Action |
計画から実行までの問題点を洗い出し、改善案を立案する |
上記のPDCAサイクルを繰り返し実施することを、PDCAサイクルを回すと言います。
アジャイル目標管理においても、PDCAサイクルを素早く回すことで、短期目標の早期達成が期待できるでしょう。