企業の人事による評価制度には多くの種類があります。現在トレンドとなっている人事評価制度を導入すれば、社内の活性化や業務効率化、生産性の向上が実現しやすくなります。
評価制度を取り入れるときには、自社の風土に合っているか、十分な効果が見込めるかといった点を冷静に分析しましょう。本記事では、評価制度の最新トレンドについて解説します。
1. 評価制度のトレンド7選
まずは、最新の評価制度のトレンドをチェックしていきましょう。個々の評価制度がどんな企業に向いているのか、どんな場合におすすめなのかといった点についても詳しく解説します。
1-1. リアルタイムフィードバック
リアルタイムフィードバックは即時に相手のフィードバックを行う評価手法です。多くの場合、2週間や1ヵ月といった短いスパンでミーティングを設定します。
短い期間の中でフィードバックを行えば、状況に応じた柔軟な対処をしやすくなります。また、タイムリーに評価できるため目標や方向性のズレが起きにくくなるというよさもあります。
ただし、評価のスパンが短すぎると従業員の負担になってしまいます。適切な頻度でリアルタイムフィードバックを実施し、効果を高めていきましょう。
1-2. ノーレイティング
ノーレイティングとは従業員をレイティングせず評価する手法です。
従業員をSやA、Bといった階層に分けるような評価を導入している企業は少なくありません。しかし、レイティング評価には従業員のモチベーション低下が起きやすいという問題点があります。
ノーレイティングではランクを付けることなく、上司が部下に対して直接フィードバックを行います。対話の機会を多く設けることでコミュニケーションが活性化しやすくなるのが、ノーレイティングの大きな特徴です。
1-3. 360度評価
360度評価は、従業員をさまざまな角度から評価する制度です。上司に限らず、同僚やクライアントなどを交えて多角的な評価が行われます。
上司から見えていない部分の評価ができるなど客観性が高いのが360度評価のメリットです。お互いがお互いを評価することで当事者意識が高まりやすくなることや、パワハラやセクハラの抑止が期待できることも、360度評価ならではの特徴です。
ただし、お互いが評価者になるという特性上、お互いに甘い評価をし合う馴れ合いが起きてしまう可能性もあります。また、評価をきっかけに社内の人間関係が悪化するリスクもあるため、運用には十分な注意が必要です。
1-4. バリュー評価
バリュー評価は、従業員が会社の価値観や方向性を理解したうえでどれだけ行動できたのかを評価する人事評価制度です。
バリュー評価の特徴は、目標を達成したかというポイントだけでなく、そこに至る過程や積極性、行動力などを評価できる点にあります。企業の方針を浸透させたいときには、バリュー評価の導入が大きな効果を発揮してくれます。
1-5. ピアボーナス
ピアボーナスとは、同僚や仲間を意味するピア(peer)とボーナス(bonus)をかけ合わせた造語です。ピアボーナスは従業員同士が評価を実施し、状況に応じてボーナスとなる報酬を贈り合うという独特の評価制度です。
ピアボーナスでは、従業員からの評価によるポイントを溜めれば商品やお金に交換できます。お互いに褒め合うため職場の雰囲気がよくなりやすく、モチベーションの飛躍的な向上も見込めます。
1-6. OKR
OKRはObjectives and Key Resultsの頭文字を取った評価制度です。OKRでは達成目標とともに具体的な数値をともなう達成度を設定し、個人やチームが課題解決に取り組んでいきます。
チームのOKRを設定したあとには、個人のOKRへと細分化させて目標設定を行います。それぞれの目標をリンクさせることで、会社全体の目標を効率的に達成することが可能となります。
1-7. パフォーマンスデベロップメント
パフォーマンスデベロップメントとは部下の成長に着目する評価の手法です。上司と部下が高い頻度でミーティングの機会を設け、仕事の進捗のほかキャリアの方向性について話し合い、フィードバックにつなげていきます。
従業員の成長にコミットしたマネジメントを行うことには、従業員の成長を促す効果が期待できます。
2. 評価制度のトレンドを取り入れるメリット
人事評価制度のトレンドを導入すれば、組織全体の生産性向上が見込めます。さらに、人材の厳選がしやすくなるという大きなメリットも考えられます。
ここからは、評価制度のトレンドを取り入れるメリットをみていきましょう。
2-1. 生産性が向上しやすくなる
人事評価制度のトレンドを上手に取り入れれば、業務の効率化や生産性の向上が見込めます。
トレンドの人事評価制度には、個々の主体性を引き出してくれるようなものが数多くあります。また、正当に評価を行えば従業員のモチベーションを向上させることも可能となります。
従業員の成長につながるような人事評価制度を取り入れ、企業の生産性や業務効率をどんどんアップさせましょう。
2-2. 企業が求める人材を厳選できる
トレンドの人事評価制度には、個々の従業員を正当に評価できる仕組みが備わっています。新たな人事評価制度を取り入れることで年功序列などの旧態依然の評価がなくなるのも、大きなメリットのひとつです。
生産性の低い従業員は、新たな人事評価制度に共感できず反発することがあります。中には、評価の内容を理由として退職する従業員もいるかもしれません。しかし、生産性の低い人材が流出した場合でも、企業の方針に共感し成長についてこられる意欲のある従業員は残ってくれるケースがほとんどです。
転職活動中の人材に対し、人事評価制度をアピールすれば、企業の方向性に合う新たな人材の確保も実現しやすくなります。
3. 評価制度のトレンドを取り入れるデメリット
評価制度のトレンドを取り入れることには多くのメリットがある一方、いくつかのデメリットも考えられます。とくに、モチベーション低下が起きやすくなるのは大きな問題です。
ここからは、評価制度のトレンドを取り入れるデメリットについてみていきます。
3-1. モチベーション低下が起きる可能性がある
人事評価制度の中には、従業員のモチベーションを削いでしまうようなものもあります。とくに、マイナスの評価が必要な人事評価制度は、従業員のやる気や企業への信頼感を薄れさせてしまうことがあります。
モチベーション低下を防止するためには、ポジティブな評価ができる人事評価制度を導入するなどの対処が必要です。
3-2. 従業員が反発する可能性がある
在籍する従業員からの反発が起きやすいのも、人事評価制度のトレンドを取り入れるデメリットです。
多くの企業には、これまで馴染んできた既存の評価体制があります。人事評価制度の急な変更は、長年在籍している従業員にとって大きな負担になるかもしれません。大きな反発が起きた場合、長期的に働いてくれた優秀な人材が流出するリスクも考えられます。
人材流出によって組織が弱体化するのを防ぐためにも、人事評価制度のトレンドを取り入れるときには導入理由や背景についてしっかりと説明したいものです。
4. 自社に最適なトレンドの評価制度を導入しよう
ビジネスのスピード感が重視される現代だからこそ、社内制度の見直しとして新たな評価制度を導入するのが効果的です。トレンドの評価制度を導入すれば、時代に即した適切な判断を行えるようになります。
ただし、いくらトレンドであっても自社に合わない評価制度を導入してしまっては思ったような効果が見込めません。
人事評価制度導入の目的や期待する効果を十分に検討し、自社に合った内容を厳選しましょう。
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