エンゲージメントツールとは、従業員の企業に対する信頼感や愛着心、貢献意欲を高める機能を持つツールです。ほかにも満足度や生産性の向上、離職率低下にも役立ちます。
しかし、実際に人材不足や人材流出が起きていても「エンゲージメントツールを自社に導入すべきか」悩むケースも少なくないでしょう。
本記事では、エンゲージメントツールの概要や主な種類、導入するメリットを解説します。人材に関する課題の解決策としてエンゲージメントツールの導入を検討している場合は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. エンゲージメントツールとは
エンゲージメントツールとは、従業員のエンゲージメントを改善させるために活用するツールのことをいいます。
ビジネスシーンにおけるエンゲージメントとは愛社精神を意味します。具体的には企業に対する信頼感や愛着心、貢献意欲のことです。
いずれも組織において重要な要素ですが、目に見えなるものではないため改善しにくいという課題があります。
エンゲージメントツールを使って従業員の意識を可視化することで、愛社精神を向上させる手段を見つけやすくなるでしょう。
2. エンゲージメントツールは2種類
エンゲージメントツールには「調査する」を目的としたツールと「向上させる」ことを目的としたツールの2種類があります。それぞれ詳しく解説します。
2-1.エンゲージメントを調査するツール
まず1つ目は、従業員のエンゲージメントを調査するツールです。
エンゲージメントを向上させるためには、まず現状のエンゲージメントを把握しなければなりません。その際に、調査に特化したツールを活用して従業員ごとのエンゲージメントを測定します。
測定方法は大きく分けて以下の2つです。
パルスサーベイ |
簡易的な質問を短い間隔で繰り返し実施する調査方法 |
エンゲージメントサーベイ |
長期間に分けて定期的に実施する調査方法 |
パルスサーベイは素早く問題を解決したいケースや短期間の変化を把握したいケースに適しています。
一方で、エンゲージメントサーベイは長期的な視野で調査する分、より根本的で細かい問題まで対応できるようになります。
2-2.エンゲージメントを向上させるツール
2つ目は、従業員のエンゲージメントを向上させるツールです。
向上させる手段は多岐に渡り、従業員同士による称賛を促すものや社内でのコミュニケーションを活発にさせるものなどがあります。
調査するツールと比べて直接的な使い方をするため、より自社にあったツールを選ぶことが大切です。
3. エンゲージメントツールを導入する3つのメリット
エンゲージメントツールを導入するメリットは大きく分けて3つあります。
- コミュニケーションを活性化できる
- モチベーションやパフォーマンスを向上できる
- 離職率を低下させられる
3-1.コミュニケーションを活性化できる
1つ目のメリットは、企業内のコミュニケーションを活性化できることです。
エンゲージメントツールは、企業で働く従業員の悩みや不安を把握するのに役立ちます。課題を可視化できるので、解決に向けた取り組みを実施しやすくなります。
逆に、企業が従業員の悩みや課題を把握できないと不満が溜まり、モチベーションの低下や離職を招く恐れがあります。エンゲージメントツールを利用することで風通しのよい職場環境。人間関係を築きましょう。
3-2.モチベーションやパフォーマンスを向上できる
エンゲージメントツールを導入すると、モチベーションやパフォーマンスを向上できるメリットがあります。
ツールを活用して従業員が働きやすい環境を構築することで、働きがいが向上してモチベーションを高められるでしょう。
このことは、アメリカのギャラップ社の調査でも明らかで、従業員のエンゲージメントが高いほどパフォーマンスが向上することも明らかになっています。
企業への愛着心が向上するほど従業員が積極的に仕事に取り組むようになり、従業員自身の成長や企業の業績アップにもつながるのです。
参照:GALLUP|テレワークは効果的か?答えは「Yes」 (ギャラップ社調査)
3-3.離職率を低下させられる
エンゲージメントが高くなるほど、従業員の離職率が低下するメリットがあります。
働きやすいと感じていたりやりがいを感じていたりする場合は、そもそも転職することを考えず、他社に魅力を感じることも少ないと考えられます。
実際に、エンゲージメントは管理層の離職率低下にも影響を与えるとの調査結果も公開されているため、その効果は確かなものと言えるでしょう。
エンゲージメントを向上させることで、大切に育ててきた従業員や将来の管理層が外部へ流出することを防げます。転職するのが当たり前の現在において、エンゲージメントを向上させて長期的に雇える人材を確保することは各企業のミッションです。
出典:モチベーションエンジニアリング研究所|「エンゲージメントと退職率の関係」に関する研究結果を公開
4. エンゲージメントツールを導入する際の3つの注意点
エンゲージメントツールを導入するときの注意点は主に3つあります。
- 導入に抵抗を覚えることがある
- コストがかかる
- 企業の問題点が可視化される
注意点を把握した上でツールを導入するか検討しましょう。
4-1.導入に抵抗感を示す従業員がいる
エンゲージメントツールに限らず、新たにツールを導入する場合、導入そのものに抵抗感を示す従業員がいる可能性があることを覚えておきましょう。企業の管理層がツールの導入や使用を面倒だと感じることもあり、反発が起こるおそれがあります。
また従業員と接する機会が多い管理職の場合は、従業員の不満点が浮き彫りになることで負担に感じるケースもあります。
エンゲージメントツールを導入する際は、目的や使い方などの情報を早めに共有し、抵抗感を抑えられるように工夫することが大切です。
4-2.コストがかかる
ツールの導入そのものにコストがかかるのも注意点のひとつです。
コストを理由に導入をためらう場合は、自社で必要とする機能だけを備えたツールを選別すればコストを抑えることができます。
エンゲージメントの向上は各企業の喫緊の課題であるため、コストがかかるからツールを導入しないと安易に決めてしまうのは危険です。最適なツールの導入でコスト以上の効果を得ようという考え方にシフトし、本当に必要な機能だけを備えたツールを探すことをおすすめします。
4-3.企業の問題点が可視化される
企業の問題点が可視化されることも注意点に挙げられます。
今まで気づかなかった問題が可視化されることによって多くの課題に直面し、頭を悩ませることもあるでしょう。
しかし、問題点が可視化されなければエンゲージメントの向上は難しいと考えられます。大切なのは、浮き彫りになった課題に優先順位をつけて問題解決に取り組み、改善につなげることです。
5. エンゲージメントツールを選ぶ際の4つのポイント
エンゲージメントツールを選ぶ際のポイントは大きく分けて4つあります。
- 導入する目的
- 発生するコスト
- 操作のしやすさ
- サポート
自社に最適なツールを選ぶためにも、ポイントをひとつずつ確認していきましょう。
5-1.導入する目的
エンゲージメントツールは導入する目的に合わせて選びましょう。導入する目的によって必要な機能が異なり、最適なツールも変わってくるためです。
例えば、離職率の改善が目的のときと、風通しの良い環境づくりが目的のときでは必要な機能が異なります。
導入する目的に合わせて必要な機能をリストアップすることで、最適なツールを見つけやすくなるでしょう。
5-2.発生するコスト
ツールを導入する際に発生するコストの把握も大切なポイントです。
機能が多いツールほど目的を絞り込まなくても導入しやすくなりますが、その分コストが高額になる傾向にあります。豊富な機能があっても使用が一部の機能だけに限定されてしまえば、使わない機能やそれにかかるコストが無駄になってしまいます。このような事態を防ぐために、使わない機能はあらかじめ洗い出しておき、必要な機能を備えたツールを選ぶようにましょう。
また、エンゲージメントツールの中には従量課金制を採用していることもあります。使用ユーザー数に応じて料金が変わるため、かかるコストを予測することが可能です。利用する従業員の数が多い場合などは、事前にコストを計算しておくとよいでしょう。
5-3.操作のしやすさ
エンゲージメントツールを選ぶ際は、操作のしやすさにも注目しましょう。操作方法がわかりやすかったり、操作がしやすかったりするほど従業員に浸透しやすいためです。
操作性が悪い場合は使い方の説明や慣れが必要になり、余計な工数が発生する可能性があります。
直感的に利用できるツールほど従業員の使用頻度が安定するため、操作性の高さも忘れずに確認しましょう。なお、一部のツールでは無料トライアルを実施しているため、申し込み前に操作性を試してみることをおすすめします。
5-4.サポート
初めてツールを導入する場合は、サポート体制が充実しているツールを選びましょう。
エンゲージメントに関する知見を持つ人がいない場合、ツールを導入しても改善策が見つけられず効果を得られない可能性があるためです。
ツールの使い方だけではなく、運用に関するサポートが受けられると、安心して使い続けられるでしょう。
6. エンゲージメントツールを活用するためのポイント
エンゲージメントツールは活用の仕方によってエンゲージメント向上以外の効果を得ることができます。ここからは、エンゲージメントツールを活用するためのポイントを3つ紹介します。
6-1. 1on1ミーティングを実施する
エンゲージメントツールは、1on1ミーティングによる活用が可能です。従業員エンゲージメントを向上させるためには従業員とのコミュニケーションが不可欠であり、1on1ミーティングを実施して双方の信頼関係を構築しましょう。
なお、エンゲージメントを向上させるためには従業員の本音を聞く必要があります。そのため、従業員が話しやすさに配慮し、ミーティングの形式は1on1ミーティングとしましょう。
6-2. エンゲージメントツールのデータを人事配置に活用する
エンゲージメントツールで得られたデータや結果は、エンゲージメント向上以外の目的にも使用できます。
エンゲージメントツールには各従業員の適性や要望が蓄積されているため、そのデータを活用すれば、各部署に最適な人材を配置することが可能です。
エンゲージメントツールはエンゲージメント向上以外にも活用できるため、活用次第でコスト以上のメリット・成果を得られる可能性が十分にあります。
6-3. ツールを形骸化させない
せっかくエンゲージメントツールを導入しても、思うように活用しきれていない企業もあります。その原因の1つに、エンゲージメントの調査・向上が定期的におこなわれるイベントになってしまっていることが挙げられます。
ツールを形骸化させないために、導入した目的を意識し、従業員に寄り添った課題の把握・解決に努めましょう。導入の目的を達成することこそが、ツールを活用しているということになるのです。
7. 【厳選5社】エンゲージメントツールの特徴やコストを比較
エンゲージメントツールには実にさまざまな種類があります。ここでは、エンゲージメントツールを6社厳選して紹介するので参考にしてみてください。
サービス名 | 特徴 | コスト |
Wevox |
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月額300円/人 |
カオナビ |
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要問い合わせ |
モチベーションクラウド |
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要問い合わせ |
ラフールサーベイ |
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要問い合わせ |
HR OnBoard |
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3名まで無料 4名以上は10,000円/1人/年間契約 |
8. エンゲージメントツールを活用して人材における課題を解決しよう
いかがでしたでしょうか。
エンゲージメントツールを活用する企業が年々増えています。導入によりエンゲージメントが向上するだけでなく、離職率の低下や職場環境の改善など、さまざまな効果が期待できます。
この機会にエンゲージメントツールの活用を検討し、人材における課題の改善につなげましょう。