有給の取得と影響してくる残業時間の計算について徹底解説 |HR NOTE

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有給の取得と影響してくる残業時間の計算について徹底解説

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有給の取得と影響してくる残業時間の計算について徹底解説

残業による割増賃金を計算する場合、有給休暇との関係には注意が必要です。
有給休暇は労働時間としてカウントされないことや、残業と相殺されるケースもあるからです。

本記事では、有給取得と残業時間の計算について解説します。

関連記事:残業とは|残業の割増賃金の計算方法や残業規制による対策法も

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1. 有給取得した週は残業しても割増賃金の支払いが不要なケースがある

スピーカーでアナウンスをする様子

残業で割増賃金の支払対象となるのは、1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えた労働をした分に限られます。
時間外労働が月60時間以下であれば25%以上、月60時間を超えた場合は50%以上(中小企業は2023年3月末まで25%以上)の割増賃金を支払う必要があります。

さらに、22時〜5時の深夜時間や休日に勤務させた場合にも割増賃金を支払わなければなりません。
ただし、その週に有給休暇を取得している場合は注意が必要です。

1-1. 有給を取得した週は実際の勤務時間が法定労働時間を超えなければ割増賃金は発生しない

例えば、時給1,000円で月曜日から金曜日まで1日実働8時間勤務(所定休日は土曜日・法定休日は日曜日)の従業員が金曜日に有給休暇を取得し、土曜日に休日出勤(5時間)したケースで考えてみましょう。

その週(月曜日〜金曜日)の実際の労働時間は8×4=32時間となり、40時間以内です。土曜日に休日出勤しても週40時間を超えない限り時間外労働にはならないため、割増賃金を支払う必要はありません。

その週の賃金は、実労働32時間+休日出勤分の5時間分37,000円に有給休暇分の8,000円が加わります。
このケースでは、有給休暇1日分(8時間)を取得しているため、45時間分相当の賃金を支払わなければなりませんが、有給休暇は実労働時間としてはカウントされない(ゼロ時間として扱われる)ため、休日出勤分は割増賃金にはなりません。

つまり、1日もしくは1週間を通しての「実労働時間」によって判断することが大切です。有給と残業の関係性は少々複雑なため、わかりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

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2. 有給休暇で残業時間が相殺されるケース

注意点

有給を取得しても法定労働時間を超えた労働をした場合は、割増賃金を支払う必要があります。

法定労働時間を超えた時間分の有給を取得させて、相殺することはできません。

しかし、例外のケースもあります。
ここでは、2つの例外のケースを紹介します。

2-1. 半日分の有給休暇を取得した当日に残業

例えば、午前中に3時間の有給休暇をとった日の終業後に残業したケースで考えてみましょう。
従来の就業時間が8時間だった場合、3時間の有給休暇を取得しても終業後に3時間を超えた残業をした場合は、法定労働時間(1日8時間)を超えた分に対して割増賃金の支払い義務が発生します。

ただし、残業分を入れても法定労働時間を超えない場合は、割増賃金を支払う必要はありません。

2-2. 平日に有給休暇を取得・公休日に出勤

平日に1日有給休暇を取得した週の所定休日に出勤した場合、1週間の実労働時間が40時間を超えていなければ、休日出勤分は相殺されます。割増賃金は発生しません。

ただし、法定休日に労働した場合は有給休暇取得をしていても35%以上の割増賃金の支払い義務が生じますので注意が必要です。

3. 遅刻・早退が残業を相殺できるケースと注意点

説明しようとする男性

本来は遅刻・早退した分で残業を相殺することはできません。
しかし、有給休暇と同じように遅刻・早退が残業を相殺できるケースもあります。

3-1. 遅刻した同日内の残業であれば相殺可能

遅刻したその日の終業後に残業した場合、法定労働時間内であれば遅刻と残業を相殺し、割増賃金を支払う必要はありません。

割増賃金が発生するのは、1日8時間を超えて勤務した場合に限ります。

3-2. 他の日の残業分では相殺できない

前の日に遅刻・早退し、同じ週の他の日に残業した場合の相殺は違法です。

例えば、前日1時間の遅刻をした従業員が翌日に1時間残業した場合、前日の遅刻分を翌日の残業分との相殺はできません。
この場合は残業分に対して割増賃金を支払う必要があります。

3-3. 変形労働時間制を採用している場合は例外

遅刻・早退分で残業を相殺するのは同日内のみが原則ですが、例外として変形労働時間制を採用している場合は他の日の残業を相殺可能になるケースもあります。

変形労働時間制は、一定期間を平均して1週間あたりの所定労働時間が法定労働時間を超えなければ、1週または1日の法定労働時間を超えた労働をさせられる制度です。

時期によって業務の量に変動がある企業に多く取り入れられています。
この変形労働時間制を正しく運用している企業であれば、変形労働時間制の枠内で他の日の残業との相殺ができます。

4. 代休やボーナスでは残業の相殺はできない

手でバツを表して顔をしかめている

有給休暇や同日内の遅刻であれば残業との相殺は可能ですが、代休では残業と相殺はできません。

ある企業のケースでは、月曜日から金曜日に1日8時間勤務が定められている状態で、ほぼ毎日2時間の残業があった場合に1日代休を取ることで残業と相殺していました。

1週間の労働時間は40時間であり、法定労働時間を超えていないように思えますが、1日8時間を超えた時点で1日の法定労働時間を超えているため残業には割増賃金の支払い義務が発生します。

これは代休を取らせても変わりません。
代休を取らせて残業分の割増賃金を支払わないのは違法です。休日出勤分の割増賃金も同じ理由で相殺できません。

また、ボーナスとの相殺や残業代をまとめてボーナスに上乗せして支払うことも違法です。
何らかの事情でボーナスとまとめて支払う場合は利息も必要です。

残業には基本25%、ケースによっては50〜75%、休日出勤には35%の割増賃金の支払い義務が発生します。
1日8時間と1週40時間、どちらかが超えていれば、残業の割増賃金が発生するので注意が必要です。

関連記事:残業代の相殺について代休やボーナスとあわせて詳しく紹介

5. 有給休暇と残業時間の計算のポイントは法定労働時間

キーポイントと書かれたノート

賃金計算における残業(割増賃金)が発生するのは、1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えた場合です。

そのため、有給休暇を取得してその週の実労働時間が残業分も含めて40時間を超えなければ、残業した分に対して割増賃金を支払う必要はありませんし、有給休暇は実労働時間にカウントされません。

また、遅刻・早退した場合は同日内の残業に限り相殺が認められています。
残業や休日出勤分の割増賃金を代休取得やボーナス上乗せなどを理由にして支払わないのは違法ですので注意が必要です。

関連記事:法定内残業と法定外残業の違いを具体例から詳しく解説

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