夜勤明けの日は休み扱い?法律での休日の定義や注意点をわかりやすく解説 |HR NOTE

夜勤明けの日は休み扱い?法律での休日の定義や注意点をわかりやすく解説 |HR NOTE

夜勤明けの日は休み扱い?法律での休日の定義や注意点をわかりやすく解説

  • 労務
  • 勤怠管理

夜勤明けの休みは休日になる?

夜勤(深夜労働)とは22時〜翌5時までの時間帯での勤務のことを指します。

夜勤明けの従業員が翌日の22時に出社した場合、24時間以上が経過していますが休日を与えたことにして良いのでしょうか?

夜勤明けの休日の考え方について解説します。

関連記事:深夜労働は何時から?深夜時間帯に勤務した際の割増賃金の計算方法も解説

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1. 夜勤明けの休みは休日扱いにはならない

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夜勤をすると必ず「夜勤明け」がありますが、夜勤明けを休日としてカウントすることは法律上で認められていません。

例えば、月曜日の午後21時に勤務を開始した人が、火曜日の6時に退勤し、水曜日の21時に再び出勤する場合、
火曜日の6時〜水曜日の21時までは合計時間では39時間ありますが、休日の規定からは外れているため休日とみなすことが出来ません。

夜勤は始業時刻から終業時刻までを「1勤務」とする

「深夜0時をまたぐ夜勤の場合は2勤務扱いになるのでは」と考える人もいるでしょう。

しかし、暦日の定義に基づき1日を「0時から24時まで」として夜勤の勤務日数をカウントした場合、休憩時間が短縮されたり、時間外労働の手当が発生しなかったりして、夜勤担当の従業員に負担や不利益が生じます。

そのため、労働基準法では、深夜0時をまたぎ、始業日と終業日が異なる継続勤務について、始業時刻の日の1勤務として扱うことを定めています。

たとえば月曜日の21時から翌火曜日の6時までの夜勤であれば、「月曜日の勤務」として扱われ、労働時間は休憩1時間を引いた8時間労働として処理されます。

夜勤の休日については、この定義に基づいて考える必要があります。

2. 労働基準法による休みの定義と休日の支給方法

法律での定義

どのような条件がで休日が規定されているのか詳しく見ていきましょう。

関連記事:【図解】夜勤した従業員の休憩時間・休日・賃金の計算方法を分かりやすく解説

2-1. 休日は暦日で支給する

休日は暦日、つまり、午前0時〜午後12時までの連続した24時間で与えなければならないと決められています。

前項の例では、最初の勤務の後から、次の勤務の開始時刻までの間隔は39時間るものの、暦日で24時間の支給ができていないため、休み扱いすることが出来ません。

夜勤明けの暦日の考え方は、労働者の健康面を担保するためにも少々特殊になっています。 そのため、当サイトでは、夜勤が発生した際の給与の割増率や、深夜労働にあたる時間帯をおさらいできる無料の資料を配布しています。

労働基準法に沿った休憩時間や休日の考え方、時間外労働や休日労働の割増手当の考え方もあわせて解説しておりますので、深夜労働の適切な労働管理をおこないたい方は、こちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

2-2. 夜勤時の休憩

休日の与え方については夜勤の場合注意が必要でした。一方で、休憩については日勤と同じ規定で与えれば問題ありません。

休憩の与え方は労働基準法第34条で定められており、付与条件は以下の通りです。

    • 6時間以内の勤務        →休憩を与える義務はない
    • 6時間を超えて8時間以内の場合 →45分以上の休憩を付与
    • 8時間を超える勤務の場合    →1時間以上の休憩を付与

    参考:労働基準法第34条|e-Gov法令検索

    2-3. 夜勤明けの有給の支給

    有給休暇についても、休日の付与と同様で、夜勤明けの日を有給休暇にすることはできません。

    労働基準法で暦日(午前0時〜午後12時の継続した24時間)単位での支給が義務付けられています。

    従業員が有給休暇を申請してきた際に誤って受理しないように注意しましょう。

    3. 夜勤明けの休日の例外

    例外

    既に述べた通り、休日は原則として暦日の24時間で支給しなければなりません。

    しかし、勤務形態によっては一部例が存在します。

    3-1. 交代勤務制の場合

    「日勤、準夜勤、夜勤」の8時間の交代制で勤務する交代勤務制の場合、例外として暦日でなく、夜勤明けから24時間を休みとすることができます。

    以下が要件です。

    (イ)番方編成による交替制によることが就業規則等により定められており、制度として運用されていること。
    (ロ)各番方の交替が規則的に定められているものであって、勤務割表等によりその都度設定されるものではないこと。 引用:第4章 労働時間、休憩及び休日|厚生労働省 

    3-2. タクシー・バス・トラックのドライバーの場合

    タクシーやバス、トラックのドライバーの場合は休日を暦日で与えること以外にも規定があります。

    労働大臣告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」では、ドライバーの休日は、休息期間+24時間の連続した時間、かつその合計時間が30時間を下回ってはならないと定められています。

    ドライバーには1回の勤務につき8時間以上の休息を付与する必要があるため、休息と休日の合計時間が30時間以上にならなければいけません。ドライバーの業務は長時間勤務になりやすいこともあり、交通事故の発生を抑止する目的があります。

    ただし、休日を2日以上連続して与える場合は2日目以降の休日については24時間を休日の要件として問題ないとされています。

    参考:トラック運転者の労働時等の改善基準のポイント|厚生労働省労働基準局

    3-3.旅館業の場合

    旅館業については休日は暦日の24時間ではなく、暦日2日にまたがる30時間での付与でも問題ないと認められています。

    ただし、その場合以下の条件を満たしている必要があります。

    • 正午~翌日正午までを含む継続30時間の休息時間が確保されること
    • あらかじめ労働者に休日が暦日の2日に跨ることと、その時間帯について伝達していること
    • 1年間の法定休日数の内、半数以上は暦日で付与していること

    参考:旅館業における休日の取り扱いについて|厚生労働省労働基準局

    4.夜勤におけるそのほかの注意事項

    警告

    労働者に夜勤をおこなわせた際には、休日の付与以外にも割増賃金や休日労働、労働者の年齢にも注意する必要があります。

    4-1. 夜勤の従業員の休憩時間

    夜勤においても休憩時間の規定は日勤と同様です。

    労働基準法では、休憩時間の付与規定を以下のように定めています。

    要件 付与しなければならない休憩時間
    6時間を超える労働 45分以上
    8時間を超える労働 1時間以上

    休憩時間は分割で付与しても問題ありません。

    ただし、それぞれの休憩時間は労働時間の間で付与しましょう。勤務開始直後や勤務終了直前に休憩を与えることはできません。

    4-2. 夜勤に対して割増賃金を支払う必要がある

    夜勤において、労働基準法の深夜業(22時~翌5時)に該当する勤務に対しては、割増賃金を支払うことが

    労働基準法第37条によって規定されています。

    割増賃金は下記の計算式で算出します。

    深夜労働の割増賃金 = 1時間あたりの基礎賃金 × 深夜時間の労働時間数 × 深夜労働の割増率(25%)

    ※月給制の場合の1時間あたりの基礎賃金

    1時間あたりの基礎賃金=月給 ÷ 月平均所定労働時間数

    月平均所定労働時間数:(365-年間休日)×1日の所定労働時間÷12カ月

    割増賃金の未払いは、労働基準法違反として、6ヵ月以下の懲役、30万円以下の罰金が課せられる可能性があるため、きちんと計算して支払いましょう。

    関連記事:深夜手当の計算はどうすれば良い?時給・月給・日給別に詳しく解説

    参考:労働基準法第37条|e-Gov法令検索

    4-3. 土曜日や日曜日などの夜勤は割増率が変化する可能性がある

    割増賃金は深夜労働以外にも、時間外労働の場合に25%、休日出勤の場合に35%を掛け合わせて支払う義務があります。

    土曜日が所定休日、日曜日が法定休日である企業の場合、休日出勤として割増賃金を支払う必要があるのは日曜日の勤務のみになります。

    たとえば、
    土曜日が所定休日、日曜日が法定休日で、時給が1000円の労働者が居るとします。
    この労働者が、土曜日の16時~日曜日の深夜1時(午後20時から1時間で休憩)で勤務した場合、

    (土)16:00~22:00 1000円×4時間=5000円
    (土)22:00~24:00 1000円×2時間×1.25=2500円
    (日)0:00~1:00  1000円×1時間×1.6=1600円

    22:00~24:00の労働には深夜労働分の割増率25%を、
    0:00〜1:00の勤務には深夜労働分+休日出勤分の割増率60%をそれぞれ割り増して計算する必要があります。

    また、この場合、法定休日である日曜日に勤務していることになるため、暦日での休日の条件を満たさずこの日曜日を休日として扱うことは出来ません。

    4-4.夜勤明けの日の勤務にも割増賃金が発生する可能性がある

    先述の通り、勤務日数は0時から24時までの暦日で数えます。

    したがって、夜勤明けの従業員がその日の夜にまた夜勤をおこなう場合には1日に朝と夜の2回に分かれて勤務時間が発生しているものとして計算します。

    仮に4月1日の23時~翌4月2日の6時まで夜勤で勤務をした従業員が、2日の20時から翌3日の5時まで勤務したような場合には、2日の労働時間が法定労働時間で定める8時間を超えることになります。

    この場合、8時間を超える労働時間に対しては、1時間あたりの基礎賃金に深夜労働の割増賃金率(25%)に、時間外労働の割増賃金率(25%)を加算した、50%分の割増率で計算した賃金を支払う必要があります。

    そのため事業者は、この労働者に代休、もしくは振替休日を与える必要があります。

    4-5. 夜勤をさせられない人もいる

    夜勤をさせることが出来ない労働者は以下の通りです。

    • 満18歳以下の年少者
      →年少者保護の観点から労働基準法第60条により制限

    参考:労働基準法第60条|e-Gov法令検索

    • 妊産婦(本人から夜勤を控える申請があった場合)
      母子の健康上の理由で本人から申請があった場合は夜勤をさせることが労働基準法第66条で制限されている。

    参考:労働基準法第66条|e-Gov法令検索

    関連記事:深夜労働が可能な年齢とは?未成年や年少者の定義についても解説

    5. 法定休日の規定を満たすには夜勤明けとは別の休日が必要

    休日の予定

    夜勤労働者に休日を与える際には、原則として暦日の24時間で付与しなければならないため留意しましょう。

    法定休日の規定は、週1回または4週に4回の休日を付与することで満たせますが、夜勤は従業員の疲労が溜まりやすい勤務形態です。できるだけ無理のない働き方ができるよう、労働時間や休日の日数には配慮することが大切です。

    また、夜勤明けの休日の付与以外にも夜勤の労働者には日勤の労働者と給与の計算、労働者の規定などに違いがあります。労働者の健康と、労働基準法や厚生労働省の定めるルールに注意しながら夜勤労働者の管理を行いましょう。

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