出勤簿の書き方とは?手書きの記入例や必要項目をあわせて解説! |HR NOTE

出勤簿の書き方とは?手書きの記入例や必要項目をあわせて解説! |HR NOTE

出勤簿の書き方とは?手書きの記入例や必要項目をあわせて解説!

出勤簿は従業員の労務管理をおこなうのに必要な帳簿ですが、厳密なフォーマットが設けられているわけではないため、どのような項目について記載すべきかをきちんと把握できていないというケースも、あるかもしれません。

本記事では、出勤簿へ記録する方法や出勤簿に記載するべき項目や書き方、出勤簿に記入する際の注意点などについて説明します。

1. 出勤簿とは?

出勤簿とは、従業員の出勤・退勤時刻を記録し、労働時間や労働日数を把握・管理するものです。「賃金台帳」「労働者名簿」に並んで、法定三帳簿の一つに該当し、5年間保存することが義務付けられています(当分の間は3年)。

2. 出勤簿へ記録する方法

厚生労働省が発表しているガイドラインでは、従業員の労働時間を把握する方法として以下のいずれかである必要があるとしています。

  • 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録する
  • タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録する

出勤簿は労務管理をおこなうために必要な書類なので、使用者が自ら確認・記録することが理想的ではあります。ただし、現実問題としてそのような方法は難しいことが多いため、従業員が出勤簿へ直接自身の出退勤の時刻を記載することがほとんどでしょう。

従業員の自己申告による労働時間の把握は推奨されていませんが、自己申告で対応せざるを得ない場合には、既定の措置をとる必要があるため、注意しましょう。講じるべき措置の内容は、後述します。

3. 出勤簿に記載するべき項目や書き方

出勤簿に記載するべき項目としては、以下のようなことが挙げられます。

  • 出勤日および出勤日数
  • 日別の労働時間数と始業・終業時刻と休憩時間
  • 時間外労働をおこなった日付・時刻・時間数
  • 休日出勤をおこなった日付・時刻・時間数
  • 深夜労働をおこなった日付・時刻・時間数

それぞれの項目および書き方について、説明します。

3-1. 出勤日および出勤日数

出勤簿であるため、出勤日や出勤日数は当然記載しておかなければならない項目のひとつです。

最近では在宅勤務やテレワークといった形で働くことも増えてきていますが、そのように出社せずに働いている日も、記録する必要があります。

3-2. 日別の労働時間数と始業・終業時刻と休憩時間

出勤した日ごとの労働時間数も記載する必要がありますが、労働時間数は「始業時刻」と「終業時刻」および「休憩時間」が分かれば算出することができます。例えば、始業時刻が8時45分、終業時刻が17時45分、休憩時間が12時~13時の1時間という場合は、労働時間は「9時間-1時間=8時間」ということになります。

3-3. 時間外労働をおこなった日付・時刻・時間数

時間外労働とは、基本的に「1日8時間・週40時間」の法定労働時間を超える部分のことを指します。

ただ、変形労働時間制やみなし労働時間制を採用している会社の場合は、時間外労働の算出方法が異なる場合があるので、それぞれの会社の体制に即した形で算出しましょう。

3-4. 休日労働をおこなった日付・時刻・時間数

出勤簿に記載をおこなう際の「休日」とは、「週1日」もしくは「4週間を通じて4日」の法定休日のことを指します。所定休日の労働は休日労働にはあてはまらないため、注意しましょう。

3-5. 深夜労働をおこなった日付・時刻・時間数

深夜労働は「深夜22時~翌朝5時」の時間の労働のことを指し、この時間帯においては裁量労働制や管理監督者であっても、割増賃金の対象となります。

そのため、労働時間を適切に把握することができるように、漏れなく記載しなければなりません。

3-6. 出勤簿の記入例

出勤簿を作成する際には、上記の項目を漏れなく記録する必要があります。

ただし出勤簿の記入フォーマットは法律により規定されていないため、手書きの場合は以下の厚生労働省が公開している資料の記入例(2ページ目)を参考に作成することをおすすめします。

その他にも出勤簿のひな形や見本はWeb上で複数公開されているため、必要事項がそろっていることを確認のうえ、ダウンロードして活用してもよいでしょう。

参考:労働者を雇用したら帳簿などを整えましょう |厚生労働省

4. 出勤簿の管理方法

出勤簿の管理方法は、出勤簿の媒体により異なります。

紙媒体で出勤簿を作成している場合には、キャビネットにまとめるほか、エクセルにデータを入力し電子化して保存するケースなどが挙げられます。

エクセルで出勤簿を作成している場合には、USBメモリやハードディスク等にデータを写すなどして保存するケースが挙げられるでしょう。

勤怠管理システムで出勤簿を作成する場合は、エクセルに出力することも可能なほか、給与計算と連動しているシステムであれば自動で給与計算までしてくれます。

出勤簿を紙媒体やエクセルで作成すると、記入ミスや漏れ、改ざんなどが起こりうるため客観性のある適正な勤怠データは得ることが難しいでしょう。法律に沿って効率的に出勤簿の記録・作成をおこなうには、勤怠管理システムの導入をおすすめします。

5. 出勤簿に手書きで記入する際の注意点

出勤簿に記入する際は、労働時間を客観的に把握することができるデータをもとにする必要があります。ただし、場合によっては従業員の自己申告によって始業・終業時刻などを把握しなければならないこともあり、そのようなケースでは以下に挙げるような点に注意しておく必要があります。

  • 従業員に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告をおこなうことなどについて十分な説明をおこなう
  • 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査をおこない、所要の労働時間の補正をおこなう
  • 労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定しない

それぞれの注意点について、説明します。

5-1. 労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告をおこなうことなどについて十分に説明をする

従業員に労働時間を申告してもらう場合、人によってどこからどこまでを労働時間と認識しているかが異なる可能性があります。また、使用者が労働時間として認識している時間ともずれが生じるおそれがあるため、対象となる従業員に対しては、適正に自己申告をおこなうことなどについて、十分な説明をおこなう必要があります。

5-2. 把握した労働時間が実労働時間と合致しているか、必要に応じて実態調査をおこない、所要の労働時間の補正をおこなう

従業員からの自己申告によって労働時間の把握をおこなう場合でも、使用者側で労働時間に関して、執務室への入退室時間などある程度客観的なデータを有している場合もあります。

そういったデータから把握できる労働時間と、従業員自身が申告している労働時間に大きな乖離がある場合は、必要に応じて実態調査をおこない、場合によっては労働時間の補正をおこなわなければなりません。

また上述したように、従業員自身に適正に自己申告をおこなってもらわなければ、労働時間を適切に管理することはできません。そのため、労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するようなことは、認められません。

会社が出している措置などが従業員による適正な申告を阻害する要因になっていないかを確認し、要因となっていると認められる場合は、改善措置を講じる必要があります。

6. 出勤簿の書き方に関してよくある質問

ここからは、出勤簿の書き方に関してよく生じる疑問について解説します。

出勤簿に有給、産休、休業、欠勤を書く具体的な方法を紹介します。

6-1. 有給休暇の書き方は?

従業員が有給休暇を取得した日の出勤簿は、備考欄に「有給」との旨を記すことが一般的です。そして月あたりの「有給取得日数」の合計欄があれば、そちらに日数を記載しましょう。

有給休暇とは、労働の義務を免除して給与を支給する日となります。そのため始業・終業時刻欄に定時を記すか記さないかは、各企業の出勤簿作成の目的・方針によって異なります。

自社にとって最適な方法で記載する認識で問題ないでしょう。

6-2. 産休の書き方は?

従業員が産休を取得した日の出勤簿は、欠勤としては扱わず、「産前産後休業(休暇)」と記載するようにしましょう。また出産手当金の受給には、出勤簿と賃金台帳の写しを提出書類に添付する必要が生じるため、正確に記載しましょう。

6-3. 休業の書き方は?

休業がある際には、休業日は「休業」などと記載することが一般的です。

また企業が休業をする際には、出勤簿を雇用調整助成金の申請に用います。従業員一人ひとりの出勤時刻・労働日数等に漏れがないか確認することが重要です。

6-4. 欠勤の書き方は?

従業員が欠勤した日には、始業・終業時刻は記さず、所定の欄があればそちらに、ない場合は備考欄に「欠勤」と記載することが一般的です。

そして月あたりの「欠勤日数」の合計欄があれば、そちらに日数も記載しましょう。

7. 出勤簿には決められた項目を記載する必要がある

出勤簿は労務管理をおこなうために必要な書類であり、出勤日や出勤日数などの所定の項目を記載しなければなりません。客観的な記録をもとにして記入をおこなうのが原則ですが、従業員の自己申告によって始業・終業時刻などを把握する必要がある場合もあります。

そのような場合は、従業員に対して適正に自己申告をおこなうよう十分な説明をおこなうことなどを、意識しましょう。

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