有給休暇を使うと給料の金額は減るのでしょうか?有給休暇を取得した際に従業員に支払わなければならない金額の計算方法などを理解し、適切な金額を支払いましょう。こちらでは有給休暇の賃金計算やパート・アルバイトの有給休暇について、わかりやすく解説します。
関連記事:有給休暇の基本的なところや発生要件・計算方法を解説
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目次
企業が実施すべきことについて詳しく解説!
労働人口が減少が続く日本において、「人手不足」は多くの企業に共通する社会課題です。企業成長のためには、この社会課題に対して、各社ならではの対策を進める必要があります。そこで、本講演では、経済産業省で「デジタル人材育成プラットフォーム」の制度設計をおこなう金杉氏にご登壇いただき、企業が現状の社会課題を正しく把握し、正しく対策を立てるために必要となるスタンスについてお話いただきます。また、企業が実際に利用できる国の支援制度や施策についても併せてご紹介します。
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1. そもそも有給休暇の付与条件とは?
有給休暇の金額を計算する前に、そもそも有給休暇の付与条件を確認しておく必要があります。有給休暇の付与には、以下の2つの条件が満たされている必要があります。
- 雇い入れの日から半年以上継続して勤務している
- 全労働日の8割以上出勤している
この条件を満たしている場合、パートやアルバイトの従業員を含むすべての労働者に有給休暇を付与しなければならない点に注意しましょう。
1-1. 有給休暇の付与日数は勤続年数によって異なる
有給休暇の付与条件を満たしたフルタイム労働者の場合、有給休暇の付与日数は以下のように勤続年数に応じて異なります。
継続勤務年数を確認し、正しい有給休暇日数を付与しましょう。
また、パートやアルバイトなどの週所定労働日数が5日未満の従業員には以下の表のように有給休暇を付与します。
このように、有給休暇の付与日数は従業員によって異なります。特に、パート・アルバイトを雇用している企業は法律に則って有給休暇を付与できているかの確認が必要です。当サイトでは、有給休暇の法律に則った付与ルールや正しい管理方法が確認できる資料を無料で配布しています。法律に則って有給休暇を管理したいという方は、こちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
関連記事:【図解】有給休暇の付与日数と付与のポイントをわかりやすく解説!
2. 有給休暇を取得した際に企業が支払う賃金の計算方法3パターン
労働基準法では、有給休暇を取得した際に企業が支払うべき賃金の計算方法が3パターン定められています。企業は従業員が有給休暇を取得した際に、以下の3つのいずれかの方法で賃金を支払わなければなりません。
また、どのように有給休暇の賃金を支払うかは就業規則に定め、会社全体で統一されている必要があります。部署や個人によって変えるということはできないので、注意が必要です。
①通常の出勤日と同じ額の給料を支払う
1つ目は、通常出勤した場合と同じ額の給料を支払う方法です。有給休暇を取得した日を通常の出勤としてカウントして給与計算をすればよいため、他の計算方法よりも処理業務が簡単です。
②平均賃金を支払う
2つ目は、直近3ヵ月の平均賃金を求めて、その平均賃金と同じ額を支払う方法です。平均賃金を求める方法は2つあり、金額の高い方を平均賃金として使用します。
計算方法:
⑴直近3ヵ月の賃金総額÷3ヵ月の暦日数
⑵直近3ヵ月の賃金総額÷3ヵ月の労働日数×0.6
平均賃金を算出する場合、1点注意しなければならないのが、最低保証額についてです。
直近3ヵ月の暦日数のうち、土日祝日が多く労働日が少なかった場合などに、⑴の計算方法を用いると賃金が少なくなる場合があります。そのような場合は、最低保証額を上回っているかを確認する必要があります。
最低保証額の計算方法は⑵の計算方法となります。つまり、2つの計算方法で算出した額の大きいほうを採用する必要があります。
③標準報酬月額を支払う
標準報酬月額とは、健康保険料を算出する際に使用され、従業員それぞれの月額報酬を区切りのよい幅で区分したものです。標準報酬月額は年度や都道府県ごとに変動するので、年度初めには会社が拠点を置く都道府県の標準報酬月額を確認しましょう。
標準報酬とは、基本給に加えて諸手当など企業から現金または現物で支給されるものを指します。標準報酬には臨時に支払う報酬や、支給回数が年3回以下の賞与、交通費は含まれません。
標準報酬月額はすでに算出されているものなので、下記の通り、その値を日割りにするだけで支給する金額を算出することができます。
計算方法:標準報酬月額÷30日
そのため、平均賃金を用いた計算方法に比べて処理業務が簡単です。
1つ注意すべきなのは、標準報酬月額を用いて有給休暇の賃金を計算する場合、事前に企業は従業員との間で労使協定を結ぶ必要があります。
半日や時間単位の有給休暇を取得した際の賃金計算方法
半日や時間単位の有給休暇を取得させた場合、上記3つの計算方法で算出した1日の賃金のうち、働いた時間分のみ支給します。
計算方法:有給休暇1日分の賃金×(有給休暇を取得した時間数÷所定労働時間)
半日や時間単位の有給休暇を取得させた際の賃金計算方法も日単位による有給休暇の取得と同様に、計算方法を就業規則等に定める必要があります。
3. 有給休暇を使うと給料の金額は減る?
企業は従業員が有給休暇を取得した際、給料を確実に支払わなければなりませんが、支払う賃金の計算方法によっては、出勤するよりも給料の金額が減るということもあります。
給料が減るパターンは下記の通りです。
<平均賃金で計算したとき>
平均賃金は休みの日まで含めた日数で計算するため、直近3ヵ月が土日などの休日が多く労働日が少ない場合、金額が減る場合があります。状況によっては少なくなりすぎる場合もあるので、3ヵ月の賃金総額÷労働日数×0.6で算出された金額が最低保証額として設定されています。
<標準報酬月額で計算したとき>
標準報酬月額は一定の範囲内の月給を区分して、中央値に近い値を設定しているため、その中央値よりも月給が多い場合は金額が減ることもあります。
例えば、月給が21万円の労働者の場合、標準報酬月額は20万円となります。また、標準報酬月額には上限があり、従業員がその上限よりも多い月給をもらっている場合、上限で計算されるため、金額は少なくなります。
このように、計算方法によっては、通常の出勤した時の給料よりも金額が減る場合がありますが、有給休暇を取得したからといって故意に金額を減らすのは労働基準法違反となるので注意しましょう。
4. 有給休暇の給与計算で注意すべき4つのポイント
有給休暇の給与計算をする時には、注意すべきポイントが4つあります。
4-1. 給与計算の方法は就業規則に記載する
有給休暇の給与計算方法は複数あり、方法によっては金額が変わる可能性があるため、就業規則に明記しておく必要があります。トラブルを防ぐためにも、しっかりと事前にどの計算方法を用いるかを記載しておきましょう。
関連記事:労働基準法で定められている有給休暇|法律の内容、注意点を詳しく解説
4-2. 有給休暇の賃金計算は業務が増えて大変な場合も
有給休暇の賃金計算は、従業員一人ひとりの分を算出しなければなりません。従業員数が多ければ多いほど、業務量は増えます。
また、有給休暇を取得する日程がバラバラの場合、管理はより複雑になります。紙管理やエクセルなどで手入力管理をしていると、有給休暇の処理業務に追われてしまいます。
勤怠管理システムのなかには、有給休暇の付与日数や、有給休暇を取得した際に支払う賃金の計算を自動化できるものもあります。このようにシステムを導入することで、有給休暇の処理業務以外に時間が割けるため、処理業務に追われている場合は検討してみると良いでしょう。
4-3. 最低賃金を上回っているか確認する
有給休暇の賃金を計算した後、その値が最低賃金を上回っているかしっかりと確認しましょう。最低賃金を下回った場合は金額の調整が必要となります。
有給休暇の賃金でも、最低賃金を下回った場合には、従業員一人あたり50万円の罰金が科されてしまうので注意しましょう。また、最低賃金は毎年10月に改定されるため、改定され次第、その金額を反映しなければなりません。
4-4. 標準報酬月額を用いる際は労使協定を事前に結ぶ
標準報酬月額を用いて賃金の計算をおこなう際には、固定給から変動する可能性があるため、あらかじめ労使協定を結んだ上で就業規則に記載しておく必要があります。
4-5. 有給休暇を取得した際の通勤手当の扱い
従業員が有給休暇を取得した際の通勤手当の支給をするかは企業が選択をすることができます。ただし、有給休暇を取得した際に通勤手当を支給しない場合は、あらかじめ就業規則に記載しておくと良いでしょう。主な理由は2点あります。
・有給休暇を取得した際に不当な扱いをしてはいけないから
・有給休暇の賃金計算方法を「通常の出勤日と同じ額の給料を支払う」にしていた場合、所定労働時間を就労した場合に支払われる通常の額を支払わなければならないから
通勤手当は本来支給義務はないので、支払うかどうかは企業の自由ですが、元々支給していて、有給休暇を取得した日の分を控除すると、従業員が不満を抱く可能性もあります。
また、通勤のために定期券を購入している従業員がいる場合、有給休暇を取得したことによって従業員の通勤にかかる負担が減るわけではないので、通勤手当を控除しないのが一般的です。
4-6. 有給休暇の賃金は年収に含まれる
有給休暇の賃金は通常の賃金と同様、給与所得に含まれるため、年収の算出をする際にもカウントします。そのため、アルバイトの従業員の扶養上限を算出する場合や、所得税・住民税の計算をする際にも有給休暇の賃金を含んだうえで計算する必要があります。
年収の算出をする際には有給休暇の賃金も含めるよう注意しましょう。
関連記事:労働基準法で定められている有給休暇|法律の内容、注意点を詳しく解説
5. 有給休暇取得時の賃金や金額の計算方法を理解しよう
有給休暇を従業員が取得した場合の賃金の計算方法は、①通常の出勤と同じ額の給料を支払う方法②平均賃金を支払う方法③標準報酬月額を支払う方法の3パターンがあります。
平均賃金と標準報酬月額を用いて計算した場合、場合によっては出勤した場合よりも金額が少なくなることがあります。
いずれの方法にもメリット・デメリットがあるため、それぞれの企業にあった方法を選択するのが好ましいでしょう。
有給休暇を従業員が取得した場合の賃金の計算方法は、①通常の出勤と同じ額の給料を支払う方法②平均賃金を支払う方法③標準報酬月額を支払う方法の3パターンがあります。
平均賃金と標準報酬月額を用いて計算した場合、場合によっては出勤した場合よりも金額が少なくなることがあります。
いずれの方法にもメリット・デメリットがあるため、それぞれの企業にあった方法を選択するのが好ましいでしょう。
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