社会保険の扶養範囲や扶養の手続き方法についてわかりやすく解説 |HR NOTE

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社会保険の扶養範囲や扶養の手続き方法についてわかりやすく解説

対象の範囲

社会保険に加入している従業員が結婚した際や子どもが生まれた際には、社会保険の扶養対象となる場合があり、その場合には事業主経由で扶養の手続きをおこないます。

配偶者が扶養になることで、納めるべき税金が減る、単独で健康保険や国民年金に加入せずに済むなどのメリットがあります。

本記事では社会保険の扶養範囲や条件について解説していきます。

関連記事:社会保険とは?代表的な4つの保険と今さら聞けない基礎知識 

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1. 社会保険の扶養に入るための条件

条件・チェックリスト

社会保険の扶養に入る条件はいくつかあります。

ちなみに扶養には社会保険の扶養と税制上の扶養とがありますが、今回は社会保険の扶養の条件について解説します。

関連記事:社会保険の加入条件とは|保険の種類別に条件を詳しくご紹介

1-1. 扶養範囲の条件:「被扶養者の範囲」

社会保険の扶養に入れるかどうかは、被扶養者の範囲に入っているか、さらに同居しているかどうかが関係してきます。

被扶養者の範囲には、被保険者と同居していなければならない場合と、被保険者との同居が必要ない場合があります。

被扶養者の範囲は以下の通りです。

①同居か別居かを問わない人

  • 配偶者(内縁関係も可)
  • 子・孫・兄弟姉妹・父母・祖父母などの直系尊属

②被保険者と同居していることが条件になる人

  • ①以外の3親等内の親族(甥・姪・叔父・叔母など)
  • 被保険者の配偶者(内縁関係も含む)の父母・連れ子
  • 配偶者(内縁関係も含む)死亡後の父母・連れ子

直系尊属には、養子縁組をおこなった場合も含まれます。

被扶養者になるためには、被扶養者の範囲内であることに加えて、収入の条件も満たさなくてはなりません。

続いて収入の条件を紹介します。

1-2. 扶養範囲の条件:「扶養に入るものの収入」

被扶養者になれるかどうかは、被扶養者の収入も関係してきます。

収入の条件を考える際には、同居の場合と別居の場合で条件が異なります。

被扶養者が同居の場合、被扶養者になる人の年収は、一部を除き、年間収入130万円未満

(60歳以上の方や障がい者の場合には年間収入180万円未満)かつ、被保険者の年収の2分の1未満でなければなりません。

扶養とは、経済的に自立していない親族に経済的援助をする制度のことなので、被扶養者の収入を中心に生計を維持している場合には扶養は適用されません。

同居していない方の場合には、年収が130万円未満(60歳以上の方や障がい者の場合には年間収入180万円未満)かつ被扶養者の収入が被保険者からの仕送りよりも少ない場合、扶養が適用されます。収入の金額によって被扶養者になれるかどうかが変わってくるので、注意しましょう。

1-3. 2022年10月の社会保険適用拡大によって扶養の範囲も変わる

2022年に社会保険の適用拡大がおこなわれ、社会保険の加入対象となる短時間労働者の条件が変更されました。

変更点は以下の2点です。

①特定適用事業所の範囲拡大

これまで、短時間労働者を社会保険に加入させる義務のあった社会保険の特定適用事業所は短時間労働者を除く従業員数が501人以上の事業所でしたが、2022年10月から短時間労働者を除く従業員数が101人以上のすべての事業所が社会保険の特定適用事業所となりました。

②短期労働者の雇用期間の要件

これまで、短期労働者の社会保険適用要件のひとつに「雇用期間が1年以上みこまれること」が含まれていましたが、2022年10月から「雇用期間が2ヵ月以上みこまれること」に変更されました。

この社会保険適用拡大によって、新たに社会保険に加入する人もいるでしょう。そのような人は扶養からは外れることになります。

社会保険の被保険者となっている人は被扶養者になることができないため、社会保険の適用拡大によって扶養から外れるなどの変更が発生する場合があります。

関連記事:社会保険の扶養を外れるときの手続きや注意点を解説 

2. 社会保険の扶養に入る手続き方法

保険の加入

配偶者や親族が社会保険の扶養に入る場合、手続きをおこなわなければなりません。

できるだけスムーズに手続きをおこなうために、どんな手続きが必要か知っておくようにしましょう。

では、社会保険の扶養に入る手続き方法について解説します。

2-1. 必要書類を揃える

社会保険の扶養に入る手続きをおこなうためには、必要書類を揃える必要があります。

まず手続きに必須の書類が「健康保険被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)」です。

従業員の被扶養者に変更があった事実が発生してから5日以内に届出を日本年金機構に提出しなければなりません。

さらにこの書類に添付する必要書類があります。

一つ目は、被保険者と被扶養者との続柄を確認するために必要となる被保険者の戸籍謄本、もしくは住民票の写しです。

被保険者と被扶養者が同一世帯で生活しているのであれば、それを証明するために住民票が必要です。

ただし、被保険者と被扶養者の両方のマイナンバーが届出に記載されていれば、戸籍謄本や住民票を添付する必要はありません。

二つ目に必要な書類は、社会保険の扶養に入るためには、年収の条件があるため、被扶養者の収入がいくらなのかを証明する書類です。

もし、被保険者の父母などが退職して扶養に入るのであれば退職証明書、そうでなく自分の収入がある場合には確定申告書の写しなどを添付する必要があるので、従業員がもれなく準備しているかどうかを確認しましょう。

関連記事:国民年金第3号被保険者関係届とは?電子申請の方法についてもあわせて解説 

2-2. 特殊なケースで必要な添付書類

被扶養者になるための手続きで必要な書類は基本的に被保険者の戸籍謄本や住民票、被扶養者の収入を証明できる書類です。

しかし、特殊なケースではさらに書類が必要になることがあります。

まず、被扶養者が被保険者と同居していない場合です。

被扶養者が被保険者と別居しているのであれば、被保険者からの仕送りなどが確認できる預金通帳のコピーや現金書留の控えを提出しなければなりません。

さらに、被扶養者と被保険者が婚姻関係にはないものの内縁関係にある場合、双方の戸籍謄本または双方の住民票が必要です。

これらの添付書類が必要になる場合、従業員から添付されているかを確認したうえで届出をおこないましょう。

2-3. 提出期限内に書類を提出する

必要書類を揃えたなら、提出期限内に書類を提出しましょう。

基本的には、扶養に入った事実があった日から5日以内に書類を提出しなければなりません。

しかし、健康保険組合などによって提出期限が異なることもあるので注意が必要です。

提出期限を過ぎると、被保険者や被扶養者が不利益を被ることもありえます。

提出期限を確認して、スムーズに手続きをおこなうようにしましょう。

このように、社会保険には必要な書類が複数あり、提出期限が設けられているものもあります。提出に遅れが出てしまうと、法律に抵触する可能性もあるため、期限を守った適切な手続きをおこないましょう。

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3. 従業員の扶養が外れるときの手続き方法

対象から外すイメージ

会社に勤務している従業員が扶養から外れる場合、会社側にも手続きが求められます。

では、従業員の扶養が外れる時にどんな手続きが必要か見ていきましょう。

3-1. 従業員の扶養が外れるタイミング

まずは、従業員の扶養が外れるタイミングにはどのようなものがあるのかを確認しましょう。従業員が別の人の扶養に入った、従業員が離婚・死亡したなどのタイミングで従業員の扶養が外れることが考えられます。

また、被扶養者の従業員が75歳以上になり、後期高齢者の保険証を持っている場合も扶養が外れます。

加えて、被扶養者であるための条件である130万円を超える年間収入を得ている場合にも扶養を外す手続きが必要です。

3-2. 会社がおこなうべき手続き

従業員自身の扶養を外す場合、必要に応じて会社が手続きをおこなう必要があります。

従業員が扶養から外れて、社会保険の加入をする必要がある場合には、会社がすみやかに「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を年金事務所に提出しなければなりません。

その際に、配偶者や子どもなど被扶養者とする人がいる場合は、「健康保険被扶養者届」、配偶者を第3被保険者とする場合は、「国民年金第3号被保険者関係届」をあわせて年金事務所に提出しなければなりません。

届出が完了したら、健康保険被保険者証が交付されるので、すぐに本人に渡しましょう。

従業員本人が扶養から外れて社会保険に加入しない場合は、社会保険に関して会社がおこなうべき手続きはとくにありません。

3-3. 従業員側にも手続きが必要

従業員が扶養から外れた場合、従業員側にも手続きが求められます。

扶養から外れた場合、健康保険への加入を考えなければなりません。

被保険者の扶養を外れると、国民健康保険に加入するか、自分が勤務する会社の社会保険に加入するか決定することになるでしょう。

どちらにせよ、無保険状態になることがないよう、扶養を外れたならすぐに手続きの準備を始めなければなりません。

4. 従業員の家族の扶養が外れる時の手続き方法

従業員の家族の社会保険の扶養が外れる場合次に、従業員の家族の扶養が外れる時の手続き方法を解説します。

どのようなタイミングでどのような手続きが必要になるのか本章でみていきましょう。

4-1. 従業員の家族の扶養が外れるタイミング

従業員の家族の扶養が外れるタイミングには以下のようなものがあげられます。

  • 配偶者や子どもの収入が増えて、扶養範囲の条件が適用されなくなった場合
  • 配偶者や子どもが就職・転職などで社会保険に加入した場合
  • 結婚などで別の家族の扶養家族になった場合
  • 離婚や死亡などで被扶養者ではなくなった場合
  • 被扶養者が雇用保険(失業給付)を申請して受給するようになった場合
  • 被扶養者が75歳以上になり、長寿医療制度の保険証を受け取った場合

このようなタイミングでは、会社が手続きをおこなう必要があります。

次節で会社がおこなうべき手続きを具体的に解説します。

4-2. 会社がおこなうべき手続き 

従業員の家族の被扶養者に変更がある場合、まず被保険者から被扶養者の保険証を預かります。何らかの理由で被保険者の保険証を回収できない場合は、「健康保険被保険者証回収不能(滅失)届」を代わりに提出しなければなりません。

また、被保険者に健康保険被扶養者異動届を記載してもらい、会社が年金事務所に提出します。

これらの手続きは扶養が削除される日から5日以内におこなわなければなりません。

扶養が削除される日は以下の通りです。

  • 就職した場合は就職日または被扶養者の健康保険資格取得日
  • 収入が要件を超えた場合はそれが発生した日
  • 離婚・死亡した際は発生日の翌日
  • 雇用保険の受給を開始した場合は失業保険の受給開始日

被扶養者異動届は扶養から外れた日から5日以内に被保険者の所属する会社が提出しなければならないため、これらの手続きをできるだけ早くおこないましょう。

従業員の家族の扶養が外れたのに被保険者異動届を提出せずにいた場合、通院や入院してしまうと空白期間に発生した医療費や給付金を返還するよう求められてしまうなど、トラブルが発生する可能性があります。

わずかな金額であればそれほど大きな問題にはなりませんが、入院や手術といった多額の費用がかかった場合には労使間で大きなトラブルになる恐れがあるため、注意しましょう。

関連記事:社会保険の手続方法|社員雇用の際に必要な書類や手順などをご紹介 

5. 社会保険の扶養範囲をしっかり理解しておこう

 

白背景とメガホン

社会保険の扶養の範囲は、同居の有無や年間収入によって変わってきます。

社会保険の扶養の範囲は2022年10月の社会保険適用拡大によっても変わっているため、従業員が扶養の範囲内なのかどうかを確認しておきましょう。扶養に入る場合も外れる場合も、手続きが必要となる点に注意が必要です。

社会保険に関する手続きは、従業員の生活や金銭面の問題に直結することなので、ミスや滞りのないように進めましょう。

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