雇用保険の被保険者が退職した場合、雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要となります。
雇用保険被保険者資格喪失届を出すことで、被保険者は雇用保険の基本手当を受給できるのです。
当記事では、雇用保険被保険者資格喪失届の書き方について詳しく解説します。
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目次
1. 雇用保険被保険者資格喪失届の書き方を項目ごとに解説
雇用保険被保険者資格喪失届は、被保険者の退職だけでなく、被保険者が死亡した場合や被保険者が会社の役員になった場合などにも必要となります。
雇用保険の基本手当、いわゆる失業給付の受給に関わる書類なので、正確に記入しなければなりません。
雇用保険被保険者資格喪失届は、氏名変更届と同じ仕様なので、提出の前には表題にある「氏名変更届」の部分を二重線で消しておきましょう。
では、雇用保険被保険者資格喪失届の書き方を項目ごとに解説していきます。
1-1. 個人番号
雇用保険被保険者資格喪失届の上部には、「個人番号」を記入する欄があります。
個人番号とは、マイナンバーのことです。
マイナンバーカードなどを参照して、個人番号を記入しましょう。
もし、従業員がマイナンバーの提出を拒否しているのであれば、「本人事由によりマイナンバーの届け出不可」と記載します。
1-2. 被保険者番号
雇用保険被保険者資格喪失届の被保険者番号には、雇用保険被保険者証の番号を記載します。
基本的には4桁―6桁―1桁の合計11桁ですが、1981年7月6日以前に被保険者番号を付与されている場合には、下10桁だけを記入するとよいでしょう。
被保険者番号が不明の場合、備考欄に職歴のある複数の事業所を記載するか、履歴書などの職歴が分かる書類を添付できます。
1-3. 事業所番号
雇用保険被保険者資格喪失届の事業所番号とは、事業主が雇用保険に加入した時に付与される番号です。
雇用保険適用事業所設置届の事業主控もしくは雇用保険被保険者資格取得届の事業主控から確認できます。
被保険者番号と同様、4桁―6桁―1桁の合計11桁です。
1-4. 資格取得年月日
雇用保険被保険者資格喪失届の資格取得年月日は、基本的に入社日を記入しましょう。
昭和の場合には3、平成では4、令和では5と記入することがルールで決められているので注意が必要です。
雇用関係に入っていれば、試用期間や研修期間が始まった日が資格取得年月日となります。
1-5. 離職等年月日
離職等年月日の欄には、被保険者であった最後の日付を記入します。
被保険者の資格の喪失日とは異なる点に注意しましょう。
被保険者が退職した場合には退職日、被保険者が死亡した場合には死亡した年月日を記載します。
1-6. 喪失原因
喪失原因は、その被保険者が雇用保険の資格を喪失する原因を番号で記載します。
「1」は死亡や在籍出向、出向元への復帰など、離職以外の理由です。
「2」は任意退職や重責解雇、契約期間満了、取締役への就任など、3の事業主の都合による離職以外の離職を指します。
「3」は事業主都合による解雇や事業主からの勧奨等による退職の場合です。
1-7. 離職票交付希望
退職後に基本手当を受給するためには離職票が必要になるため、離職票の交付を希望する被保険者の場合には、「1」を記入します。
一方、離職票の交付を希望しないのであれば「2」を記入しましょう。
1-8. 1週間の所定労働時間
退職する被保険者の所定労働時間を記入します。
「○○時間○○分」という形で記載しなければならないので、もし1週間の所定労働時間が40時間であれば、「4000」と記入しましょう。
1-9. 補充採用予定の有無
ハローワークやその他の方法で他の労働者の採用を予定しているのであれば、補充採用予定の有無に「1」を記入します。
もしその予定がないのであれば空欄で問題ありません。
2. 雇用保険被保険者資格喪失届の書くときの注意点
雇用保険被保険者資格喪失届を書く際にはいくつか注意すべき点があります。
場合によっては罰則が適用されることもあるので、細心の注意を払って雇用保険被保険者資格喪失届を作成しましょう。
2-1. 雇用保険被保険者資格喪失届には提出期限がある
最初の注意点は、雇用保険被保険者資格喪失届を提出する期限がある点です。
退職する従業員が雇用保険の被保険者でなくなった日の翌日から数えて10日以内と定められています。
雇用主や事業主がこの期限内に雇用保険被保険者資格喪失届を提出しなかった場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる恐れがあります。
2-2. 雇用保険被保険者資格喪失届の様式に注意
雇用保険被保険者資格喪失届はインターネットでダウンロードして印刷できますが、条件を満たしていないと受理してもらえないので注意が必要です。
使用する用紙はA4サイズであること、100%の等倍で印刷すること、極度に傾いていないこと、文字や枠線にかすれがないことなどが条件となっています。
さらに、提出された雇用保険被保険者資格喪失届はOCRによって読み取られるので、読み取り用の基準マークである上部と右下の「■」がきちんと印刷できているかをチェックすることも必要です。
関連記事:雇用保険被保険者資格喪失届はどこでもらう?入手方法を紹介
3. 雇用保険被保険者資格喪失届の添付書類
雇用保険被保険者資格喪失届の提出は、従業員が退職してからすぐに行う必要があります。
しかし、雇用保険被保険者資格喪失届には添付書類があるので、不備なく書類を整えることがどうしても必要です。
では、雇用保険被保険者資格喪失届の添付書類についてご紹介します。
3-1. 雇用保険被保険者資格喪失届の基本的な添付書類
雇用保険被保険者資格喪失届を提出する場合、必要な添付書類は基本的に以下の通りです。
- 出勤簿
- 退職辞令発令書類
- 労働者名簿
- 賃金台帳
- 離職証明書
- 退職理由が確認できる書類
3-2. 離職証明書が必要なケース
雇用保険被保険者資格喪失届では離職証明書を添付しなければなりませんが、離職証明書が必要なケースとそうでないケースが存在します。
退職者が離職票の交付を希望する場合には、会社は離職票を発行しハローワークに提出しなければなりません。
さらに、退職者の希望に関わらず、59歳以上の従業員が退職する場合には、離職票の発行とハローワークへの提出が義務付けられています。
3-3. 特殊なケースで必要な添付書類
雇用保険被保険者資格喪失届を提出する際には、退職理由が確認できる書類を添付しなければなりません。
この退職理由が確認できる書類は、ケースによって異なるので注意が必要です。
たとえば、従業員が自主的に退職した場合、出勤簿や賃金台帳、タイムカード、退職届などを添付する必要があります。
一方、会社の倒産に伴って退職するケースでは、裁判所が倒産手続きの申し立てを受理したことを証明する書類を添付しなければなりません。
労働契約期間が満了したことに伴う退職であれば、労働契約書や契約更新の通知書、タイムカードなどの添付が必要です。
こうした添付書類はケースによって変わるので、特殊なケースの場合にはハローワークに一度確認した方がよいでしょう。
4. 雇用保険被保険者資格喪失届は速やかな提出を
雇用保険被保険者資格喪失届は、退職した労働者にとって基本手当を受給するために非常に重要な書類です。
会社は従業員の退職後、速やかに雇用保険被保険者資格喪失届を提出しなければなりません。
きちんと必要な項目を記入し、添付書類を揃えて期限内に提出するようにしましょう。