雇用保険は、労働者を保護するために非常に重要な保険です。
しかし、雇用保険の被保険者資格を失った場合、雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要となります。
当記事では、雇用保険被保険者資格喪失届とは何か、さらに雇用保険被保険者資格喪失届の提出方法について詳しく解説します。
1. 雇用保険被保険者資格喪失届とは?
雇用保険被保険者資格喪失届とは、労働者が雇用保険の被保険者資格を失った場合に、会社が作成して提出すべき書類です。
たとえば、会社から退職した労働者がいた場合、雇用保険被保険者資格喪失届を提出すれば、その労働者は雇用保険の基本手当を受給できます。
1-1. 雇用保険被保険者資格喪失届はどんな人に必要?
雇用保険被保険者資格喪失届は、雇用保険の対象となっている労働者が被保険者でなくなった時に必要になる書類です。
したがって、正社員でなくても、雇用保険の対象であれば届け出なければなりません。
たとえば、契約社員やパート・アルバイトなどの形態で働いている労働者であっても、雇用保険に加入しているのであれば、退職時に雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要です。
雇用保険への加入条件は、原則として31日以上雇用される見込みがあり、所定労働時間が週20時間以上であることです。
雇用形態に関わらず、この条件を満たした場合には雇用保険に加入させなければならず、脱退した場合には雇用保険被保険者資格喪失届の提出が求められます。
関連記事:雇用保険被保険者資格喪失届の必要性や手続きの流れをまとめて解説
1-2. 退職以外に雇用保険被保険者資格喪失届が必要になるケース
雇用保険被保険者資格喪失届が必要となるケースとしてもっとも想定しやすいのは、被保険者の退職でしょう。
しかし、退職以外にも雇用保険被保険者資格喪失届を提出しなければならないケースがいくつか存在します。
たとえば、以下のようなケースが考えられます。
- 週の所定労働時間が、一時的な場合を除き20時間未満となった場合
- 被保険者が死亡した場合
- 被保険者が法人の役員になった場合
- 被保険者であった兼務役員が従業員としての身分を失った場合
- 被保険者が出向し、出向先との雇用関係が発生している場合
こうしたケースが生じた場合には、会社側が速やかに雇用保険被保険者資格喪失届を提出しなければなりません。
また、会社側は雇用保険被保険者資格喪失届とともに、雇用保険被保険者離職証明書も提出する必要があります。
これは雇用保険の基本手当の給付額の決定に用いられる重要な書類です。
被保険者が交付を希望しないケースを除いては、提出が必須といえるでしょう。
1-3. 雇用保険被保険者資格喪失届を提出しないと罰則がある
雇用保険被保険者資格喪失届は労働者にとって非常に重要な届け出なので、会社がこれを怠ると罰則が適用されます。
雇用保険法第83条によれば、雇用保険被保険者資格喪失届や雇用保険被保険者離職証明書を提出しなかった場合、事業主に対して6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられます。
会社の評判にも関わることなので、雇用保険被保険者資格喪失届は必ず提出するようにしましょう。
2. 雇用保険被保険者資格喪失届の入手方法
雇用保険被保険者資格喪失届を入手する方法はとても簡単です。
「ハローワーク インターネットサービス」にアクセスし、「申請等をご利用の方へ」から「帳簿一覧」に入ります。
「帳簿一覧」には、「被保険者に関する手続き」という項目があり、ここに雇用保険被保険者資格喪失届があります。
「利用上の注意」の個人情報の取り扱い及び利用上の注意を確認してチェックを入れれば、書式を印刷できます。
2-1. 雇用保険被保険者資格喪失届を印刷する際の注意点
雇用保険被保険者資格喪失届は「ハローワーク インターネットサービス」で印刷できますが、いくつか注意点があります。
まず、雇用保険被保険者資格喪失届はA4用紙に、倍率100%で印刷しなければなりません。
等倍以外の印刷設定では受理してもらえないので注意しましょう。
さらに、雇用保険被保険者資格喪失届はOCRで読み取りを行うため、読み取り時の基準となる上部と右下の「■」に欠損やかすれ等がないように注意すべきです。
かすれや二重に印刷されているケースでは、受理してもらえない恐れがあります。
十分に注意して、きれいに印刷するようにしましょう。
2-2. 内容を入力して印刷も可能
雇用保険被保険者資格喪失届は、内容を入力して印刷することもできます。
印刷して手書きするのは面倒くさいと感じるのであれば、「内容を入力して印刷」をクリックすると、必要な情報を入力する画面に遷移します。
個人番号だけは手書きしなければなりませんが、その他の項目はパソコンで入力し印刷可能です。
こちらの方が簡単に雇用保険被保険者資格喪失届を作成できるでしょう。
3. 雇用保険被保険者資格喪失届の提出方法
雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要になったなら、できるだけ早く手続きを完了する必要があります。
というのも、雇用保険被保険者資格喪失届には提出期限があるからです。
労働者が雇用保険の被保険者でなくなった翌日から数えて10日以内に提出しなければなりません。
では、雇用保険被保険者資格喪失届の提出方法について見ていきましょう。
3-1. 雇用保険被保険者資格喪失届の記入
雇用保険被保険者資格喪失届を印刷したなら、必要事項を入力しましょう。
被保険者の氏名や住所、会社名などの他に、以下のような情報が必要です。
- 被保険者番号
- 事業所番号
- 資格取得年月日
- 一週間の所定労働時間
- 被保険者でなくなったことの原因
漏れなく記入し、間違いがないか確認しましょう。
関連記事:雇用保険被保険者資格喪失届の書き方を項目ごとに詳しく解説
3-2. 添付書類の準備
雇用保険被保険者資格喪失届は、単体で提出すればよいものではなく、いくつかの添付書類とともに提出しなければなりません。
添付書類に不備があると、提出期限を過ぎてしまう恐れもあるので注意しましょう。
雇用保険被保険者資格喪失届には以下のような添付書類が必要です。
3-3. 雇用保険被保険者資格喪失届の提出
雇用保険被保険者資格喪失届に記入し、添付書類を揃えたなら、ハローワークに書類を提出します。
実際にハローワークの窓口に行って書類を提出することもできますが、感染症の影響を受けてオンライン申請や郵送による申請が推奨されています。
オンライン申請を希望する場合、電子政府の総合窓口e-Govを使って申請可能です。
郵送の場合、ハローワークが閉まっている時間帯でも申請できるのが大きなメリットといえます。
ただし、郵送で書類を送るのであれば、郵便事故防止のため簡易書留などを利用しましょう。
さらに、雇用保険被保険者資格喪失届を郵送で提出する場合、返信用封筒を同封する必要もあります。
返信用封筒にも、書留郵便などに十分が額面の切手を貼っておくと安心です。
もし、ハローワークに直接持っていって書類を提出するのであれば担当者の印鑑を持っていくと、軽微な修正が簡単に行えるのでとても便利です。
4. 雇用保険被保険者資格喪失届は速やかな手続きを
雇用保険被保険者資格喪失届は、労働者が雇用保険の基本手当を受給し、次の就職先を見つけるためにとても重要な手続きです。
労働者の福祉のためにも、速やかに手続きを行うようにしましょう。
雇用保険被保険者資格喪失届について不明な点があったなら、ハローワークや専門家に尋ねるとよいでしょう。