有給休暇の取得を促進する取り組みとは|20年連続100%を達成した事例

640pier-569314_1280

会社で働く全ての人が取得できる有給休暇ですが、現実はそれぞれの人が勤める会社や部署の方針などによって取得しやすい人とそうでない人がいるのではないでしょうか。

厚生労働省は、2020年度までに有休の取得率70%を目標とする指針を掲げていましたが、2019年の取得率は56.3%と大きく下回っています。

「有給休暇を取得したくても、なかなか取得できる雰囲気じゃない・・・」
「従業員の有給休暇取得の促進に向けて、何か取り組みをおこないたい」

そのような悩み考えを持っている方は少なくないと思います。そこで今回は、有給休暇取得の促進に関して取り組んでいる各社の事例をご紹介します。

1.2019年に取得が義務化された有給休暇

まず、そもそも有給休暇とは何か、その概要について詳しく解説します。

1-1. 有給休暇とは

有給休暇とは、仕事を休んでも、その日分の給料が支払われる制度のことです。法律で定められた労働者に与えられた権利です。正式名称は「年次有給休暇」といいます。

2019年に労働基準法の改正があり、年10日以上の有給休暇が付与されるすべての労働者に対して、年5日の有給休暇の取得が義務付けられました。

この義務化に伴い、従業員に有給休暇を取得させることはもちろん、企業として有給休暇の管理簿を作成し、3年間保存しなくてはならないことになりました。

POINT:所定の有給日数を取得させなかった場合は罰則がある

年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、年5日の有給休暇の取得をさせなかった場合、違反対象となる労働者1人につき30万円以下の罰金が科せられます。

また、労働者の希望する時季に所定の有給休暇を与えなかった場合は、6か月以下の懲役または違反対象となる労働者1人につき30万円以下の罰金が科せられます。

1-2. 有給休暇の取得義務化の背景

有給休暇の義務化には、日本の有給休暇取得率の低さが関係しています。それでは、日本で働く人の有休取得率は実際にどれくらいなのでしょうか。

厚生労働省の就労条件総合調査(表番号13のエクセル)によると、2015年度の有休取得率は47.6%という結果でした。

また、エクスペディアが毎年実施している有休休暇取得率についての国際比較調査(2015年)によると、日本は60%の取得率となりましたが、調査対象国全てのうち2番目に低い取得率でした。

一方で、この調査によると、ブラジル、スペイン、フランス、オーストリア、香港といった国々は、取得率が100%となっていることがわかります。

その他、調査の結果から日本の有給取得率は年々上昇傾向にあることがわかりますが、休み不足を感じている人は39%しかおらず、自分の有給休暇を知っている人の割合も各国と比較すると低い水準にあります。

有給休暇を付与されているのにも関わらず、従業員が取得しやすいような雰囲気が無い企業が多いため、実際に取得まで進んでいない人が多く存在すると考えられます。

そこで、労働者が働きやすい環境を整えるためにも、有給休暇の義務化が行われることになったのです。

1-3. 取得を促す際に注意すべき「時季指定権」と「時季変更権」

有給休暇を実際に取得してもらう場合、注意すべきポイントが「時季指定権」と「時季変更権」です。

①時季指定権とは

「時季指定権」とは、労働者が年次有給休暇を取得する時季を指定できる権利のことです。

労働者がこの権利を行使して有給休暇の取得を求める場合、企業は原則として労働者が指定する日に有給休暇を取得させないといけません。

また、2019年の労働基準法改正により、有給休暇日数が年10日以上のすべての労働者に対して、年5日までは、労働者の意見を聴取したうえで、企業が有給休暇を取得する時季を指定して取得させる必要があります。

②時季変更権とは

「時季変更権」とは、労働者が時季を指定して有給休暇の申請を行ったのに対して、会社側から時季の変更を求めることができる権利のことです。

この権利が行使できるのは、請求された時季に有給休暇を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」において認められています。

具体的には以下の状況が当てはまります。

  • 代替困難な労働者が、指定した休暇の直前に長期間の有給休暇を申請した場合
  • 複数の労働者が同じ時季に有給休暇の申請をした場合

また、上記に当てはまれば、必ず権利を行使できるということではなく、以下の要素を加味したうえで決定されます。

  • 事業の内容や規模
  • 有給休暇を申請した労働者の職務内容や職務の性質
  • 業務の繁閑
  • 予定された有休日数

企業には時季変更権は認められているものの、原則労働者の指定した時期に有給休暇を取得させるようにしましょう。

2.有給休暇の取得対象となる従業員の条件

有給休暇の取得が義務化されている従業員には条件があるため、取得対象となる人や取得可能な日数について解説します。

2-1. 有給休暇取得の対象となる条件

有給休暇の取得の条件は、雇用形態にかかわらず、以下の2つの条件を満たしている必要があります。

  • 雇い入れの日から6か月間継続して勤務していること
  • 全労働日の8割以上を出勤している

アルバイトやパートであっても、この2つの条件を満たしていれば有給休暇を取得することができます。

2-2. 有給休暇を取得可能な日数

通常の労働者の付与日数

働いた年数が増えれば増えるほど、それに比例して有給休暇の日数も増えていきます。

週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の付与日数(パートタイムなど)

所定労働日数が少ない労働者の場合、有給休暇付与日数は所定労働日数によって変わります。

しかし、以下に当てはまる場合はパートやアルバイトであっても、通常の社員と同じ日数を付与する必要があります。

  • 週所定労働時間が30時間以上のパート・アルバイト
  • 週所定労働日数が5日以上、または年間217日以上出勤しているパート・アルバイト

このような、パート・アルバイトの付与日数は通常の社員と同じ有給休暇を付与しないといけないので注意が必要です。

引用:年次有給休暇取得促進特設サイト

2-3. 有給休暇の繰越しは2年まで

有給休暇は繰越しが可能であり、付与された日数を年内に消化できなかった場合は、翌年に繰り越すことが可能です。

しかし、有給休暇の繰越しには期限があり、2年間です。2年を超えた場合は、繰越しできず消滅してしまうので注意が必要です。

3.有給休暇取得を促すために企業がすべきこと

有給休暇を労働者に取得させるためには、有給休暇を取得しやすいような仕組みを導入する必要があります。

3-1. 個別指定方式

個別指定方式とは、従業員ごとに有給休暇の消化日数が5日以上かを確認し、5日未満になりそうな労働者について、会社が有給休暇の取得日を指定する方法です。

メリット 会社は従業員との話し合いを通して有給休暇の取得時季を決めることができるので、柔軟性が高いです。
デメリット 従業員ごとに有給休暇の消化日数を管理しなくてはいけないため、管理に手間がかかることが考えられます。

3-2. 計画年休制度

計画年休制度とは、会社が従業員代表との労使協定により、各従業員の有給休暇のうち5日を超える日数について、あらかじめ日にちを決めることができる制度です。

付与方式は以下の3つがあります。

  • 一斉付与方式:企業や事業所全体で休業日として決めた日に、休暇を設定する
  • 交替制付与方式:グループごとに交代で、休暇を設定する
  • 個人別付与方式:誕生日や結婚記念日などを考慮して、個別に休暇を設定する

半強制的に有給休暇を取得させることにより、有給休暇取得率の向上につながります。

メリット 個別で有給休暇を管理しなくてよくなるため、5日以上の有給休暇を取得したかを管理する手間を省くことができます。
デメリット 計画年休制度の手続きとして、労使協定を結ぶなどのいくつかの手続きが必要です。また、一度決めた日程は会社の都合で変更できず、新たに労使協定を結びなおす必要があります。そのため、忙しい時期に人がいないという事態が起こる可能性があります。

4.有給取得を促すために各企業が行っている具体的な施策をご紹介

yoga-1434787_640

リクルートエージェント

リクルートエージェント(現リクルートキャリア)では、2005年に自分の「記念日」を休暇申請することができる「アニバーサリー休暇制度」を導入し、さらに連続4日間以上取得すると10万円の手当てが支給されます。

逆に長期休暇をとらなければ10万円損する制度で、アニバーサリー休暇の取得率は95.3%に、年次有休取得率も向上したとのことです。

NECソフト

NECソフトでは、2007年度に「プロジェクト休暇制度」を導入し、1つのプロジェクト完了後に1日以上の有休を取得できるようにしたところ、社員5,000人中、約700人が1人あたり平均1.6日の有休取得するようになりました。

その後、2011年度の全社員の取得実績は75%に達しています。

六花亭製菓

北海道の六花亭製菓は経営者が有休取得率100%の目標を掲げて取り組んだところ、2009年で社員数1,300人を超える規模の会社でありながら、20年間有休取得率100%を達成しています。

成功の秘訣は、徹底した作業効率の見直しと設備投資を行うことで労働時間の短縮を図り、また「6人以上集まれば会社が補助金を出す、社内旅行を制度化」するなど、会社をあげて取得率向上の徹底をおこなったことで社員に有休消化に対する意識が浸透した結果といえます。

IKEAジャパン

IKEAジャパンでは、部門の繁閑に合わせて、各人が休暇プランを設定することができます。

マネージャーは、皆が休暇をとりやすいように、率先して年休を取得します。また、全社のシフトづくりを担当する「スタッフプランナー」が、各部門の残業や年休消化率などをチェックする仕組みとなっています。

5.最後に

feet-767045_640

日本人は海外に比べて有給取得に対する意識がそこまで高いとはいえない状況のため、半強制的に有給取得させる、マネージャーから率先して行動するなど、有休を取得しやすい環境作りをすることが有休取得率の向上には重要でしょう。

勤怠管理から労務管理、有休に対する意識改革に至るまで、企業が協力的な体制をいかに構築していくことがポイントといえるのではないでしょうか。

有給取得を促進するためには、どうしたらいい?
とお悩みの人事担当者の方へ

「働き方改革で有給休暇の取得が義務付けられたけど、どのように対応したら良いのかわからない」とお困りの担当者の方は、最新の勤怠管理システムの導入を検討しましょう。

最新の勤怠管理システムでは、従業員一人ひとりの残有給日数が簡単に把握できます。また、従業員側も毎日打刻する際に、自分の残有給日数を把握することができます。

勤怠管理システムでは、日々の勤怠を正確におこなうことや、従業員の勤怠情報をリアルタイムで把握することも可能にします。

働き方改革で重要視されている労働時間の把握、長時間労働の是正、有給取得の義務化に役立つ、勤怠管理システムを導入してみてはいかがでしょうか?
勤怠管理システムについて詳しく知る

公式アカウントをフォローして毎日記事をチェック!