社員がモチベーションアップすることで、生産性向上や離職率低下などのメリットが得られます。モチベーションの構成要素には「内発的動機付け」と「外発的動機付け」があります。本記事では、社員のモチベーションアップにつなげる方法や、今すぐできるモチベーションアップのコツを紹介します。また、モチベーション管理のやり方も解説します。
目次
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1. 社員のモチベーションアップによるメリット
社員がモチベーションアップすることで、企業はさまざまなメリットが得られます。ここでは、社員のモチベーションアップによるメリットについて詳しく紹介します。
1-1. 生産性が向上する
モチベーションが低い社員は、仕事にやりがいを感じられず、ダラダラ業務に取り組んでしまう傾向にあります。社員がモチベーションアップすることで、仕事に対して主体的に取り組むようになります。また、集中力も高まり、業務効率が向上します。結果として、会社全体の生産性も向上します。
1-2. 新しいアイデアやイノベーションが生まれる
モチベーションが低い社員は、周囲からの非難を恐れ、新しいことや困難なことにチャレンジするのを控える傾向にあります。社員がモチベーションアップし、自分から進んで仕事に取り組もうとすることで、よりよい方法がないか探そうとするようになります。そのため、新しいアイデアやイノベーションが生まれ、社員だけでなく、組織の成長にもつながります。
1-3. 離職率が低下する
仕事に対するモチベーションが下がると、転職・離職を検討する社員も増えます。一方、モチベーションが上がることで、仕事にやりがいを感じ、この会社で働き続けたいという気持ちも強まります。結果として、離職率が低下し、採用や教育にかかるコストの削減にもつながります。
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2. モチベーションの構成要素
モチベーションの構成要素には、大きく「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の2種類があります。ここでは、それぞれの構成要素について詳しく紹介します。
2-1. 外発的動機付け
外発的動機付けとは、外部からの人為的な誘因による動機付けを指します。たとえば、「報酬がもらえるから仕事を頑張る」「罰則を受けないために規則を守る」といったものが、外発的動機付けに該当します。外発的動機付けは即効性が高く、仕事そのものにやる気を感じられないような社員に対しても有効的です。しかし、外発的動機付けの効果は短期的であり、長期的なモチベーションの維持には向いていません。そのため、外発的動機付けだけでなく、内発的動機付けの考え方も取り入れることが大切です。
2-2. 内発的動機づけ
内発的動機付けとは、自己の内面から生まれる動機付けを指します。たとえば、「仕事が楽しいから積極的に取り組む」「将来のなりたい姿を目指してスキルアップに励む」などが、内発的動機付けに該当します。内発的動機付けは、個人に依存するため、報酬や罰則などのように、意図的に動機付けするのが難しいです。しかし、外部からの影響を受けにくいので、長期的にモチベーションは持続します。このように、外発的動機付けと内発的動機付けを組み合わせて、効率よく社員のモチベーションアップにつなげることが大切です。
3. 社員のモチベーションアップのために押さえたい理論
モチベーションに関する理論を理解しておくことで、論理的に施策を考え、効率よく社員のモチベーションアップにつなげることができます。ここでは、社員のモチベーションアップのために押さえたい理論について詳しく紹介します。
3-1. 期待理論
期待理論とは、モチベーションは「期待×成果×魅力」によって数値化できるとした理論です。
名称 |
意味 |
期待 |
仕事の努力に対して、どれくらいの成果に結びつくかの期待感 |
成果 |
目標達成後に得られるもの |
魅力 |
成果が自分によってどれだけ魅力を感じられるものかどうか |
期待理論を実践する際には、目標を達成した際に従業員が魅力を感じるであろう報酬をあらかじめ設定しておきましょう。
3-2. マズローの5段階欲求説
マズローの5段階欲求説とは「人の欲求は5段階のピラミッドで表現できる」とする理論です。次のように、「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」に分類されます。
名称 |
意味 |
具体例 |
生理的欲求 |
人間が持つ根本的な欲 |
睡眠、食事、排泄 |
安全欲求 |
安全に暮らしたい欲 |
ストレスから離れたい |
社会的欲求 |
社会に所属したい欲 |
組織に所属したい、友達が欲しい |
承認欲求 |
集団から評価されたい欲 |
褒められたい、表彰されたい |
自己実現欲求 |
自分の価値観を表現したい欲 |
自分らしく生きたい |
マズローの5段階欲求説によると、下位の生理的欲求が満たされないうちは、上位の安全欲求が満たされないことになります。社員によってどの欲求段階に位置しているかが異なります。そのため、一人ひとりの状況に合わせて目標を設けたり、評価したりするようにしましょう。
3-3. ハーズバーグの二要因理論
ハーズバーグの二要因理論とは、仕事の満足度は「衛生要因」と「動機付け要因」によって構成されるとした理論です。
名称 |
意味 |
具体例 |
衛生要因 |
無いと不満につながる要素 |
給与、福利厚生 |
動機付け要因 |
あるとモチベーションが上がる要素 |
昇格、昇進、目標達成 |
ハーズバーグの二要因理論によると、衛生要因が満たされても、モチベーションアップにつながりませんが、不満は取り除かれます。一方、動機付け要因は満たされなくても、不満につながることはありません。しかし、満たされれば、社員のモチベーションアップが期待できます。このように、衛生要因と動機付け要因に区分して、モチベーションアップにつながる施策を検討しましょう。
3-4. マクレランドの欲求理論
マクレランドの欲求理論とは、社員の行動には、次の「達成動機(欲求)」「親和動機(欲求)」「権力動機(欲求)」「回避動機(欲求)」のうちいずれかの動機があるとする理論のことです。
名称 |
意味 |
達成動機(欲求) |
物事を自分の力で成し遂げたいという欲求 |
親和動機(欲求) |
周囲の人と有効的な関係を築きたいという欲求 |
権力動機(欲求) |
周囲に対して大きな影響力を行使して支配したいという欲求 |
回避動機(欲求) |
失敗や困難なことから逃げたいとする欲求 |
社員によってどのような動機(欲求)が強いのかが異なります。モチベーションを引き出すためには、それぞれの人の持つ特性にあわせて、仕事の割り当てや人材育成をおこなうことが大切です。
3-5. モチベーション3.0
モチベーション3.0とは、アメリカの作家ダニエル・ピンク氏が提唱した内発的動機付けに焦点を当てたモチベーションに関する考え方のことです。モチベーションは、次のように「モチベーション1.0」「モチベーション2.0」「モチベーション3.0」に分類されます。
名称 |
意味 |
具体例 |
モチベーション1.0 |
生理的動機付け |
睡眠、食事、排泄 |
モチベーション2.0 |
外発的動機付け |
報酬、評価、義務、罰則 |
モチベーション3.0 |
内発的動機付け |
興味、関心、好奇心、充実感 |
現代においてモチベーション2.0の考え方では限界があるとされており、中長期的にモチベーションを維持するためには、モチベーション3.0の考え方を取り入れることが重要とされています。
関連記事:モチベーション3.0とは?注目されている理由とメリットを紹介
4. 社員のモチベーションアップを阻む原因
社員のモチベーションアップの方法を検討する前に、モチベーションが低下する原因を理解して対策を講じておくことが大切です。ここでは、社員のモチベーションアップを阻む原因について詳しく紹介します。
4-1. 目標が定まっていない
目標がきちんと定まっていれば、仕事に対して意義を見出し、モチベーションを維持することができます。しかし、目標がない場合や、目標が曖昧な場合、ただ目の前の仕事をこなすだけになってしまい、モチベーションは低下してしまいます。また、目標があっても、達成不可能だと感じられると、モチベーションアップにつながりません。このように、目標の重要性を理解して、明確に定めることがモチベーションを高めるポイントになります。
4-2. 適正な評価がされていない
自分が出した成果に対して、適切な評価がなされていない場合、頑張っても意味がないと感じ、モチベーションは低下してしまいます。また、不公平な人事評価になっている場合も、会社に対する不満につながり、モチベーションは下がります。このように、人事評価も社員のモチベーションにつながることを理解しておきましょう。
4-3. 仕事にやりがいがない
会社から一方的に仕事を押し付けられたり、自分が望むような仕事でなかったりすると、仕事にやりがいを感じられず、モチベーションは下がってしまいます。また、適切な裁量が与えられていない場合も、会社から期待されていないと感じ、モチベーションが低下する原因になります。モチベーションアップのためにも、従業員の価値観や考えに耳を傾け、仕事を割り当てることが大切です。
4-4. 人間関係が悪い
仕事にやりがいを感じられても、人間関係が悪い職場だと、モチベーションは低下してしまいます。とくにチームで仕事に取り組む場合、協調性のない社員がいると、上手く業務が進められず、ストレスが溜まるなど、モチベーションが下がる原因になります。このように、仕事内容だけでなく、人間関係も社員のモチベーションに影響があることを押さえておきましょう。
4-5. 労働環境が劣悪である
残業や休日出勤が多い場合、プライベートの時間を確保できず、ストレスが蓄積する可能性もあります。また、長時間労働はメンタルヘルスに悪影響を及ぼす恐れもあります。まずは社員が安心して気持ちよく仕事に取り組める環境を整えることが、モチベーションアップへの第一歩となります。
5. 社員のモチベーションアップの方法7選
社員のモチベーションアップをさせるやり方には、さまざまな方法があります。ここでは、社員のモチベーションアップの方法7選を紹介します。
5-1. 挑戦を歓迎する環境を設ける
「上司から怒られたくない」「失敗したくない」と考える社員は多いでしょう。不寛容な環境では、叱責や失敗を恐れる気持ちから行動できず、モチベーションの低下につながります。新しいことや困難なことへのチャレンジについて歓迎する環境を設けると、興味・関心のあることに挑戦してみようとする気持ちが高まり、モチベーションも向上します。
5-2. 実現可能かつ明確なゴールを設ける
目標は曖昧だったり、達成困難であったりすると、社員のモチベーションアップにつながりません。実現可能かつ明確なゴールを設けるようにすることが、モチベーションを高めるために重要です。まずは目標管理制度を整備し、社員に目標の立て方の教育をおこないましょう。OKRやSMARTの法則といった目標設定に役立つフレームワークを採用してみるのも一つの手です。
関連記事:SMARTの法則とは?目標設定に活用するメリットと方法・注意点を解説
5-3. 人事評価制度を整備する
成果に対して適切に評価されていなかったり、不公平な人事評価がおこなわれていたりすると、モチベーションアップにつながりません。社員の納得いく人事評価を実現するためにも、コンピテンシー評価や360度評価など、客観的に判断できる人事評価制度を取り入れるのも一つの手です。ただし、経営理念と人事評価の内容が乖離してしまうと、不信感を抱く社員が出る可能性もあるので、自社の風土にあった人事評価になっているかどうかチェックすることも大切です。
関連記事:コンピテンシー評価とは?導入するメリット・デメリットを解説
5-4. インセンティブ制度を設計する
インセンティブ制度を設けることは、外発的動機付けの観点からも、モチベーションアップに効果的です。インセンティブ制度とは、日給や月給などの固定給以外に、個人の成果を加味してプラスで報酬を支給する制度のことです。
他の人よりも大きな成果を出しているのにも関わらず、報酬が変わらない場合、頑張っても無駄だと考え、モチベーションが低下してしまう恐れがあります。大きな成果を出した人には、プラスで報酬を与えることで、社員のモチベーションアップが期待できます。ただし、個人主義になりやすく、チームワークを下げる要因にもなりえるので、業務や職種の特性を考慮して慎重に導入を検討しましょう。
関連記事:インセンティブ制度とは?種類や導入するメリット・デメリットを解説
5-5. コミュニケーションの活性化を図る
リモートワークなどの多様な働き方が推進されている現代において、コミュニケーションの希薄化が問題視されることもあります。コミュニケーション不足によって、良好な人間関係を築けないために、情報連携が上手く取れず、ミスやトラブルが増加し、モチベーションが低下する可能性もあります。社内のコミュニケーションを活性化させるため、チャットツールや社内SNSなどのITツールを上手く活用するのがおすすめです。ただし、規則がないと秩序が乱れる恐れもあるので、あらかじめルールを明確にしておきましょう。
関連記事:社内SNSのメリットとデメリット!成功させる秘訣も解説!
5-6. 福利厚生を整備する
外発的動機付けの観点から、給与や賞与を上げることで、社員のモチベーションアップにつなげる方法もあります。しかし、中小企業などの場合、リソースの観点から、賃金アップが難しいケースもあります。このような場合、福利厚生を充実させられないか検討してみましょう。たとえば、新たな休暇制度を構築したり、社員の健康をサポートする制度を取り入れたりすれば、コストを抑えながら、社員の満足度を高め、モチベーションアップにつなげることができます。
関連記事:福利厚生とは何か?種類や導入形態を簡単にわかりやすく解説!
5-7. 柔軟な働き方を導入する
仕事とプライベートのバランスが取れることで、モチベーションを維持しながら働くことができます。また、専門職や研究職の場合、時間や場所に縛られず働きたいという人も少なくないです。そのため、時短勤務やテレワーク、フレックスタイム制、裁量労働制など、自社の社員にあわせて柔軟な働き方を整備することで、社員のモチベーションアップが期待できます。
6. 今すぐできるモチベーションアップのコツ
企業側が施策を実施するだけでなく、社員自身でモチベーションアップに取り組んでもらうことで、コストや業務負担を削減し、効率よくモチベーションアップにつなげることができます。ここでは、社員自身で今すぐできるモチベーションアップのコツについて詳しく紹介します。効果的なモチベーションアップの方法があったら、ぜひ社員に周知して取り組んでもらいましょう。
6-1. 小さな目標から始めてみる
大きな目標を立てても、成功までに時間がかかるため、モチベーションを維持できないことも少なくありません。まずは自分なりに小さな目標を立てて実行してみるのも一つの手です。たとえば、「今月の残業時間は10時間までにする」「1カ月後に体重2キロ減少を目指す」など、仕事のことでも、プライベートなことでも問題ありません。目標を立てて実行することで、達成感が得られるようになります。成功体験を積み重ねることで、自信が付くようになり、目標を立てて行動するというモチベーションを高めることが可能です。
6-2. モチベーションの高い社員を模倣してみる
自分でモチベーションの高い状態を作り出すのが難しいと感じる人もいるかもしれません。そのような場合、モチベーションが高い社員の行動をチェックして真似てみるのもおすすめです。モチベーションが高い社員には、何かしらの行動の習慣があります。それを模倣してみることで、自分のモチベーションアップにもつなげることができるかもしれません。
6-3. 適度に休息を取る
休憩を取らず、長時間仕事をしていると、注意が散漫になり、生産性が低下します。なかなか仕事が終わらないことで、モチベーションも低下し、悪循環が生まれる恐れもあります。仕事に集中する時間が長いと感じたら、意識的に休憩を取るようにしてみましょう。また、休憩の付与は法律で定められた企業の義務でもあります。休憩の重要性を理解して、休憩時間にしっかり休息を取り、リフレッシュするようにしましょう。
6-4. ルーティーンを作り出す
なかなかやる気が出ないという場合は、ルーティーン(習慣)を作ってみましょう。たとえば、「6時に起きる」「寝る前に音楽を聴く」「メールは出社時の5分間でチェックする」など、あまり難しくないことを設定するのがポイントです。ルーティーンを作り出すことで、オン・オフの切り替えがしやすくなります。モチベーションアップしたいときのルーティーンを見つけられれば、やる気を自分なりにコントロールすることができるようになります。
6-5. 働く環境を変えてみる
毎日同じような環境で働いていると、慣れから「マンネリ化」が生じます。新しい刺激がなければ、思考を放棄し、成長が止まってしまいます。そのため、働く環境を変えてみるのも一つの手です。たとえば、テレワーク制度が導入されているのであれば、週3日出社、週2日リモート出社にすることで、マンネリ化を防止し、仕事へのモチベーションを高めることができます。また、ワーケーションなど、従来にしたことのない取り組みをしてみることで、新たな発見につなげることもできるかもしれません。
7. 社員のモチベーション管理の実施方法
社員のモチベーションは日々変化します。そのため、モチベーション管理をおこなうことも大切です。ここでは、社員のモチベーション管理の実施方法について詳しく紹介します。
7-1. 社員のモチベーション情報を収集・分析する
まずは現状の社員のモチベーションを把握することから始めます。モチベーション情報を収集するには、社員にアンケートやヒアリングを実施することが推奨されます。また、年齢や性別、職種、役職などの属性ごとに分析してみることで、モチベーションの傾向がわかるようになります。モチベーション情報の集計・分析を効率化するために、エンゲージメントサーベイツールなどのITツールを導入してみるのもおすすめです。
7-2. 課題を洗い出し施策を検討・実行する
理想的なモチベーションの状態を明確にし、現状と比較することで、課題が明らかになります。課題が明確になったら、それを解決するためのアプローチを検討して実行しましょう。
7-3. 施策の振り返りを実施する
モチベーション改善の施策を実施したら、振り返りをおこなうことが大切です。再度、同様のアンケートやヒアリングを実施して効果があったかどうかチェックしましょう。施策の実施と振り返りを繰り返すことで、効率よくモチベーション改善につなげることができます。
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8. 社員のモチベーションアップにより生産性を高めよう!
社員のモチベーションアップは、会社全体の生産性の向上にもつながります。モチベーションを上げるには、外発的動機付けと内発的動機付けの両方の観点から施策を検討することが大切です。また、モチベーションに関連した理論も参考にすると、論理的な観点からモチベーションアップのアプローチをおこなうことができます。社員のモチベーションを向上させ、効率よく組織の成長にもつなげましょう。
福利厚生を充実させることは採用・定着にもつながるため重要ですが、よく手段としてとられる賃上げよりも低コストで従業員満足度をあげられる福利厚生サービスがあることをご存知でしょうか。
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