モチベーションリソースとは、働く際の意欲の源泉のことです。モチベーションリソースを測定・診断し、正しく把握したうえで、人材配置や人材育成などの施策を実施することで、効率よくモチベーションを高めることができます。この記事では、モチベーションリソースの種類・項目や測定・診断方法、把握するメリット、取り扱う際の注意点について解説します。
目次
人材不足が課題の昨今、職場定着率の低さ・若年層の早期退職は深刻な問題です。
このようなケースに該当する企業において、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
この解決方法として、職場改善を目的とした従業員のモチベーション管理の仕組みを積極的に取り入れる企業が増えており、従業員満足度の調査ツールが注目を集めています。
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1. モチベーションリソースとは?
モチベーションリソースとは、人を動かす原動力となるものです。モチベーションリソースは、ビジネスにおいて、働く意欲の源になるものとして用いられます。モチベーションリソースには、金銭や貢献、注目、挑戦など、さまざまな種類があり、従業員によって異なります。また、多くの人は複数のモチベーションリソースを持ち合わせています。効率よくモチベーション管理をするのであれば、どのようなモチベーションリソースの種類があり、従業員がどのようなモチベーションリソースを持っているのか調査・分析して、正しく把握することが重要です。
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2. モチベーションリソースの種類と項目
従業員によって持ち合わせているモチベーションリソースは違います。ここでは、どのようなモチベーションリソースがあるのか、その種類と項目について詳しく紹介します。
2-1. リード
組織やプロジェクトなどをリードすることが、モチベーションにつながる従業員もいます。「リード」は「統率」「挑戦」の項目に分類することが可能です。
- 統率:人を動かす、権限や裁量を持つ
- 挑戦:困難に挑む、新しいことする
たとえば、「統率」がモチベーションリソースである場合、その従業員をリーダーや管理職に任命し、責任の大きい仕事を任せることで、モチベーションを高めることができます。また、「挑戦」がモチベーションリソースの場合、難しい課題・タスクを与えて、チャレンジできる環境を提供することで、モチベーションは向上します。
2-2. 探求する
従来にないアイデアを生み出すことや、物事を突き詰めることなど、探求することが、仕事のモチベーションにつながる人も少なくないでしょう。「探求」は「創造」「専門性」の項目に分類することができます。
- 創造:斬新なアイデアを生み出す、新しい価値を創造する
- 専門性:専門を極める、スペシャリストになる
たとえば、「創造」がモチベーションリソースになっているのであれば、研究職やエンジニア職に就かせて、新しい価値を創造できる業務に取り組ませることで、モチベーション向上につなげることが可能です。また、「専門性」がモチベーションリソースの場合、プログラマーや弁護士・公認会計士・税理士など、専門性が要求される職種やキャリアを目指せるようにすることで、従業員のモチベーションは高まります。
2-3. つながり
社会や周囲とのつながりが、モチベーションに関係している従業員も多くいます。「つながり」は「貢献」「親和」の項目に区分することが可能です。
- 貢献:社会の問題を解決する、世の中に貢献する
- 親和:人と気持ちのつながりを持つ、良好な人間関係を構築する
たとえば、「貢献」がモチベーションリソースである場合、モチベーション向上のため、その従業員をCSR活動(企業の社会的責任)に取り組む部署に配属させてみるのも一つの手です。また、「親和」がモチベーションリソースであるならば、営業や接客、チームワークが必要なプロジェクトなど、人との関わりが重要になる仕事に取り組ませることで、モチベーションは向上します。
2-4. 基盤作り
仕事だけでなく、家庭や趣味など、プライベートも重視して働きたいと考えている人は少なくないでしょう。「基盤作り」は「安定」「金銭」の項目に分類することができます。
- 安定:安心できる職場で働く、落ち着いた環境で過ごす
- 金銭:経済的な豊かさを得る、高い報酬を受け取る
たとえば、「安定」がモチベーションリソースである場合、労働時間や報酬が安定している環境で働けることがモチベーションにつながるかもしれません。また、「金銭」がモチベーションリソースであれば、インセンティブ制度を設けるなど、報酬アップのチャンスが多いほど、モチベーションは高まります。
2-5. 評価
周囲から認められたり、注目を浴びたりするなど、評価がモチベーションにつながっている従業員も多いのではないでしょうか。「評価」は「承認」「注目」の項目に区分することができます。
- 承認:人に認められる、人から一目置かれる
- 注目:人から称賛を浴びる、目立つ仕事をする
たとえば、「承認」がモチベーションリソースになっている場合、適正な人事評価、フィードバックをおこなってもらうことで、認められていると感じ、モチベーションは高まります。また、「注目」がモチベーションリソースの場合、表彰制度を採用したり、目立つ仕事に取り組ませたりすることで、モチベーションは向上します。
3. モチベーションリソースの測定・診断方法
従業員のモチベーションリソースを、人事担当者や上司などの主観で判断すると、間違って把握してしまい、従業員のモチベーション低下を招く恐れがあります。そのため、モチベーションリソースの測定や診断のやり方が重要になります。ここでは、モチベーションリソースの測定・診断方法について詳しく紹介します。
3-1. アンケート調査
仕事のやる気につながっているモチベーションリソースを把握するため、現場の従業員に対してアンケート調査を実施してみるのも一つの手です。アンケート調査であれば、時間やコストをかけずにおこなうことができます。ただし、従業員の業務時間を奪う恐れもあるので、回答項目の設定は慎重に実施しましょう。また、アンケート調査を実施した後、どのように分析するかも考えておかないと、ただ情報を収集しただけになってしまう可能性もあるため注意が必要です。
3-2. 1on1ミーティング
モチベーションリソースを正確に把握するため、アンケート調査だけでなく、従業員に直接対面で聞くヒアリング調査を実施することも推奨されます。ヒアリング調査を実施することで、アンケート調査だけでは捉えきれない部分を深掘りすることが可能です。
ただし、従業員一人ひとりにヒアリング調査していると、大きな時間とコストがかかります。そのため、1on1ミーティングを活用してみるのもおすすめです。上司が部下からモチベーションリソースを聞き取り、人事担当者に伝達して今後の施策を検討することで、モチベーションリソースの測定・診断を効率化することができます。
関連記事:1on1ミーティングとは?メリット・デメリットや効果的な実施方法をわかりやすく解説!
3-3. モチベーション管理システム
人の手でアンケート調査やヒアリング調査をおこなう場合、時間やコストがかかったり、ミスが増加したりする恐れがあります。モチベーションリソースの調査・診断を効率化したいのであれば、モチベーション管理システムの導入を検討してみましょう。
モチベーション管理システムとは、アンケート機能や情報分析機能などが搭載された従業員のモチベーションを効率よく管理するためのシステムです。モチベーションに関する情報の収集・集計・分析・活用を自動化し、ワンストップで実施できるので、業務を効率化し、正確かつ客観的にモチベーションリソースを把握することができます。
ただし、モチベーション管理システムには、さまざまな種類があります。料金や機能、使いやすさ、サポートなどの観点から複数のツールを比較して、自社のニーズにあったシステムを導入することが大切です。
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4. モチベーションリソースを把握するメリット
モチベーションリソースを把握することで、さまざまなメリットが得られます。ここでは、モチベーションリソースを把握するメリットについて詳しく紹介します。
4-1. 適材適所の人材配置を実現できる
従業員のモチベーションリソースを把握できれば、モチベーションアップにつながる部署・業務に配置し、生産性を高めることが可能です。従業員のモチベーションリソースと仕事内容や仕事環境がフィットするほど、よい結果が生まれやすくなります。このように、モチベーションリソースの把握は適材適所の人材配置に役立ちます。
4-2. 効果的な人材育成につながる
従業員によってモチベーションリソースは異なります。専門性を極めたい人や、リーダーを目指したい人など、モチベーションリソースによって従業員を区分し、適切な研修や教育を提供することで、従業員はモチベーションを高めながら、スキルを磨くことができます。このように、モチベーションリソースを正しく把握すれば、従業員それぞれにあった教育施策を実施し、効果的な人材育成につなげることが可能です。
4-3. 組織の協調性が向上する
モチベーションリソースを把握し、効果的な人材配置や人材育成を実現することで、従業員のモチベーションは向上し、組織にもまとまりが生まれるようになります。仕事に対しても主体的に取り組むようになり、生産性を高めるため、コミュニケーションも活発化します。これにより、協調性の高い、強固な組織を作り出すことが可能です。
4-4. 従業員エンゲージメントが高まる
モチベーションリソースを把握したうえで、会社が従業員に対して適切にアプローチを実施し、従業員のモチベーションを高めることで、帰属意識も高まり、自社に貢献したいという従業員エンゲージメントも向上します。従業員エンゲージメントが高まれば、この会社で働き続けたいと考える従業員が増えます。結果として、離職率の低下や定着率の上昇につながり、採用コストの削減や生産性の向上が期待できます。
関連記事:従業員エンゲージメントとは?向上施策や調査方法とその手順をわかりやすく解説!
4-5. 採用活動に役立つ
従業員のモチベーションリソースの調査・診断を繰り返し実施することで、自社でモチベーションの高い人材の特徴や傾向が把握できるようになります。どのような人材がモチベーション高く働いているか理解し、求人応募者のモチベーションリソースと比較することで、自社にマッチする人材を効率よく採用することが可能です。
5. モチベーションリソースを取り扱う際の注意点
モチベーションリソースを取り扱う際には、いくつか気を付けるべき点があります。ここでは、モチベーションリソースを取り扱う際の注意点について詳しく紹介します。
5-1. モチベーションリソースは時代や環境で変化する
モチベーションリソースは、時代や環境の変化によって移り変わっていくことを押さえておく必要があります。現状のモチベーションリソースを把握したけれど、そのままアップデートしなければ、将来変化があったときに誤ったモチベーション管理を実施してしまう恐れがあります。そのため、モチベーションリソースは都度変化するものと捉え、一度きりでなく、定期的に測定・診断することが大切です。
5-2. モチベーションが下がる要因も把握する
モチベーションリソースを把握することで、どのようにしたら仕事に対する意欲が高まるのかを理解することができるようになります。しかし、人間関係や労働環境など、モチベーションが下がる要因も理解しておかなければ、モチベーションリソースに沿った施策を実施しても、モチベーションが高まらない可能性があります。モチベーション管理を実施する際、モチベーションリソースだけでなく、モチベーションが低下する要因についても調査・分析をおこなうようにしましょう。
5-3. 無理にモチベーションを上げようとしない
モチベーションには、内発的動機付けと外発的動機付けの種類があります。モチベーションリソースを把握できたからといって、人材配置や人材育成などの施策により、外側から積極的にモチベーションを高めようとしても、効率よくモチベーションは向上しない可能性があります。
内発的動機付けにも着目し、従業員の考えや価値観を尊重し、仕事を与えたり、目標管理を実施したりすることで、中長期的に安定してモチベーションを維持・向上させることが可能です。このように、モチベーションリソースが理解できたからといって無理にモチベーションを上げようとするのでなく、従業員の内側からモチベーションを高められるよう、支援・サポートすることも大切です。
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6. モチベーションリソースを管理して組織を活性化させよう!
従業員のモチベーションを高めて、仕事の生産性を向上させるには、働く意欲の源泉となるモチベーションリソースを測定・診断して把握することが大切です。ただし、モチベーションリソースは時代や社会の変化に伴い、移り変わっていきます。モチベーション管理を実施する場合、定期的に調査・分析を実施し、リアルタイムでモチベーションの状況を把握することができるようにしましょう。
人材不足が課題の昨今、職場定着率の低さ・若年層の早期退職は深刻な問題です。
このようなケースに該当する企業において、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
この解決方法として、職場改善を目的とした従業員のモチベーション管理の仕組みを積極的に取り入れる企業が増えており、従業員満足度の調査ツールが注目を集めています。
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