エンゲージメントツールとは、従業員の企業に対する信頼感や愛着心、貢献意欲を高める機能を持つツールです。エンゲージメントツールを導入する際は、複数のサービスを比較して検討することが大切です。本記事では、エンゲージメントツールの主な種類やメリット・デメリット、選び方、使い方のコツをわかりやすく解説します。また、おすすめのエンゲージメントツールも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1. エンゲージメントツールとは?
エンゲージメントツールとは、従業員のエンゲージメントを改善させるために活用するツールを指します。エンゲージメントツールを活用することで、従業員の会社に対する思い入れを可視化し、愛社精神を向上させるための課題や改善策を見つけやすくすることが可能です。ここでは、エンゲージメントツールに関する理解を深めるため、エンゲージメントの定義や意味と、エンゲージメントツールが注目されている背景や理由について詳しく紹介します。
1-1. エンゲージメントとは?
エンゲージメント(engagement)とは、「約束」「誓約」などの意味を持つ用語です。ビジネスシーンにおけるエンゲージメントは、「従業員の会社に対する愛社精神」を意味します。従業員エンゲージメントの高い企業は、従業員の自社に対する思い入れが強く、社員の会社への貢献意欲が高い傾向があります。このように、エンゲージメントは会社の業績に影響を与える要素の一つといえます。
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1-2. エンゲージメントツールが注目される背景や理由
エンゲージメントツールが注目される背景に「少子高齢化」があります。最近では少子高齢化が急激に進行しており、労働人口が年々減っています。そのため、人材確保に課題を抱えている企業も多いです。人材流出を抑え、少ない人材でも大きな業績を上げるため、エンゲージメントツールを用いてエンゲージメントを改善させることが重要視されています。
また、IT技術の発展もエンゲージメントツールが注目される理由の一つです。近年ではテクノロジーが大きく発展を遂げ、あらゆる便利なITツールが登場しています。エンゲージメントツールもその一つです。競合他社と差をつける、もしくは差をつけられないようにするためにも、ITツールを活用して競合優位性を獲得することが現代の企業におけるミッションとなっています。このような背景・理由により、エンゲージメントツールが大きく注目されています。
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2. エンゲージメントツールは2種類
エンゲージメントツールには「調査すること」を目的としたツールと「向上させること」を目的としたツールの2種類があります。ここでは、エンゲージメントツールの種類について詳しく紹介します。
2-1.エンゲージメントを調査するツール
まず1つ目は、従業員のエンゲージメントを調査するツールです。エンゲージメントを向上させるためには、最初に現状のエンゲージメントを把握しなければなりません。その際に、調査に特化したツールを活用して従業員ごとのエンゲージメントを測定します。測定方法は大きく分けて次の2つです。
パルスサーベイ |
簡易的な質問を短い間隔で繰り返し実施する調査方法 |
エンゲージメントサーベイ |
長期間に分けて定期的に実施する調査方法 |
パルスサーベイは素早く問題を解決したいケースや短期間の変化を把握したいケースに適しています。一方、エンゲージメントサーベイの場合、長期的な視野で調査する分、より根本的で細かい問題まで対応することができるようになります。
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2-2.エンゲージメントを向上させるツール
次に2つ目は、従業員のエンゲージメントを向上させるツールです。エンゲージメントを向上させる手段は多岐に渡り、従業員同士による称賛を促すものや社内でのコミュニケーションを活発にさせるものなどがあります。たとえば、次のようなツールが挙げられます。
- ビジネスチャット
- 社内SNS
- 目標管理ツール
- 1on1ツール
- eラーニングシステム など
エンゲージメントを調査するツールと比べて直接的な使い方をするため、より自社にあったツールを選ぶことが大切です。
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3. エンゲージメントツールを導入するメリット
エンゲージメントツールを導入することで、さまざまなメリットが得られます。ここでは、エンゲージメントツールを導入するメリットについて詳しく紹介します。
3-1. 人事担当者の業務効率が高まる
従業員のエンゲージメントを測定したり、向上させたりするには、情報収集や分析、改善策の実施など、さまざまな工程が必要になります。これらの業務を手動でおこなっている場合、人事担当者に大きな負荷がかかっている可能性があります。エンゲージメントツールを導入すれば、業務の一部を自動化し、業務を効率化することが可能です。これにより、人事担当者の業務負担を削減し、コア業務に集中することができます。
3-2. コミュニケーションを活性化できる
エンゲージメントは目に見えにくいです。そのため、従業員が自社に対してどのような不満を抱えているかを直接把握するのは難しいです。しかし、エンゲージメントツールを導入すれば、企業で働く従業員の悩みや不安を可視化することができます。客観的なデータに基づき、適切な人材配置を実施したり、1on1や社内SNSなどの新しい取り組みをおこなったりすることで、風通しの良い職場環境を作り出し、コミュニケーションを活性化させることが可能です。
3-3. モチベーションやパフォーマンスを向上できる
エンゲージメントツールを導入し、従業員が働きやすい環境を構築することで、仕事に対するやりがいやモチベーションを高めることができます。また、従業員エンゲージメントが高まるほど、仕事のパフォーマンスも向上します。このように、エンゲージメントツールにより、正しくエンゲージメントを改善させることで、従業員の生産性を向上させ、会社の業績アップにつなげることが可能です。
3-4. 離職率を低下させられる
会社に対する不満やストレスが大きくなると、離職や転職を検討する従業員が増加する可能性があります。離職率が高まると、新しく従業員を採用・教育するためのコストが増えたり、企業のイメージダウンにつながったりする恐れもあります。
エンゲージメントツールを用いて、従業員エンゲージメントを可視化して改善することで、自社への愛着や貢献の度合いを高めることができます。エンゲージメントが向上すれば、「この会社で働き続けたい」と考える従業員が増え、離職率を低下させることが可能です。また、離職率の低さを外部にアピールすることで、働きやすい会社と認知され、採用活動にも良い影響を与えることができます。
4. エンゲージメントツールを導入するデメリット
エンゲージメントツールを導入する場合、メリットだけでなく、デメリットもあります。ここでは、エンゲージメントツールを導入するデメリットについて詳しく紹介します。
4-1. 導入に抵抗感を示す従業員がいる
エンゲージメントツールに限らず、新たにツールを導入する場合、導入そのものに抵抗感を示す従業員が少なからずいます。現場の従業員の声を聞かず、人事担当者の独断でエンゲージメントツールの導入を決めると、かえって従業員の不満が高まり、エンゲージメントを下げる結果となる恐れもあります。エンゲージメントツールを導入する際は、あらかじめ目的や使い方などの情報を共有し、従業員の理解を得ることが大切です。
4-2. コストがかかる
エンゲージメントツールを導入する場合、導入費用や運用費用、サポート費用などのコストがかかります。エンゲージメント測定・改善には、時間がかかります。そのため、機能が優れているエンゲージメントツールを導入できたとしても、コストが大きすぎると、長期間利用できず、効果を発揮することなく、導入に失敗してしまう可能性があります。そのため、自社の規模や目的の観点から、最適な料金プランのサービスを選定することが大切です。
4-3. 企業の問題点が可視化される
エンゲージメントツールを活用することで、従業員の悩みや問題が可視化されます。管理職や人事担当者はダイレクトに今まで気づかなかった従業員の不満を聞くことになるので、ネガティブな感情を抱いたり、タスクの増加に対して負担を感じたりする可能性があります。エンゲージメントツールにより企業の問題点が可視化されることのデメリットも共有し、会社全体で協力し合い、課題解決に努めることが大切です。
5. エンゲージメントツールを導入する際の注意点
エンゲージメントツールは正しく導入しなければ、意味ないものとなってしまう可能性があります。ここでは、エンゲージメントツールを導入する際の注意点について詳しく紹介します。
5-1. 社内の協力を得る
エンゲージメントツールを導入したとしても、現場の従業員が積極的に利用しなければ、想定しているような効果は期待できません。エンゲージメントツールを導入する場合、あらかじめ目的やメリット、使い方を周知し、同意を得ることが大切です。社内研修やセミナーを設けるのも一つの手です。事前に従業員の理解を得ておくことで、スムーズにエンゲージメントツールの導入・運用の手続きを進めることができます。
5-2. 長期的な目線で導入する
エンゲージメントツールは、導入してすぐに成果が出るものではありません。結果が得られず、コストの無駄遣いと判断し、すぐに導入を辞めてしまうケースもよくあります。
まずエンゲージメントツールは長期間利用することで、徐々に効果が出ることを理解しておきましょう。また、効果を出すためにも、定期的に評価をし、改善策を実施することを繰り返すことが大切です。このように、長期的に施策に取り組むことで、エンゲージメントツールの導入・定着に成功させることができます。
5-3. ツールを形骸化させない
せっかくエンゲージメントツールを導入しても、思うように活用しきれていない企業もあります。その原因の一つに、エンゲージメントの調査・向上が定期的におこなわれるイベントになってしまっていることが挙げられます。ツールを形骸化させないために、導入した目的を意識し、従業員に寄り添った課題の把握・解決に努めましょう。導入の目的を達成することこそが、ツールを活用しているということになるのです。
6. エンゲージメントツールの選び方のポイント
エンゲージメントツールには、さまざまな種類があります。自社のニーズにあったツールを導入することで、デメリットを減らし、大きなメリットを得ることができます。ここでは、エンゲージメントツールの選び方のポイントについて詳しく紹介します。
6-1. 導入する目的
エンゲージメントツールは導入する目的に合わせて選びましょう。目的によって必要な機能が異なり、最適なツールも変わります。たとえば、離職率の改善が目的の場合と、風通しの良い環境づくりが目的の場合では必要な機能が異なります。まずは自社の課題を洗い出し、エンゲージメントツールの導入目的を明確化することで、自社のニーズにあったサービスを選ぶことができるようになります。
6-2. 発生するコスト
機能が多いツールほど目的を絞り込まなくても導入しやすくなりますが、その分コストが高額になる傾向にあります。豊富な機能があっても使用が一部の機能だけに限定されてしまえば、使わない機能やそれにかかるコストが無駄になってしまいます。このような事態を防ぐため、あらかじめ必要な機能をピックアップし、機能に過不足のないツールを選ぶようにしましょう。また、料金プランや機能の変更が可能なサービスを選んでおくと、後からも柔軟に対応することができます。
6-3. 使い方がわかりやすい
エンゲージメントツールの操作性が悪いと、説明や慣れが必要になり、余計な工数が発生する可能性があります。また、使いづらいためにサービスを使用しなくなり、導入に失敗してしまう恐れがあります。そのため、従業員のITリテラシーも考慮し、直感的に操作できて使いやすいエンゲージメントツールを選定することが大切です。
6-4. 外部サービスとの連携性
エンゲージメントツールを導入する場合、チャットツールや人事管理システムなど、既存のシステムと連携できると、データ連携を自動化して、業務を効率化することができます。このように、既存の外部サービスと連携できるかどうかの観点から、導入するエンゲージメントツールを検討することも重要です。
関連記事:人事管理システムとは?機能性や導入のメリット、サービスを比較表で解説!
6-5. サポート
エンゲージメントツールを初めて導入する場合、設定や運用に不安を感じる担当者もいるかもしれません。初めてエンゲージメントサービスを導入する場合、サポート体制が充実しているツールを選ぶと、安心して導入・運用することができます。また、サービスの使い方だけではなく、運用に関するサポートも受けられると、エンゲージメントツールを社内に定着させやすくなります。
6-6. 無料トライアルの有無
エンゲージメントツールによっては、無料トライアル期間が設けられているものもあります。無料トライアルを利用すれば、ツールの使用感を確かめたうえで、導入するかどうかを検討することができます。もしも自社のニーズにあわない場合、無料で解約できるため、リスクを抑えて導入することが可能です。ただし、利用できる機能やサポートなどは、実際と異なるケースもあるので注意が必要です。
7. エンゲージメントツールの導入を成功させるためのコツ
エンゲージメントツールの効果を高めるには、使い方が重要になります。ここでは、エンゲージメントツールの導入を成功させるためのコツについて詳しく紹介します。
7-1. 結果のフィードバックを実施する
エンゲージメントツールを利用して得られた結果は、従業員にきちんとフィードバックすることが大切です。せっかくアンケートなどに回答したのに結果がフィードバックされない場合、従業員の不満につながる恐れがあります。
結果をフィードバックする際は、1on1ミーティングを活用するのもおすすめです。従業員エンゲージメントを向上させるためには、従業員とのコミュニケーションが不可欠です。自分の意見がきちんと反映されていると理解できることで、エンゲージメントは向上します。また、フィードバックに対する従業員の意見も、改善策を計画する際の役立つ情報になります。
関連記事:1on1ミーティングとは?メリット・デメリットや効果的な実施方法をわかりやすく解説!
7-2. 経営層との連携を強化する
エンゲージメントツールの導入を成功させるには、組織全体の協力が不可欠です。経営層がサービス導入に前向きでない場合、エンゲージメントツールを導入したとしても、社内に浸透しない可能性があります。そのため、経営層との連携を強化し、トップの人たちから積極的にサービスを活用することで、社内にツールを定着させることが可能です。また、経営層との連携を強化しておくことで、エンゲージメントツールにより得られたデータを素早く共有し、重要な意思決定を早めることができます。
7-3. エンゲージメントツールのデータを人事配置に活用する
エンゲージメントツールで得られたデータや結果は、エンゲージメント向上以外の目的にも使用することができます。エンゲージメントツールには、従業員の情報をデータとして蓄積することが可能です。蓄積させたデータを基に、従業員の適性を客観的に分析し、人事配置をおこなうことで、組織全体の生産性を高めることができます。このように、エンゲージメントツールを導入したら、蓄積したデータを戦略人事に活用してみましょう。
8. 【厳選6社】エンゲージメントツールの特徴やコストを比較
エンゲージメントツールにはさまざまな種類があります。複数のツールを比較して、自社にあうサービスを選定することが重要です。ここでは、エンゲージメントツールを6社厳選して紹介するので参考にしてみてください。
サービス名 |
特徴 |
コスト |
Wevox |
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月額300円/人 |
カオナビ |
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要問い合わせ |
モチベーションクラウド |
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要問い合わせ |
ラフールサーベイ |
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要問い合わせ |
HR OnBoard |
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3名まで無料 4名以上は10,000円/1人/年間契約 |
Happiness Planet Gym |
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要問い合わせ |
8-1.wevox|組織課題の見える化で生産性向上・離職の防止を実現
- 1,900以上の企業や組織への導入実績がある
- 高頻度のサーベイ回答により、メンバーの状態変化に気づきやすく離職を予防
- 回答者はログイン不要!スマホでも簡単に回答でき、本音の回答&回答率が向上
- 見える化だけでなく「きづき」から行動変容までサポート
URL:https://get.wevox.io/
8-2.kaonavi|社員の個性・才能を発掘し戦略人事を加速させる
- 2,000社以上の導入実績があるタレントマネジメントシステム
- 従業員の顔写真を登録できるため、顔と名前を認識しやすい
- 人員配置シミュレーションなどの機能があるため、戦略的人事を推進したい企業に向いている
- ご利用人数に応じた初期費用と月額費用※でシンプルな料金体系。
- リモートワーク・生産性向上・人材不足など、現代のさまざまな人事課題に対応
URL:https://www.kaonavi.jp/
8-3.モチベーションクラウド|組織改善のためのエンゲージメントサーベイ
- 国内最大級の11,890社、442万人のデータベースをもとに組織状態を可視化・分析可能
- 創業以来20年間の実績のあるコンサルティングノウハウをツール化
- 組織改善施策のアドバイスまで提供するコンサルタントが変革まで並走
- 他社比較・項目比較・属性比較・経年比較により適切な課題設定が可能
URL:https://www.motivation-cloud.com/
8-4.ラフールサーベイ|組織の「強み」と「課題」が見つかる
- 自由記述機能を持つ離職防止ツール
- 従業員のコンディションを可視化でき、職場の課題を早期に発見できる
- コンディションに合わせた改善策の提案も可能なため、離職率の低下が期待される
- 3000社以上の実例研究をもとに開発した独自の設問と、AIを活用した離職リスク判定アルゴリズムにより社員のコンディションを把握
- 組織適応の研究者が設問設計を監修した活躍実感アンケート
URL:https://survey.lafool.jp/about/
8-5.HR OnBoard |社員の「SOS」をいち早くキャッチ
- 750社以上の導入実績
- 現状把握や課題の洗い出し、改善策の立案と対策までを一貫しておこなえる
- 従業員のメンタルヘルスに配慮しながら、エンゲージメントを向上させることが可能
- サーベイ結果に応じたコンテンツ配信を通じて、セルフマネジメントを推進
- 1億5千万の蓄積されたデータから導かれるエンゲージメントやメンタル・フィジカルデータ
URL:https://on-board.io/features
8-6.Happiness Planet Gym|つながりでエンゲージメントを向上
- 科学的に証明された生産性や幸福度が高い集団の特徴をAIが分析し支援する
- やり取りは1日1回、5分程度
- AIが自動編成した3人組で日替わりのテーマについて共感・感謝といった反応を行う
URL:https://biz.happiness-planet.org/002
9. エンゲージメントツールを活用して人材における課題を解決しよう
エンゲージメントツールを活用する企業が年々増えています。導入によりエンゲージメントが向上するだけでなく、離職率の低下や職場環境の改善など、さまざまな効果が期待できます。この機会にエンゲージメントツールの活用を検討し、人材における課題の改善につなげましょう。