【成果を生み出す組織作り】「ポータブルビジネススキル」の獲得こそが重要な理由|ベーシック 林 宏昌 |HR NOTE

【成果を生み出す組織作り】「ポータブルビジネススキル」の獲得こそが重要な理由|ベーシック 林 宏昌 |HR NOTE

【成果を生み出す組織作り】「ポータブルビジネススキル」の獲得こそが重要な理由|ベーシック 林 宏昌

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※本記事は、株式会社ベーシックの林宏昌さんより寄稿いただいた記事を掲載しております。

こんにちは。株式会社ベーシックの林宏昌と申します。

ベーシックは、オールインワン型BtoBマーケティングツール「ferret One」、フォーム作成管理ツール「formrun」の2つのSaaS事業と、Webマーケティングメディア「ferret」というメディア事業を展開している企業です。その中で、私は現在取締役COOとして、3つの事業を横断で管掌する立場で、中長期の事業戦略や人事戦略を策定しています。

HR NOTEさんでは、これまでにベーシックで運用する「人事評価制度」、組織マネジメントの根幹に関わるテーマである「目標設定」、また「出戻り社員」が活躍する理由といったテーマで記事を寄稿させていただきました。

今回の記事では、最近改めて社員が成果を生み出すために重要だと考えている「ポータブルビジネススキル」の獲得について、具体的に説明したいと思います。

そもそもポータブルビジネススキルとは、どんな環境でも活かすことができるスキル(=持ち運びできるスキル)のことで、特定の業種や職種、時代背景に囚われることのない、汎用性の高いスキルのことです(出典:グロービスキャリアノート)。

年功序列、終身雇用などの従来型の人事制度がまだ多く残る日本企業ですが、最近では「副業」「ジョブ型雇用」「リスキリング」など、様々なテーマに関する施策推進がなされていることかと思います。

ニューノーマルな働き方、かつ、社員が成果を生み出すための組織づくりを目指す方の参考にしていただければ幸いです。

【執筆者】林 宏昌|株式会社ベーシック 取締役 COO 事業本部長・ferret One事業部長

2005年、リクルート入社。新築マンション首都圏営業部で、優秀営業を表彰する全社TOP GUN AWARDを2年連続で受賞。2014年、リクルートホールディングスにて経営企画室室長を担い、株式公開を経験。その後、広報ブランド推進室室長、働き方変革推進室長を歴任。2018年にベーシックに入社しCHROとしてミッション・ビジョンや人事制度の刷新、コンピテンシーの策定を推進。現在はCOOとしてferret One事業を率いると共にPLG事業、メディア事業を含めた事業全体を管掌。

1. 社員が成果を生み出す構造とは

ポータブルビジネススキルの重要性についてお話しする前に、まずは「成果を生み出す構造」について整理したいと思います。

「ビジネスで成果を出すこと」に対して直接の影響を与えるものは、社員が「どのような行動を取ったか」であり、その行動を取る要素を分解すると、大きく4つの層に分けることができます(下図)。

土台となる「性格/基礎能力」「マインド・志向性」は、誰もが初めから持っている特性です。そのため、社会人になってから大きく変えることは難しいでしょう。

そのため、これら2つは採用段階において、その会社に合う人材であるか見極めることが非常に重要です。

一方、後天的に養えるものが、その土台の上にある「ポータブルビジネススキル」や「職種専門性」となります。

2. 成果を上げるために必要なこと

このような中で、従来型の日本企業では会社が配属・異動を決めるため、その結果、自分の意志ではない形で職種や働く場所が決まるようなキャリア形成が一般的です。

また、スタートアップでは、事業状況が刻々と変わる中で、一人ひとりの役割が短期間に変わっていくことも多いでしょう。

いずれの環境も、自身が望む形で職種専門性を高めることができないという問題があるため、最近は「ジョブ型」雇用についての議論が盛んに行われています。

ジョブ型雇用とは、明確なジョブディスクリプションのもとに雇用されるシステムです。業務内容や責任の範囲、必要なスキル以外にも勤務時間や勤務場所などを明確に定めた上で雇用契約を結びます。そのため、別部署への異動や転勤などは無く、昇格・降格も基本的にはありません。 (出典:Manpower Group

社員が成果を出すために必要な職種専門性を身に着けるには、ジョブ型雇用を進めていく必要はあるとは思います。

その一方で、より大きな成果を成し遂げていくには、その下に位置し、より普遍的なビジネススキルである「ポータブルビジネススキル」を高めることが合わせて重要だと感じているのです。

3. 仕事ができる人は、共通してポータブルビジネススキルを持っている

実は、私が新卒で入社したリクルートでもポータブルビジネススキルを磨くことが推奨されていました。以下のように「4つのスタンス」「6つのスキル」に分類されており、上長とメンバーの1on1の中でも、普段からポータブルビジネススキルに関する会話が頻繁に行われています。

たとえば、

「あなたの課題は“仕立てる”の中の“プロセスを作りこむ力”の部分だから、今の仕事をこういう風に工夫して、磨いていこう」

といったような形です。

ご存じの方も多いと思いますが、リクルートは人材輩出企業であると言われています。実際に私がリクルート時代に直接仕事をしてよく知っている人たちだけでも、50人前後は経営者として現在活躍しています。

そして面白いのは、リクルート時代とは全く異なる領域で活躍しており、リクルートでの経験を通じ得た職種専門性や領域専門性よりも、個々人の「ポータブルビジネススキル」を活かしていると感じることです。

少し異なる言い方をすると、ポータブルビジネススキルをこれまで非常に高いレベルまで意図的に磨いてきた人達だという共通点がありました。

もちろん、経営者だから必ずしも活躍しているという図式にはなりません。しかし、経営者に関わらず、私自身が様々な組織人の仕事ぶりを見てきた中で、仕事ができる人に共通している点は、やはりポータブルビジネススキルが高いということでした。

4. ベーシックで定義する3つの行動規範(コンピテンシー)

現在私がCOOを務めるベーシックにおいても、ポータブルビジネススキルを意識しており、ベーシックで働く上で大事にしたい3つの行動規範(コンピテンシー)を、BP(basic power)という呼称で定義しています。

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「GOAL ORIENTED」では、ゴール(目的)を見据えた不足点の理解と、ゴール達成のためにあらゆる必要な行動を取ることを目指しています。目的から常に逆算して物事を考えることはもちろん、内部のリソースのみではなく外部にアンテナを貼り知見・協力を得ながら物事を進める”外部指向性”や、“ダブルループ学習”も求めています。

「TRY&LEARN」では、仮説検証を全て学びに変え、次からの行動の精度を着実にあげていくことを目指しています。仮説検証を行う際に、各種データも活用しながら、短期の施策にとどまらず、中長期の視点で物事を“俯瞰的・構造的”に見る力を求めています。

「TEAM SPIRIT」は、チームで共闘することを目指しており、ベーシックメンバーがあくまで“チームとして“1つの目標に向かうことで、1+1が5になるような組織を目指しています。

まとめると、仕事で成果を上げるために、

  • 手段に振り回されずに、目的を見据えて逆算でプロセス設計して推進する
  • 何を検証したいかを考え、仮説設計し、学びを最大化する
  • チーム全体最適で、自分が何をすべきかを考え、鼓舞する

という行動をベーシックでは求めており、実際にこれらのポータブルビジネススキルに卓越した人材は成果を大きく出しています。

たとえば、チーム平均の2倍の営業成績を達成し、圧倒的に高い成果を残している営業メンバーは総じてコンピテンシーが高く、報酬と連動するグレードも早い速度で上がっています。

5. ポータブルビジネススキルを持った社員を育てるために

このように、ポータブルビジネススキルを持った人材を会社として継続的に育成していくことは重要ですが、そのためには、ただその必要性を呼びかけるだけではなく、何かしらの「仕組み」とセットで考える必要があります。

ベーシックにおいても、前述のコンピテンシーを社内に徹底的に「浸透」させることを意識しており、社内にその必要性が浸透し、リクルートのように普段からコンピテンシーに基づいた振り返りや議論が行われるような仕組みを構築しています。

日々、お互いがお互いのコンピテンシーを意識しながら仕事をすることで、結果として個々人のコンピテンシーが高まり、ポータルブルビジネススキルの向上に繋がると考えているためです。

コンピテンシーを浸透させるための具体的な取り組みとしては、

  1. 繰り返し啓発する
  2. 分かりやすく噛み砕く
  3. 適切に評価をおこなう
  4. 部署ごとに責任者を据える
  5. 日々の行動レベルに落とし込む

などです。

以前に、HR NOTEさんで詳細についてご紹介していますので、よろしければこちらも合わせてご覧ください。

日本全体としては、「ジョブ型」雇用の推進が職種専門性を高めると注目が集まっていますが、時代が急速に変化し、役割も目まぐるしく変わる現代において、実効性の高い組織を率いていくためには、むしろポータブルビジネススキルを高めることがますます重要になるのではないかと感じています。

ポータブルビジネススキルが高い人は、どこに行っても活躍でき、組織的な成果も高まります。

これからも日々仕事をする中で、組織として、会社として、ポータブルビジネススキルを狙って育てていき、日本の成長に寄与する人材が増えていくことを願っています。

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