こんにちは。株式会社ベーシックの林宏昌(@hiromasa_h)と申します。
【執筆者】林 宏昌 | 株式会社ベーシック 執行役員 COO
2005年、リクルート入社。新築マンション首都圏営業部で、優秀営業を表彰する全社TOP GUN AWARDを2年連続で受賞。2014年、リクルートホールディングスにて経営企画室室長を担い、株式公開を経験。2015年、広報ブランド推進室室長兼「働き方変革プロジェクト」プロジェクトリーダーに就任。その後、広報ブランド推進室室長、 働き方変革推進室室長を歴任。2017年、リデザインワークを創業。大手企業の働き方改革のコンサルティングを推進。
ベーシックは、オールインワン型BtoBマーケティングツール「ferret One」、フォーム作成管理ツール「formrun」の2つのSaaS事業と、Webマーケティングメディア「ferret」というメディア事業を展開している企業です。
私は、現在ベーシックにてCOOをしており、以前は運用する人事評価制度についてお伝えをさせていただきました。
今回は、組織マネジメントの根幹に関わるテーマである「目標設定」についてお伝えをしていきたいと思います。
目標設定をする上で、重要な論点は以下の2点です。
1. 目標の意義 2. 目標の難易度
この記事では、それぞれについて詳しく説明をしていきたいと思います。
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「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
1. 目標の意義
目標とは、目的地に辿り着くための重要な道しるべです。
「今晩中に川崎までは進んでおきたい」といった定性状態、または定量的な数値となります。
目標だけがおろされると、最初はゲーム感覚で達成することが面白い時期もありますが、時間が経つと、熱量もだんだん下がっていきますし、なぜこの目標を追いかけているのか悶々としてきてしまいます。
- 目的地はどこか?
- なぜその目的地を目指しているのか?
- その目的地にたどり着くために、今クオーターはなぜそこまで進むのか?(目標を設定するのか?)
目標の意義、目標の理由をセットで設定・共有することが非常に重要なのです。
2. 目標の難易度
意義や理由を十分に理解できたとしても、組織あるいは個人としての能力を加味せず、目標の難易度の設定を間違えてしまうと、取り組みの全てが水の泡になってしまう場合があります。
たとえば、ブラジルのある企業との提携の実現のために、
「相手キーマンとの対面商談を5時間以内に実現して欲しい!」
と上司から言われたとすれば、
「5時間では絶対に実現はありえない!」
となるため、このようなありえない目標が設定されることはほぼありません。
しかし、不確実性が高いビジネスの中では、こういった無理難題な目標設定を課されるケースが、実際は往往にして起こりがちです。
そのため、目標を設計するために必要となる要素である難易度への理解を深めておくことが欠かせません。
縦軸を「目標の達成難易度」、横軸を「組織または個人の能力」と定義します。
その際に、能力に比して目標の達成難易度が高すぎると、
- そんな高すぎる目標は到達できるはずがない
- 目標に到達するイメージが全く湧かなくて不安
という状況になり、本来、組織と当人が持っていた能力を十分に引き出すことが出来ないケースが生じます。
その場合、目標との乖離が次第に大きくなり、組織と人は崩れ、人がだんだんと離れていってしまいます。
一方で、能力に比して難易度が低すぎると、
- 寝ていても達成できる
- 毎回同じようなことの繰り返しで挑戦がなく退屈
- 成長実感がない
という状況に陥りがちとなります。
当然やる気も起きず、成果もそれなりにしか出ず、個人の成長も鈍化します。
優秀な人ほど挑戦的な環境、自身の成長を求めるため、結果的には退職してしまう場合も少なくありません。
「組織・個人にとって挑戦的であり、この目標達成が出来ることで成長が促され、組織としてインパクトのある目標」を設定することが、マネージャーの腕の見せ所なのです。
<Check!> 難易度設計のポイント
上述のように、組織と当人の能力を見立てるということは非常に重要です。
その際のポイントとして、個人・組織の能力を鑑みて設定した目標難易度に対して、トライ&エラーで試しながら、常に最適化を図っていくことが欠かせません。
前回の目標が達成だったのか未達成だったのかにより、組織と当人のメンタルコンディションには異なった影響が及ぼされます。
下図のように、達成可能性が五分五分に設定する組織をセンターラインに定め、少し可能性を上下させて目標設定しながら、試してみることも重要です。
3. 目標設定こそ、マネージャーにとって重要なスキル
稀に言われる「目標は高ければ高いほど良い」という発想は、個人的には適切ではないと考えます。
また、毎回目標を達成し続ける組織も、上記図の右下に下降していく状態にならないよう常に見張っておかなければ、結果的に間違った目標設定をしてしまうケースもあります。
「チームに仕事をサボる奴がいる!」と憤るマネジメントの方にしばしばお会いするのですが、このような発言が生まれてしまう原因として、目標設定の方法が適切でないことが非常に多いです。
- なぜその目標なのか、どの目的地を目指しているのかがわかっていない目標
- サボっていても、達成できるような退屈な難易度の目標
- どう頑張っても届かないあきらめに満ちた難易度の目標
など、まさにこの記事でご紹介したようなことが起きていることが少なくありません。
「目標設定こそ、チームのマネージャーにとって重要なスキルだ」と肝に命じる人が増え、「人と組織の成長と成果が最大化される目標設定」が実現できるチームが、1つでも多く生まれることを願っています。
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本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。